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【数学】コラッツ予想を解きたい!10

2022/09/24に公開約14,600字

記念すべき10回目ですね。
最初、書き始めた時に目標としていた数字です。とりあえず、ここまでは続けてこられましたし、やっていることもそこまで悪くないような気もしています。ちなみに"01"表記で始めたのは、コラッツ予想を100回超えず数十回で解ける期待を込めていたりしています。

とりあえず、いつものように前回のまとめから入ります。

前回のまとめ

前回は、簡易ツリーに対してすべての巡回列をちょうど1つずつ持つような拡張が欲しいという感覚から、巡回列全体からなる集合上で和を考えました:
(なお、和をすっきりと定義するために、巡回列の定義を逆にしました)

Def:巡回列(再定義)

集合 A 上にツリー \mathrm{Tree}(t) がある。また分割を E \subset Aとし、A \setminus E の定義関数を

\chi_{A \setminus E}(x) = \left\{ \begin{array}{ll} 0 & (x \in E) \\ 1 & (x \in A \setminus E) \end{array} \right.

とする。このとき、a \in A に対し、次の数列

\chi_{A \setminus E}(a),\ \chi_{A \setminus E}(t(a)),\ \chi_{A \setminus E}(t^2(a)),\ \chi_{A \setminus E}(t^3(a)),\ ...

a を起点とする E についての巡回列という。

Def:巡回列空間における和

巡回列 \{ a_i \}_{i \in \mathbb{N}}\{ b_i \}_{i \in \mathbb{N}} に対し、その和 \{ c_i \}_{i \in \mathbb{N}} を次のように定義する:

繰り上がり計算のため、数列 \{ d_i \}_{i \geq 0} を考えて、

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad d_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、 a_i+b_i+d_{i-1} を 2 で割った商を d_i 、余りを c_i とする \end{align*}

また前回の最後には、積を考えました。

「積」の定義について

前回はとりあえずということで、積を、整数×巡回列の形で定義しました。
しかし、巡回列×巡回列という定義もしたい、というのも普通です。

少し考えたのですが、これを両方とも満たす修正はすごく簡単でした。

1 にはどんな巡回列になって欲しいか? 1,\ 0,\ 0,\ 0,\ ... になってほしくないですか?
2 にはどんな巡回列になって欲しいか? 0,\ 1,\ 0,\ 0,\ 0,\ ... になってほしくないですか?
3 にはどんな巡回列になって欲しいか? 1,\ 1,\ 0,\ 0,\ ... になってほしくないですか?

簡易ツリー上では、これはそれぞれ、-1,\ -2,\ -3 に当たるんですよね。

なので、マイナスの簡易ツリー

t(x) := \left\{ \begin{align*} x/2 \quad & (x : 偶数) \\ \frac{x-1}{2} \quad & (x : 奇数) \end{align*} \right.

とすべきでしょう。
こうすれば非常にきれいにいきます。

ただ、もう一つ思ったことがあったのですが、和や積の定義について、ツリーという概念を考える必要はないとも思えてきました。

なので一旦、巡回列空間の定義から立ち返って作り直してみようと思います。

巡回列空間を0から考えてみる

発想の順番として、簡易ツリーを用いて巡回列空間を考えたのは自然なところでした。
ただ、前回の議論はどこかスッキリしない感じもありましたし、ツリーとは独立して考えることができるなら、その方がいい気がします。ツリーとの関係を考える必要があるなら、最後に考えれば十分でしょう。

Def:巡回列空間

01 からなる数列全体の集合を巡回列空間 \mathbb{J} とする。 つまり、

\mathbb{J} = \{ \{ a_i \}_{i \in \mathbb{N}} \ | \ \forall i,\ \ a_i \in \{ 0,\ 1 \} \}

巡回列空間を \mathbb{J} と表記することにします。
また、a \in \mathbb{J} は数列 a_1,\ a_2,\ a_3,\ ... と表せることにする。

Def:巡回列空間における和

巡回列 \{ a_i \} ,\ \{ b_i \} \in \mathbb{J} に対し、その和 \{ c_i \} \in \mathbb{J} を次のように定義する:

繰り上がり計算のため、数列 \{ d_i \}_{i \geq 0} を考えて、

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad d_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、 a_i+b_i+d_{i-1} を 2 で割った商を d_i 、余りを c_i とする \end{align*}

定義より明らかに可換なので、これはwell-definedである。

Thm:巡回列空間は和によって群となる

巡回列空間 \mathbb{J} は群である:

  • 結合法則
\forall a,\ b,\ c \in \mathbb{J}, \qquad (a+b)+c=a+(b+c)
  • 単位元の存在
\exists 0 \in \mathbb{J},\ \forall a \in \mathbb{J}, \qquad a+0=0+a=a
  • 逆元の存在
\forall a \in \mathbb{J},\ \exists -a \in \mathbb{J}, \qquad a+(-a)=(-a)+a=0

proof.)

  1. 結合法則
    x \in \mathbb{J} を次のように定める:
\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad d_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、\\ &a_i+b_i+c_i+d_{i-1} を 2 で割った商を d_i 、余りを x_i とする \end{align*}

また、a+bは、

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad e_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、\\ &a_i+b_i+e_{i-1} を 2 で割った商を e_i 、余りを (a+b)_i とする \end{align*}

また、(a+b)+cは、

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad f_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、\\ &(a+b)_i+c_i+f_{i-1} を 2 で割った商を f_i 、余りを ((a+b)+c)_i とする \end{align*}

とする。このとき、a_i+b_i+e_{i-1}=2 e_i+(a+b)_i である。
ここで、帰納法を使う。

(\mathrm{I})

d_0 = 0 = 0+ 0 = e_0 + f_0

(\mathrm{II})
i-1 に対し、d_{i-1}=e_{i-1}+f_{i-1} とする。

\begin{align*} a_i+b_i+c_i+d_{i-1}&=(a_i+b_i+e_{i-1})+c_i+f_{i-1} \\ &=2 e_i+(a+b)_i+c_i+f_{i-1} \\ &=2 e_i+2 f_i+((a+b)+c)_i \end{align*}

よって、d_i=e_i+f_i であり、x_i = ((a+b)+c)_i が成立する。

よって帰納法より、x=(a+b)+c が成り立つ。同様に、x=a+(b+c) も成り立つ。

  1. 単位元の存在
    0 \in \mathbb{J} をすべてが 0 の巡回列 0,\ 0,\ 0,\ ... とする。このとき任意の a \in \mathbb{J} に対し、a+0=0+a=a となる。

  2. 逆元の存在
    任意に a \in \mathbb{J} を取る。ここで、ba0,\ 1を反転させたものとする。つまり、

\forall i \in \mathbb{N}, \qquad a_i \neq b_i

とする。このとき、a+b1,\ 1,\ 1,\ ... となる。
また、1 \in \mathbb{J}1,\ 0,\ 0,\ 0,\ ... と定義すると、

(a+b)+1=0

となる。結合法則より、-a=b+1 とすればよい。
可換より、-a+a=0 も成り立つ。(証明終)

Def:巡回列空間における積

巡回列 a ,\ b \in \mathbb{J} に対し、その積 a \cdot b \in \mathbb{J} を次のように定義する:

繰り上がり計算のため、数列 \{ d_i \}_{i \geq 0} を考えて、

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad d_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、\\ & \sum_{1 \leq k \leq i} a_k b_{i+1-k}+d_{i-1} を 2 で割った商を d_i 、余りを (a \cdot b)_i とする \end{align*}

によって定義する。

積も可換ですね。

偶奇と積について

ここまでかなり一般的な定義をですが、こうして作った世界は奇数を2割れないような世界になっているのでしょうか。同時に、任意の巡回列を奇数で割ることはできるような世界になっているのでしょうか。そこら辺が期待通りになっているかどうか確認したいですね。

まだ奇数と偶数の定義をしていなかったので、まずその定義をしておきます:

Def:巡回列空間上の奇数、偶数

\mathbb{J} 上における奇数集合 O と偶数集合 E を次のように定める

O:=\{ a \in \mathbb{J} \ |\ a_1 = 1\} \\ E:=\{ a \in \mathbb{J} \ |\ a_1 = 0\}

このとき、O,\ E に含まれる要素をそれぞれ奇数、偶数と言う。

Thm:奇数を偶数で割れない

任意に奇数 a と偶数 b を取る。

\forall c \in \mathbb{J},\ c \cdot b \neq a

proof.)

(c \cdot b)_1 = c_1 b_1 = c_1 \cdot 0 = 0 \neq 1 = a_1

Thm:任意の巡回列は奇数で割れる

任意に巡回列 a と奇数 b を取る。

\exists c \in \mathbb{J},\ c \cdot b = a

またこのような c はただ1つだけである。

proof.)

(\mathrm{I})

(c \cdot b)_1=c_1 b_1=c_1

これが a_1 と一致すればよいから、c_1=a_1 とする。

(\mathrm{II})

任意に i \in \mathbb{N} を取る。
c \cdot b は、数列 \{ d_i \}_{i \geq 0} を用いて以下のように定められる。

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad d_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、\\ & \sum_{1 \leq k \leq i} c_k b_{i+1-k}+d_{i-1} を 2 で割った商を d_i 、余りを (c \cdot b)_i とする \end{align*}

このとき、

\sum_{1 \leq k \leq i} c_k b_{i+1-k}=c_i b_1 +\sum_{1 \leq k \leq i-1} c_k b_{i+1-k}

より、

a_i+\sum_{1 \leq k \leq i-1} c_k b_{i+1-k}

c_i の偶奇は一致する。

以上より、帰納的に唯一の c を定められる。(証明終)

具体例を見てみよう

ずっと抽象的な議論をしてきたので、少し具体的な話を見てみましょう。
具体例として、どんな無理数を持ちそうか、というのを考えるのは面白そうです。

例えば、\sqrt{3} を持つでしょうか?

問:\sqrt{3} を持つか

a \cdot a3 \in \mathbb{J} つまり 1,\ 1,\ 0,\ 0,\ 0,\ ... になるような a \in \mathbb{J} は存在するか?

\mathrm{mod} 2 において、

\begin{align*} (a \cdot a)_1 &= a_1 a_1 = a_1^2 =1 \\ (a \cdot a)_2 &= a_1 a_2+a_2 a_1 =2 a_2 =1 \end{align*}

これは不適である。つまり、\sqrt{3} に当たるものは持たないようです。
ただ、今やった感じだと、\sqrt{5} ならどうかという気もしますのでやってみます。

問:\sqrt{5} を持つか

a \cdot a5 \in \mathbb{J} つまり 1,\ 0,\ 1,\ 0,\ 0,\ 0,\ ... になるような a \in \mathbb{J} は存在するか?

\mathrm{mod} 2 において、

\begin{align*} (a \cdot a)_1 &= a_1 a_1 = a_1^2 =1 \\ &a_1 =1 \\ (a \cdot a)_2 &= a_1 a_2+a_2 a_1 =2 a_2 =0 \\ (a \cdot a)_3 &= (a_1 a_3+a_2 a_2+a_3 a_1)+a_2=a_2(a_2+1) =1 \\ \end{align*}

となってみると、ダメなようです。(最後の a_2 は繰り上がりの項)

あと、ちょっと不思議な話として、
1,\ 0,\ 0,\ ...1 \in \mathbb{J} として、0,\ 0,\ 0,\ ...0 \in \mathbb{J} とすると、
1 \in \mathbb{J} の逆元 -1 \in \mathbb{J}1,\ 1,\ 1,\ ... になるんですよね。ここで、1,\ 1,\ 1,\ ...1,\ 0,\ 0,\ ...0,\ 1,\ 0,\ ...0,\ 0,\ 1,\ 0,\ ... と...の和みたいな感じで考えると、

1+2+4+8+...=-1

って書けるんですよね。まあ現状、\mathbb{J} で無限和を定義していないのであんまり意味はないですが。ただ、こういうのを見ると複素関数とか解析接続とか考えないといけないとか言われているようで、ちょっとどうしようという気にもなりますね...

巡回列空間と有理数の関係

和と積について考えたので、次は有理数との関係を考えたいですね。

t(x) := \left\{ \begin{align*} x/2 \quad & (x : 偶数) \\ \frac{x-1}{2} \quad & (x : 奇数) \end{align*} \right.

このツリーで考えようかと思っていましたが、有理数との関係を見るときでさえ必要ないかもしれません。

まず、加法の単位元 0,\ 0,\ 0,\ 0,\ ...、乗法の単位元 1,\ 0,\ 0,\ 0,\ ... がそれぞれ 0,\ 1 \in \mathbb{R} になるのは必須でしょう。
こっから、和と差で整数全体も考えられます。また積も、奇数だけなら割り算もできるので、有理数(の一部)の構成までならできそうです。

ただ、今書いてて気付きましたが、和と積の関係性を考えていませんでしたね。偶数で割れないから、体にはならないからなぁ、と思っていましたが、普通に環ではありますね。

巡回列空間における和と積の関係

Thm:巡回列空間は環である

巡回列空間 \mathbb{J} は環である:

  • \mathbb{J} は加法について可換群である

  • 乗法について単位元の存在

\exists 1 \in \mathbb{J},\ \forall a \in \mathbb{J}, \qquad a \cdot 1=1 \cdot a=a
  • 乗法について結合法則
\forall a,\ b,\ c \in \mathbb{J}, \qquad (a \cdot b) \cdot c=a \cdot (b \cdot c)
  • 分配法則
\begin{align*} \forall a,\ b,\ c &\in \mathbb{J}, \\ &(a+b) \cdot c= a \cdot c+b \cdot c, \quad a \cdot (b+c)= a \cdot b + a \cdot c \end{align*}

proof.)

  1. 加法について可換群になることは既に示した

  2. 乗法についての単位元の存在
    1,\ 0,\ 0,\ 0,\ ... が単位元となる。

  3. 乗法についての結合法則
    x \in \mathbb{J} を次のように定める:

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad d_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、( k_1,\ k_2,\ k_3,\ \in \mathbb{N}として)\\ & \sum_{k_1+k_2+k_3=i+2} a_{k_1} b_{k_2} c_{k_3}+d_{i-1} を 2 で割った商を d_i 、余りを x_i とする \end{align*}

また、a \cdot bは、

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad e_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、\\ & \sum_{1 \leq k \leq i} a_k b_{i+1-k}+e_{i-1} を 2 で割った商を e_i 、余りを (a \cdot b)_i とする \end{align*}

また、(a \cdot b) \cdot cは、

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad f_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、\\ & \sum_{1 \leq k \leq i} (a \cdot b)_k c_{i+1-k}+f_{i-1} を 2 で割った商を f_i 、余りを ((a \cdot b) \cdot c)_i とする \end{align*}

とする。
このとき、

\sum_{1 \leq k \leq i} a_k b_{i+1-k}+e_{i-1}=2 e_i+(a \cdot b)_i \\ \sum_{1 \leq k \leq i} (a \cdot b)_k c_{i+1-k}+f_{i-1}= 2 f_i+((a \cdot b) \cdot c)_i

である。
ここで、帰納法を使う。

(\mathrm{I})

d_0 = 0 = 0+ 0 = c_1 e_0 + f_0

(\mathrm{II})
i-1 に対し、

d_{i-1}= \sum_{1 \leq k \leq i} c_k e_{i-k}+f_{i-1}

とする。

\begin{align*} \sum_{k_1+k_2+k_3=i+2} a_{k_1} b_{k_2} c_{k_3}+d_{i-1} &= \sum_{1 \leq k_3 \leq i} (\sum_{k_1+k_2=i+2-k_3} a_{k_1} b_{k_2} +e_{i-k_3}) c_{k_3} +f_{i-1} \\ &= \sum_{1 \leq k_3 \leq i} (2 e_{i+1-k_3}+(a \cdot b)_{i+1-k_3}) c_{k_3} +f_{i-1} \\ &=\sum_{1 \leq k_3 \leq i} 2 e_{i+1-k_3} c_{k_3}+2 f_i+((a \cdot b) \cdot c)_i \end{align*}

ここで、e_0 = 0 より、

\sum_{1 \leq k_3 \leq i} 2 e_{i+1-k_3} c_{k_3} = \sum_{1 \leq k_3 \leq i+1} 2 e_{i+1-k_3} c_{k_3}

よって、d_i= \sum_{1 \leq k \leq i+1} c_k e_{i+1-k}+f_i であり、x_i = ((a \cdot b) \cdot c)_i が成立する。

よって帰納法より、x=(a \cdot b) \cdot c が成り立つ。同様に、x=a \cdot (b \cdot c) も成り立つ。

  1. 分配法則
    x \in \mathbb{J} を次のように定める:
\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad d_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、( k_1,\ k_2,\ k_3,\ \in \mathbb{N}として)\\ & \sum_{1 \leq k \leq i} (a_k+b_k) c_{i+1-k}+d_{i-1} を 2 で割った商を d_i 、余りを x_i とする \end{align*}

また、a+bは、

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad e_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、\\ &a_i+b_i+e_{i-1} を 2 で割った商を e_i 、余りを (a+b)_i とする \end{align*}

(a+b) \cdot cは、

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad f_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、\\ & \sum_{1 \leq k \leq i} (a+b)_k c_{i+1-k}+f_{i-1} を 2 で割った商を f_i 、余りを ((a+b) \cdot c)_i とする \end{align*}

とする。
このとき、

a_i+b_i+e_{i-1}=2 e_i+(a+b)_i \\ \sum_{1 \leq k \leq i} (a+b)_k c_{i+1-k}+f_{i-1} = 2 f_i+((a+b) \cdot c)_i

である。
ここで、帰納法を使う。

(\mathrm{I})

d_0 = 0 = 0+ 0 = e_0 + f_0

(\mathrm{II})
i-1 に対し、

d_{i-1}= \sum_{0 \leq k \leq i-1} e_k + f_{i-1}

とする。e_0 = 0 より、

\begin{align*} \sum_{1 \leq k \leq i} (a_k+b_k) c_{i+1-k}+d_{i-1} &= \sum_{1 \leq k \leq i} (a_k+b_k+e_{k-1}) c_{i+1-k}+f_{i-1} \\ &= \sum_{1 \leq k \leq i} (2 e_k+(a+b)_k) c_{i+1-k}+f_{i-1} \\ &= \sum_{0 \leq k \leq i} (2 e_k) + 2 f_{i} + ((a+b) \cdot c)_i \end{align*}

よって、d_i= \sum_{1 \leq k \leq i} e_k + f_i で、x_i=((a+b) \cdot c)_i が成り立つ。

よって、帰納法より、x=(a+b) \cdot c が成り立つ。

次に、x=a \cdot c + b \cdot c を見る。(x は同様の定義を用いる)

a \cdot cは、

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad e_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、\\ & \sum_{1 \leq k \leq i} a_k c_{i+1-k}+e_{i-1} を 2 で割った商を e_i 、余りを (a \cdot c)_i とする \end{align*}

b \cdot cは、

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad f_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、\\ & \sum_{1 \leq k \leq i} b_k c_{i+1-k}+f_{i-1} を 2 で割った商を f_i 、余りを (b \cdot c)_i とする \end{align*}

a \cdot c+b \cdot cは、

\begin{align*} (\mathrm{I}) & \qquad g_0 = 0 \\ (\mathrm{II}) & \qquad 任意の i \in \mathbb{N} に対し、\\ &(a \cdot c)_i+(b \cdot c)_i+g_{i-1} を 2 で割った商を g_i 、余りを (a \cdot c+b \cdot c)_i とする \end{align*}

とする。
このとき、

\sum_{1 \leq k \leq i} a_k c_{i+1-k}+e_{i-1}=2 e_i+(a \cdot c)_i \\ \sum_{1 \leq k \leq i} b_k c_{i+1-k}+f_{i-1}=2 f_i+(b \cdot c)_i \\ (a \cdot c)_i+(b \cdot c)_i+g_{i-1} = 2 g_i+(a \cdot c+ b \cdot c)_i

である。
ここで、帰納法を使う。

(\mathrm{I})

d_0 = 0 = 0+ 0 +0= e_0 + f_0 + g_0

(\mathrm{II})
i-1 に対し、

d_{i-1}= e_{i-1} + f_{i-1} + g_{i-1}

とする。e_0 = 0 より、

\begin{align*} \sum_{1 \leq k \leq i} (a_k+b_k) c_{i+1-k}+d_{i-1} &= \sum_{1 \leq k \leq i} a_k c_{i+1-k}+e_{i-1}+\sum_{1 \leq k \leq i} b_k c_{i+1-k}+f_{i-1}+g_{i-1} \\ &= 2 e_i+(a \cdot c)_i+2 f_i+(b \cdot c)_i+g_{i-1} \\ &= 2 e_i+2 f_i+ 2 g_i+(a \cdot c+ b \cdot c)_i\\ \end{align*}

よって、d_i= e_i + f_i + g_i で、x_i=(a \cdot c+b \cdot c)_i が成り立つ。

よって、帰納法より、x=a \cdot c+b \cdot c が成り立つ。

以上より、(a+b) \cdot c = a \cdot c+b \cdot c が言えた。
可換より、a \cdot (b+c) = a \cdot b+a \cdot c も言える。(証明終)

そして、これを前提として、さらに性質をしっかりと書きたいところです。
というのも、奇数で割るのはオッケーとかそういう話を明確化しておきたいのです。

ちなみに、なぜこうやって性質を定めようと頑張っているかというと...なんででしょうか。う~ん、以下のようないろいろな基礎的な四則演算の性質を満たすか? ということを考える上で、いちいち全部定義に立ち返っていては大変だから、というところでしょうか。

例えば、環であることが分かれば、以下のようなものは証明できます。

thm:a・0 = 0

任意のa \in \mathbb{J} に対して、a \cdot 0=0 を証明したいと思います。

\begin{align*} a \cdot 0 &= a \cdot (0+0) \qquad \qquad &( 加法の単位元の定義 )\\ &= a \cdot 0 + a \cdot 0 &( 分配法則 ) \end{align*}

ここで、a \cdot 0 の逆元 -(a \cdot 0) を考えて両辺に足すと、

\begin{align*} a \cdot 0 + (-(a \cdot 0)) &= (a \cdot 0 + a \cdot 0)+(-(a \cdot 0)) \qquad \qquad & \\ &= a \cdot 0 + (a \cdot 0 + (-(a \cdot 0))) &( 結合法則 ) \end{align*}

よって、逆元の定義と加法の単位元の定義より、a \cdot 0 = 0 となる。

thm:-a = (-1)・a

a \in \mathbb{J} の逆元 -a について、1 の逆元 -1 を用いて、

-a = -1 \cdot a

が成り立つことを示す。
1 の逆元 -1 を用いて、

\begin{align*} 0 &= 0 \cdot a \qquad \qquad &( 上の定理より ) \\ &= (1 + (-1)) \cdot a &( 逆元の定義 ) \\ &=1 \cdot a + (-1) \cdot a &( 分配法則 ) \\ &=a + (-1) \cdot a &( 乗法の単位元の定義 ) \end{align*}

よって、逆元を考えれば題意は成り立つ、

とこんな感じ。

今回は過去一長くなってしまいましたが、当然成り立つよね、っていう議論をちゃんと丁寧にやってただけという感じです、

次回は今回の続きで、奇数や偶数という概念を絡めて、より詳しく性質を見ていくということをやっていきたいと思います!
ではでは。

Discussion

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