【コラム】エンジニアを取り巻く契約。SESって何?
概要
エンジニアをとりまく一般的な「契約」についてまとめてみようと思います。
修正 2022/04/12
派遣契約の雇用関係の記載に誤りがあったので修正しました。
派遣契約
猶予期間込みで2018年までは特定派遣という形態が存在しましたが、
法改正による廃止により、今は一般派遣のみです。
契約上は事務派遣、秘書派遣等の通常の派遣と同じになります。
派遣元として一般派遣を行うには「労働者派遣事業の許可」が必要です。
通常、以下のような流れです
- エンジニア→→(紹介依頼)→→派遣元企業→→(人材斡旋)→→クライアント
エンジニアは派遣元企業と、一時的、もしくは無期の雇用契約(雇用形態は正社員の場合もある)を交わします。
指示系統
指揮命令は発注者(クライアント)です。
クライアントから直接指示を受けて仕事をします。
責任
成果物に対する責任は負いません。
善管注意義務[1]のみです。
まじめに仕事に取り組んでいれば成果物のミス等に対する責任は問われません。
報酬の捉え方
作業時間に対して報酬が発生します。
基本的には、労働時間分の報酬を請求することが可能です。
請負契約
エンジニアは自分の所属する企業・組織と雇用契約を交わします。
クライアントとの間に雇用の関係はありません。
請負契約には「一括請負契約」と「準委任契約」の2種類があります。
一括請負契約
受託開発、持ち帰り案件と言ったりします。
基本的には自社内で開発を行うことが多いです。
指示系統
指揮命令は受託者(所属組織の人間)になります。
いわゆる同じプロジェクトに参画している自社の上司やリーダです。
責任
成果物に対する責任を負います。
仕事の完成が契約の達成条件となるため、
成果物を納期を守って納品する義務が発生します。
また、契約の締結次第ですが
納品後どの程度の期間まで責任を負うかという瑕疵担保責任も合わせて発生します。
もちろん、受託者は善管注意義務も負います。
報酬の捉え方
仕事の完成に対して報酬が発生します。
具体的には主に成果物の納品などです。
クライアント側で、その納品をもって仕事の完了を判断する確認作業を「検証/検収」と言ったります。
準委任契約(SES:System Engineering Service)
世の中賛否ありますが、おそらく契約の数だけで言えば
業界で一番多いと思われるエンジニアの契約形態です。
クライアント先に常駐することがほとんどです。
最近はコロナの影響もありSESだけど在宅勤務という人も増えています。
指示系統
指揮命令は受託者(所属組織の人間)になります。
クライアントはやってほしい仕事内容を自社の代表となる人に伝えます。
その後は如何に仕事を達成するかについてはクライアントは言及できる立場にありません。
そのため、指示の流れはシンプルに表現すると以下のパターンのどちらかになります。
- クライアント→自社の代表者→自社のメンバ(自分)
- クライアント→自社の代表者(自分)
クライアントと自社の間に別の会社を契約上挟んでいる場合は
(ほとんどそうだと思いますが、、)
それだけ指示の流れがめんどくさい感じになります。
例えば会社Aと会社Bが契約上、間に存在する場合以下のようになります。
- クライアント→会社Aの代表者→会社Bの代表者→自社の代表者→自社のメンバ(自分)
偽装請負
よく耳にする偽装請負とはここで直接クライアントから指示を受けて
派遣契約のように仕事をすることです。
責任
準委任契約が一括請負と異なる部分がここです。
成果物に対する責任は負いません。
善管注意義務のみです。
報酬の捉え方
作業時間に対して報酬が発生します。
ただし、契約によっては「精算幅140h〜160hまで」などの基準時間が設けられ、
基準の下限を下回れば時給換算で減額支払いとなり、
上限を上回れば増額支払いとなるケースが多いです。
また、月額固定額での契約もあります。
超過労働する程に受託者は金額がわりに合わなくなるため、
月額固定の方が若干高めに設定されることが多いように思います。
最近の契約
レベニューシェア型契約
請負の新しい形。
発注側と受注側が、発生した利益を、あらかじめ決めておいた配分率で分け合う契約。
開発時は無報酬や低報酬のような相場より低い報酬で請負います。
開発後のサービスインした状態により発生した利益の一部を受注側が定常的に受け取ります。
例えば、「月の利益の5%を毎月受け取る」など。
レベニューシェアの特徴は開発コストが低く抑えられることで、
キャッシュの流出を低くしてリスクを低減したい
スタートアップ企業などで選択されることが多い印象です。
最後に
以上、一般的な契約についてまとめてみました。
なんだか煩雑なような気もしますが、誰かの理解の助けになれば幸いです。
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善良な管理者の注意義務
業務を委任された人の職業や専門家としての能力、
社会的地位などから考えて通常期待される注意義務のこと。
注意義務を怠り、履行遅滞・不完全履行・履行不能などに至る場合は
民法上過失があると見なされ、状況に応じて損害賠償や契約解除などが可能。 ↩︎
chameleonmeme.com/ きっかけは、偶然同じ現場で働いていたエンジニア3人の 「もっと仕事にのめり込んだり、熱中したいよね」という雑談でした。 営業から開発、サービスの提供まですべての工程を自分たちの手で行い、 気の合う仲間と楽しく仕事をすることで熱中するためにチームをスタートしました。
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