Stena Expense の開発サイクル
はじめに
ChillStackでは経理部向けに経費申請から不正・不備を自動で検知する「Stena Expense」というサービスを提供しています。
製品の詳細や誕生経緯については、こちらのnoteの記事にて詳しく説明しているのでそちらをご参照ください。
ここでは、Stena Expenseの開発チームにおいて開発をどのように進めているかについてご紹介いたします。
また、新規プロダクトについても、こちらの開発サイクルをベースとして採用しており、プロダクトやチームに合わせた改良を行っています。
Stena Expenseの開発サイクルについて
Stena Expenseは基本エンタープライズ企業様が顧客となる、グロースフェーズのプロダクトです。
そのため、ビジネスチームがお客様から受け取った細かなニーズを吸い上げ、深く課題解決できるソリューションに素早くアップデートしていくことが必須です。
そういった背景から、スクラム開発をベースに、ビジネスチームとのコミュニケーションを密に取るための枠組みを追加で設けています。
開発サイクル
全体
エピック会
エピック会とは、開発チームとビジネスチームの接地点となるミーティングです。
開発チームが関わるタスクのまとまりを「エピック」と呼んでおり、具体としては以下のようなものが挙げられます。
- 顧客対応などスポットで発生するタスク
- 新規機能の開発タスク
主に、エピックのスケジュールや優先度の確認、ゴールのすり合わせを行い、開発チームとビジネスチーム間の認識の齟齬を減らしています。実施の背景としては、ChillStackでは主にエンタープライズ企業向けのAIモデル開発を行っていますが、会社ごとに導入するAIモデルのカスタマイズ要件が異なり、ものによってはかなり複雑になり、ビジネスチームとの認識のズレが発生しやすいことが挙げられます。
このようなミーティングを各スプリントごとに実施することで、今のところビジネスチームと開発チームの認識のズレを最小限にとどめながら開発を行えていると思います。
もちろんですが、このミーティングのみでしか会話ができないわけではなく、スプリント期間中に必要に応じてビジネスチームとコミュニケーションを取りながら進めていきます。
製品ロードマップレビュー会
製品ロードマップレビュー会は、PdM・PMMが作成した製品ロードマップに対して、PdM・PMMに加え、エンジニアやビジネスメンバーも含めてレビューするミーティングです。
ロードマップその特性上、作成した時点から徐々に不確実性が高くなり、ロードマップ自体の解像度も低くなってしまいます。四半期に1回ほど、開発チーム・ビジネスチームのメンバー間での認識や解像度を合わせ、ロードマップの内容について議論をする会を設け、製品ロードマップを更新することで、製品ロードマップが常に「製品の未来を的確に描くものであること」を目指しています。
また、エンジニアやビジネスメンバーの納得感を大切にしており、なぜその製品ロードマップになったのか、どのような背景があるのかを共有することで、チーム全体での理解を深めています。
ユーザーストーリーマッピング会
ユーザーストーリーマッピング会とは、先述の製品ロードマップから、粒度を細かくし、ユーザーストーリーを作成することを目的としたミーティングです。
開発メンバーだけでなく、ビジネスチームも参加し、ユーザーストーリーについて話し合います。
想定する顧客のニーズや課題への理解を深めることで、ビジネスチームと共に提供する製品価値の認識を揃えることができます。
エンジニアも参加することで、実装の際に必要な情報を共有し、開発の効率化と機能の価値の認識合わせを図っています。
開発スプリント
日々の開発は、スクラム開発を基礎に2週間を1スプリントとしたサイクルで進めています。
その時の開発タスクやプロダクトバックログの管理には、ビジネスメンバーとコラボレーションしやすいよう、一元してNotion上で行っています。
スプリントプランニング
スプリントプランニングでは、名の通り次のスプリントの計画を作成します。
PdMが設定したスプリントゴールをもとにプロダクトバックログアイテム (PBI) を選定し、それぞれのアイテムを割り振りやすい開発タスクに分解し、各タスクの工数見積もりを行います。
このとき、各開発者のタスクへの解像度が上がるように開発チーム内で話し合いをします。開発タスクを作成するときは、なるべくPR(Pull Request)単位になるような大きさに気をつけてます。各PBIに担当者を決め、スプリントレビューにおけるデモの実施まで担当します。
ただ、もちろんながら、チームで助け合いながらタスクを実施します。壁に直面したときは一人で抱え込まずになるべく早い段階で声を上げられるような組織づくりを意識しています。
デイリースクラム
デイリースクラムは、毎営業日の最後に15分の時間を設け実施しています。
各メンバーがその日に行ったタスク内容をチームメンバーに共有し、進行中のスプリントのスプリントゴールを達成することができるかを確認します。タスクを進める上で問題が発生した場合は、スプリントゴールを達成できるように他のメンバーがヘルプに入ったり、タスクのスコープの調整を行うこともあります。
各メンバーから上がってきた課題によっては、デイリースクラムが15分を超過するケースもあります。
その場合は、デイリースクラム自体は完了して、各々の課題に対してヘルプに入れそうなメンバーが別途解決に取り組みます。
スプリントレビュー
「スプリントゴールを達成できるか」をビジネスチームを含めてレビューし、フィードバックをもらいます。そこでもらったフィードバックを次回以降のスプリントに活かしていきます。
より顧客に近いビジネスチームを巻き込むことによって、開発チームにとっては新しい発見があり、顧客にとってのあるべきプロダクトを学習できる重要な場でもあります。
スプリントレトロスペクティブ
スプリントレトロスペクティブでは、終えたスプリントのKPT (Keep、Problem、Try) について話します。
この会の進行には、リーンコーヒーと呼ばれる会議形式を採用しています。
リーンコーヒーは、参加者全員で話したい内容を決め、会議を行うことを指す言葉で、各トピックについて優先度をチームで決め、優先度の高いトピックから効率的に話し合いを行うことができます。
リーンコーヒーでは、以下の流れで行います.
- メンバー全員で話したいトピックを書き出します。
- メンバーは自分の話したいトピックを5つ選んで投票します。
- その投票数順に優先度を決め、話し合います。
- 会話をするときは5分→3分→1分と時間を区切り、会話を続けるかさらに投票します。
一つのトピックにつき、最大9分間話し、話がまとまらない場合は別のMTGを設定します。
このリーンコーヒーにより、チーム内で話すべきトピックの優先度を付けることができ、かつ各トピックに時間制限が設けられているため効率的に会議を進める事ができます。
レトロスペクティブ
まとめ
本稿では、ChillStackのプロダクト開発・運用がどのようなサイクルで行われているかの大枠を紹介しました。
こうした記事を書く一方で、プロダクトの肥大化や顧客の増加、組織の拡大に伴い、常に開発サイクルはアップデートする必要があると考えています。
実は本稿で紹介した会議体の中でも、すでに廃止した会議体や新たに追加した枠組みなどもあり、あくまで1例としてご参考いただけますと幸いです。
ChillStackでは、本稿で紹介したStena Expenseも含め、共にプロダクトを通して価値を届けたい開発メンバーを募集しています。
興味を持った方や話を聞きたい方は、ぜひ下記よりカジュアル面談にご応募ください。
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