🩵

[メンタルヘルス] 心の病で3回休職している僕が、自分を理解するためにmarkdownに全て書き出して自己分析に取り組んでいる話

に公開

概要

皆さんはじめまして、ネット上では「こーひーあーる」と名乗っている者です。
ある事業会社の情報システム部門で、PHPメインのバックエンドエンジニアやWebアプリケーションエンジニアとして活動しています。
この記事は11月に書いているのですが、秋があっという間に過ぎ、いきなり冬が来たって感じがしていて、風邪をひかないように暖かくしようと思っています...!
この度、自分の整理として、加えて私と同じように治療に向けて活動されている方へ、参考になればと思い記事を書いています。

私は2021年から現在に至るまで、精神科・心療内科に通い詰めています。
初めは不眠の症状から始まり、2022年には極度の疲労感で朝起き上がれなくなって休職してしまいました。
その後同じ職場に復帰するも、繰り返し休職をしてしまいました。
今の職場は私としてはホワイトに感じていて、残業もなく嫌な人もいなくて私の体調を配慮いただいているのですが、どうして朝起き上がれなくなるのか・どうして休職してしまうのかの要因が分からず、現在も自分を理解する課題に試行錯誤を繰り返しています。

3回目の休職を経て、クリニックに通うだけの治療では再び休職してしまうと予想し、現在は医療リワークという選択をして、デイケア施設で週5回リワークプログラムに参加しています。
リワークでは、CBT(認知行動療法)やSST(ソーシャルスキルトレーニング)などに参加していて、福祉士さんからレクチャーをいただいております。
あるいは、リワーク中は自由時間などがありまして、そこで自己分析みたいなことを皆さん自主的にされていて、私もやっています。

治療を進める上では、福祉士さんから頂く資料や、自分で気づいたことなどのメモが膨大に溜まってきて、どこに何を書いたかが分からなくなってきたので、自分のPCに資料を残す試みをしてみました。

なお、私は医療従事者ではなく、医学的・臨床的な正しさや判断はできませんので、本記事の資料整理術や自己分析のアプローチについては、あくまで1つの事例として参考にしていただければと思います。
通っていた学校・勤めていた会社・リワーク施設のプライバシーに配慮し、詳細なことまでは書けないこと、何卒ご理解ください。

実際のファイル構成

自分のPCにメンタルヘルスのディレクトリを作成し、フラットな階層でファイルを作成しました。

  • biography.md : 私の生育歴
  • cbt_and_pst.md : 私の認知行動療法の3コラムや問題解決療法の取り組み記録
  • CLAUDE.md : 生成AI用
  • coping.md : 私のストレスコーピングリスト
  • goals_and_troubles.md : 私のなりたい像や困っていること
  • insights.md : 生育歴から導き出した仮説やその裏付け
  • recommendation.md : 日常生活でやった方が望ましいこと
  • relationships.md : 対人関係マップ
  • sst_assertiveness.md : SSTの取り組みリスト
  • stress_check.md : 私のストレス、およびコーピングをした時の効果
  • todo.md : リワークプログラムなどの課題メモ用

ファイル類はgitでバージョン管理しており、1週間に1回コミットしています。精神科の先生との診察の前にファイルの差分を確認しておき、今週の気づきや取り組みを先生に伝える運用にしています。
個人情報などの機密なものは、例えば人の名前はイニシャルで記録しておき、プライバシーに配慮しています。
本記事では特にbiography.mdinsights.mdについて事例紹介します。


ちなみにVisual Studio Codeを使ってmarkdownを編集しています

生育歴を書いてみた

biography.mdに生育歴をまとめてみました。
リワークプログラムでは特に宿題とはなっていなかったのですが、
そういえば初めて精神科クリニックに受診したときもリワークの施設に初めて来たときも
自分の生い立ちを聞かれていて、「これって治療に必要なのかな...?」と思って自分でも書いてみることにしました。

以下は生育歴の具体的な例です。

## 小学生の記憶

AさんとTさんと仲良くなる。
AさんとTさんとは私の家でよくゲームをやっていた。
教室を一緒に駆け回って、先生に一緒に怒られて泣いていた記憶がある。
特にAさんとは近くの市民会館で卓球でよく遊ぶようになる。
AさんとTさんは自宅から徒歩10分くらいで行ける距離。

小学4~6年生あたりは、昼休みにクラスのみんなとキックベースで遊んだ記憶がある。
体動かすのが好きだった。
クラスメイトの人と分け隔てなく会話し、仲良くなって楽しかった
## 中学生の記憶

友達作りにすごく困っていた。クラスに話せる人がいない。
小学生のうち9割は別の中学校に行っていて、1割、そのうち男児は私とAさん含め3人。
中学校は別の小学校から上がってきた時のグループがそのまま残存していて、話にはいれなかった。
中学1年の国語の最初の課題で、なんか他の人と資料を交換してください、っていうのがあって。それで
かなりプレッシャー感じながら勇気を出して他の人に話しかけたら、「誰だよお前話しかけんな」って言われて
かなり傷ついた。頭が真っ白になっていた。

中学3年の時に、やっとこさMさんっていう人と気軽に話せるようになってたんだけど、
Mさんを中心としたスクールカーストがあって。クラスの気に入らない誰かを全力でシカトするっていう文化があった。
確か僕も初め加担してしまっていたのだけれど、僕とそこそこ話す人がターゲットになった時にyesともnoとも言い切れなくて。その時僕がターゲットになってシカトを受けた。
シカトを受けると、挨拶しても誰も反応してくれないし、誰も話しかけてくれない。夏休み終わった後ずっとですね。
だから受験勉強を言い訳に誰にも話さないって決め込んでずっと休憩時間とかも勉強してた。そのような生活が半年間ほど続いた。誰にも相談できなかった。
## 高校生の記憶

中学生のように明らかに嫌な人はいなかったものの
あんまり仲良くなれなかった。
学校の近くの駅で、誰かと一緒に帰ることを避けていた。

クラスからも、バスケ部の人からも、なんか変で面白いねって言われていて。
誰かに認められたり愛されたかったのかもしれない。
確かに体はった芸とかしてたような気がしたが、体の痛みとか辛さがあれば心の緊張が誤魔化せるような気がした。
## 大学生

東京に出てからなんか人間関係がリセットされた感じがして。
入学当初はある意味肩の荷が降りてたかも。

勇気を出してインカレの部活にも入った。会計周りの役職をやった。
幹部会っていう週に1回男女8人で行う集まりがあったんだけど、ずっとプレッシャー感じててうまく話せなかった。
幹部会の後に、帰り道一緒になった人と何話したらいいかわかんなくて、自分の首元が脈打ってるのを強く感じて、何話したらいいかわかんなかった。
## 社会人 1社目

なんか1つ上のプログラマーの先輩が優秀みたいなふうに他の人から言われていて。
その人は仕事でUnityを使わせてもらって実務経験積んでたんだよね。
自分もUnityとかCocos2Dでゲーム作りたいですっていうリクエストは上司に言ってたんだが
そのソシャゲ事業部では予算的に新規のゲームを連続しては出せないっていうのがあったらしく
残念ながら私の席がなかったかも。先輩が羨ましかったしなんか悔しかったというか嫉妬を感じていたかもしれない。自分の力不足も感じた。
それで、職場でUnityでリッチなゲーム作らせてもらえないなら、自分で作ってしまえで
浅はかに個人ゲーム作ってSteamで売ろうと試みた。
## 社会人 2社目

1社目と比べると、仕事は設計や要件定義よりのことを任されるようになり
人と話す機会がグッと増えた。議論中に人と会話した後、ひどく疲れて、次の日ぐったりしていることが多かったような気がする。
仕事を継続していく中でだんだんと消耗していき、気づいたら朝起き上がれなくなっていた。
人との話は緊張したり動悸がしたり手汗が止まらない。

職場の人と同じバスとか電車で帰るのをめちゃくちゃ避けていて。
同じバスに乗らないようにトイレで時間潰したり。
飲み会とかもあえて迂回するバスとか乗ってましたね。

今のところ私が書いたのは16000文字程度でした。
書いてみると心が動いたことって結構記憶に残っているものですね...楽しい記憶もあるんですけど、嫌な記憶ほど強く残っているように感じました。

※過去に大きな心の傷がある方は、生育歴を書く際はよく主治医や心理士の方と相談した方がいいように思ってます。私は書いたり加筆修正するたびに昔の記憶がフラッシュバックし、中学生の時のことを思い出してしまいます。(一応覚悟はしていましたがキツイ...)

生育歴を活用して私の傾向を仮説立てしてみる

insights.mdに私がどういう人間で何に困っているのかを仮説立ててみました。
例えば例に挙げた生育歴から類似のパターンを抽出するとこういうのが見えてきそうです。

  • 人付き合いが苦手?
    • 「学校の近くの駅で、誰かと一緒に帰ることを避けていた。」
    • 「幹部会の後に帰り道一緒になった人と何話したらいいかわかんなくて」
    • 「議論中に人と会話した後、ひどく疲れて、次の日ぐったりしていることが多かったような気がする」
    • 「職場の人と同じバスとか電車で帰るのをめちゃくちゃ避けていて。」

これまで通っていたかかりつけ医では、朝起き上がれなくなったり無気力になる症状を強く訴えていたからか「うつ状態」と診断を受けていましたが、生育歴を書き出してみて自分なりに次の仮説を立ててみました。

  • 対人関係で緊張や不安が体を支配して磨耗したり疲れることが多い
  • 対人関係を基本的には回避するが、仕事でコミュニケーションが回避できない場合は闘争し耐え忍ぶ
  • 人間と仲良くなることは楽しいことだと小学生の時に学習したが、人間と関わることは危険なことだと中学生の時に学習し、後者の記憶が圧倒的に強く出ている
  • 対人関係図を書き出してみると、私生活において信頼できる人や一緒に遊ぶ人が0 (本当にいない!!)
  • 人を「できる/ふつう/できない」「話が面白い/普通/つまらない」などでグループ分けして見る
  • 自分はよりできる側のグループに所属していたい
  • できない側のグループとの関わりを避けたり、飽きたりする
  • 自分の立ち位置が、できない側にシフトするような出来事や人物に対して猛烈な抵抗感や競争心を持つ (新しく優秀な後輩が入ってきた時とか)
  1. 職場の人と業務会話をするシーンで、社交不安の側面から闘争をする (回避は現実的ではない)
  2. 不安や緊張が持続し、疲弊する
  3. 1と2を繰り返していくと、2の疲労が蓄積していく
  4. 蓄積した疲労に応じて身体化が発生し、特に首肩背中腰が凝ったような強い疲労感や無気力に体が支配され、体の電源がシャットダウンしたまま起動しないような起床困難となる

生成AIの利用、あるいはその是非

自問自答の壁打ち相手にClaudeを利用しているのですが、今のところこんなところに注意して利用を試みています。

  • 生成AIにプロンプトを投げる前に、自分で書き出したり考える
    • 柔軟に考えられるスキルを獲得するのも治療の一つだと考えている
  • 生成AIに正解を求めない
    • 考え方や観点などのヒントだけをもらうようにする
  • 生成AIは医者じゃないので、断定的な回答は禁止させる
    • 「あなたは社交不安障害です」みたいな回答は求めない
  • 白黒的、あるいは2値的な回答は禁止させる
    • 「~~してはいけない」「~~しなければならない」みたいな回答は求めない
    • グラデーションを持たせてもいい
      • ex. 仕事の飲み会に参加するか断るか?
      • アプローチとして、1時間だけ参加するとかもあるはず
  • 生育歴に基づいた、私の抽象化や一般化は過度にやらない
    • 「人付き合いが苦手」も、強化される場面と緩和される場面がある
      • 私の場合、スポーツを伴う社交場面ではなんとか切り抜けられたことが少しある
  • 生成AIが理解しているのは、私が言語化してドキュメントに書き出したものしかない
    • 私が認知できてない部分もある
    • 私の姿や日々の生活などを全て前提条件として生成AIに渡せているわけではない
  • 個人情報を特定できるような情報はドキュメントにはマスクしてプロンプトに渡す
    • 人の名前とかは必ずイニシャル表記

やってみた感想

PCのファイルとしてまとまっていると、grep検索しやすかったり、生成AIを壁打ちしやすかったりして、結構ありなんじゃないかなと思いました。
一方で、リワークなどの最中では人とのやり取りなんかもありますので、そういう場合はTPOに気を遣って一旦紙ベースでメモっておいて、家に帰ったり自由時間でPCに詳細を書くのが良さそうです。

今治療をしていて、色々苦しかったり、残酷な事実を受け入れたりと、まあリワークもきついんですけど
職場への復帰、ひいてはこれからの人生を楽しめるように治療していきたいです。
(今の経験を通して、メンタルヘルスやウェルビーイングの領域に興味を持ち始めています)

もし同じような状況で悩んでいる方がいれば、専門家への相談も検討してくださいね。
そして、私をサポートしていただいている医療従事者の皆さん、いつも本当にありがとうございます。

Discussion