【数学】コラッツ予想を解きたい!04
前回のまとめ
偶奇性を含めるべきなんじゃないかということで、新しい「構造」を定義しました。
Def:ツリーの構造
集合
このとき、ある2つの全単射写像
が成り立つとき、
そして全単射性を抜いて、一般の関数が成り立つ条件を考えている途中まででした。
現在の話題
となるような一般の関数
また、前回の最後に「巡回列」という概念を導入しました:
Def:巡回列
集合
とする。このとき、
を
巡回列
巡回列という概念を使っても、Thmは綺麗に書けないんですよね...
ただ、僕がなぜこの概念を導入したかというと、次のような感じが成り立ったら良くない? って思ったからです:
理想のThm
集合
上に2つのツリー A がある。また、 \mathrm{Tree}(t_1),\ \mathrm{Tree}(t_2) とする。 E \subset A
このとき、次のは同値である: (\mathrm{i}), \ (\mathrm{ii}) \begin{align*} & (\mathrm{i}) \qquad \forall a_1 \in A, \ \exists a_2 \in A, \\ & \qquad a_1 を起点とする t_1 の巡回列と a_2 を起点とする t_2 の巡回列は一致 \\ \\ & (\mathrm{ii}) \qquad \exists f_e:E \rightarrow E,\ f_o:A \setminus E \rightarrow A \setminus E, \\ & \qquad f(x) := \left\{ \begin{array}{ll} f_e(x) & (x \in E) \\ f_o(x) & (x \in A \setminus E) \end{array} \right. , \qquad f \circ t_1=t_2 \circ f \quad \end{align*}
これが成り立ったらいいなぁって感じです、(具体的にどう使っていくのかは分かりませんが、綺麗に書けてるので満足でしょう)
ただ実際には成り立たないので、どうしていくか。いろいろ考えてみましたが、
つまり、
Eの条件とは
そもそも上記、理想のThmが成り立たない例としては、
これは今までと同様に約数になっていないとダメという問題です。
また別パターンもあります:
これは解なしです
ソースコード
e1 = 0
e2 = 1
e3 = 2
o1 = 3
o2 = 4
o3 = 5
A_name = ['e1', 'e2', 'e3', 'o1', 'o2', 'o3']
A = [e1, e2, e3, o1, o2, o3]
t1 = [o1, e1, e1, o1, e1, e1]
t2 = [o1, o3, e2, o1, e1, o3]
def check(f):
for i in range(6):
if(f[t1[i]] - t2[f[i]]):
return 0
return 1
for ie1 in range(3):
for ie2 in range(3):
for ie3 in range(3):
for io1 in range(3, 6):
for io2 in range(3, 6):
for io3 in range(3,6):
if(check([ie1, ie2, ie3, io1, io2, io3])):
print(A_name[ie1], A_name[ie2], A_name[ie3], A_name[io1], A_name[io2], A_name[io3])
なぜでしょうか? 次のパターンと比較してみましょう。
少し異なるだけですが、こちらには1つ解があります。この解は、
これをヒントに、次のような概念を定義してみます:
Def:正規分割E
集合
上にツリー A に対して、 T=\mathrm{Tree}(t) が E \subset A の正規分割であるとは、次が成り立つことである: T a を起点とする巡回列と b を起点とする巡回列が一致するならば、 a=b
この概念はかなり強いかもしれません。しかし、とりあえず、これを使ったThmを証明しましょう。
正規分割によるThm
Thm:fの存在
集合
上に2つのツリー A がある。また、 T_1=\mathrm{Tree}(t_1),\ T_2=\mathrm{Tree}(t_2) を E \subset A の正規分割とする。 T_2
このとき、次のは同値である: (\mathrm{i}), \ (\mathrm{ii}) \begin{align*} & (\mathrm{i}) \qquad \forall a_1 \in A, \ \exists a_2 \in A, \\ & \qquad a_1 を起点とする t_1 の巡回列と a_2 を起点とする t_2 の巡回列は一致 \\ \\ & (\mathrm{ii}) \qquad \exists f_e:E \rightarrow E,\ f_o:A \setminus E \rightarrow A \setminus E, \\ & \qquad f(x) := \left\{ \begin{array}{ll} f_e(x) & (x \in E) \\ f_o(x) & (x \in A \setminus E) \end{array} \right. , \qquad f \circ t_1=t_2 \circ f \quad \end{align*}
注意してほしいのは、正規分割の条件は
proof.)
まず
を示す。 (\mathrm{i}) \ \Leftarrow \ (\mathrm{ii})
任意にをとる。 a_1 \in A とする。 a_2 = f(a_1) f(t_1^i(a_1))=t_2(f(t_1^{i-1}(a_1)))=...=t_2^i(f(a_1))=t_2^i(a_2) が成り立つから、
に対し、 i \geq 0 \chi_E(t_1^i(a_1))=\chi_E(f(t_1^i(a_1)))=\chi_E(t_2^i(a_2)) が成立する。これは巡回列の一致を意味する。
次に
を示す。 (\mathrm{i}) \ \Rightarrow \ (\mathrm{ii}) \begin{align*} & (\mathrm{i}) \qquad \forall a \in A, \ \exists f(a) \in A, \\ & \qquad a を起点とする t_1 の巡回列と f(a) を起点とする t_2 の巡回列は一致 \\ \end{align*} によって、
を定義する。巡回列の一致性から、この f は f で別々に定義可能の関数である。 E,\ A \setminus E
ここで、巡回列の一致性から、次の2つの数列にを作用させたものは一致する: \chi_E \begin{matrix} a, & t_1(a), & t_1^2(a), & t_1^3(a), & ... \\ \\ f(a), & t_2(f(a)), & t_2^2(f(a)), & t_2^3(f(a)), & ... \end{matrix} \ またこれは、任意の
に対して成り立つから、 a に対しても成り立つ。よって、次の2つの数列に t_1(a) を作用させたものは一致する: \chi_E \begin{matrix} t_1(a), & t_1^2(a), & t_1^3(a), & t_1^4(a), & ... \\ \\ f(t_1(a)), & t_2(f(t_1(a))), & t_2^2(f(t_1(a))), & t_2^3(f(t_1(a))), & ... \end{matrix} \ ここでこの2つの一致性を見比べると、次の2つの数列に
を作用させたものは一致することが分かる: \chi_E \begin{matrix} t_2(f(a)), & t_2^2(f(a)), & t_2^3(f(a)), & t_2^4(f(a)), & ... \\ \\ f(t_1(a)), & t_2(f(t_1(a))), & t_2^2(f(t_1(a))), & t_2^3(f(t_1(a))), & ... \end{matrix} \ よって、
を起点とする t_2(f(a)) の巡回列と t_2 を起点とする f(t_1(a)) の巡回列は一致する。ここで t_2 は E 正規分割だから、 T_2 t_2(f(a))=f(t_1(a)) が成り立つ。これは任意の
に対して成り立つ。(証明終) a \in A
綺麗に証明できました。ちょっと綺麗すぎる説はありますが... 定理はスッキリにするべきですが、証明はごちゃついてもいい(少しくらいはごちゃついた方がいい)と思うので...
次回に向けて
そしてこの後をどうするか? もっと正規分割の条件を弱めて、「弱い正規分割」を考えますか? 証明をする前はそうするつもりでしたが、意外とこの強い分割の条件でもいいのかもしれません。というのも、おそらくですが、僕たちが最終的に目標としているコラッツ予想の話題とするツリーというのは、強い正規分割の条件を満たしている(と思う)からです。
じゃあ、もしそうだとしたら、どうしていくか。それも謎ですが、今回は区切りが良いので、このくらいで終わりにします。ではでは。
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