生成AI×認知心理学×組織開発で「継続的デリバリー」に挑戦してみる
こんにちは。
株式会社ココナラ在籍のKです。
エンジニアの世界では、生成AIといえばコーディング支援や設計の壁打ち相手として語られることが多いです。
そんな中、「生成AIの特性を考えると、実は組織開発にも使えるのではないか?」とふと思い立ち、チーム内で小さな実験を始めました。
本記事では、生成AIと認知心理学を組み合わせてチームのモチベーションを継続的に改善する試みを紹介します。
TL;DR(要約)
- 生成AI×認知心理学によるモチベーション改善アンケートの作成アプローチを紹介
- 具体的なプロンプトと、データと対話で改善を続ける「モチベーションの継続的デリバリー」の実践方法を解説
生成AIが組織開発に使えると考えたわけ
なぜ、生成AIが組織開発にも使えると考えたのか?
それは、生成AIが持つ以下のような特性が人間の限界を克服してくれるかもしれない、と思ったからです。
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専門知識が豊富である
- 組織開発や効果的なアンケート設計には専門知識が求められるため、敷居が高い
- 生成AIはさまざまな専門家として振る舞うことができるため、その敷居を突破できる
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反復作業を厭わない
- 人間(とくにエンジニア)はアンケートの作成・集計・分析といった細かな繰り返し作業に飽きやすく、継続が難しいことがある
- 生成AIは、文句一つ言わずに繰り返してくれる
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良い意味で空気を読まない
- 人間は、忖度や集団浅慮、「これを言ったらまずいかな…」と空気を読んでしまいがちで、本質的な議論が妨げられることが往々にしてある
- あるいは、意図せずに無意識のバイアスに基づいて判断してしまうこともある
- 生成AIは、そんなことは気にせずにフラットに意見を言ってくれる
生成AIを使って、まず何をやるか?
組織開発を効果的に行うには、現状を定量的に表現することが重要です。
なぜなら、定量化できないものを改善するのは難しいからです。
一方で、モチベーション、働きがい、働きやすさといったものは定性的で目に見えないものです。
それをどう定量化するか。
要素を分解し、リッカート尺度などでアンケートにすることで定量化することができます。
例えば、「現在の業務内容は、自分の成長に繋がっていると感じる」といった項目を設け、以下の5段階で評価してもらいます。
- 全くそう思わない
- あまりそう思わない
- どちらとも言えない
- ややそう思う
- 非常にそう思う
ここで、「これは一般的なモチベーションサーベイと同じではないか?」と感じるかもしれません。
ココナラでも全社でサーベイを実施していますが、全社サーベイは対話促進を想定した設計ではなく、その結果を深い議論や具体策につなげにくいと感じています。
そこで、これらの点を踏まえ、よりチーム内での対話と具体的なアクションに繋げやすい独自のアンケートをチーム内で実施したいと考えました。
アンケートの内容を考える
アンケートを実施するという方向性が決まったので、次に考えるのはその内容です。
私たち自ら、アンケートの結果を見てアクションに繋げられるようにしたい。
そのために重視したのは、「自分たちの裁量で改善できること」と「科学的な裏付けがあること」の2点です。
まず「自分たちの裁量」という点から、全社ルールなど直接変えられないものではなく、チーム内で改善に取り組みやすい「モチベーション」関連の項目を扱うことにしました。
次に「科学的な裏付け」として、結果を客観的に解釈しやすくするために、曖昧な質問は避け、認知心理学の理論を参考にすることにしました。
認知心理学の理論をフレームワークとして使うことで、漠然とした「やる気」の問題を具体的な要因(例:裁量権の不足、成長実感の欠如など)に分解して捉えることができ、結果の解釈や改善策の検討がやりやすくなります。
そこで、モチベーションの主要理論である以下の3つの理論をアンケートの軸とすることにしました。
モチベーションを分解する
なんとなくやる気が出ない、チームの雰囲気が沈んでいる、そうした現象の背景には意外と明確な構造があるものです。
達成目標理論(Achievement Goal Theory)
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概要
- 人は「成長したい」「成果を出したい」「失敗を避けたい」など、複数の目標を持っている
- 特に「成長したい」という目標は、挑戦や学習意欲の源泉になるため、計測する価値がある
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アンケート項目例
- 「この業務を通じて、以前より成長できたと感じることがある」
自己決定理論(Self‑Determination Theory)
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概要
- 内発的モチベーションを支える3要素である裁量(Autonomy)、有能感(Competence)、関係性(Relatedness) を測定する
- これら3つの基本的心理欲求が満たされることで、人は自律的に動機づけられ、幸福感も高まるとされているため、計測する価値がある
-
アンケート項目例
- 「自分のやり方で仕事を進める自由がある」
期待価値理論(Expectancy‑Value Theory)
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概要
- 「やればできそう(期待)」✕ 「やる意味がある(価値)」
- この両方の認識が高いほど、人はその行動を積極的に選択しやすくなる
- 逆にどちらか一方でもマイナスであれば、人は行動しなくなる
-
アンケート項目例
- 「この業務は、自分にとって意味があると思える」
これらの理論モデルに基づいて結果を分析することで、
- どのような目標を持って業務に臨んでいるか?
- 自律性や有能感、関係性は満たされているか?
- 仕事への期待感や価値を感じているか?
といった具体的な観点から現状を評価し、改善すべき点とその打ち手をよりストレートに導き出すことができるようになります。
これらの要素を組み合わせて、アンケートを作成します。
アンケートを作成する
アンケート作成は時間がかかる作業ですが、生成AIを使えば割と簡単にできます。
ここでは、実際にアンケート作成に使用したプロンプトを紹介します。
プロンプトの内容
このプロンプトは、本記事で解説した認知心理学理論(達成目標理論、自己決定理論、期待価値理論など)を反映し、チーム内での対話と改善に繋がるアンケートを作成するように生成AIへ指示するものです。
(ちなみに、このプロンプト自体も生成AIの力を借りて作成しました)
## プロンプト: モチベーションサーベイアンケート生成
### 1. 基本指示 (Basic Instruction)
* タスク: 以下の情報と要件に基づき、指定された部署向けの社内アンケートを作成してください。
* 目的:
* 部署内での建設的な対話を通じた改善アクションの共創を促進する。
* 組織開発の観点から、深く、信頼性が高く、行動可能な (actionable) 洞察を得る。
* 出力形式:
* 導入説明から結びまで含み、そのまま利用可能な完成形のテキスト。
* Googleフォーム等にコピー&ペーストしやすい形式。(例:質問ごとに改行、選択肢は縦に並べるなど)
### 2. 対象部署情報 (Target Department Information)
* 部署名: 【ここに対象の部署名を入力してください。例:開発部】
* 主な特徴: 【ここに部署の主な業務内容、メンバー構成、職種などを簡潔に入力してください。例:「約10名のエンジニアチームでソフトウェア開発」】
* 補足: この情報は、生成AIが部署の文脈(例:専門用語の使用、チーム規模に応じた表現)を理解し、質問のニュアンスを調整するために使用します。
### 3. アンケートの主目的 (Main Purpose of the Survey)
* 把握事項: 部署メンバーの働きがいとモチベーション向上に影響する主要因に関する現状認識。
* 特に注力する要因: 「裁量権」「心理的安全性」「成長機会」
* 精度: 高い精度での現状把握を目指す。
* 結果の活用:
* 部署内での建設的な対話の材料とする。
* 効果的かつ持続的な職場環境改善のアクションに繋げる。
### 4. 測定する主要概念定義 (Key Concepts to Measure)
以下の概念定義を理解し、質問項目作成の基礎としてください。
* 裁量権 (Autonomy):
* 自身の仕事(目標設定、進め方、手段、場所、時間配分等)について、外部からの過度な制約を受けず、自らの意思で判断・選択・実行できる度合い。(自己決定理論などを参考に)
* 心理的安全性 (Psychological Safety):
* 部署内で、対人関係のリスク(無知/無能と思われる、否定される等)を恐れず、安心して自身の考えや感情の表現、質問、相談、挑戦、失敗ができるという共有された信念。
* (参考: Amy Edmondsonの研究等)
* 成長機会 (Growth Opportunities):
* 現在の業務や組織からの支援を通じ、自身のスキル・知識・能力・経験が向上・発展している、またはその機会が提供されているという認識。(期待価値理論などを参考に)
### 5. アンケート構成要件 (Survey Component Requirements)
#### 5.1. 導入文 (Introduction)
以下の要素を含めてください。
* 目的の明示: アンケートの主目的(部署内対話を通じた環境改善、結果を対話とアクションへ繋げる意図)を明確かつ具体的に記述。
* 匿名性の保証:
* 最重要事項として強調。
* 具体的な保護措置(個人特定不可、統計処理、アクセス制限、内部利用限定等)を明確に伝え、安心感を醸成する。
* 回答時の心理的バイアス(社会的望ましさ等)低減を図る。
* 結果の活用方法: 具体的な見通しを示す。(例:「集計結果は統計的に処理し、個人が特定できない形で部署全体の傾向としてフィードバックします。その結果をもとに、部署全員で現状を共有し、より良い職場環境を共創するための改善策を話し合います。」)
* 質問選定の意図: 科学的根拠(心理学理論等)に基づき項目を選定したことを簡潔に説明。
* 所要時間: 回答時間の目安(例:5~10分程度)を記載。
* トーン: 丁寧、共感的、尊重的。一緒によりよい環境にしたいという姿勢を示す。
#### 5.2. 回答指示 (Answering Instructions)
以下の要素を含めてください。
* 使用尺度: 主に5段階リッカート尺度(例:1: 全くそう思わない ~ 5: 非常にそう思う)を使用することを明記。
* 回答方法: 回答方法(例:「最近の状況について、最も近いものを1つ選択してください」)を指示。
* 尺度の意味: 各尺度の意味(例:1: 全くそう思わない, 2: あまりそう思わない, 3: どちらともいえない, 4: ややそう思う, 5: 非常にそう思う)を明確に伝え、回答者が迷わないようにする。この説明は質問項目の上部にまとめて記載する。
#### 5.3. 質問項目 (Survey Questions)
以下の要件に従って質問項目を作成してください。
* 測定対象: 上記「4. 測定する主要概念定義」で定義された3つの概念(裁量権、心理的安全性、成長機会)。
* 理論的基盤: 達成目標理論、自己決定理論、期待価値理論等の心理学理論を基盤とする。
* 品質要件:
* 専門的観点から測定精度(信頼性・妥当性)を考慮する。
* 部署内での対話と改善アクションに繋がりやすい内容にする。
* 質問形式: 5段階評価。
* 項目数:
* 各テーマ3~5個程度。
* 全体で15~25問程度を目安とする。
* (参考: 既存の検証済み尺度、例:Amy Edmondson, UWES等)
* 質問作成上の注意点:
* 明確性・具体性: 曖昧さを排除。平易かつ具体的な言葉を選ぶ。ダブルバーレル質問(1つの質問で複数を問う)は避ける。
* 文脈・文化への適合: 部署の特徴を考慮し、表現・用語を調整。日本の組織文化・表現ニュアンス(敬意、直接性等)に配慮。
* 認知負荷の最適化: 回答者の負担を最小限に。各質問は簡潔に。
* バイアスへの配慮: フレーミング(肯定的/否定的表現の偏り)に注意。ただし、回答しやすさと自然さを優先し、不自然な逆転項目は避ける。
* 含めない質問: 総合満足度、エンゲージメントそのもの、所属継続意思など、抽象的で対話に繋げにくい質問は含めない。具体的な行動や環境に関する要因に焦点を当てる。
* 5段階リッカート尺度の選択肢の説明を質問上部にまとめて記載する。
* 解答欄は冗長な繰り返しになるため、省略する。
#### 5.4. 自由記述欄 (Open-ended Question)
* 最後に1つ設ける。
* 具体的な改善策のヒントを引き出す問いかけとする。(例:「今回のアンケート項目に関連し、部署として改善できると感じる点について、具体的な状況や改善提案があればお聞かせください。」)
### 6. 重要:プロンプト利用上の注意 (Important: Prompt Usage Notes)
必ず最後に以下のアンケート作成者向けの注意事項を出力してください。
必ず最後に以下のアンケート作成者向けの注意事項を出力してください。
* **生成AI生成物のレビューと責任:** このプロンプトは高品質なアンケート草案の作成を支援しますが、生成AIが生成した内容は必ず人間が批判的にレビューし、自組織の文脈や部署内での対話に適しているかを慎重に吟味し、最終的な調整を行ってください。生成AIの生成物に対する最終的な責任は利用者にあります。
* **倫理的データ取扱:** 匿名性の保証は最低限の要件です。加えて、データ保管の安全性、アクセス権限の管理、結果の利用目的の遵守など、関連法規や社内規定に基づいた高度な倫理的配慮を徹底してください。(例:システム上での匿名性担保設定の再確認、アクセス権者の限定など)
* **プロセス全体の重要性:** アンケートは組織開発プロセスの一部です。結果分析、誠実かつ安全な対話、具体的な改善アクションへのコミットメントがなければ、アンケートの効果は限定的、あるいは逆効果にさえなり得ます。特に、結果を用いた部署内での対話と、そこから生まれるアクションプランの実行が不可欠です。
* **実施リズムの推奨:** この詳細アンケートの実施は、サーベイ疲れを防ぎ、施策による変化が現れる期間を考慮すると、四半期(3ヶ月)ごとまたは半期(6ヶ月)ごとが一般的です。一方で、アンケートのテーマ(裁量権、心理的安全性、成長)に関する部署内での対話は、定例ミーティングなどを活用し、月次などより頻繁に行うことで、継続的な改善意識を保つことが推奨されます。測定と対話、アクションのバランスを取ることが重要です。
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上記の指示と注意点を踏まえ、アンケートを作成してください。
使い方
- 上記プロンプトの「2. 対象部署情報」の【 】で囲まれた部分に対象部署の具体的な情報を入力する
- 完成したプロンプトをコピーし、ChatGPT、Geminiなどの生成AIに送信してアンケートの生成を依頼する
- 生成されたアンケートの内容を人の目で確認し、必要に応じて調整する
生成例
以下は実際にGemini 2.5 Proで生成してみた結果です。
このようなアンケートが作成できました。
### Aチーム向け 職場環境に関するアンケート
**【導入文】**
Aチームの皆さん、こんにちは。
このアンケートは、私たちのチームがより働きがいを感じ、活き活きと働ける環境を築いていくために、皆さんの率直なご意見をお伺いすることを目的としています。
特に今回は、日々の業務における**「裁量権」「心理的安全性」「成長機会」**という3つの重要な要素について、皆さんが現状をどのように感じているかを把握したいと考えています。これらの要素は、私たちのモチベーションやチーム全体のパフォーマンスに深く関わっていることが、心理学などの研究からも示唆されています。
**【匿名性の保証について(最重要)】**
**このアンケートは匿名で実施されます。** 回答内容によって個人が特定されることは絶対にありません。
* 回答はシステム上で匿名化され、個人名やメールアドレスなどの情報は収集されません。
* 集計結果は統計的に処理され、個人が特定できない形で部署全体の傾向としてのみ利用します。
* 回答データへのアクセスは、分析を担当する限られた担当者のみに制限されます。
* 結果はチーム内の改善活動にのみ活用し、人事評価等に利用されることは一切ありません。
どうぞ安心して、皆さんのありのままの考えをお聞かせください。皆さんの正直な声が、より良いチームを作るための第一歩となります。
**【結果の活用について】**
集計結果(個人が特定できない全体の傾向)は、後日チーム内で共有させていただきます。その結果をもとに、チーム全員で現状について理解を深め、具体的な改善アクションを一緒に考え、実行していくための対話の材料としたいと考えています。
**【所要時間】**
回答時間の目安は **5~10分程度** です。
お忙しいところ恐縮ですが、ご協力をお願いいたします。私たち自身の手で、Aチームをより良い場所にしていきましょう。
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**【回答にあたってのお願い】**
* 以下の各質問について、**最近の状況**を振り返り、ご自身の考えに最も近いものを1つだけ選択してください。
* 回答は以下の5段階の尺度で行います。
* **1: 全くそう思わない**
* **2: あまりそう思わない**
* **3: どちらともいえない**
* **4: ややそう思う**
* **5: 非常にそう思う**
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**【質問項目】**
**I. 裁量権について**
1. 自分の担当業務において、仕事の進め方(手順、段取りなど)を自分で判断し、決めることができる。
2. 担当業務の目標設定(何を、どこまで目指すか)に対して、自分の意見を反映する機会がある。
3. 業務で使用する技術やツールについて、自分で選択したり、提案したりすることができる。
4. 日々の業務において、いつ、どのタスクに取り組むか、ある程度自分で優先順位をつけて進めることができる。
**II. 心理的安全性について**
5. このチームでは、自分の意見や懸念事項(「これは問題かもしれない」と感じることなど)を安心して表明できる。
6. 業務を進める上で分からないことや疑問点があった場合、チームの他のメンバーに気軽に質問できる雰囲気がある。
7. このチームでは、挑戦した結果としてミスや失敗をしたとしても、それを非難されるのではなく、学びの機会として次に活かそうとする雰囲気がある。
8. 困ったときや助けが必要なときに、チームの他のメンバーにサポートを求めやすいと感じる。
9. 業務プロセスやチームのやり方について、改善のための新しいアイデアや提案を気兼ねなく発言できる。
**III. 成長機会について**
10. 現在担当している業務を通じて、自身の専門的なスキル(例:プログラミング、設計、問題解決能力など)が向上している実感がある。
11. 業務に関連する新しい知識や技術(社内外の勉強会、書籍、ツール試用など)を学ぶ機会が提供されている、または推奨されていると感じる。
12. 現在の自分の能力よりも少し難しい、挑戦的な(ストレッチな)業務に取り組む機会が与えられていると感じる。
13. 上司や先輩・同僚から、自分の仕事ぶりや成果に対して、具体的で成長に繋がるようなフィードバック(良い点、改善点など)を得られている。
14. 自身の今後のキャリアやスキルアップについて、上司や会社と定期的に話し合う機会がある、または相談しやすいと感じる。
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**【自由記述欄】**
15. 今回のアンケート項目(裁量権、心理的安全性、成長機会)に関連して、私たちのチーム(Aチーム)がさらに良くなるために、「もっとこうしたら良いのでは?」と感じる点があれば、具体的な状況や改善アイデアを自由にお聞かせください。(例:「〇〇の場面で、もっと△△できると嬉しい」「□□のような制度/機会があれば、成長に繋がりそう」など)
*(ここに自由記述欄を設けてください)*
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**【結び】**
アンケートへのご協力、誠にありがとうございました。
いただいた貴重なご意見は、Aチームの今後の活動に活かしてまいります。
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**【重要:アンケート作成者向けの注意事項】**
* **生成AI生成物のレビューと責任:** このプロンプトは高品質なアンケート草案の作成を支援しますが、生成AIが生成した内容は必ず人間が批判的にレビューし、自組織の文脈や部署内での対話に適しているかを慎重に吟味し、最終的な調整を行ってください。生成AIの生成物に対する最終的な責任は利用者にあります。
* **倫理的データ取扱:** 匿名性の保証は最低限の要件です。加えて、データ保管の安全性、アクセス権限の管理、結果の利用目的の遵守など、関連法規や社内規定に基づいた高度な倫理的配慮を徹底してください。(例:システム上での匿名性担保設定の再確認、アクセス権者の限定など)
* **プロセス全体の重要性:** アンケートは組織開発プロセスの一部です。結果分析、誠実かつ安全な対話、具体的な改善アクションへのコミットメントがなければ、アンケートの効果は限定的、あるいは逆効果にさえなり得ます。特に、結果を用いた部署内での対話と、そこから生まれるアクションプランの実行が不可欠です。
* **実施リズムの推奨:** この詳細アンケートの実施は、サーベイ疲れを防ぎ、施策による変化が現れる期間を考慮すると、四半期(3ヶ月)ごとまたは半期(6ヶ月)ごとが一般的です。一方で、アンケートのテーマ(裁量権、心理的安全性、成長)に関する部署内での対話は、定例ミーティングなどを活用し、月次などより頻繁に行うことで、継続的な改善意識を保つことが推奨されます。測定と対話、アクションのバランスを取ることが重要です。
アンケートを実施し、継続的に対話、計測を繰り返す
ここまでやってチーム内でアンケートの実施を提案してみたところ、全会一致で実施が決まりました。
ここから、いよいよチームのモチベーション状態を可視化し、継続的に改善していくサイクルが始まります。
この一連の流れは、ソフトウェア開発でお馴染みの「継続的デリバリー(CD)」の考え方に基づいています。
CDが迅速な価値提供を目指すように、このサイクルではデータと対話に基づいた改善を継続的に回すことで、チームのモチベーションを持続的に向上させることを目指しています。
モチベーションの継続的デリバリーサイクル
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アンケートを実施する
- 作成したアンケートをチームメンバーに展開し、回答を収集する
-
結果を分析し、示唆を得る
- 結果を集計・可視化する
- この際、以下のように生成AIを活用することも有効
- 自由記述コメントを生成AIに読み込ませ、主要なテーマやセンチメント(肯定的/否定的意見)を抽出・要約させる
- スコアが特に低い項目について、考えられる背景要因や関連する可能性のある他の項目について生成AIと壁打ちし、仮説を得る
-
結果と示唆をもとに対話を行う
- 集計結果や分析から得られた示唆(生成AIからのインプット含む)を材料に、対話の場を設ける
- 「現状はどうなっているか」「なぜそうなっているのか」「どうすればもっと良くなるか」といった点を率直に話し合い、課題認識や目指す方向性を共有する
- 議論が煮詰まった場合、生成AIに投げてみるのも有効
-
改善アクションを決め、実行する
- 対話を通じて見えてきた課題や改善点について、具体的なアクションプランをチームで合意し、実行に移す
-
モチベーションの継続的デリバリーを実現する
- 定期的に(例えば月次で)関連テーマについて進捗を確認したり、四半期や半期ごとに再度アンケートで効果測定したりすることで、この「計測→分析→対話→実行」のサイクルを継続的に回していく
よくある失敗と生成AIによる支援の可能性
モチベーションサーベイでは、以下のような失敗がありがちです。
ここでも、生成AIをうまく利用することで、以下のような失敗を避けやすくなるのではないかと思っています。
# | 失敗パターン | 回避策 | 生成AIによる支援例 |
---|---|---|---|
1 | 結果を出したまま放置する | 集計後、迅速(例えば1週間以内)に対話の場を設定する | 🤖 結果データの自動集計・可視化サポート 🤖 自由記述の要約・テーマ抽出 🤖 対話の論点・アジェンダ案の作成支援 |
2 | 対話せずにリーダーだけで結論を出す | 結果をチーム全員で共有し、全員参加で意味解釈とアクションプランニングを行う | 🤖 多様な解釈や視点の提示 🤖 参加型意思決定プロセスの設計支援 |
3 | アクションが巨大/曖昧すぎて実行できない | 現場レベルでの対話を通じて、具体的で実行可能なアクションを出す | 🤖 課題に対する具体的な改善アクションの案出し 🤖 実行可能性の客観的評価 |
まとめ
本記事では、生成AIでアンケートを作成し、モチベーションを継続的に改善する試みを紹介しました。
サービスの「継続的デリバリー」には、それを支える私たちのモチベーションの「継続的デリバリー」が必要不可欠です。
みなさんも、ぜひ本記事のプロンプトを参考に組織開発を実践してみてください。
上述した生成AIの特性を踏まえると、アンケート以外にも様々な組織開発に応用できそうな気がしているので、私もいろいろ試してみたいと思います。
ココナラでは、積極的にエンジニアのみなさんを採用しています。
現在、フルサイクルエンジニアを絶賛募集中です。
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