なぜヤマハなのか?
本記事は株式会社ココナラ Advent Calendar 2024 23日目の記事です。
口上
毎度お世話になっております。ココナラ情報システムグループの山田志門です。各種イベント(の懇親会)でお世話になっております。
今回は弊社のアドベントカレンダーということで執筆を担当することになりました。
何について書こうかしらと思案していたところ、上司や同僚から「ヤマハのことを書けば?」と振られ、そう言えば弊社にてまとまった形でヤマハというか、ネットワークのお話をしていなかったなあと思い、今回筆を進めています。
私自身の経歴ですが、SIerから中堅通信キャリアなどさまざまな業種を経験してきたのですが、最も長い経歴が、ヤマハのネットワーク製品のサポートエンジニアです。記憶が間違っていなければ、9年近く勤めていたと思います。
お陰様でというかなんというか、「みんなヤマハ製品を使っている」という前提で考える癖が未だ抜けず、いつの間にか社内では「ヤマハからの出向社員」「ヤマハの販売代理店」など、そんな扱いを受けております。若干の自覚はあるだけに、非常に否定しにくいですね。あ、マージンとかは貰っていませんよ?
別にヤマハ製品の宣伝がしたいのではありません。多くの中小企業において採用されることが多いのが同社のネットワーク製品ですし、最近ですとオンライン会議で利用されるUSBスピーカーマイクなども「ん?あの黒い三角形、YVC-331じゃないか!」と、テレビなどに登場する企業の会議室が映ると、結構な頻度で見つけることができます。
このようにヤマハ製品は主に法人向けの機器、いわゆる業務用の機器として中小企業や大手企業に採用されることが多いようです。もっとも、私の家のような「ごく一般的な誤家庭」で使われる事例も少なくはありません。ちなみにRTX830がメインルーターです、普通ですよね?
今回はかなりざっくりではありますが、弊社本社のすぐ近くにある2023年にオープンしたオフィスにおける、ネットワークの設計や構築というお話よりかは、どちらかと言えばそのオフィスに導入したのが「なぜヤマハ製品だったのか」について書いてみようと思います。
私の機器選定基準
以降のお話は、「長年ヤマハ製品に多少なりとも関わってきた、ネットワークのお仕事をやってきた一人のおじさん」によるものです。弊社見解でも、メーカー見解でもありませんのでその点はご了承ください。
まずは箇条書きで書いてみましょう、なぜヤマハなのか?
- ドキュメント類がたくさん存在している
- ファームウェアとリリースノートが詳細かつ一般に公開されている
- サポートが手厚い
- 主要機能が枯れている上に、セキュリティ対策も比較的早く対応している
- とにかく壊れない
- 家電量販店でも売っている
今あげたポイントについて、もしかしたらピンとこない方々もいらっしゃると思います。「安くて性能が良い」とか「デザインがかっこいい」とか、なぜそういうのをあげないのか?と思う方もいらっしゃると思いますので解説します。
「ドキュメント類がたくさん存在している」
「ヤマハ」「ネットワーク」で検索すると、膨大な数のWebサイトにヒットします。その中には解説記事も含まれていると思います。
何より、メーカー自体が技術情報を大量に公開しています。
若干情報がとっちらかって見えますが、ネットワークに関する情報が目白押しのページだったりして、探すコツさえわかっていれば、大抵のことはこのサイトで片付くと思います。ヤマハ製品を触って長い人であれば、「ああ、RTproね」というぐらいに界隈では有名というか、ごく日常的に覗くサイトです。界隈ってなんだろう?
「ファームウェアとリリースノートが詳細かつ一般に公開されている」
これなんですが、「え?当たり前じゃないの?」と思われるかもしれません、特にプログラマーなどの皆さんにおかれては。確かにシスコ・システムズなどの製品のように調べようと思ったら誰にでも調べられるリリースノートもあるにはあるのですが、一昔前では正規の販売代理店を経由しないと手に入れられない場合が多かったです。この点、ヤマハは昔からファームウェアもリリースノートも一般に公開されていましたし、とにかく細かいです。
なによりファームウェアのリリースノートが読めないと、アップデートの可否が判断できません。なので、法人利用の場合はファームウェアのリリースノートが公開されていて、かつ十分な技術的評価が行える内容である必要があります。たまに「軽微な変更」とだけ記載されているリリースノートもありますが、その「軽微」の内容をしっかり書いていただきたいものです。
「サポートが手厚い」
これも界隈では有名な話で、メーカーのサポート窓口が比較的テクニカルな話題でも十分相談に乗ってくれます。だから界隈ってなんだ?
私自身、ネットワーク業界を離れて中小企業の情シスのお手伝いをするようになってからは、大変頼もしい相談相手でした。
メーカーサポートは何をもって手厚いとするかは色々ご意見あると思いますが、質問者が直面している技術的問題に付き合ってくれるサポートというのは、個人的な経験から案外少ない気がします。「仕様」という言葉でバッサリ切り掛かるサポートもあれば、こちら以上の質問量で辟易とさせられたりするサポートなどもあるなか、ヤマハのサポートは「製品をよく知っている人」たちが質問に答えてくれている感が強いかな、と思っています。
もちろん、有償サポートもあります。SCSKのCarePlusです。実は弊社も契約しており、別オフィスのコアルーター、コアスイッチ各一台ずつ、先出しセンドバックのサポートをお願いしております。設置サービスなども行っており、拠点数が多いと心強いと思います。
「主要機能が枯れている上に、セキュリティ対策も比較的早く対応している」
ネットワークの世界って移り変わりが激しいように見えますが、どちらかと言えば枯れた技術の上に成り立っているところでもあります。
BGPやOSPF、RIPなどの動的ルーティングプロトコルも十分に枯れた技術ではあると思います。もっとも、SaaSの利用が一般的にになり、SaaSとオンプレのネットワーク機器を接続するのに、これまで大規模ネットワーク以外では滅多に使うことがなかったBGPが必要となりましたが、技術仕様自体はほとんど変わっていないと思います(拡張はあると思いますが)。
それらの枯れた技術にしっかり対応しているのが、業務用ネットワーク機器の特徴と言っていいと思います。業務用ってなんで価格が高いの?と思われるかもしれませんが、実はこういうところに民生用との違いが出るんだと思います。
後はたまにですが、それらの枯れたはずの機能に突然脆弱性が発見される、なんてこともあります。今年だとWindowsに限った話ですが、TCP/IPの実装の脆弱性という、すごい話がありました。この手の脆弱性への対応は、民生用だと「新しい製品に移行してください」とアナウンスする場合が多い印象があります。その点、業務用は淡々と修正ファームウェアをリリースします。予算稟議を慌てて書く必要はありませんね。
「とにかく壊れない」
ヤマハと言えばこれです。とにかく頑丈。急な室温上昇でも45度までなら壊れません。ラーメン屋の店頭でもがんばります。
壊れないということは、それだけ頑丈なつくりであるということです。だからと言ってぞんざいに扱えば壊れるわけですが、壊さないための秘訣が書かれているドキュメントがあります。「はじめにお読みください」というドキュメントです。いわゆる取説なんですが、多分これをちゃんと読んでいる人って、案外少ないんじゃないかなって思います。なのでお時間がある時にでも一度目を通すことをお勧めします。塞いではいけないスリットに何かものを載せたりするなど、実は故障に至るNG行為だったりします。その辺のヒントやズバリ答えそのものが記述してありますよ。
「家電量販店でも売っている」
最後になりますが、これ、案外重要です。ネットワークはインターネットにつながっていてなんぼ、と考えるのなら、ダウンタイムは最小限にしたいところです。その点弊社は本社、別オフィスともに冗長構成をとっています。が、なんらかの事情で冗長構成が取れない場合、新しい機器をつないで復旧するという方法しかなくなります。いつもお世話になっているSIerさんに代替の製品を頼んでも、どんなに早くても二日から三日はかかると思います。
そうなるともう、直接製品を買ってくるというのが最短になります。その点、ヤマハ製品なら大丈夫です。最寄りのヨドバシカメラへ急ぎましょう。パソコン類を売っているフロアの、LANケーブル売り場の近くで売っています。これで大量に故障しても安心ですね。いや、安心はしないですね。心臓バクバクする状況ですよね。
終わりに
近年、比較的安価なのにとんでもないスループットが出たり、とにかく高機能なルーターや無線APがでていますし、企業での採用例もあることは知っています。
ただ、家庭での使われ方と、会社での使われ方、位置付けというものについては、正直会社における通信インフラの方がかなり重いかな、とも思います。確かにリモートワーク全盛のご時世ですが、だからと言って本社などのネットワークが落ちていても構わないと考える企業はそうないと思います。
また、絶対に落ちることのないネットワークは存在しません。必ず何かの理由で障害が発生します。発生するならなぜ発生したのかの原因を追究できる方がありがたいですよね。あとは、なぜなぜ言っているのと同時に、対策を早急に立てられる製品であった方がいいに決まっています。
そこが私は業務用と民生用の違いだと思っており、そこを踏まえて中小企業にとって手にしやすい価格帯で機能やサポートもしっかりしたヤマハ製品は、1995年のRT100i以降連綿と続くシリーズとして多くの方々から支持される理由なのではないかと思っております。
それではみなさん、来年も良いヤマハを!
明日はcoconala-otakiさんによる、LLMプロダクト開発の勘所 です。
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