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Compute Engine の VM 上に Oracle Database XE を構築する

2023/11/29に公開

はじめに

こんにちは、クラウドエース SRE ディビジョン所属の古田です。
この記事では、Oracle の無料のエディションである Oracle Database XE を Google Cloud の Compute Engine 上で構築する手順をご紹介します。

Oracle Database XE とは?

Oracle Database Express Edition(XE)は、Oracle が提供する無料のエントリーレベルのデータベースエディションです。

Oracle Database XE の主な特徴を以下に示します。

  • 完全に無料で使用できる
  • ダウンロードとインストールが簡単で、使いやすい
  • SQL、PL/SQL、および Java を使用したデータベース開発と管理をサポートする

ただし、Oracle Database XEにはいくつかの制限があります。(一定のCPU、メモリ、およびストレージの制限があるなど)また、一部の高度な機能は使用できません。それでも、Oracle Database XE は、Oracle Database の基本的な機能と性能を無料で試すのに適しています。

詳細に関してはこちら[1]をご覧ください。

手順

以下のような手順で構築します

  1. Compute Engine を使って VM を作成する
  2. 作成した VM に SSH 接続する
  3. Oracle Database XE をインストールし、起動する

1.Compute Engine を使って VM を作成する

Google Cloud コンソールで Compute Engine ページに移動し、インスタンスを作成 ボタンをクリックします。

下のように適当に名前をつけ、リージョンを選択します。
名前は furuta-oracle-xe-instance、リージョンは asia-northeast1 としました。
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Oracle Database XE のシステム要件のひとつに、最低 1GB 以上の RAM が必要という条件があります。今回は余裕をもって 4GB のメモリを持った e2-medium を選択します。
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Oracle Database XE をインストールするための OS は、Oracle Linux や Red Hat Enterprise Linux(以下、RHEL)などの要件があり、今回は RHEL がベースで、かつ更新されていて無料の OS、Rocky Linux を選択しました。

まずはブートディスクの 変更 をクリック
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続いて、OS から Rocky Linux を選択します。
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ネットワークに関してですが、プロジェクトに最初から作られている default という名前の VPC ネットワークがあらかじめ設定されています。
今回は検証用ということで、こちらを使用します。この VPC ネットワークは SSH 接続が許可されています。
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ここまでの設定を終えたら、画面下部にある 作成 をクリックします。

2.作成したVMに SSH 接続する

作った VM の行の SSH の横の下三角マークをクリックし、gcloud コマンドを表示 を選択します。
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ポップアップされる画面の下にある CLOUD SHELLで実行 をクリックします。
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そうすると、コマンドラインに先ほどのコマンドが入力された状態で CLOUD SHELL が開きますのでそのまま実行します。
承認を要求する画面が開きますので 承認 をクリックします。
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3.Oracle Database XE をインストールし、起動する

以降では Oracle の ホームページにあるガイド[2]に従って操作します。
以下のコマンドを入力してください。

まず管理者権限下で操作します。

$ sudo -s

wget コマンドを使えるようにします。

# dnf install -y wget

wget コマンドを使って Oracle Database Preinstallation RPM をダウンロードしてインストールします。

# wget https://yum.oracle.com/repo/OracleLinux/OL8/appstream/x86_64/getPackage/oracle-database-preinstall-21c-1.0-1.el8.x86_64.rpm

# dnf -y localinstall oracle-database-preinstall-21c-1.0-1.el8.x86_64.rpm

wget コマンドで Oracle Database XE RPM をダウンロードしてインストールします。

# wget https://download.oracle.com/otn-pub/otn_software/db-express/oracle-database-xe-21c-1.0-1.ol8.x86_64.rpm

# dnf -y localinstall oracle-database-xe-21c-1.0-1.ol8.x86_64.rpm

Oracle Database XE を構築します。

# /etc/init.d/oracle-xe-21c configure

ここで、パスワードを入力します。

現状では ORACLE_HOME 環境変数が設定されていないので、sqlplus コマンドが正常に動作しません。
Oracle Database のホームディレクトリの bin ディレクトリをパスに追加し、ORACLE_HOME 環境変数を設定します。

# export PATH=$PATH:/opt/oracle/product/21c/dbhomeXE/bin

# export ORACLE_HOME=/opt/oracle/product/21c/dbhomeXE

sqlplus コマンドで Oracle Database XE に接続します。

# sqlplus system/password@instance-name/XEPDB1

ここの password には先ほど設定したパスワードが、instance-name には VM の名前が入ります。
今回の場合ですと、furuta-oracle-db-xe-instance が instance-name に入ります。

以下のような出力が確認できましたら成功です。

SQL*Plus: Release 21.0.0.0.0 - Production on Wed Nov 15 10:27:51 2023
Version 21.3.0.0.0

Copyright (c) 1982, 2021, Oracle.  All rights reserved.

Last Successful login time: Wed Nov 15 2023 02:58:30 +00:00

Connected to:
Oracle Database 21c Express Edition Release 21.0.0.0.0 - Production
Version 21.3.0.0.0

SQL> 

SQL>プロンプトが表示されているので、ここからは SQL コマンドを実行して Oracle Database XE を操作することができます。

感想

記事の作成過程で、Oracle Database XE の構築を何度も繰り返しました。そのような状況であっても、一度の構築には約20〜30分かかりました。このことから、Cloud SQL や Cloud Spanner のような、ボタンをクリックするだけで簡単に設定できる Google Cloud のデータベースサービスと比較すると、やはり明らかに手間がかかると感じました。しかし、Oracle Database は本来ならば利用するのにライセンス費用が必要なデータベースです。それを無料で使用できるという点を考慮すれば、Oracle Database XE は、Oracle Database の勉強や検証に最適な製品だと感じました。

脚注
  1. Oracle Database XE について
    https://www.oracle.com/jp/database/technologies/appdev/xe.html ↩︎

  2. Oracle Database XE インストールガイド
    https://docs.oracle.com/en/database/oracle/oracle-database/21/xeinl/installing-oracle-database-free.html#GUID-728E4F0A-DBD1-43B1-9837-C6A460432733 ↩︎

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