案件メンバーの皆さんにガッツリ目のフィードバックをしてみた話
はじめに
こんにちは。クラウドエース株式会社 第一開発部の前山です。
アプリケーション開発を中心に取り組みつつ、Google Cloud 公式認定トレーナーとしても活動しています。
今回は、タイトルの通り、案件でご一緒しているメンバーの皆さんに、自分ができる範囲でガッツリとしたフィードバックをしてみた取り組みについてお話しします。
結論から言うと、質の良いフィードバックは需要があるし、すごく喜ばれるから、頑張る価値がありますよです。
それではいきましょう。
対象読者
- フィードバックという取り組みに関わるすべての人
前提
フィードバックの話に入る前に、色々前提となる部分について説明させてください。
そもそもの状況
自分はとあるシステム開発案件のプロジェクトリーダーをしています。
プロジェクトリーダーは複数名いるのですが、自分はアプリチームというバックエンドの技術領域をメインに行うチームのプロジェクトリーダーという立ち位置です。
一番多い時期で、最大で 10 名以上のメンバーを受け持つという体制になっていました。
そんな規模の人数を自分一人で見れるわけもなく。
実務に関しては、自分の元でリーダーとして動いてくれる頼りになる方々と、大変な状況の中でガツガツ頑張ってくれるメンバーの皆さんのおかげで、何やかんやで 1 年以上プロジェクトが進められています。
※自分のチーム外で頑張ってくれている、別チームのプロジェクトリーダーやメンバーの活躍、そして色々気にかけてくれるPMのサポートがもちろんあってのことです。
自分が案件の中でやっていることは、基本的にはマネジメント面が強めで、情報整理、タスク管理、お客様 MTG 対応、技術検証、成果物レビュー、雑務、たまにコード書いたり、という感じです。
その他、アプリ領域における開発のタスクは全てリーダーとメンバーの方でこなしてくれています。
課題に感じていたこと
日々忙しくしながら弊社の環境の中で働いてる中で、自分の中でひとつ強烈に感じている課題がありました。
それは、仕事の中で質の高いフィードバックを得られる仕組みがないことです。
社員の成長のためにより良いフィードバックを得られるための、会社としての取り組み自体は複数存在しています。
詳しくはここでは述べませんが、1on1 を通じた相談やフィードバックの機会は通年で設けられているものの、より具体的で実践的なフィードバックの仕組みについては、まだ改善の余地があると感じていました。特に、技術面での成長に直結するような具体的なフィードバックを、より充実させていけると良いのではないかという認識でした。
フィードバックをやろうと思った動機
一応プロジェクトリーダーという立ち位置でやらせてもらっている以上、自分にはチームの皆に何かしらの貢献をする義務があると考えていました。また、本当に忙しい中頑張ってくれてる皆さんに感謝を伝えたい気持ちもありました。
また、フィードバックによってチームのメンバーが強くなれば、今後色々楽ができるようになるかもしれないという、良く言えばチームビルディング的な目的もありました。
というわけで、これらを実現するための取り組みとして、自らガッツリ目のフィードバックをやることを決意したのです。
フィードバックについて
実施時期
半期の評価タイミングに合わせて
対象メンバー
アプリチームで活動してくれたメンバー全員(合計10名)
※自分用のフィードバック資料はカウントしていません
所要時間
- 合計で50~60時間程度
- 1名あたり5~6時間
どんな内容
やったことは2つ
- フィードバック内容をまとめた資料作り
- 1on1(フィードバック資料の内容を伝えるため)
フィードバック内容をまとめた資料作り
良いフィードバックを作るため、まず以下の情報の収集に取り組みました
- Slack でのやり取りの確認
- お客様とのやりとりの内容確認
- 被評価者が作成した成果物の確認
- ソースコード
- MR(マージリクエスト)
- ドキュメント
- (Optional)被評価者に対する、第三者からのコメント
上記の情報を解釈しつつ、以下のフォーマットを使って内容をまとめます。
補足情報
※ちなみにこのフォーマットであること自体に特に意味はありません。別の時に使用していたフォーマットをそのまま流用しただけだったりします。
【前提】
【生産性】
【作業品質】
【技術面】
【コミュニケーション面】
【成果物】
【所感】
【総評】
具体的な内容のイメージですが、大体以下のような感じでまとめてます(これはサンプルで実際の内容ではありません)。
【前提】
- 主な担当業務
- 設計
- 実装
- 技術検証
- コードレビュー
- 障害対応
【生産性】
- 標準的な水準かなという印象です
- 基本的に納期通りに成果物を上げてくれています
- やや残業が多めに見えるので、体には気をつけてください
【作業品質】
- 改善の余地があります
- ドキュメントの誤字脱字を一定数確認しています
- 情報伝達においてマイナスの影響があるので、しっかり直すようにしてください
- 生成AIに「日本語の誤字なおして」って依頼したら、手軽になおせるかもしれません
- これによりレビュアーの負荷も高くなっています
【技術面】
- 高いです
- 要件を満たすコードを、納期よりやや早く、かつ正確に実装してくれています
- さまざまなライブラリにも精通しており、適切なライブラリの導入提案をチームにしてくれています
- Cのライブラリの導入によって、色々楽ができるようになりました。ありがとうございます
【コミュニケーション面】
- 問題ないです
- 必要なことを必要なタイミングで必要な分だけ伝えてくれています
【成果物】
- Aアプリのドキュメント
- Aアプリのソースコード
【所感】
- まずは今期もお疲れ様でした
- 非常に忙しかったと思いますが、おかげさまでなんとか乗り越えられました(たぶん)
- 前期でお伝えした「Whyに関する情報はソースコードのコメントに残して欲しい」という件に関しても、バッチリ対応いただけてます
- おかげさまでレビューが大分楽になりました
- 今後に向けてですが、他メンバーのサポートというところに強めに取り組んでいただくのも良いかもしれません
- 自身が高い技術力を持っている点は素晴らしいことですが、他メンバーとの能力にやや隔絶を感じます
- チームの総力を上げるという意味で、上記の点に取り組んでいただけると大変助かるな〜という意味でコメントしてます
【総評】
- 案件の貢献度合いが高いと判断します
- 等級相当の活躍という認識です
- 生産性
- 普通です
- 作業品質
- 改善の余地があります
- ドキュメントのtypoが目立つので、そのあたりをなんとかしていただけるともっと良くなると思います
- 技術面
- 高いです
- 技術的な意味で、チームを牽引しています
- コミュニケーション面
- 問題ないです
- コメント
- ひき続き、めちゃめちゃお世話になると思いますが、よろしくお願いします
資料の作成が完了したら、次は 1on1 です。
1on1
フィードバック内容を一方的に伝えるだけなら資料を共有するだけでも可能ですが、自分が作った資料はあくまで自分視点で解釈した一方的な評価でしかありません。
つまり、内容の真偽、被評価者がどう思っていたか、などの要素が反映されていない不十分なものになります。
一方的に自分が解釈した内容を渡すのではなく、自分が解釈した内容をベースに対話を行い、その対話の内容をもとにフィードバック内容を修正。そして修正したフィードバックを渡すというプロセスを実現するために、1on1 という手段を選択しました。
お互いの認識をなるべく揃えた上でのフィードバックにする。それが自分が考える「より良いフィードバック」の形に近かったからです。
ちなみに、この 1on1 をやる際には、睡眠時間を 8 時間以上バッチリとり、評価の 1on1 以外の予定を極限まで入れずに挑みました。
今回のフィードバックの取り組みにおける一番大事なイベントだと考えており、万全の体調を確保した上で実施しました。
フィードバックをしてみてどうだったか
今回のフィードバックという取り組みがどういう結果を産んだのかをみていきます。
フィードバックの取り組みに対するアンケート結果
フィードバックイベント終了後、被評価者であるメンバーの皆さんにアンケートを匿名かつ任意でお願いしました。
投票率は 9/10 で、結果は以下の通りです。
フィードバックの満足度
- 平均: 4.78(5点満点)
なぜ、その満足度を選んだのか理由を教えてください
- 的確にフィードバックいただけた
- 自分の仕事の良かったところ、悪かったところを客観的に捉えることができたから
- 管理職の方から間接的にフィードバックを頂くことはあっても、いつもお仕事でご一緒させていただいている方から直接フィードバックいただける機会はそうそうないため
- 客観的な評価をいただけるから
- やる気に満ち溢れました
- 全部初めてなので正直なフィードバックをもらえて本当にありがたいです
- 評価をいただけたことで大満足
- 向上すべき点、維持すべき点が明確になり、非常に有用だと感じたから
- メンバーサイドからリーダーサイドへのFBがほしかった
フィードバックの内容がどれくらい適切だったかを点数で教えてください
- 平均: 4.89(5点満点)
どういった部分が適切だと感じましたか
- どういうところを見てこういうフィードバックになった、という納得しやすいフィードバックでした
- 修正点について建設的なアドバイスをいただけた点
- 全体的に納得できる内容でした!
- 改善点を丁寧に教えていただいた点
- 自覚がある指摘内容だったので
- 全部です!特に作業品質の部分だと感じます。ものすごく勉強になりました
- やったことに対しての評価をいただいていた
- 事実に基づく内容のFBであったため。FBの際も丁寧に説明いただきよく理解できました
どういった部分が不適切だと感じましたか
- 特にありません
- 特になしです!
- 褒められすぎじゃないかと感じた
今回フィードバックを実施した人間はどうでしたか
- 平均: 4.78(5点満点)
今回フィードバックを実施した人間に関して、良かった点は何ですか
- 変に身構えることもなくフィードバックが聞ける雰囲気でした!
- タスクに関する幅広い知識を持っている印象があり、何でも聞きやすい点
- 心理的安全性がめちゃくちゃ高いこと
- 仕事ぶりをちゃんと見てくださっていること
- 結構な人数のフィードバック自体を実施する努力
- 前山さんが好きです
- さすがって感じます!
- やったことをすごく見ていただいていた
- 終始和やかにFBをいただいた点。事実に基づきFBをいただいた点。よく普段の業務を見てくれていると感じました
今回フィードバックを実施した人間に関して、改善してほしい点は何ですか
- 特になし
- 特にありません
- 業務で改善すべき点のアドバイスをいただけると嬉しい
- もう少し「こう改善すべきだ」という明確な指摘をしてほしかった
次回以降もフィードバックを希望されますか
本フィードバックの取り組みについて何か伝えたいことがあれば、こちらへどうぞ!
- 丁寧にフィードバックを作成いただき感謝しています!これからもいろいろ勉強させてください
- 年の瀬でバタバタしている中、フィードバックに時間を割いていただいてありがとうございます
- サマリのような内容でフィードバックされることはありますが、一緒に仕事させていただいている人からの直接的なフィードバックは今後仕事を進める上でものすごい参考になるので(前山さんの負担にならない前提で(ここ大事))続けていただけると嬉しいです
- 前山さんは必要なことだからと言っていましたが、一定以上のホスピタリティがあってこそできることだと思います。プロジェクト相互評価アンケートがありますが、ある程度苦痛なく他の人を評価できるのはあの回答項目程度までだと思うので、それ以上となるとやはり大変な努力が必要になることだと思います。すごいです!ありがとうございました
- 本当にありがとうございました
- 業務のお忙しい中、丁寧なFBをありがとうございました
- いただいたFBを活かしてレベルアップしたいと思います
フィードバックを実施した側の所感
たくさんあるのですが、まずは自分はチームメンバーに本当に恵まれているんだなということを強く実感しました。
今回のフィードバックの取り組みは、会社の取り組みでは一切なく、完全に個人で考え動き実現したものです。メンバーの皆さんからすれば勝手に仕事が増やされている状態といっても過言ではないと思ってます。
そんな中すごく協力的に動いていただき、耳の痛い、愉快ではないあろう話も聞いていただき、あまつさえ叱咤激励を含めこんなに沢山の暖かいコメントいただけるとは全くもって考えていませんでした。
改めてここで感謝を述べさせていただきます。本当にありがとうございます。
今回ノリと勢いで、おりゃ〜!って感じでフィードバックを完遂したのですが、後で「こんなやり方で本当に大丈夫だったんだろうか?」と不安になり、『はじめてのリーダーのための 実践! フィードバック 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す「全技術」』という本を読みながら自身の取り組みについて振り返りを行いました。
自分で自覚している範囲では概ね大丈夫そうな認識ですが、無意識にやっていたところもあるので、良い部分に関しては再現性高く実施できるようにしていきたいと考えています。
あと、あえてここまで書きませんでしたが、本フィードバックの取り組みの実施は本!当!に!大変でした。言葉にすると陳腐になってしまうのが悲しいですが、もうホントに何度心が折れそうになったかわかりません。というか1日10回くらいは折れてたと思います。
しかし、これだけの暖かいコメントをいただけているので、その苦労の甲斐があったのだと思ってます。ちなみに次の半期にも実施予定だったりします。正直今からビクビクしてますが、さらにより良いものにできるよう頑張っていきたいと思ってます。
フィードバックの効果
色々ありますが、簡単にまとめると以下の通りです。
- メンバーのモチベーションの向上
- メンバーの業務能力改善
- 1on1 での対話による、プロジェクトリーダーとメンバーの関係性強化
- メンバーの昇格の判断材料として、本フィードバック資料が使用された
- 実際に昇格したメンバーも
おわりに
フィードバックは、人と人が協力して仕事をしていく限り、絶対に必要な取り組みです。
普段、フィードバックに関わる機会は多くないかもしれませんが、本気でフィードバックをすることは、より良い何かに向かっていくための大きな力になります。
ちゃんとしたフィードバックが大変なのは重々承知です。でも、それだけに効果も喜びもすごく大きいです。
本気で相手のためのフィードバックができるように、一緒に頑張っていきましょう。
それでは!
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