オンプレミスから Google Cloud (MIG) への接続方法 3選 - VPN・専用線・LB を比較
こんにちは! クラウドエースの古田です。
最近、オンプレミスと Google Cloud を連携させるプロジェクトが増えてきましたよね。
「オンプレミスから Google Cloud 上の MIG (Managed Instance Group) にどうやって接続すればいいんだろう?」
「VPN とか専用線とか色々聞くけど、何が違うの?」
こんな風に悩んでいるエンジニアの皆さんも多いかと思います。
この記事では、オンプレミスから Google Cloud へ接続する主要な 3 つの方法について、それぞれの特徴や違いを分かりやすく解説していきます。
ターゲットとなる読者層
- オンプレミスから Google Cloud への接続方法について知りたい方
- Cloud VPN, Cloud Interconnect, 外部 LB の違いや使い分けがよくわからない方
本記事の目標
- オンプレミスと Google Cloud を接続する 3 つの主要な方法の違いを理解する
- 各接続方法のメリット、デメリット、ユースケースを理解する
- 要件に応じてどの接続方法を選ぶべきか判断できるようになる
1. 3つの接続方法の説明
代表的な 3 つの方法は以下になります。
- VPN 接続
- 専用線
- 外部 LB 経由
1 と 2 は「ネットワーク同士」をつなぐ話、3 は「サービスを公開する」話、という根本的な違いがあります。
1-1. VPN 接続 (Cloud VPN)
これは、インターネット上に仮想的な専用回線を構築し、暗号化された安全な通信を行う方法です。
- 仕組み:
IPsec (Internet Protocol Security) という標準技術を使い、オンプレミスのルータと Google Cloud の Cloud VPN ゲートウェイ間でトンネルを確立します。 - MIG への接続:
内部 LB (内部ロードバランサ) の IP アドレスへリクエストを送ります。リクエストを受け取った内部 LB は、バックエンドとして設定されている MIG の中から、正常な VM を 1 つ選んでリクエストを転送します。

1-2. 専用線 (Cloud Interconnect)
これは、インターネットを一切介さず、通信事業者のサービスを使って物理的な通信回線を Google Cloud との間に引く方法です。
- 仕組み:
Google Cloud とオンプレミスのデータセンターを、インターネットを一切介さず、物理的な光ファイバー回線で直接接続するサービスです。 - MIG への接続:
ネットワーク同士がプライベート接続されるため、MIG の内部 IP アドレスへ直接アクセスできます。

1-3. 外部 LB 経由 (External Load Balancer)
これは、前 2 つとは全く異なるアプローチです。
MIG で動いているアプリケーション(Web サービスや API など)を、インターネットに公開し、オンプレミスからはインターネット経由でサービスにアクセスする方法です。
- 仕組み:
MIG をバックエンドとして、Google Cloud の外部ロードバランサを設置します。この LB にはグローバル IP アドレスが割り当てられます。セキュリティを確保するため、LB の外側に Cloud Armor を設置することが推奨されます。 - MIG への接続:
オンプレミス側は、この LB のグローバル IP アドレス宛に、インターネット経由でリクエストを送信します。

2. 接続方法の比較
では、これら 3 つの方法を比較してみましょう。
「どれが優れているか」という優劣をつけるものではなく、「目的が全く違う」という視点で見ることが重要です。
| 観点 | VPN 接続 (Cloud VPN) | 専用線 (Cloud Interconnect) | 外部 LB 経由 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | ネットワーク間のプライベート接続 | ネットワーク間のプライベート接続 | アプリケーションの公開 |
| 経由する ネットワーク | インターネット (暗号化) | 専用線・閉域網 (プライベート) | インターネット |
| 通信相手 | MIG の内部 IP | MIG の内部 IP | LB のグローバル IP |
| 速度・安定性 | 中 (インターネット回線依存) | 高 (安定・広帯域) | 中 (インターネット回線依存) |
| セキュリティ | 〇 (暗号化トンネル) | ◎ (閉域・盗聴リスク極低) | △ (HTTPS 暗号化・Cloud Armor が必須) |
| コスト | 低 | 高 | 従量課金 (トラフィック量次第) |
| 導入速度 | 速い (数時間〜) | 遅い (数週間〜数ヶ月) | 速い (数時間〜) |
3. まとめ:どう使い分ける?
結局、あなたのプロジェクトではどれを選ぶべきでしょうか?
判断基準はシンプルです。
結論:まず「何をしたいか」で判断する
A. 「ネットワーク同士をプライベート接続したい」場合
オンプレミス環境のサーバーと Google Cloud の VM を、同じ社内ネットワークのように扱いたい
- Cloud VPN (VPN 接続) を選ぶケース:
- まずはお試しで繋ぎたい
- コストを最優先したい
- 通信量はそれほど多くない(開発環境や、小規模な本番環境)
- Cloud Interconnect (専用線) を選ぶケース:
- ミッションクリティカル(停止が許されない)なシステムで使いたい
- 大容量データ(DB レプリケーションなど)を常に転送したい
- 通信の安定性と低遅延が必須
B. 「ネットワークはつながず、サービスだけ使いたい」場合
- 外部 LB 経由 を選ぶケース:
- MIG で動いている Web API を、オンプレから呼び出したい
- オンプレミスだけでなく、一般のユーザーにも公開するサービスである
- ネットワーク全体をつなぐほどのセキュリティ要件はない
4. おわりに
「オンプレと Google Cloud をつなぐ」と言っても、目的によってこれだけ選択肢が異なります。
セキュリティの要件や必要とされる通信速度を考慮した上で、適切な方法を選択してください。
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