KeychronキーキャップはKailh Choc V1スイッチで使えるのか?
動機
mc2s lp は、自分の手に合わせてカスタマイズ可能な、カラムスタッガード キーボードです。
さらに、究極の小ささ、薄さを兼ね備えています。
上記キットが再販された。
「究極の小ささ、薄さ」を謳うだけあり、スイッチには広く入手できる中では最薄のKailh Choc V1スイッチ(以下Chocスイッチ)を採用、キーピッチもスイッチ同士がギリギリ干渉しない、16×16mmまで切り詰めてある。
しかし代償として、適合するキーキャップがごく少ない。
というか
現時点で、ロープロファイルの挟ピッチ用キーキャップは、既製品では存在しません。
DMM.make のクリエイターズマーケットに、キーキャップをご用意しています。
(ビルドガイド)
というわけで、まあ既製品というか量産品というか、とにかく一般的に市場に流通している製品自体が存在しない。
ビルドガイドに記載されている同作者製キーキャップを含め、DMMクリエイターズマーケットで販売されている、16mmピッチに対応するChocキーキャップとしては以下のものがある。
- Choc 向け 挟ピッチ16mm 薄型キーキャップ(50個) - DMM.make クリエイターズマーケット - 1273303
- 薙刀式3Dキーキャップ【choc】【狭ピッチ16mm用】標準54個セット - DMM.make クリエイターズマーケット - 1136652
- YKNキーキャップセット(Chocスイッチ 16x16mmキーピッチ用) v1.2 - DMM.make クリエイターズマーケット - 1280053
- OYKキーキャップセット(Chocスイッチ 16x16mmキーピッチ用) - DMM.make クリエイターズマーケット - 1280056
存在しているだけでありがたいことだが、3Dプリント製のキーキャップにはまだ問題も多い。
- 精度が悪い
- そもそもキーキャップというモノ自体が細かすぎて、注文時に「破損するかもよ」という確認メールが届く
- 実際ステムにはまらなかったり抜けたりする
- DMMクリエイターズマーケットは検品を作者ではなくDMM側が行うので、徹底度には必ずしも信頼が置けない
- 触感が悪い
- ザラザラ、デコボコ
- まあこれは自分でヤスリがけ&ワックスがけすればなんとかなることではある
- 皮脂に弱い
- 当然材質によるが、上記アイテムの素材・種類として選択できるMJF及びナイロンはどちらもナイロン系樹脂で、吸水性も吸油性もめちゃくちゃ高いので、めちゃくちゃ汚れる
- これもワックスで防げるっぽいが、表面のコーティングではなく「先に油脂を吸わせておく」という対策なので完璧とはいかない
- じゃあコーティングしたらどうなるのってすごく気になるのだが、適用例は寡聞にして知らない。何を塗ったらいいのかもわからない
- 高い
- えぐい
- こないだDMMクリエイターズマーケット全体が値上げしてしまったのでさらにドン
当たり前だが、大量生産の射出成形には敵わない部分も多い。そこまでして2mmとか1mmとか縮めたいかあ?と言われると、即座に頷けない人も多いはずだ。
そこで、以前から代用品として着目していたものがある。Keychronキーキャップだ。
Twitterを見ると、KeychronのキーキャップをChocのキーボードに嵌めて使用している例をいくつか見つけることができる。そして、16×16mmピッチらしい。
よく見たら全部同じ人だなこれ。
いいじゃないか、それ欲しい。
Keychronとは
こんな記事読んでるんだからご存じの方も多かろうが、Keychronはシャレオツな感じのメカニカルキーボードを、お求めやすい価格で提供して近年人気のキーボードメーカーである。
早速、公式サイトからロープロファイルの製品を探してみる。
JISキーボードはラインナップが完全でないので、USキーボードから探す。
ふむふむ
- Keychron K1 Wireless Mechanical Keyboard – KeychronJP | Mac、Windows、電話用のワイヤレスメカニカルキーボード
- Keychron K1 SEワイヤレスメカニカルキーボード(バージョン5) – KeychronJP | Mac、Windows、電話用のワイヤレスメカニカルキーボード
- Keychron K3超薄型ワイヤレスメカニカルキーボード(バージョン2) – KeychronJP | Mac、Windows、電話用のワイヤレスメカニカルキーボード
- Keychron K3 ノンバックライト ウルトラスリム ワイヤレスメカニカルキーボード(バージョン2) – KeychronJP | Mac、Windows、電話用のワイヤレスメカニカルキーボード
- Keychron K7 ウルトラスリム ワイヤレス メカニカル キーボード – KeychronJP | Mac、Windows、電話用のワイヤレスメカニカルキーボード
- Keychron K5 ウルトラスリム ワイヤレス メカニカル キーボード – KeychronJP | Mac、Windows、電話用のワイヤレスメカニカルキーボード
これらか、交換用キーキャップセットでも変えば良さそうに思えたのだが、ここで話がややこしくなる。
どう見ても、画像に写っているスイッチがChoc V1と形が違うのだ。
スイッチが違う?
どうやら、Gateron Low Profile 2.0または互換品のスイッチっぽい。Kailh Choc V1と異なり、キーキャップはCherry MX互換となっている。
そして、交換部品としてスイッチのみの販売も行っているのだが
- ロープロファイル Keychron 光学式スイッチセット - 87 Pcs – KeychronJP | Mac、Windows、電話用のワイヤレスメカニカルキーボード
- ロープロファイル Gateron メカニカルスイッチセット – KeychronJP | Mac、Windows、電話用のワイヤレスメカニカルキーボード
- Gateronロープロファイルスイッチセット – KeychronJP | Mac、Windows、電話用のワイヤレスメカニカルキーボード
1及び2は上記ページに掲載されているものと同系統であり、3だけが本稿で取り扱うChoc V1スイッチと同系統と思われる。
そして、3から「対応キーボード」としてリンクされているのが以下のものだ。
なんとJISレイアウトである。そして製品名(とURL)はバージョン4となっている。USレイアウトの方はバージョン5だ。
つまり、K1のバージョン5からChoc V2互換のスイッチに変更されているのだ。
(JISレイアウトのバージョン5は製造が遅れている旨をどっかで読んだのだが、記事を見失ってしまった……)
ちなみに、先述のロープロファイル製品の中で、他にK3がバージョンアップされているわけだが、下記記事の時期からして初期バージョンからChoc V2互換だったと思われる。
つまり、Choc V1互換のKeychronは、バージョン4までのK1のみだということになる。
では、バージョン4以前のK1に適合するキーキャップが販売されているのかというと……
完売である。キーボード本体もだ。
ちなみに、Keychronの国内販売代理店であるKOPEK JAPANのウェブサイト
では、K1紹介ページの一部でChoc V1互換の画像が掲載されているのだが、ホットスワップ動画はChoc V2互換だし、バージョンも5なので旧バージョンの画像をそのまんま使ってる不届きなだけだと思われる。
というわけで、正規ルートでの入手は詰んでしまったので、この記事は終わりだ。
メルカリ等で入手する場合は、必ずバージョンを確認することを勧める。
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