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LAPRAS社の「退職ダイアログ」に感じた開発組織の強さ

2024/12/01に公開

このエントリーはエンジニア転職のLAPRASエンジニア採用のLAPRASを提供する、LAPRASのアドベントカレンダーの1日目のエントリーです!

https://lapras.com/


さて、記念すべきアドベントカレンダー1日目の記事は、会社としてはなかなかオープンにしづらいであろう「退職」について書いていきます。
個人にとっても会社にとっても退職は一定避けられないことではありますが、この退職がどういうプロセスで実施されるかにその組織の特徴や「強さ」が表れてくると思います。

この記事ではそんな退職のプロセスについて感じたことを書いていきます。

「退職」に個人と組織はどう向き合うか

退職する理由は様々あると思いますが、退職は個人にとってはその後のキャリアや生活に影響を与える一大イベントなのではないでしょうか。
また会社にとっても社員が辞めることにより組織運営に対して何らかの影響を与えることになりますので退職は個人も組織にとっても双方に影響があるイベントです。

昨今のITエンジニアの領域では転職をしてキャリアアップしていくことが一般的になってきており、私たちLARPAS社もそういった転職によるキャリアアップを強く後押しするサービスを提供しています。
一方で転職の裏には当然「退職」が発生しているわけなので、転職することが一般的になっていくと同時に退職することも決して特別なことではなくて、個人にとっても会社にとっても当たり前に起きていくことだと言えます。

そんな「退職」に対してLAPRAS社はどのように向き合っているかを見ていきましょう。

LAPRAS社の退職に対するユニークな向き合い方

LAPRAS社の開発チームでは、退職者が出るたびに「退職ダイアログ」という退職者も含めたチーム全員で集まってそれぞれが自由に自分の気持ちを話すための場が設けられます。

退職ダイアログについての説明の前にまず、LAPRAS社の組織内のコミュニケーションとして実施されている「ダイアログ」という習慣・文化について簡単に説明します。

全社で定期的に実施される「ダイアログ」

LAPRAS社での「ダイアログ」とは簡単にいうと、それぞれが感じているモヤモヤなどをありのままに話す場、という感じで、議論をせず、結論を出さず、「で、要は何が言いたいの?」と詰めることもせずに、ただただその人が感じていることを吐き出す場です。

日頃感じているいろいろなモヤモヤやポジティブな気持ちなども含めて素直に吐き出すことで、普段の業務の中ではなかなか注目されないし知ることのできない個人の心の中に触れ、お互いを理解して全員での共通認識を築いていくための場です。

四半期ごとに実施される全社でのオフサイトミーティングなどの場で定期的に実施されています。
その他にも不定期で「サービスの現状や今後について」など何らかのテーマを決めたダイアログが実施されることもあります。
https://hr-tech-lab.lapras.com/lapras-knowhow/dialogue/

チームと退職者、両者を支える「退職ダイアログ」

退職者が出ることによりその後に残るメンバーに対しては業務の引き継ぎや体制変更など実務に直接影響があることはもちろんのこと、「○○さんが抜けるとこうなってしまいそう」「このままで会社は大丈夫なのかな」「なんとなく不安」など気持ちの面でも影響があると思います。

また退職者側も、退職する直接的な理由に加えて、現状どういう問題があると思っているか、今後自分が抜けた後にどういうことが起きそうかなど色々な気持ちを抱えているでしょう。

退職ダイアログはそういった残るメンバー、退職者のそれぞれの気持ちを吐き出して共有する場です。
LAPRAS社の開発チームにて2020年から実施されており、それ以降退職される方が出る度に毎回実施されています。

僕自身も入社してからこれまでに何人かのエンジニアのメンバーを見送ったのですが、その都度退職ダイアログに参加していました。

退職ダイアログの実施にあたりCTOのrockyさんから説明された場の期待値について引用させていただきます。

この場の期待値
人が一人抜けるというのは、ロール(実業務)的な意味で引継ぎが必要になるのはもちろんですが、雰囲気/課題発見のアンテナ/同僚としての安心感/醸し出す空気/文化へ与える良い影響/その人が居たから解けていた課題 などなど、ソウル的なも含めて、少なからず失われてしまうものがあるはずです。

何をもたらしていただいていたのか、何を失ってはいけないのかについて、ダイアログという形で一度テーブルにあげて、不安な気持ちを共有しつつ、将来の体制を一緒に考えていくときの源泉のようなものを得られれば良いと思います。

※ロール: 役割・職務、ソウル: 個人の気持ち・思い、これらはLAPRAS社で実践している組織管理手法のホラクラシーの用語です

退職者の視点で見る「退職ダイアログ」

そしてこの流れの中で突然ですが、この度僕が転職することとなりまして先日初めて退職者側として退職ダイアログに参加してきました。
ここからは退職者側として退職ダイアログについてどう感じたかを書いていきます。

参加前の気持ち

自分が退職理由だったりを詳細に話すことで、他のメンバーの退職を促してしまったり、チームに悪影響を与えてしまうことにならないだろうか、という心配がとてもありました。

また業務を引き継ぐ上でも、これまでに課題を認識しつつも解決しきれなかったものも多々あったりして、実務的にも気持ち的にも少なからずネガティブな影響を与えてしまうことになるので、「課題を残したまま居なくなってしまってごめんなさい・・・!」という、残るメンバーに対しての申し訳なさをとても感じていました。

みんなの本音を知る

ホワイトボードツールのFigJamを使って、トピックごとにそれぞれ思い思いに言いたいことを書きつつ、適宜それぞれが聞いてみたいところを深掘りして気持ちを吐き出していきます。
退職者側もそんなみんなの気持ちを受けてどう感じたかを話していきます。


トピックごとに全員で思い思いに思ったことを書いていっている様子

今回は集まれる人はオフラインで集まり、オンラインでも参加者がいるハイブリッドでの開催でした。
オフライン/オンラインどちらの参加者も満遍なく発言をしていきます。

残るメンバーが素直に気持ちを吐き出してくれることで「やっぱりそうだよね」とか「そういうところも不安に感じるんだ」とかの心情を感じ取ることができました。
みんなが不安を話してくれることにより、逆にその裏返しで自分が貢献できていたことを感じることができ、「そんなところにも貢献できていたんだ!」と感じることもありました。

みんなの不安に対して申し訳なさを感じるだけでなく、逆に自分の強みやチームに対して発揮してきた価値を感じることができるというのは退職者側の立場になるまで想像もしていませんでした。

自分も素直に、正直に話す

退職者側も下記のような期待値のもと、退職理由も含めて自分が今思っていることを吐き出していきます。

◯◯さんの感じたチームの課題感 や良いところ
一緒に働いていた方がチームを離れるという結論に至ってしまったことはチームとしてとても大きな痛手であるし、何よりとても寂しい。
必ずしも「課題感」だけではないかもしれないけれど、チームに居続けることを難しくした課題感を改めて共有し、
解決できるものは解決して同じような要因で誰かがチームを離れる、ということが発生しないようにしたい。
また、ワンチャンもどってきて頂くなどができるようにしていきたい。

同時に、◯◯さんの視点を享受できる最後の機会でもあるので「ここはよいとおもうよ!」のようなところも触れられると「大事にしよう!」のパワーが生まれそうなのでお願いします!

話したことについて誰かがメモを取ってくれつつ、それぞれの気持ちをコメントしてくれています。


僕から話したことのメモとそれに対してみんながコメントを書いてくれている様子

みんなが素直に正直に自分の気持ちを言葉にしてくれるので、僕も素直に正直に自分の気持ちを話すことができました。
角が立たないように良いことを言ったり、綺麗事を言ったり、建前で話してもみんなにとって意味がないので、全て本音で話します。

本音で話すことに対する躊躇みたいなものは一切感じることはなかったのですが、これは「素直にネガティブな気持ちを話したとしても、もしかすると一時的に不安な気持ちを増やしてしまうかもしれないけどそれでもきっとみんなは大丈夫だろう」と思える信頼関係が前提にあるということにも気づきました。

退職ダイアログを経た後の気持ち

退職ダイアログの中でネガティブなことも含めて色々と話す中で全体の空気が暗くなってしまう時もあったのですが、各々がそんなネガティブも含めて咀嚼をし、最後には「気持ちを切り替えてここからまた全力で頑張ろう」ということを話してくれたメンバーが多々いました。

すごく意外だったというか、頼もしくて嬉しかったです。
また「意外だった」という気持ちはつまり、自分の影響力を過大評価しすぎていたり、みんなのことを過小評価しすぎてしまっていたことでもあるなとも思い恥ずかしい気持ちになりました。

それぞれ個人に強さがあることに加えてチームとしても強さがあると感じ、それなら僕なんかが1人欠けたとしても上手くやっていけるのは当然です。
そういった個人やチーム全体としての強いレジリエンスを感じさせられました。

それに加えて、自分のこれまでのチームに対する貢献や強みについても新たに認識することができ、最終的にはみんなにポジティブに送り出してもらったような気持ちになりました。

「退職」への向き合い方

この記事では、退職ダイアログの紹介を通してLAPRAS社が退職に対してどのように向き合っているかを紹介させていただきました。

一般的にはこのように退職の詳細について社内で前向きに話されることはあまり無いと思いますし、もしかすると避けられがちな話題かもしれません。
LARPAS社のような取り組みを実践するのは難しいと思うのですが、退職への向き合い方やメンバー間のコミュニケーション次第でチームと退職者双方にとってポジティブな影響を与える場を作ることができる、ということを両方の立場を経験した当事者として感じました。

この記事が皆さんの会社・チームや、自分が退職をする際にどのように「退職」に向き合っているかについて考えるきっかけになれば幸いです。

最後に

会社のアドベントカレンダーのしかも1日目の記事に自分の退職について記事を書くことなど流石にロックすぎるため躊躇したのですが、「退職ダイアログでの体験がすごく良かったので記事にしようかなー」と試しに開発チームの皆さんに聞いてみたところ賛同して後押ししてくれたので書くことにしました。
(みんな本当にありがとう!)

退職ダイアログは残るメンバーとしても退職者側としても素晴らしい取り組みだと思いますが、退職の時にこういったコミュニケーションができる関係性が作れている組織は本当に限られているんだろうなとも思います。
人同士の関係性が良ければできるというものではなくて、こういった一般的にはネガティブな材料も自分たちを高めるために利用していこうという前向きな姿勢が根付いている必要があると思います。その上に日々の小さな信頼関係の積み重ねがあるからこそできることであって、一朝一夕に作られるものではありません。
ただの馴れ合いではなく、耳が痛い厳しいことをお互いに指摘し合うこともあり、その指摘を真摯に受け止めて行動に移すことや、その結果チームに対してポジティブな変化を起こすことを繰り返して、少しづつ関係が強化されていきます。
rockyさんを始めとして、個々がより良い健全なチーム作りへの意識と日々の努力と貢献を続けてきてくれたからこそ今のチームがあります。

そんな強い信頼関係のチームを作っていくことにわずかながら自分も貢献できたこと、素晴らしいチームでみんなと一緒に働けたこと、僕の人生の中での貴重な経験であり誇りでもあります。

まだまだこの先もずっと仕事をし続けていくわけですが、LAPRAS社で得た経験を糧にして今後のキャリアを歩んでいこうと思います。

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