日本オラクルってなにでどれだけ儲かってるの?ってことで財務諸表分析してみた
― 導入 ―
情報・通信産業って最近盛り上がっているけどどこが一番儲かっているんだろうという事で
大学時代に専攻して学んだ会計の知識をつかって分析してみることにしました
同業として、業界のスターは気になりますよね
まずはどのようなサービスを販売している会社なのか調査を行い、次に財務の分析、最後に競合と比較するという流れで進めて行きます
財務諸表とは?何が分かるのか?
簡単に言うと企業としての成績表みたいなものです
上場している企業は必ず公開しています
これを読み解くことで分かるのは以下の内容です
・収益性
どれくらい儲ける力があるか
・生産性
従業員1人でどれだけ価値を生み出せるか
・安全性
企業の支払い能力
・成長性
企業がどれだけ成長しているか、これから成長できるか
詳しく知りたい人はリンク先をご覧ください
どうして日本オラクルなのか
分析するにあたってまず上場してる企業でランキングを出してみました
トップ10はこんな感じです
直近の当期純利益ランキング
- 日本電信電話
- KDDI
- ソフトバンク
- Zホールディングス
- エヌ・ティ・ティ・データ
- 野村総合研究所
- ネクソン
- 光通信
- 日本オラクル
- フジ・メディア・ホールディングス
データベースでよく聞くoracleが9位!
テレビ局、トレンドマイクロ、伊藤忠テクノソリューションズよりも上位です
これはもう調べるしかないと思い、日本オラクルを分析してみることにしました
― 本題の日本オラクル分析 ―
企業の分析
日本オラクルの事業は簡単に説明するとこのような内容です
データベース、ミドルウェア、アプリケーション等のソフトウェア、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器等のハードウェアの販売
これらの製品をインターネットなどのネットワークを通じて提供するクラウドサービス、
製品の導入や利用を支援する各種サービスの提供
データベースはご存知の方も多いのではないでしょうか?
データベースだけでなく、ユーザーの基幹システムのクラウド移行の支援なども行っているようです
最近では「ERPクラウドアップグレード」、「大型案件の獲得」、「クラウドデータの利用料増大」、「OCI(OracleCloudInfrastructure)を基盤とするテクノロジークラウドサービスの価値訴求」に注力して活動を行っているとのことです
OCIはAWSのEC2のようなサービスっぽいです(AWS使ったことないのですが…
データベースのイメージしかありませんでしたが、その他にも気になる製品を販売している事が分かりました
その他にも、何やら面白い取り組みを行なっているようです
こういうユニークな所が、従業員やユーザーに愛されているのかもしれません
財務諸表の分析
売上高
売上高とは
商品やサービスを販売することで得られた売上の合計
とても順調に売り上げを伸ばしている事が分かります
1,100億から2,100億に増加しているので、10年で倍近くになっていますね
当期純利益
当期純利益とは
最終的に企業に残る利益のこと
売上高から
・原価
・販管費(給与、広告宣伝費、ネットワーク通信代など)
・営業外費用(売上割引、支払利息、雑損失など)
・営業外利益(仕入割引、受取利息、雑収入など)
・特別費用(不動産、株式の売却益など)
・特別利益(不動産、株式の売却損など)
・法人税 を引いたもの
利益も順調そうですね
220億から470億になっているので、こちらは10年で2.5倍ほどに増加しています
流動比率
流動比率とは
企業の安全性を示す短期的な支払い能力
簡単に言うと、借金に対してどれだけ支払えるお金があるかという物
基本的に100%を上回っていれば安全
流動比率が高ければ短期安全性が高いと言える
安全性は特に問題なさそうですね
100%を下回っている時もありますが、翌年には100%を上回っているので大丈夫でしょう
ROA
ROAから何が分かるのか
会社の総資産を使ってどれだけ効率良く利益を生み出せたかが分かる
大体5%~が優秀な数値
情報通信産業の平均は8%となっている
業界平均の8%に比べて、高い位置で継続的に推移しています
2020年は16%程です
ROE
ROEから何が分かるのか
自己資本を使ってどれだけ効率良く利益を生み出せたかが分かる
大体10%~20%が優秀な数値
情報通信産業の平均は10%となっている
ROEはかなり高い所を推移しています
2020年のROEは27%です
業界平均を20%以上上回っていますね
自己資本からかなり効率よく利益を生み出しているようです
売上高構成比率
最後にセグメントを分析をしてみます
ほぼクラウドとライセンス、そのサポート事業で占められていますね
この2つだけで全体の80%の売り上げを出しています
8年前からどのように変化してきたのか見てみましょう
下図は2012年の売上高構成比率です
※項目名が変更されているので、厳密に比較することはできなくなっています
この8年間でクラウド、ライセンスの販売とそのサポートが増加していったようですね
代わりにハードの割合が少なくなっています
ざっと分析してみたところ、順調に成長していることが分かりました
2011年は東日本大震災が、2020年からはコロナショックという大きな出来事がありましたが
特に影響も受けていなさそうですね
サービスの提供先としては大きな企業がある印象でした
KDDI、富士通、日本電気などにサービスを提供しているようです
企業単位でoracleを導入している所が増えれば、さらに利益を生み出せそうです
さらにさらに、日本オラクルは直近10年で高成長した企業70社にも選ばれている事が分かりました!
素晴らしいですね!
この業界は世界的にも需要が高まっているので、
産業の成長に伴ってこのまま順調に成長していきそうです
競合分析
日本オラクルが優秀なことは分かりました
最後に、同業と比べてどうか見て行きましょう
今回は、同じデータベースのサービスを販売している日本マイクロソフトと比較してみます
2019年決算公告
■ 売上高:7,429億円
■ 当期純利益:261億円
■ ROA:5%
■ ROE:33%
このような感じになっています
ROEの33%は凄いですね!
日本オラクルは売上高2,100億に対して当期純利益は470億なので、
日本オラクルの方が効率よく利益を生み出せているようです
この差はROAに出ている感じですね
日本マイクロソフトは全体の資産を使って5%の利益率になっています
分かったこと
たまたま気になって分析をしてみた日本オラクルですが、
思っていた以上に凄い企業だということが分かりました
凄いポイント
- 10年間毎年増収している
- 業界平均をはるかに上回る利益率
- 10年で高成長した企業70社にランクインしている
どれも簡単に達成できる物ではありません
様々な企業努力を行って成し遂げられているものだと思います
今後の産業の成長に合わせて、ますますクラウド・ライセンスとそのサポート事業で成長していきそうです
今回はざっくり分析してみただけですが、十分凄さが伝わってきました
他の企業も分析してみたいですね
参考
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