AIで解消できる、5つのコードレビュー・アンチパターン
本記事は5 Code Review Anti-Patterns You Can Eliminate with AIの意訳です。
プルリクエストが大きすぎて十分にレビューできず、バグを見逃したことはありませんか?それは典型的なアンチパターンです。一度に大量のコードをレビューしようとすると、見落としが発生することがよくあります。小さくて扱いやすい粒度に分割することで、後々の手間を省けます。
コードレビュー は、コードをクリーンで理解しやすく、保守しやすい状態に保つために必要です。しかし、さまざまなアンチパターンが、しばしば紛れ込みます。そうした実践は、一見役立つように見えますが、実際には速度を遅くしたり、コードの品質を損なったり、保守性を低下させたり、バグを生み出してチームにストレスを与えます。
本記事では、コードレビューでよく見られる一般的なアンチパターンと、それをAIで簡単に解決する方法について解説します。
ソフトウェア開発でよく見られるアンチパターン
アンチパターンはどのプログラミング言語にもあり、ベストプラクティスとは逆に、非生産的かつ時間を奪い、さらにエラーを引き起こします。以下は、コードレビューでよく出くわす代表的なアンチパターンです。
神クラス(God Class または God Object)
「神クラス」とは、多くの責務を負ったクラスを作成した場合に発生します。本来なら分割すべき、小規模で責務を分けるべきタスクを、1つのクラスにまとめてしまいます。その結果、保守が難しいクラスができあがり、どこか変更すると他の部分に意図しない影響を与えるようになります。この構造はバグやコードの重複、技術的負債を引き起こします。
神クラスはコードベースを理解しにくくし、修正に手間がかかります。変更を加えるたびに、他の部分を破壊するリスクが伴います。
以下は、Go言語での神クラスの例になります。
スパゲッティコード
スパゲッティコードとは、コードの構造が複雑に絡み合い、読み解くのが極めて困難になる状態を指します。過剰な条件分岐、深く入り組んだネスト構造、多数のグローバル変数の使用などが主な原因です。
このようなコードは、レビューや保守作業が非常に難しくなり、レビューに時間がかかるだけでなく、デバッグも困難です。さらに、隠れた依存関係が思わぬバグを引き起こすことがあります。
以下は、Go言語のコードベースに見られるスパゲッティコードの一例です。
重箱の隅をつつくスタイルフィードバック
コードレビューで、フォーマットや命名規則といった細かなスタイルの問題に過剰な時間を費やすのも、アンチパターンの一つです。一貫性を保つことは重要ですが、スタイルの細部にこだわりすぎると、レビューの本質的な目的である機能性やアーキテクチャ、ロジックの確認がおろそかになり、時間を無駄にする原因になります。
スタイルに関する問題は、可能な限り自動化ツールに任せたり、最後の仕上げとして簡単に修正することで、レビューの効率を高めることができます。
以下は、JavaScriptコードベースでこのアンチパターンが発生した例です。
プリミティブ執着(Primitive Obsession)
プリミティブ執着とは、文字列や整数、真偽値などの単純なデータ型を、本来はより複雑な概念を表現するために使ってしまう状態を指します。この結果、コードが読みにくくなり、理解しにくく、拡張も難しくなります。データ型に込められた意味が失われるため、後からコードを触る人にとって非常に扱いづらいものになります。
この問題は、型の安全性やデータの検証が不足しているために将来的な変更が困難になり、技術的負債を増大させる原因にもなります。その結果、リファクタリングが避けられず、余計な手間を生むでしょう。
以下は、Rustコードベースでプリミティブ執着が発生している例です。
ショットガンサージェリー(Shotgun Surgery)
ショットガンサージェリーは、コードベースの1つの変更が、コードベースの多くの部分に変更を必要とするアンチパターンです。これは、システム全体で責任が十分に分散されていないことを示しており、結果として密結合したコードが生成され、保守や拡張が困難になります。
ショットガンサージェリーは、複数の箇所での変更を必要とするため、保守を複雑化させ、バグのリスクを高め、コードの再利用性やモジュール性を低下させ、更新をより時間のかかるものにします。この結果、一貫性の欠如につながる可能性があります。
以下に、Go言語のコードベースでショットガンサージェリーのアンチパターンが形成される例を示します。
例として、メール送信サービスにトラッキング機能を追加する場合、以下の変更が必要になります。
ショットガンサージェリーとは、コードベースの1つの変更が、他の多くの箇所にも修正を必要とするアンチパターンです。これは、システム内の責任分担が不十分であることを示し、その結果、密結合したコードが生まれます。こうしたコードは保守や拡張が非常に難しくなります。
ショットガンサージェリーは、複数箇所の変更を必要とするので、保守作業を複雑にし、バグのリスクを高めます。また、コードの再利用性やモジュール性を低下させ、更新作業に多くの時間を要し、一貫性を欠く原因となります。
以下は、Go言語のコードベースにおけるショットガンサージェリーの例です。たとえば、メール送信サービスにトラッキング機能を追加するだけであっても、以下の変更が必要になります。
- Email構造の更新
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ロジックの更新
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タスクハンドラーの更新
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デモ関数でのメールサービス使用
このように、わずかな変更であっても、複数のファイルに影響を及ぼすのが、ショットガンサージェリーと呼ばれるアンチパターンです。
CodeRabbitを使ったコードレビューにおけるアンチパターンの解消方法
ここではAIツールである CodeRabbit を使用して、先に紹介したアンチパターンを特定、解決する方法を紹介します。
CodeRabbit は、反復的なタスクを自動化し、潜在的な問題を特定して、的確な提案を行うことで、開発者が保守性の高いコードを書くのに専念できるようサポートします。また、CodeRabbitは人気のCI/CDツールやバージョン管理システムに統合でき、既存のワークフローへ簡単に組み込めます。
以下の図は、CodeRabbitがコードレビューにおけるアンチパターンを解消し、綺麗なコードをデプロイするまでのプロセスを示しています。
次に、CodeRabbitの設定手順と、前述のアンチパターンを解消する方法を説明します。
CodeRabbitの設定方法
CodeRabbit公式サイト にアクセスし、以下の手順で無料アカウントを作成し、リポジトリを追加します。
- サインアップ画面に移動し、無料アカウントを作成します。
- アカウント作成後、ダッシュボードに移動してCodeRabbitで管理したいリポジトリを追加します。「Add Repositories」をクリックしてリポジトリを追加します。
- 次に、CodeRabbitがリポジトリとどのように連携するか設定します。「Organization Settings」メニューに移動して、設定を行います。
- 追加したリポジトリでプルリクエストを作成すると、CodeRabbitがレビューを開始します。適切なコードレビューと提案を提示し、より良い開発体験を実現します。
CodeRabbitはLintツールやCI/CDツールなどの既存ツールを、コードレビューのパイプラインに統合する際にも便利です。
CodeRabbitで神クラスの問題を解決する方法
CodeRabbitは、複雑で過剰な責務を持つクラスを検出し、それを分割する方法を提案します。クラスの複雑さを分析し、単一責任の原則に従って、神クラスをより小規模で焦点を絞ったコンポーネントに分割することを推奨します。
さらに、コード行数やメソッド数、循環的複雑度が過剰な場合には警告を出し、機能を管理しやすいクラスに移譲する方法を案内します。
CodeRabbitでスパゲッティコードを解消する方法
CodeRabbitは、ロジックの流れを分析し、過剰に複雑なセクションを検出してフラグを立てます。また、コード構造を改善するためのリファクタリング提案を行い、開発効率を向上させます。
具体的には、大規模な関数を分割したり、ネストした条件文をポリモーフィズムに置き換える方法を提案します。また、繰り返しが多いロジックを抽象化し、再利用可能なコンポーネントとして整理することを推奨します。
CodeRabbitで重箱の隅をつつくスタイルフィードバックを改善する方法
CodeRabbitは、スタイルやフォーマットのチェックを自動化し、コードの一貫性を維持します。これにより、開発者はロジックや機能性といった重要な部分に集中することができます。
さらに、スタイル上の問題を指摘する機能も備えているため、レビューの際にパフォーマンスやアーキテクチャなどの本質的な要素に重点を置けるようになるでしょう。
CodeRabbitでプリミティブ執着を解決する方法
CodeRabbitは、コードベース内でプリミティブ執着を検出し、それをドメイン固有の構造に置き換える提案を行います。これにより、より表現力が高く、堅牢なコードを実現できます。例えば、ステータスコードには列挙型を、メールアドレスや通貨といったドメイン固有の概念にはカスタム型を使用するよう提案します。
CodeRabbitでショットガンサージェリーを解決する方法
CodeRabbitは依存関係を分析して問題を特定し、修正案を提案します。具体的には、責務を集中させるためのリファクタリング戦略や、システムを疎結合化するためのデザインパターンを推奨します。
さらに、コードの整理方法や自動リファクタリングのオプションも提供し、開発プロセスの改善をサポートします。
次のステップは?
ここまで紹介したアンチパターン以外にも、コード品質やレビュー効率に影響を与える問題が存在します。主な例として以下が挙げられます。
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ラバーフロー(Lava Flow):
古い未使用コードが蓄積し、技術的負債を増大させ、コードベースが煩雑になる。 -
カルト的プログラミング(Cargo Cult Programming):
パターンやツールを、意図を理解せずに適用して不要な複雑性が生じる。 -
ヨーヨー問題(Yo-Yo Problem):
複雑な継承構造により、ロジックを理解するために複数のクラス間を行き来しなければならない。 -
マジックナンバー(Magic Numbers):
定数を使用せずに値を直接コード内に埋め込むことで、コードが読みにくく保守が困難になる。
CodeRabbit は、これらの問題をAIで特定し、解決するように設計されています。コードレビューの効率を高め、これらの課題を解消することで、技術的負債を削減し、コードをより綺麗で保守しやすいものにします。
まとめ
コードレビューにおけるアンチパターンは、開発の遅延を引き起こし、不要な障害を生み出し、コードの品質を損なう可能性があります。
これらのアンチパターンを人手のみで特定するのは難しいですが、AIを活用したコードレビューツールの登場により、問題を徹底的に検出し、解決することが可能になりました。そして、ソフトウェアのアーキテクチャがより堅牢で信頼性の高いものになるでしょう。
CodeRabbitを利用すれば、こうした課題を克服できます。スタイルチェックの自動化から実用的なフィードバックの提供まで、CodeRabbitはレビュープロセスを大きく改善し、クリーンで保守性の高いコードを効率的に提供する環境を整えます。
CodeRabbitに登録 して、ワークフローにAIを統合し、コードレビューを改善してください。
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