2025年4月9～11日にラスベガスで開催されたGoogle Cloud Next 25にて、CodeRabbitのCEOであるHarjot氏が登壇し、いかにしてCloud Run上でAIエージェントを構築しているかについてお話ししました。以下は、その内容の要約です。
動画はこちらです。
CodeRabbitが切り拓く、AIによる次世代コードレビューのかたち
開発現場ではいま、AIを活用したコードレビューの新たなアプローチが注目を集めています。その中心にいるのが、スタートアップのCodeRabbitです。今回は、私たちがどのようにAIコードレビューを実現し、なぜCloud Runを活用しているのかをご紹介しました。
コードレビューを変えるAIスタートアップ、CodeRabbitとは？
CodeRabbitは、生成AIを使ってコードレビューを自動化するサービスを展開するスタートアップです。GitHubやGitLab、Azure DevOps、Bitbucketなど、主要なGitプラットフォームに対応しており、プルリクエストに対して品質やセキュリティ、一貫性に関するフィードバックを提供します。
あたかも人間のレビュワーのような自然なコメントが特徴で、サービス開始からわずか数年で急成長。いまや毎日数千の組織、数万人の開発者が利用しています。
なぜ「いま」AIによるコードレビューが必要なのか？
CopilotをはじめとしたAIコーディング支援ツールの台頭により、大量のコードが自動生成されるようになりました。その結果、開発者は“書く”だけでなく“レビューする”という役割でもAI生成コードと向き合う必要が出てきています。
コードレビューは、品質を担保するうえで欠かせない工程ですが、レビューの負荷は決して軽くありません。CodeRabbitはこの部分をAIで支援し、開発プロセスの新たなボトルネックを解消する存在として注目されています。
Cloud Runを活用した自律型アーキテクチャ
CodeRabbitのユニークな点は、Google CloudのCloud Runを活用したサーバーレスなアーキテクチャです。開発者がプルリクエストを開いた瞬間にレビュー処理が自動でスタートし、人の操作を必要としません。
他のチャットベースのAIサービスとは異なり、「ゼロ活性エネルギー（Zero Activation Energy ）」とも呼ばれるスムーズでシームレスな体験が特徴です。開発者の手を煩わせることなく、チーム全体でのコード品質向上を支援します。
レビューに必要なコンテキストを“自ら探しに行く”AI
CodeRabbitは、単に変更されたコードの差分を見るだけではありません。CI/CDツールの出力結果、静的解析ツールのレポート、JiraやLinearなどの課題管理システムの情報までを取り込み、レビューの精度を高めています。
AIはあらかじめ与えられた情報だけでなく、必要に応じて不足している情報を自律的に取得しに行きます。これにより、文脈を理解した的確なフィードバックが可能になります。
サンドボックス環境での安全な実行と柔軟な解析
CodeRabbitでは、ESLintやRuboCopなどの静的解析ツールをユーザーの設定に応じてクラウド上のサンドボックスで実行しています。信頼できないコードも安全に処理できるため、多様な開発現場に対応可能です。
Cloud Runのスケーラビリティを活かしつつ、セキュアな環境を維持することで、PRレビュー中に高精度かつ安全な解析を実現しています。
AIによる“シェルスクリプト生成”という新しい発想
特筆すべきは、AIがレビュー対象外のコードベースも把握するために、catやripgrepなどのUnixコマンドを使ったシェルスクリプトを自動生成するというアプローチ。人間のようにリポジトリを探索し、関連情報を取得します。
さらに、必要に応じてGitHub CLIを使ってIssueを立てるなど、エージェント的な行動もこなします。まさに「自分で考えて動くAIレビューア」です。
大規模運用でも安定したスケーリング
CodeRabbitのインフラは現在、32GBのメモリを搭載したインスタンスを100〜200台以上稼働させており、CPUや帯域もフル活用しています。Cloud Runの自動スケーリングを活用しながら、今後の成長にも柔軟に対応できる設計になっています。
この堅牢なスケーラビリティが、日々増加するプルリクエストを途切れることなく処理するための基盤となっています。
おわりに
AIとクラウド技術を組み合わせることで、CodeRabbitはコードレビューの在り方を大きく進化させています。開発者にとっては、負担を減らしつつ、品質を確保する心強い味方。これからの開発現場において、こうした“AIレビューエージェント”の存在は、ますます欠かせないものになっていくでしょう。
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