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データベースのクラウド移行を評価するツール「migVisor」

2023/12/22に公開

こんにちは、クラウドエース SRE ディビジョン所属の荒木です。

この記事では、データベースのクラウド移行に関連するツール「migVisor」についてご紹介します。

データベース移行って難しいですよね

昨今、IT インフラのクラウド移行が進んでいます。当然、データベースもクラウド移行の対象となり、クラウド化による運用負荷やコストの軽減、パフォーマンスの改善を期待するでしょう。

しかし、データベースの移行は単純な作業ではありません。移行方法は、使用するデータベースの種類や選択するクラウド プラットフォームによって大きく異なります。また、移行方法だけでなく、移行後のパフォーマンスやコストに影響を与える要因も多く、移行前に評価を行うことが非常に重要です。

そこで、データベース移行の評価を支援するツールとして、EPAM 社が開発した「migVisor」があります。

migVisor の機能と利点

migVisor は、SaaS 型クラウド移行評価ツールです。データベースのワークロード、構成、構造を分析して、クラウド移行の複雑さと難易度を評価します。

migVisor の主な機能は以下の通りです。

  • 移行元データベースの分析
  • 移行難易度の評価
  • 潜在的な課題の検出
  • 各データベースに適した移行パスの提案

migVisor は、データベースの移行前に、移行元と移行先のデータベースの互換性を評価し、移行時に問題となる可能性のある箇所を検出します。分析結果から、移行の複雑性や移行後のパフォーマンスを予測し、ユーザーが移行計画を立てる際の参考とすることができます。

▼ PostgreSQL 14 → Cloud Spanner の移行評価概要

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GAME データベースの分析結果は「MEDIUM」でした。
このスコアは、38 のフィーチャー、およびスキャンプロセス中に収集されたメトリクスと洞察の分析に基づいており、データベース内の除外されていないすべてのフィーチャーと除外されていないすべてのスキーマに基づいています。
0 個のスキーマと0個のフィーチャーは手動で分析から除外され、0 個のフィーチャーはライセンスの制限により考慮されていません。このような除外されたフィーチャーやスキーマを含めると、スコアが変わる可能性があります。
(Summary の 日本語訳)

▼ 潜在的な課題の検出

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▼ 移行にあたっての注意

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Google DMS サービスを使用するには、以下のパラメータを設定する必要があります:
1.インスタンスが RDS でない場合は、 WAL_LEVEL を論理に設定する必要がある。
2. max_wal_senders は、少なくとも max_replication_slots と同じ値に、同時に接続される物理レプリカの数を加えた値に設定する必要がある。
3. RDS では、rds.logical_replication パラメータは 1 である必要がある。
(Required DMS Source Configuration の日本語訳)

このように、評価結果をシンプルな UI のコンソール画面で視覚的に確認することができます。

これらの機能によって、以下のような利点があります。

  • 移行のメリットとデメリットを客観的に分析できる
  • データベースの評価ステップの一部を自動化することで、移行の準備にかかる時間を大幅に短縮できる
  • 移行パスを視覚的に分かりやすく表示することで、移行の技術的な詳細を容易に理解できる
  • ターゲット環境と推奨される移行パスにより、最適なデータベースを選択してライセンス コストや人的コストを削減できる

migVisor の評価プロセス

migVisor のデータベース評価プロセスには 3 つの主要なステップがあります。

  1. COLLECT(収集)
  2. ANALYZE(分析)
  3. RECOMMEND(推奨)

COLLECT(収集)

移行プロセスの基礎となるデータを収集するステップです。データベースのサイズ、構成、利用している機能、プラグイン、ワークロードなど、既存のデータベースに関する情報を収集します。

移行元のデータベースのスキャンには、mMC(migVisor Metadata Collector)というツールを使用します。mMC には CLI 版と GUI 版の 2 つがあります。

CLI 版は、データソース設定を入力するだけというシンプルな方法でデータソースをスキャンできるようになっています。

GUI 版は、より広範なデータソース構成管理機能を提供しており、データソースの検出、スキャン前の接続性テスト、データソース構成のアーカイブが可能になっています。通常使用する際には、より機能が多く視覚的にもわかりやすい GUI 版を使用することをおすすめします。

mMC のスキャン対象となるメタデータの例として以下のようなものがあります。

  • featureCompatibilityVersion 値
  • データベアリング ノードのジャーナリング ステータス
  • 使用しているソース データベースのストレージ サイズ
  • レプリカセットの構成

▼ mMC GUI の画面例

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ANALYZE(分析)

収集したデータをもとに、データベース環境の包括的な分析を行うステップです。収集されたデータを用いて、データベースがクラウド環境に移行するのにどれだけ適しているかを分析します。

移行に伴うリスクや複雑さを評価し、移行に必要な変更や調整を特定します。また、現在のデータベースのパフォーマンスを分析し、クラウド移行後のパフォーマンス向上の可能性を検討します。

▼ 移行時に必要となる調整の例

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ターゲット データベースのシーケンス状態(last_value など)が、移行後のソース シーケンス状態と異なる可能性があります。
将来消費されるシーケンス項目の正確な値が重要な場合は、手動でターゲット シーケンス状態を変更する手順を踏まなければなりません。
(Sequences の日本語訳)

RECOMMEND(推奨)

分析結果に基づき、データベースの移行先となるターゲット ソース候補を特定したり、TCO(将来的な総所有コスト)を予測したりするステップです。

これらの分析結果は CSV ファイルとしてエクスポートでき、サードパーティの分析ツールを使用してさらに詳細な分析を行うこともできます。

▼ TCO と移行にかかる時間の予測

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migVisor の料金

月額 $199 で利用できますが、無料トライアルもあるため本格利用の前に試してみることも可能です。

一見高額に見えますが、データベース移行評価に必要な人材を採用するコストと移行評価プロセスの工数を削減できると考えると、migVisor を採用することでコスト削減につながる可能性も十分にあります。

migVisor の利用方法

migVisor を利用するには、こちらのサイトから利用のリクエストを行う必要があります。

https://solutionshub.epam.com/solution/migvisor-by-epam

リクエストを行うと、EPAM 社から連絡があり、利用開始の案内が送られてきます。

まとめ

データベースのクラウド移行は、移行前の評価が重要です。

事前に移行の複雑性や移行後のパフォーマンスを予測し、移行計画を立てる際の参考とすることで、データベース移行を安全かつスムーズに実施できるだけでなく、移行にかかる時間やコストを削減することも期待できるでしょう。

そこで migVisor を利用することで、データベースの移行前に、移行元と移行先のデータベースの互換性を評価し、潜在的な問題やコスト、期間を事前に把握することができます。

データベースのクラウド移行を検討している方は、migVisor の活用を検討してみてはいかがでしょうか?

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