Google Agent Development Kit (ADK)
AIエージェントの開発が一般的になってきており、様々なエージェントが開発されてきています。
それに伴い各社のSDKが整備され始めています。
その中でも、現在最も使われており、今後も開発の中心となりそうなのでGoogle社のものです。
この記事ではGooleAgentDevelopmentKit、通称ADKについて解説します。
Google Agent Development Kit (ADK) とは?
Google Agent Development Kit (ADK) は、Googleが提供するPython用のAIエージェント開発フレームワークです。複雑なAIエージェントを効率的に構築・デプロイするためのツールセットとして、2024年に正式リリースされました。
🎯 ADKが解決する課題
従来のAIアプリケーション開発では、以下のような課題がありました:
- 複雑な統合作業: 複数のAIモデルやAPIを組み合わせる際の煩雑な実装
- スケーラビリティの問題: エージェントの機能拡張時の設計の複雑化
- デプロイメントの困難: 本番環境への展開とメンテナンスの負担
- マルチエージェント協調: 複数のエージェントが連携するシステムの構築難易度
ADKは、これらの課題を解決し、開発者がビジネスロジックに集中できる環境を提供します。
🚀 ADKを使う5つの利点
1. 迅速な開発サイクル
ADKを使用することで、従来数百行のコードが必要だった複雑な実装を、数十行程度にまで削減できます。
例えば以下のような機能が簡単に実装可能です:
- エージェントの基本設定(名前、使用するモデル、機能など)
- 外部APIとの連携(ウェブ検索、データベースアクセスなど)
- エラーハンドリングと状態管理
- ユーザーとの対話機能
ADKが提供する直感的なAPIとツールセットにより、開発者は複雑な実装の詳細を気にすることなく、ビジネスロジックの実装に集中できます。これにより、開発時間を大幅に短縮し、迅速なプロトタイピングとイテレーションが可能になります。
2. 統一されたアーキテクチャ
- シングルエージェント: 単一機能に特化したエージェント
- マルチエージェント: 複数の専門エージェントが協調するシステム
- ワークフロー型: 定義された手順に従って処理を実行
- 会話型: ユーザーとの対話を通じて動的に処理
3. 豊富なGoogleサービス統合
- Vertex AI: Geminiモデルとの seamless な統合
- BigQuery: 大規模データ分析の組み込み
- Google Search: リアルタイム情報取得
- Cloud Run: スケーラブルなデプロイメント
4. プロダクション対応
- 自動スケーリング
- 監視・ログ機能
- セキュリティ機能
- CI/CD パイプライン対応
5. 豊富なサンプルとコミュニティ
- 15+ の実用的なサンプルエージェント
- 業界別テンプレート
- アクティブなコミュニティサポート
📖 ADK概要
ADKは以下の主要コンポーネントで構成されています:
ADKで開発されるすべてのエージェントはBaseAgentクラスが基になっています。
ADKは高度なアプリケーションを構築するために3つエージェントカテゴリを提供します。
1.LLM Agents(LLMAgent)
これはLLMを利用するためのエージェントであり、言語ベースの知的なタスクを実行します。
2.Workflow Agents(SequentialAgent, ParallelAgent, LoopAgent)
このエージェントは、フロー制御自体に LLM を使用せずに、事前に定義された決定論的なパターン (シーケンス、並列、またはループ) で他のエージェントの実行フローを制御するため、予測可能な実行を必要とする構造化プロセスに最適です。
また、マルチエージェントにおいては全体のフローを管理します。
3.Custom Agents
標準エージェントではカバーされていない独自のロジックや特殊なインテグレーションを実装できるため高度なアプリケーションを構築することができる。
どのエージェントカテゴリの利用すれば良いかのおおまかな指針は下記の通りです。
特徴 | LLMエージェント(LlmAgent) | ワークフローエージェント | カスタムエージェント(BaseAgentサブクラス) |
---|---|---|---|
主な機能 | 推論、生成、ツールの使用 | エージェント実行フローの制御 | 独自のロジック/統合の実装 |
コアエンジン | 大規模言語モデル(LLM) | 定義済みロジック(シーケンス、並列、ループ) | カスタムコード |
決定論 | 非決定論的(柔軟) | 決定論的(予測可能) | 実装に応じてどちらでも可能 |
主な用途 | 言語課題、動的意思決定 | 構造化されたプロセス、オーケストレーション | カスタマイズされた要件、特定のワークフロー |
それぞれのエージェントは個別の目的のために開発されますが、それらのエージェントを組み合わせることで本当の価値を発揮します。複雑なアプリケーションではよくマルチエージェントシステムが採用されます。
🏗️ 核となる概念とコンポーネント
ADKは以下の重要な概念を中心に構築されています
1. Agent(エージェント)
エージェントはLLMを利用することで複雑な推論の実行や、ワークフローエージェントと呼ばれる決定論的な実行制御を行うことができます。
2. Tool(ツール)
エージェントに会話以上の能力を提供し、外部API、情報検索、コード実行、他のサービス呼び出しを可能にします。
3. Callbacks(コールバック)
エージェントのプロセスの特定のポイントで実行されるカスタムコードスニペット。チェック、ログ記録、動作の修正を可能にします。
4. Session Management(セッション管理)
- Session: 単一の会話のコンテキスト
- State: その会話でのエージェントの作業メモリ
- Events: 会話履歴
5. Memory(メモリ)
複数のセッションにわたってユーザーに関する情報を記憶し、長期的なコンテキストを提供します。
6. Artifact Management(アーティファクト管理)
セッションやユーザーに関連するファイルやバイナリデータ(画像、PDFなど)の保存、読み込み、管理を可能にします。
7. Code Execution(コード実行)
エージェントが(通常はツール経由で)コードを生成・実行し、複雑な計算やアクションを実行する能力。
8. Planning(プランニング)
複雑な目標をより小さなステップに分解し、ReActプランナーのようにそれらを達成する方法を計画する高度な機能。
9. Models(モデル)
LlmAgent
を動かす基盤となるLLM。推論と言語理解能力を提供します。
10. Event(イベント)
セッション中に発生することを表す基本的な通信単位(ユーザーメッセージ、エージェント応答、ツール使用)。
11. Runner(ランナー)
実行フローを管理し、イベントに基づいてエージェントのインタラクションをオーケストレーションし、バックエンドサービスと調整するエンジン。

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