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「レビュー疲れ」を防ぐために開発者ができること

2025/02/10に公開

コードレビューはプロダクトの品質を維持するのに大事なプロセスです。しかし、レビュアーにとっては負担が大きい作業でもあります。多くのレビューによって、いわゆるレビュー疲れが起こります。その結果、チェックされるべきバグや問題が見落とされることがあります。結果としてプロダクトの品質が低下し、開発チームの生産性が下がる可能性があります。

この記事では、開発者がレビュアーの負担を減らすためにできることについて紹介します。

負担の大きいコードレビューの特徴

最初に、レビュアーにとって負担が大きいコードレビューの特徴を挙げてみましょう。

  • 変更範囲が広すぎる
  • コードの意図が分かりにくい
  • コーディング規約やスタイルの指摘が多い
  • テスト不足やエラー処理の抜け漏れがある
  • 関連する変更が複数のファイルにまたがり、追いづらい

変更範囲が広すぎる

1つのプルリクエスト(PR)に対して、変更が多すぎるとレビュアーが全体を把握するのが難しくなります。変更範囲が広いと、バグや問題を見落とす可能性が高まります。

この時に考えるのは、レビュアーはプログラミング担当者ほどコードに精通していないことです。そのため、変更範囲が広いと、レビュアーが全体を理解するのが難しくなります。

コードの意図が分かりにくい

コードの意図が分かりにくいと、レビュアーはコードの品質を判断するのが難しくなります。また、バグや問題を見つけるのも難しくなります。コメントであったり、変数名や関数名を適切に付けて、コードの意図を明確にすることが重要です。

ロジックもトリッキーな書き方を避け、分かりやすい書き方を心がけましょう。難解なコードはメンテナンス工数も増えるため、チーム開発時には特にコードの品質を下げる要因になります。

コーディング規約やスタイルの指摘が多い

コーディング規約やスタイルの指摘が多いと、レビュアーの負担が増えます。コーディング規約やスタイルは、チーム全体で共有されているはずです。それにもかかわらず、指摘が多い場合は、開発者がルールに従っていない可能性があります。

コーディング規約やスタイルは、開発者が自分でチェックしたり、Linterを用いたりして事前にチェックできます。機械的にチェックされるものであれば、レビュー前に修正しておくのが良いでしょう。

テスト不足やエラー処理の抜け漏れがある

テスト不足やエラー処理の抜け漏れがあると、レビュアーはコードの品質を確認するのが難しく、バグが発生しやすくなります。エラー処理が抜けていると、予期せぬエラーが発生しやすくなります。

例外処理の書き方や、データの存在チェック、分岐処理時の書き方などは社内で統一したルールを設け、それに従ってコードを書くようにしましょう。

関連する変更が複数のファイルにまたがり、追いづらい

関連する変更が複数のファイルにまたがると、レビュアーは全体を把握するのが難しくなります。また、変更の影響範囲が広がるため、バグや問題を見つけるのも難しくなります。

関連する変更は、1つのファイルにまとめるか、関連するファイルをまとめて変更するなど、変更範囲をできるだけ小さくするようにしましょう。これはコーディングはもちろんですが、システムの設計にも起因します。

レビュアーの負担を減らすために開発者ができること

続いて、レビュアーの負担を減らすために開発者ができることについて紹介します。

  1. プルリクエストの適切なサイズを意識する
  2. コードの意図を明確に伝える
  3. 静的解析・フォーマッターを活用する
  4. 十分なテストを実装する
  5. コードの一貫性を保つ

1. プルリクエストの適切なサイズを意識する

プルリクエストのサイズを小さく心がけ、レビュアーの負担を減らしましょう。1つのPRを「1つの目的」に絞り、多くても100〜300行程度に収めるのが理想です。

変更量が多く、複数の目的を含んでしまう場合には、プルリクエストを分割することを検討しましょう。それぞれの変更が独立している場合は、それぞれのPRに分けることで、レビューの精度が上がります。

2. コードの意図を明確に伝える

PRの説明欄に「何を、なぜ変更したのか」を記載しましょう。変更したコードには十分なコメントを残し、他の開発者がコードの意図を理解しやすくします。自分で書いたコードでさえ、半年も経つと意図を忘れがちです。コメントを残すことで、将来の自分や他の開発者に役立てましょう。

開発者自身は「分かっている」ので、最小限の説明に留めてしまいがちです。しかし、レビュアーは「分かっていない」ので、コードの意図や変更理由について、十二分なテキストを使って明確に伝えるよう心がけましょう。

3. 静的解析・フォーマッターを活用する

Linterやformatterを導入し、スタイルチェックを自動化しましょう。機械的な指摘はツールに任せ、人間はロジックや設計に集中できるようにします。コードの品質を保つために、静的解析ツールを活用しましょう。

ただし、この手のツールは個人で入れても意味がありません。チームで統一されたルールを持ち、それに基づいてツールを導入することが重要です。また、ルールが厳しく、チームにストレスを与える割に、生産性や品質向上には貢献しないケースも多々あるので、バランスを考えましょう。

4. 十分なテストを実装する

単体テストを整備し、レビュアーが安心して確認できる状態にしましょう。テストがない場合、レビュアーはコードの品質を確認するのが難しくなります。CI/CDを活用して、基本的なバグは事前に防ぐようにしましょう。

プロダクトの品質は、コードレビューが担うものではありません。品質はテストによって保証されます。レビューはロジックの問題点を発見したり、不具合の可能性を指摘することが目的なのが一般的です。十分なテストを行った上で、レビューを実施しましょう。

5. コードの一貫性を保つ

チーム全体でコーディング規約を共有し、一貫性を保ちましょう。コーディング規約に沿ってコードを書くことで、他の開発者がコードを理解しやすくなります。また、コードの一貫性が保たれることで、メンテナンス性が向上し、バグの発生リスクが低減します。

読みやすいコードになれば、レビュアーもコードの理解がしやすくなります。コーディング規約に沿ってコードを書き、チーム全体のコード品質を向上させましょう。

チーム全体でできる改善策

最後に、チーム全体でできる改善策について紹介します。

  • ペアプログラミングやモブレビューの導入
  • レビューガイドラインの作成
  • レビュアーのローテーション

ペアプログラミングやモブレビューの導入

ペアプログラミングやモブレビューを導入することで、コードレビューの負担を分散させましょう。ペアプログラミングは、レビュー前にリアルタイムにチェックが行われるので、開発者とレビュアー双方にとってストレスが軽減できます。

モブレビューは、複数人で同時にコードをレビューする手法です。複数人で見落としを防ぎ、コード品質を向上させるのが狙いです。また、自分の担当外のコードを見る機会になり、システム理解にもつながります。普段コードレビューを行わないメンバーがレビューを行うことで、レビュアーの負担を理解し、コード品質向上につながります。

レビューガイドラインの作成

レビューガイドラインには、コードの品質基準やレビューの進め方、フィードバックの方法などを明記します。レビューガイドラインを共有することで、チーム全体でレビューの品質を向上させるのが狙いです。

レビューガイドラインを確認すれば、レビュアーの視点を確認できます。多くの場合、細々した指摘ではなく、ロジックの書き方や関数の切り出し方など、コードの品質向上につながる指摘が書かれるでしょう。

メンバーはレビュアーの視点を学ぶことで、レビューに臨む姿勢を確認できます。また、レビュアーが増えた際にも、そのレビュー品質を保つための指針となります。

レビュアーのローテーション

多くの開発組織において、レビュアーはチームのトップになりがちです。しかし、同じ人がレビューを続けると、レビュアーの負担が大きくなり、レビューの品質が低下するでしょう。そこで、レビュアーのローテーションを実施してみると良いでしょう。

レビュアーのローテーションによって、レビュアーの負担を分散させられます。また、レビュアーの視点が変わることで、新たな視点からの指摘が得られるかもしれません。ただし、レビュアーによってその品質がバラバラなのは困るので、レビューガイドラインがあることが前提になります。

まとめ

本記事では、コードレビューの品質向上のために開発者が協力できることについて解説しました。コードレビューはプロダクトの品質を維持するのに重要なプロセスですが、レビュアーの負担が大きい作業でもあります。レビュアーの負担を減らし(または分散し)、チームの開発効率とコード品質を向上させましょう。

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