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採用活動のヘルスチェックを行う6つの問い

2024/10/23に公開

自己紹介 & はじめに
自分はHRのフリーランスでベンチャー企業を中心に参画しています。
多くはこれから採用を始める、採用を始めたがうまくいかない、と言うフェーズの企業から相談を頂いています。(余談ですが参考まで、担当領域はエンジニア採用が多いです)

前職以前の経験も含めてハンズオンで活動する中で得られた、採用活動の状況を把握するために使用している観点を質問形式にして6つにまとめてみました。

採用活動のヘルスチェックを行う6つの問い

  1. 採用でベンチマークしている企業はあるか?また、その企業が成功した方法を自社で真似れば成果は出るか?
  2. 行動量を倍にしたら採用は成功するか?
  3. いま応募はどのくらいあるか
  4. 市況感は最新にアップデートできているか?(数年前の情報で判断をしていないか)
  5. 自社の強みであり魅力であることを一言で言うとどんな表現になるか?また、それはメンバーの入社理由と一致しているか。
  6. 経緯や社内要因を一旦忘れて、以上の回答を整理して得られる課題は何か?その改善する上でのボトルネックは何か?

以上の質問だけでざっと答えを書いてレビューしてみても良いですし、以下の補足を読みながら書いてみても良いように作りました。やりやすい方でやってみてください。

1. 採用でベンチマークしている企業はあるか?また、その企業が成功した方法を自社で真似れば成果は出るか?

最初の問いについては、むしろベンチマークがない、真似ても成果が出ない方がよいです。

と言うのも、会社規模や資金状況、事業、在籍しているメンバーの傾向が異なる状況において、ほとんどが他社の真似をしたら成功する方法はかなり普遍的なものか、真似る難易度が非常に高いか、気のせいかのいずれかであるからと考えます。
この観点を踏まえて「他社の方法を真似ればうまく行くはず」と確信してしまっている場合、むしろ状況が見えていない可能性が高いです。
もしそのように考えているなら、一度その確信を疑ってみてください。それでも揺るがない場合、真似る難易度が高くないかをチェックしてみてください。もしかすると真似さえすればよいと言う特殊でラッキーな環境にあるかもしれません。

2. 行動量を倍にしたら採用は成功するか?

YESの場合

一応、批判的に検証することをお勧めしたいですが、やはりそうなら、おめでとうございます、では...やるだけですね。
他のチームのメンバーを巻き込んで、いわゆるスクラム採用をする方法もあります。業務委託や代行のサービスと契約をして単純工数の削減に努めることもより早い採用成功に向かえますね。
"批判的に検証する"については、採用要件、魅力づけと伝達、働く環境、報酬水準、選考方法・基準が全て問題ないと言うことになりますので、なかなかそういう状況は無いためです。

NOの場合

いや〜そうですよね、ほとんどの状況でそうだと思います。
かつ、外部の支援企業や業務委託との締結を考えている場合は一旦待って、別の根本的な問題を現在の体制で解決できないかを冷静に考えてみてください。やるとしても基本は現体制を圧迫する工数を削減し、戦略設計や組織内の課題解決を期待する目的で行うべきです。それができるかをよく検証することをお勧めします。

3. いま応募はどのくらいあるか

多少は来ている場合:併願される競合他社はどこで、自社は競合他社に勝てるか?

競合他社に勝てるのであれば問題ないことが自明で、この記事読まないと思いますので、勝てない場合のことに触れます。
勝てない場合は一般的に「採用したいターゲットに対して魅力づけが難しい/できない」状況が想像されます。事業内容・状況、一緒に働くメンバー、報酬水準など。変更できるレバーは報酬水準、働く環境あたりに限られているのでまずそこが変更可能かの検証をお勧めします。
さらに変更が難しい結論が出てしまった場合、要件の修正を行う必要が出てきます。既存の求人から役割で分割して2名の募集にしたり、外部委託との組み合わせで検討したり。

どれも難しい場合、今の内定承諾率は変わらないことになるので、採用人数を増やすために応募を増やさないといけないことになりますが、そこで追加の問いが生じます。「そもそもその人口がいるのか」「募集側にどれだけ予算をかけられるのか」など。推定に時間をかけたり、経営との調整がネクストアクションになります。

そもそも無い場合:採用したいターゲットがどこにいるのか、どんな会社に転職していくかのデータは持っているか?個人名は挙げられるか?また、その人はなぜ自社に転職してくれないのか?

実名でなくてもスカウトサービスの検索条件でど真ん中の人が見つけられるかどうかでも構いません。
この問いに明確に回答できない場合、募集の定義がかなり曖昧になっているか、市場環境の把握が大きく不足している可能性があります。
また、よくある例示として業界トップクラスのスーパーマンを挙がることもありますが、自社がよほど魅力的でない場合は効力が得られないことに注意してください。ウルトラCの目標としては良いと思います。
(募集の定義が曖昧な問題についてはテーマとして大きすぎるので別記事で触れますが、まず希望としての求人を作成し、他社の人事や人材紹介企業、採用サービス系の担当者と会話してどの要件がクリティカルに難易度を上げているかのヒアリングから始めるのがシンプルかと思います)

良くある「XXX社の人を採用したい」が見えている場合、その会社の人をGoogle検索でもBizreachでも検索すればキャリアがわかりますので、どの会社から来ているのか/どの会社へ行ってるかなどの情報を集めることができます。次にその会社の人がなぜ他社に行くのか?なぜ自社に来ないのか?を考え、現実的な求人となっているかをチェックしてください。

4. 市況感は最新にアップデートできているか?(数年前の情報で判断をしていないか)

意外と数年前の経験を元に意思決定をしている場合もあるので注意してみてください。
採用担当本人の認識もそうですし、意思決定者の認識も、発言や例示に注目して根拠を確認する必要があります。
例えばソフトウェアエンジニアの求人は1年で報酬のボリュームゾーンが50-100万ほど上がったことがありました。そこまでボラティリティーが大きいケースは珍しいですが、1年でも市況が変わることは全然あります。

5. 自社の強みであり魅力であることを一言で言うとどんな表現になるか?また、それはメンバーの入社理由と一致しているか。

一言で表現できることが重要です。色々あると思いますが色々あっても伝わるのは少数ですので、"強いて言うならこの幾つか"と言うところまで絞って、それが入社メンバーの決定的な要因かをヒアリングするとよさそうです。

記事の都合上さらっとしか触れていませんが、自社の訴求の分析は採用活動の成功可否を決める重要なポイントの一つです。詳細はトラックレコード社のN1採用キットを試してみて下さい。(かなり網羅的な内容なので少し重たいですが、それだけのインパクトはあると思います)

6. 経緯や社内要因を一旦忘れて、以上の回答を整理して得られる課題は何か?その改善する上でのボトルネックは何か?

以上の5つの質問を通して、1.認知バイアスの有無、2.行動量での解決可能性、3.応募状況の質的な理解、4.市況感の理解の確認、5.自社の訴求力の確認、の回答が出揃いました。
これらの回答を元に、色々事情があるとは思いますが、一旦全部すっ飛ばしてボトルネックを認識してみてください。
例えば"採用ができない→魅力が伝わっていない→広報強化"といった一本道ではなく、これらの観点を踏まえると新しいアプローチや、現在のアプローチのもっともらしさが多少は見えてくるのではないでしょうか。
多くは数週間で変えられるものではなく、数ヶ月単位で時間がかかるものだと思います。時間はかかりますが中長期的な採用活動の成功、組織と事業の成功のために、早期から少しずつステークホルダーの認識を変えていく必要があります。そしてそれができるのは、最新の外部環境を把握していて、採用に時間をかけているこの読者の方しかいないことがあります。陰ながら応援申し上げます。

さいごに

よくある状況として「課題は別のところにあるが戦略設計の時間がないので工数問題として表出する」「自社の高い採用要件と市況のズレを認識しながらも会話の材料が作れていない」などの問題に対応できるように作成してみました。
宜しければ使いやすい/使いづらいなどフィードバックを頂けると嬉しいです!
ありがとうございました。

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