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【Next Tokyo 25 レポート】リアルタイム分析から生成AIまで、丸紅のGoogle Cloud DX実践ノウハウ

に公開

はじめに

こんにちは、クラウドエース第 3 開発部のリュウセイです。
かき氷が食べたくなる暑さですね。

2025 年 8 月 6 日、Google Cloud Next Tokyo 25 DAY 2 で開催されたブレイクアウトセッション「リアルタイム分析から生成 AI まで、丸紅の Google Cloud DX」のレポートをお届けします。セッションの内容は以下の URL からご覧いただけます。

このセッションでは、丸紅I-DIGIOホールディングス株式会社様が、Google Cloud をいかにして実践的な DX に繋げているか、具体的なアーキテクチャやデモを交えて解説しました。データ分析基盤の構築から生成 AI の業務適用まで、DX 推進のヒントが満載のセッションでした。

Google Cloud の活用事例

セッション前半では、小磯氏が同社で手掛けてきた Google Cloud の活用事例を紹介しました。

自社開発サービス、IoT プロジェクト

  • コンタクトセンター向け業務効率化プロダクト「OMNIS」
    Google Cloud の Speech-to-Text などを活用し、通話内容のテキスト化、要約、感情分析などを行うソリューションです。
  • スマートアグリ管理プロジェクト
    各拠点の環境データや作業記録を収集・管理する IoT システム基盤を Google Cloud 上に構築した事例です。

AI システム構築

  • 立体駐車場の出庫時刻予測システム
    Vertex AI による画像解析で駐車場の混雑状況を把握し、出庫までの待ち時間を予測します。
  • 水耕栽培農園における育成不良自動検知システム
    Vertex AI とカメラを用いて、水耕栽培レタスの育成不良を自動で検知し、品質管理を効率化します。

経営課題から始まったデータ分析基盤の構築

続いて小磯氏は、グループ会社の統合を背景に、各社で形式が異なる経営数値を手作業で集計するという大きな課題があったと語りました。
この課題を解決すべく、グループ IT ロードマップの一環として、経営情報を一元管理する「グループ経営管理ダッシュボード」の構築プロジェクトが始動しました。

Looker で実現する経営数値の可視化

構築されたデータ分析基盤のアーキテクチャは以下の通りです。

  1. 各社がクラウド上のストレージである Box に経営数値のファイルをアップロード
  2. そのファイルをトリガーに処理が実行され、データが BigQuery へ集約
  3. Looker を用いて BigQuery 上のデータを可視化し、部門や会社を横断した経営状況を把握できるダッシュボードを実現

現状の課題と展望

この基盤によって迅速なデータ集約が実現しましたが、今後は以下の 3 点を目標に、さらなる改善を進めていくとのことです。

  • ユーザーが限定的である点
    現在は一部の管理部門の利用に留まるため、ライトユーザーも活用できる環境を整備する。
  • 各社のデータベースとの繋ぎ込み
    各社のデータベースとの接続を強化し、データパイプラインの精度を向上させる。
  • データバリューチェーンの確立
    データの発生から活用、運用までの一連のサイクルを確立し、データ価値を最大化する。

生成 AI 活用:ビジネス部門と技術部門の両輪

セッションの後半では、ビジネス部門と技術部門、それぞれの現場で生成 AI をどのように活用しているか、具体的な事例が紹介されました。

【ビジネス部門の活用例】

ビジネス部門では小磯氏が、非エンジニアでも直感的に使える AI の活用法を紹介しました。

  • NotebookLM を活用したナレッジ共有
    属人化しがちな営業ノウハウや製品ドキュメントを NotebookLM に読み込ませ、誰でもチャット形式で情報を引き出せるナレッジベースを構築しました。
  • Looker の生成 AI 機能
    ダッシュボードのデータについて自然言語で問いかけるだけで、Gemini in Looker がサマリーや推奨アクションを自動生成。データ分析の専門家でなくても、迅速にインサイトを得られるようになりました。

【技術部門の活用例】

技術部門では山崎氏が、開発効率を向上させるための AI 活用術をデモを交えて紹介しました。

  • データベース移行支援
    Gemini in Database Migration Service (DMS) を活用し、Oracle から PostgreSQL への移行を効率化し、Gemini がコードの意図を理解して変換を支援することで、手作業での変換が必要なオブジェクトを大幅に削減します。
  • プログラミングサポート
    Google AI Studio を使い、エラー画面のキャプチャとログを Gemini に渡すだけで、エラーの原因と解決手順、修正後のコードまでをリアルタイムで提示し、デバッグ作業の時間を大きく短縮します。
  • リアルタイム翻訳
    Gemini API を活用し、英語の音声をリアルタイムで日本語に翻訳・文字起こしするアプリケーションを開発し、さらに、翻訳結果の「要約」も同時に生成することで、国際会議などの情報収集を強力にサポートします。

まとめ

本セッションでは、ビジネス課題の解決からデータ基盤の整備、AI の現場適用、そしてそれを支える開発体制まで、一気通貫で DX を推進する具体的な取り組みが紹介されました。

また、今後の展望として、Box と Agentspace を連携させ、より高度な社内情報検索を実現するための検証を進めている点も挙げられていました。この先進的な取り組みは、データ活用の価値をさらに高めるものとして注目していきます!

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