都市 3D データ #PLATEAU とは?+それを活用した、国土交通省主催『東京23区から新しい世界を創るアイデアソン』14 プロジェクト
国土交通省が主導する、日本全国の 3D 都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクトである PLATEAU (プラトー) を活用したアイデアソンに
審査員として参加させて頂きました。
PLATEAU とは
PLATEAU (プラトー) とは、冒頭に書いた通り、
国土交通省が主導する、日本全国の 3D 都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクトです。
3D都市モデルの整備とユースケースの開発、利用促進を図ることで、
全体最適・市⺠参加型・機動的なまちづくりの実現を目指す
3D 都市モデルデータを誰でも自由に使える状態にしてくれているので、それを使った新たなサービスが誕生してくるのがとても楽しみです。
素晴らしいデータソースがあり、それを素晴らしいクリエイターの方が使い、なにかを産み出す、というサイクルが大変素晴らしい ですね!(マジでこういうの大好き。最高)
3D 都市モデルとは?
3D 都市モデルとは、国土交通省が Project PLATEAU の一環として整備する、実世界(フィジカル空間)の都市を仮想的な世界(サイバー空間)に再現した3次元の地理空間データである。
(↑図:公式ページ『3D 都市モデルとは』より)
PLATEAU 都市モデルのプレビュー
3D 都市モデルのデータをブラウザでプレビューができます
「(+) Add Data」を選択し、表示したいデータを選びます。
私は「建物モデル (港区)」を選びました。(なんで港区にしたかというと、会社のオフィス (マイクロソフト) が港区にあるからです)
データが追加されました。
建物の高さで色分けしてみます。さすが品川駅の東は高層ビルが多いですね。
うちのオフィスが入っているビルをクリックしてみました。(黄色く色が変わりました)
建物の高さ (148.877m)、地上階数 (32 階) 、用途分類、などが表示されました。
このように、PLATEAU 都市モデルは、
都市空間の形状を単に再現した幾何形状(ジオメトリ)モデルではなく、
それに名称や用途、建設年、行政計画といった都市活動情報を付与されたセマンティックモデルだと言えます。
3Dモデルに付加されているデータ項目
(↑ 公式アイデアソン資料『事前配布_3D都市モデルハッカソン(逐次更新します)』より)
(※ ちなみに、事前配布資料のリンクは イベントページ に載っています)
ちなみに、今回開催された、都市 3D モデル活用のアイデアソンでは、その 3D モデルに付加されているデータをどのように有効活用するのかも重要視されました。
(↑ 公式アイデアソン資料『事前配布_3D都市モデルハッカソン(逐次更新します)』より)
イベント概要
項目 | 値 |
---|---|
イベント名 | 『東京23区から新しい世界を創る アイデアソン / ハッカソン 』 |
日程 | アイデアソン: 1/16(土) , ハッカソン: 2/13(土)
|
参加チーム数 |
14 チーム (もともと 16 チームだったが、当日統合があった) |
主催 | 国土交通省 |
運営 | 角川アスキー総合研究所(ASCII STARTUP) |
協力 | Project PLATEAU Partners、HMCN (Hiroshima MotionControl Network) |
詳細ページ | https://techplay.jp/event/803458 |
審査員一覧
光栄なことに、私も審査員をさせていただきました。
# | 審査員名 | 所属 |
---|---|---|
1 | 川田 十夢 | AR三兄弟長男 |
2 | 千代田 まどか | ちょまど |
3 | 藤原 雄彦 | 沖電気 |
4 | 石丸 伸裕 | 日立製作所 |
5 | 筒井 祐治 | 国土交通省 |
6 | 遠藤 諭 | 角川アスキー総合研究所 |
↓ 嬉しい
審査基準
審査基準について。3 項目を見ました。
↓ 実際に提供された審査シートのスクショ。各項目 5 点満点で採点。
# | 項目 | 説明 | 補足 |
---|---|---|---|
1 | Data | 3D 都市モデルを有効に活用している | 都市空間の形状を単に再現した幾何形状モデルとしてではなく、そこに付加された情報を、有効に活用している。また「2D でええやん」ではない、3D データならではのものである |
2 | Use Case | 3D モデルのユースケース開発 | サービスとしての価値。また、何の課題をどう解決しているかなど |
3 | Art | 情報発信・アートディレクション | 映え、エンタメ性、実際にユーザが使いたくなるか |
PLATEAU プロジェクト一覧
都市 3D データ PLATEAU 活用アイデアソン『東京23区から新しい世界を創るアイデアソン`』で発表された 13 プロジェクトについて。本当にどれも素晴らしいアイデアばかりでした、ありがとうございました!
優勝チームから紹介。
優勝プロジェクト『ヘキメン -建物壁面の市場創出プラットホーム-』
ビルの壁面の使い方について。(よく広告が貼られてますね)
都市データを使用し、このビルの壁面は何人が見るかなど算出したり
また避難所のルートを算出してちょうど良いところに標識を出したりなども。
もともと含まれている建物の矩形や高さなどのデータの他、人流データや日照データを追加で使用し、
見通しの良さ、視聴角度、視野内面積、などから
広告閲覧人数の推定などし、ビルの壁面の広告の市場価値分析をしたり。
ビルのオーナーをターゲットにしたプロジェクトで、
ターゲットのペルソナが明確で、課題についての説明とそれを解決するためのソリューション提示としても大変良かったです。
データの活用についても、各種データを納得の形で非常に有意義に使用されていますし、
また実際にすぐにビジネスに使えるような具体的な形のプロジェクトアイデアでした。
素晴らしいアイデアをありがとうございました & おめでとうございます!
準グランプリ『TOKYO SURVIVAL』
3D バーチャル空間上でサバイバル体験ができる防災ゲーム。
都市データをうまく活用し、計算されたリアルな災害シミュレーションのリアルな体験を、ゲーム感覚でできる。
防災訓練に「リアルさ」と「ゲーミフィケーション」を持たせた素敵なプロジェクトアイデア。
さらに、ランダム発生する「バーチャル避難訓練」イベントにより「もしここで災害が発生したら」を考えるキッカケにもなる。
また、ユーザのモチベとして、各アクティビティにより「トーキョーサバイバルポイント」を付与し
現実世界でもお得有り。(各企業と提携して割引などを受けられる経済モデル)
すごく楽しそうだし、めっちゃ勉強になるし、「世のため人のため」だし、拡張性もあるし、今すぐにでも使いたいサービスだと思いました。
素晴らしいアイデアをありがとうございました & おめでとうございます!
審査員奨励賞『Energize the New World』
電気自動車のプロジェクト。
都市データのなかの日照データなどを使い、
23 区が生む太陽光エネルギーで電気自動車はどれだけ走れるのか? などを算出。
個人移動、モビリティが上がり、その個人の電気自動車での移動で撮影する映像や地形データなどを収集し、それを PLATEAU データ成長に役立てる。
将来的に多くの車が電気自動車 (というか Connected Car) に置き換わるのは確実(だと思ってます)なので、その未来を見据えたプロジェクトとしてとても良いと思いました。
電気自動車の普及が遅れている大きな要因のひとつに「充電ステーションの不足」があるので、それを解決するソリューションとして良い
各チームの紹介
当日、全てのチームを実況ツイートしていますので、そのツイートを貼り付けますね。
発表順です。
また、受賞チームについては、上で既にご紹介しておりますので、割愛します。
1-2「日陰マップ」「MaaS」
最初の発表チームは『S3DGs 三方よしマップ』,
次が『みんなで安心・安全なまちづくりをしよう!街とクルマのデータを使った住みよさ評価の仕組み』
最初の発表チームは『S3DGs 三方よしマップ』について。
最初の発表ってとても緊張すると思うのですが、堂々と発表していらっしゃって、とても素晴らしかったです。また、内容についても、日照データと建物の矩形データ、高さのデータを使い、日陰になるところなどを算出し、日焼けや熱中症対策に役立てる、という、「世のため人のため」なプロジェクトで素敵ですね。実際私ももともとガチ引きこもりで自分の部屋から出てこなかったくらい太陽の光が苦手なので、かなり良いと思いました。普通に欲しい。
次に『みんなで安心・安全なまちづくりをしよう!街とクルマのデータを使った住みよさ評価の仕組み』
ユーザーが PLATEAU のデータ、というか自分の街のデータを育てていくようなエコシステムの提案ですね。データを提供することを投資とし、それに対するリターンのモデルまで考えてあり、安全で快適な街づくりを支援したい、というこころがとても良いと思いました
3「生態系デザイン」
3 つ目のチームは『都市空間における生態系デザインのためのサポートツール』。
都市全体の生態系を構築したい、というのが凄い! こういうスケール大きい俯瞰的な考え方大好き。「都市の成長」と「自然」は相いれない、というか反比例するようなイメージがありました。そこに、日照データなどを使った植生シミュレーション、群体シミュレーションなどを行い、都市における生態系の拡張を施行する、というのは、データを活用しながらの SDGs を意識した都市開発のすてきなアイデアだと思いました
5「屋内情報を繋ぐ」
5 つ目のチーム
『街・建物と屋内情報を繋ぐデータ基盤の開発』
提供されている 3D 都市モデルでは屋内データが取得できない。そこで、屋内に設置した IoT センサを使い、取得したデータと組み合わせて、たとえば三密検出ソリューションなど、スマートビルディングの実現に役立てるアイデア。プレゼンでは、実際の大学内の深度情報などを、CityGML の建物 ID での一致検索から組み合わせて利用したシステム構成図を見せて頂きました。データの詳細度を向上させるの、拡張性がありとても良い!
(3 チーム目は電気自動車の『Energize the New World』で審査員奨励賞、6 チーム目は壁面の『ヘキメン』でグランプリ、で紹介済みなので割愛)
7-8「景観シミュレータ」「都市モデル」
7 チーム目『景色シミュレータ(立地映え)』
8 チーム目『欲しい情報を的確に得られる、新しい生活様式への第一歩 - 3D 都市モデル x XR プラットフォーム 「LIT」-』
7 チーム目『景色シミュレータ(立地映え)』について。
現在、個人がメディア化している状態なので、SNS に投稿したくなるような景観など「映え」はとても重要。そんな現代の需要に合ったアイデアだと思った。富士山がこの角度から見える、16 階以上の物件、とか。また、ユーザのデータから学習し、3D 都市データの成長にも使えるエコシステムも良い。
8 チーム目『欲しい情報を的確に得られる、新しい生活様式への第一歩 - 3D 都市モデル x XR プラットフォーム 「LIT」-』について。
こういう、現実とバーチャルの組み合わせ的な話は大好物です。現実とバーチャルの組み合わせ的な話は大好物です。(大切なことなので2回)
「夜景の見えるレストランを直観的な UI で検索可能」など、身近なユースケースを示しながらのプレゼンも分かりやすくてさすがでした。また、その目的地までのナビを AR で、というのも、"3D" データ活用としてとても良いと思いました。
あとどうでもいいけど このスライドの図が「どう見てもデータベース」で笑いました(好き)
9-10「再生可能エネルギー」「バーチャルフリマ」
9 チーム目『再生可能エネルギーのポテンシャルの可視化、売買が可能なマーケットプレイスの創出』
10 チーム目『バーチャルフリーマーケット ~リアルとバーチャルを繋ぐフリマアプリ~』
9 チーム目『再生可能エネルギーのポテンシャルの可視化、売買が可能なマーケットプレイスの創出』について。
日照データなどから太陽光発電を取り入れたらどれくらいお金が入るのかなど計算し表示、というのが良かった。実際、実際にうちの屋根に太陽光発電パネル取り入れたら得なの?? とか全くわからんし、そういうのを計算して提示してくれるのは、そういう再生可能エネルギーを身近に考えさせてくれる良いソリューションだと思いました。また発電設備メーカーからの広告料など経済的なエコシステムまで考えてあり、そこも素晴らしいですね。
10 チーム目『バーチャルフリーマーケット ~リアルとバーチャルを繋ぐフリマアプリ~』
こういう、現実とバーチャルの組み合わせ的な話は大好物です。(大切なことなので 3 回目)
AR 上でシンボルが見えて、そこに行ったら実際の現実世界でも何かのイベントが行われている、しかもそのシンボルを成長させることができるというゲーム性、というの、とても良いと思いました。現実世界がゲームになるの大好き。人流データや立地データなどを利用、というデータ活用の点でも良いですね。
11-12「ゲームプラットフォーム」「音環境」
11 個目『REAL TOKYO GAME (RTG)』
12 個目『おとシェア ~まちの「音環境」の共有プラットフォーム~』
11 個目『REAL TOKYO GAME (RTG)』について。
東京がまるごとオープンワールドゲームの舞台となるプラットフォーム!「ゲームをつくる」ではなく「ゲームをつくるプラットフォームをつくる」というのが響いた。東京が丸ごとオープンワールドの舞台となるゲームを、ユーザが自由に作って、それを他のユーザが自由にインストールできる、というプラットフォーム。これでたくさんゲームが生まれたら素敵ですね。データ活用としても「道路上にアイテム置くのやめよう」とかに利用できて良いですね。
12 個目『おとシェア ~まちの「音環境」の共有プラットフォーム~』について。
こういう、目に見えない情報を可視化してユーザに届ける系の好き。「音」は見えないからね、そういうのをデータから計算し、ヒートマップにして可視化してくれるのとても良い。たとえば建築物のデータなどから音の届く範囲を計算し、野外コンサートに向いてる場所を見つけるのに役立つ。
13「バリアフリー」
13 チーム目『バリアフリーの情報を 3D で AR 表示し正確に導くアプリ』
車椅子だと些細な段差も本当に大変で、日常生活が大変になります。一段だけの段差もダメ。そういう段差回避ルートやエレベーターをしぬきで探すマンになるのですが、その課題を解決! ターゲットを車椅子ユーザというペルソナをしぼっているのもサービスとして良い。また、目的地までの最適なルートが AR 表示で見れるのも "3D" データ活用として良い。電動車椅子の自動運転も視野に入れていてそこも好きだった(絶対便利
(14 チーム目は『TOKYO サバイバル』で、準グランプリで既に紹介済みなので割愛)
総括
どれも素晴らしいアイデアで感動しっぱなしでした!
素晴らしいデータソースがあり、それを素晴らしいクリエイターの方が使い、なにかを産み出す、というサイクルが大変素敵です。
3D 都市モデルを利用して多くの新しいサービスが生まれ、それで人の暮らしがどんどん豊かになる(近い)未来をとても楽しみにしています!
ちょまどでした。
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