キーボードが一枚も売れなかった
タイトルの通りです。
去年のキーフリ・今年のキーケットでめちゃくちゃ売れていたChildhood's Endを含め、キーフリにキーボードを11枚持ち込んで1枚も売れませんでした。
※当日追記 本記事の最後にキーボードの販売情報を追記しています。販売するのは以下の3種です。
Childhood's End
Constant Modearto
IMPULSE77
質問・購入希望などあれば私のTwitter(https://x.com/on_8va_bassa)のDMにお願いします。
mond(https://mond.how/ja/on_8va_bassa)を使用すれば匿名質問も可能です。
※当日追記2 一部キーボードが売れたため最後のリストに取り消し線を入れるなどの処理を行っています。
また、かなり記事が伸びている印象があり、自作キーボード界隈の方以外にもリーチしているような雰囲気なので、イベントの背景などについても追記を行いました。
キーフリについて
キーボードマーケット(キーケット)という年1回の同人ハードウェア専門即売会があり、キーケットの運営会がより自由に中古品などを取引できるようにと開催している年一回の小規模フリーマーケットがキーボードフリーマーケット(キーフリ)です。
今回は2回目の開催であり、私はキーフリ・キーケット合わせて3回目の参加になるのですが、過去の実績から半分~1/3は売れるだろうと見込んで発注したものの1つも売れなかった、という事情があります。
理由は何か
オープンな場所でのマーケティングを怠っていた。これに尽きると思います。
noteで解説記事を書いていたり、天キーで展示を行ったりして、お品書きも記載して、それを展開して…………ということをしたつもりになっていて、結局それらが自作キーボードを(潜在的に・明示的に問わず)求めている層にリーチしていなかったのが大きいでしょう。
また、そのような状態に加えて金額的にも安くない価格帯にあったというのも問題でしょう。
となれば、同じ電子的文具工房で(私が主宰するサークルで委託品を扱っていました)蓮乃 紫さんやhalf_islandさんが売っていたものの方が売れていたのも当然です。
紫さんが制作していたアルチザンキーキャップは進捗含め大量の写真がTwitterに投稿されていました。チタンに酸化被膜を載せて水色に発色させ、鏡面に磨き上げたものであるので、一見していいものとわかるというのも大きいでしょう。これを目当てに電子的文具工房を訪れる人は多数いました。
(逆に、紫さんとしては一番磨きの手間がかかると言っていたチタン無垢のEkam Kumariが全く捌けなかったのが意外だったとも言っていました。幾何学模様の入ったEkam VahiniやEkam Trishnaと比較すると地味に見えてしまうというのがやはり大きいのでしょうか、ここら辺が確認できるのもイベントのいいところでもあります)
また、half_islandさんが出品していたものはよりフリマらしく、原価を考えると格安で値段で購入できるものが大半でした。
スイッチの小袋は合計300円~500円以上のスイッチが入って100円でしたし、特殊な配列の基板も500円という価格設定により(これは基板の価格だけ考えると原価相当だと思いますが)安価に入手できました。
このような事情により、事前のマーケティングをほとんど行わず、競合相手が自作キーボードのキットになってしまう私の頒布物が売れなかったのは必然と言えるでしょう。
会場の規模が小さかった、というのはほとんど影響がないと思います。なぜなら、他の出展者の方は2万円を超えるようなキットであってもしっかり売れているものが見受けられたからです。
特定のキットを目的に来場する人がいた中で、その特定のキットや、大量の小さいアイテムを購入する資金に割り込む価格帯であったことが敗因の一つであるといえ、また、こちらは推測ですが、「たくさんの自作キーボードの中から自分に合うものを見つける」ということを目的に来場する人が少なかったのも大きな敗因になったと考えていいでしょう。
自作キーボードにあるからと言って文章に興味があるわけではない
キーボードはあくまで身体の延長線上にあるインターフェース(道具)であり、その使用者が必ず文章に興味を持っているわけではない、というのが忘れていたポイントに当たると思います。
いくら文章でキーボードを語っても、最終的に手に取るときはその見た目と手触りが重要であり、それに訴えかけることができるのはどちらかというと写真や動画でした。
さらに言えば、キーボードのサンプルはサークルスペースの中央に配置するのが正解であり、端にあると隣サークルを見に来た人で隠れてしまうことがあるという問題もあります(配置にもよるので、運ですが)。
みんな案外キーボードを気にしていない
ハードウェアを設計するテック系の界隈や毎日パソコンを触るオタク界隈にいると忘れがちなことですが、キーボードを気にするのはキーボードに興味がある人だけです。そして、一番キーボードに興味がある人は、設計者です。
いわゆるキーボードに興味がない人(パソコンを持っているが毎日キーボードを触るわけではない人・タブレットで文字入力をするなどで稀にキーボードを使う人)がノートパソコンやタブレットに内蔵・付属のキーボード以外を使うとして、それは百均の500円コーナーにあるやつや家電量販店の企業製キーボードだったりします。
前者はJISの配列とは齟齬があることが多く、後者は安いものだとだいたいメンブレンキーボードなので、記号のズレや打鍵感の悪さも気にしていないことも容易に想像できます。
界隈におけるカジュアル層とも異なる、一般層とでも呼ぶべきユーザーに対して、一般層が知らない価値を説きたいのであれば、相当のコスト、そして徹底的な(一般企業レベルの)アフターサービスが必要になるでしょう。
それらを厭うか投資と捉えて歓迎するかは設計者によると思いますが…………ブルーオーシャンに見えつつも、実際はレッドに近い可能性が高いでしょう。
界隈の流行に乗らないなら覚悟が必要である
現在流行している自作キーボードは、小型・軽量・無線です。私のキーボードはその対極を進んでいます。
流行の品物であれば売れるのは当然で、流行が収まったら売れなくなるので、ニッチ製品よりも引き際を見極める能力が必要になる面はあるものの、カジュアルに頒布したいのであればこっちが多分良いのでしょう。
しかし私は簡単な道を進むつもりはなく、面倒は最初から承知でハードウェアを設計しています。
私のキーボードを目当てに来ていただける方が増えるように、今後も努力したいところです。
宣伝
以下の要領で今回売れ残ったキーボードを販売します。
Childhood's End、Constant Moderato、IMPULSE77が対象です。
・キーボードキットとなるため、基板やプレートと一部パーツのみが同梱され、写真にあるキーキャップやキースイッチは付属しません
・個人が制作・頒布するハードウェアであり、内部システムはオープンソースです。組立作業についてある程度のサポートは可能ですが、企業並みの対応や組み立て後の保証は不可能ですのでご了承ください
・組み立て済み販売については、梱包前にすべてのキーについて入力確認を行っています
・キットは、1ロットにつき1セットを組み立てて機能の確認を行い、残りについては大きな傷や汚れがなければよしとして梱包を行っています
・ねじやスペーサーなどすべてのパーツをカウントしてから梱包していますが、万一足りないなどの事故があれば遠慮なくご連絡ください
・なくした際も連絡いただければ発送します(が、数が多い場合は手数料を頂く場合があります)
・キーボードが非常に大きいため、Boothやメルカリ等を経由せずクリックポストなど非匿名で十分なサイズのある配送方法を使用します
・この場合、ゆうちょ銀行への振り込みやことら送金が利用可能です
配送方法
Childhood's End:クリックポスト
Constant Moderato:クリックポスト
IMPULSE77:60サイズ(配送会社は住所により変わる可能性があります)
・平日夕方の都心(JR新橋駅~JR上野駅)周辺であれば現金での直接取引が可能です
・それぞれキーフリでの値下げ時の売価で頒布します
・Childhood's Endのキットは7000円、実装済みは9000円
・IMPULSE77のキットは9000円 、実装済みは11000円
・Constant Moderatoのキットは9000円、実装済みは12000円
・在庫や仕様などの詳細についてはTwitterのDMに問い合わせをお願いします
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