Gemini in Looker:自然言語でデータと会話!Conversational Analytics 体験レポート
はじめに
こんにちは、クラウドエースに所属している篠田です。
本記事では、2024年9月12日にパブリックプレビューとなったLooker Studio Pro の新機能 Conversational Analytics (会話分析) についてご紹介します。
Conversational Analytics (会話分析) とは
Conversational Analytics は、Gemini in Looker (機能群の総称) のひとつの機能で、生成 AI (Google Cloud の Gemini) を活用したデータクエリツールです。
Looker Studio Pro 製品に組み込まれており、下図の赤枠「会話分析」を選択することで、UI上から使うことができます。(Pro ではないLooker Studio では使えません。)
「会話分析」を選択すると、下図のような画面に遷移します。
この画面より、自然言語で対話的に、データソースのデータに質問できます。
応答には、質問に関する自動生成されたグラフや、生成 AIのデータに対する解釈が含まれているため、ユーザーは質問しながらデータ分析できます。
Conversational Analytics でできること
できることと利点としては、下記が例としてあげられます。
できること | 利点 | |
---|---|---|
① | データソースとして、Google BigQuery、Google スプレッドシート、CSV、Looker のセマンティックモデル(LookML) などをサポート | 会社が毎日使用するツールやワークフローとの統合 |
② | 自然言語でデータソースのデータに対して質問 | コードなしで簡単にデータにアクセスできる |
③ | 応答内でグラフを自動生成 | エンジニアでなくても、瞬時にデータの可視化をできる |
④ | 自動生成されたグラフの種類を編集 | ワンクリックで瞬時にグラフの種類を変更できる |
⑤ | マルチターン対応 | 深堀りながら分析が可能になる |
⑥ | 応答に関する分析情報を自動生成 | グラフから瞬時に洞察を得られる |
⑦ | 応答に関する算出方法を確認 | 応答がどのように生成されたかについて詳しく知ることができる |
⑧ | 会話履歴の保存 | 分析結果の記録と追跡ができる |
⑨ | Looker Studio レポートにグラフを作成 | レポートにグラフを瞬時に作成し、カスタマイズ、共有、検証できる |
ここから下記では、それぞれのできることについて、画像を交えながら見ていきます。
①データソースとして、Google BigQuery、Google スプレッドシート、CSV、Looker のセマンティックモデル(LookML) などをサポート
データとのチャットを始めるにあたって、 まず使用するデータソースを選択する必要があります。
「+ データに接続します」を選択すると、下図のように、サポートされているデータソース一覧が表示されます。
Looker をデータソースとする場合、どのモデルのExplore に接続するのかを選びます。
下図では User という名前の Explore に接続しています。
接続すると、Looker Studio のデータソースが Conversational Analytics の裏側で作成されます。
これで、Conversational Analytics を使う準備ができました。
「使用するデータを選択」で、上記の作成した User Explore を選択すると、下図のようなチャット画面に遷移します。
生成AI が裏側で動いていて、接続したデータソースの要約を表示したり、質問のレコメンドを表示したりします。
②自然言語でデータソースのデータに対して質問
Conversational Analytics の大きな特徴は、自然言語で質問できることです。
質問「How many users are there in each city in the USA?」を送信すると、下図のような応答を得られました。
応答内容は、「どのようなデータなのかの要約テキスト」+「グラフ」です。
③応答内でグラフを自動生成
上図をご覧のように、質問に対する応答内で、グラフが自動生成されます。
グラフの生成が可能な場合、応答内容にグラフが表示されます。
エンジニアでなくても、瞬時にデータの可視化をできるので、効率良くデータ探索をできます。
また、試しに日本語で質問をしてみたところ、下図のように単一値のグラフを応答しました。
ドキュメントには日本語対応の有無は明記されていませんが、日本語の質問にも応答するみたいです。
英語・日本語どちらでも、質問の仕方が悪いと応答がうまく生成されません。
その質問には回答できない旨の応答が返ってきます。
質問の仕方が悪い例としては、下記が例としてあげられます。
- 文章がおかしい
- データソースに関連しないデータについて質問している
2.についてはドキュメントにも書かれています。Conversational Analytics はインターネットの公開情報には繋がっておらず、またデータソースに存在しないデータについては回答できないのは納得です。
④自動生成されたグラフの種類を編集
下図で表示されているグラフの種類は「表」ですが、グラフの種類をワンクリックで変更できます。
縦棒グラフを選択すると、グラフが自動的に更新され、下図の結果が得られました。
ただし、生成AIが返す結果によって、選択できるグラフの種類は異なります。
⑤マルチターン対応
マルチターン対応とは、ユーザーが最初の質問に対する回答に基づいて、さらに質問を重ねていくことができるということです。
下図のように、さらに質問を重ねることができます。
Conversational Analytics では、文脈を理解した上で回答を生成するため、ユーザーは深堀りながら分析を行うことができます。
欲しいグラフを自然言語で調整できたりして便利です。
⑥応答に関する分析情報を自動生成
応答に対して分析情報を提供可能な場合、「分析情報」プルダウンがグラフの下に表示されます。
「分析情報」プルダウンをクリックすると、下図のように現在表示されているデータに対する分析情報(生成 AI が生成)を得ることができます。
⑦応答に関する算出方法を確認
生成AIがどのように回答に至ったかを確認したい場合、「算出方法」プルダウンをクリックします。
すると、下図のように算出方法を確認できます
⑧会話履歴の保存
会話を保存して、後で参照できます。保存は自動的にされます。
過去の会話内容を辿れることで、どのような分析を行い、どのような結果が得られたのかを簡単に確認できます。
⑨Looker Studio レポートにグラフを追加する
「レポートで開く」を選択すると、新しいLooker Studio レポート が作成されます。
下図のように、データソースやグラフが作成されています。
Looker Studio レポート 上で一からグラフを作成する必要が無いので、効率よくグラフのカスタマイズ、共有、検証をできます。
まとめ
Conversational Analytics の自然言語による直感的な操作は、まるでデータと対話しているような感覚をもたらします。
エンジニアによるデータソース側のデータ整備が必要な場面も多いとは思います。
しかし、一度整備してしまえば、ユーザーに技術的な専門知識がなくても、セルフサービスでデータに迅速にアクセスできます。
執筆時点(2024/10/4)ではパブリックプレビューですが、正式版の発表が楽しみです。
Discussion