プロダクトの価値を高めるための近道はプロダクトの減点をなくすこと
はじめに
プロダクト開発において、新機能の追加や革新的なデザインは常に注目を集めます。
しかし、時にはプロダクトの基本的な欠陥がその全体的な価値を大きく下げてしまうことがあります。
たとえば、モバイル対応していないウェブサイトは、どれだけ魅力的なコンテンツを持っていても、ユーザ体験を大きく損ないます。
新しい機能をリリースして +1
や +2
の加点を積み重ねたとしても、 −50
点の減点を放置することはプロダクトの価値を下げてしまうということです。
このような「減点要素」
の特定と優先順位付けは、品質改善への重要な一歩です。
この記事ではプロダクトの欠点や不足点を特定し、それを解消することに重点を置く 5 つのプロセスについて解説します。
1.減点要素の特定する
まずはプロダクトの減点要素を効果的に特定するプロセスについて解説します。
方法としては、市場調査
、顧客フィードバック
、競合分析
などを通じて、プロダクトの不足点を明確にします。
とくにプロダクトの類似機能が世の中に広く浸透していて使われている場合は、それらを分析することで減点要素を効果的に特定できるかと思います。
また、アンケートや問い合わせによる顧客からの直接的なフィードバックは、見過ごされがちな問題点を浮き彫りにするのに役立ちます。
例:チャットアプリの場合
多くの人が真っ先に思い浮かべるチャットアプリとして LINE
がありますが、
そういった多くの人にすでに使われているデファクトスタンダードなプロダクトを参考にして、自らのプロダクトの改善点を探ることは有効なアプローチです。
LINE
の主要な機能としては、テキストの入力、画像や動画のアップロードと送信、スタンプ機能、複数人でのグループチャット、音声通話機能などがあります。
これらの機能を自社のプロダクトと比較し、実際に何を取り入れるべきかを検討します。
自社プロダクトの目的と顧客ニーズに合わせて、必要な機能を選択し、追加していくことが重要です。
2.減点要素の優先順位付けする
減点要素を特定したら、次はそれらの優先順位を決めていきます。
ここで重要なのは、顧客の不満度
やプロダクトの使用頻度
、ビジネスへの影響度
などを考慮することです。
もっとも顧客の不満度が高い項目や、市場での競争力を低下させるクリティカルな要素などを優先して対処するのが良いと思います。
3.減点要素の解消する
減点要素の優先順位をしたら次は減点要素の解消に取り組みます。
これは、プロダクトが持つ潜在的な問題を根本から解決するプロセスとなります。
具体的な方法ですが、技術的な改善
、デザインの更新
、UI/UX
の最適化などが挙げられます。
減点要素の解消においてとくに重要なのは、
これらの変更が顧客ニーズと期待に合致しているかということを意識して考えることです。
ではここで、私自身が今までにプロダクトに関わってきた中での実例を 1 つ挙げてみようと思います。
ある時、ユーザからしばしば画面が見ずらいというフィードバックをもらうことがありました。
調査してみたところプロダクトのイメージカラーが、ユーザがオフィスで作業する際に、
広く普及している蛍光灯の色との相性が悪く視認性を損ねてしまっていることが分かりました。
この問題に対処するため、ユーザの年齢層や表現の仕方などのブランディングの見直しを行い、
プロダクトのイメージカラーをもう少し明暗のはっきりした色に変更したところ、
ユーザからは「格段に見やすくなった」
という声を多数いただきました。
4.プロダクトの全体的な価値を再評価する
減点要素が解消された後、プロダクトの全体的な価値を再評価します。
このタイミングは、改善された機能や性能を通じて、顧客に対して新たな体験と価値を提供できるチャンス
です。
改善されたプロダクトの特徴を際立たせ、既存顧客と新規顧客に向けてそのメリットを明確に伝えていきましょう。
具体的にはプロダクト内でのニュース通知
や、SNS
、メールマーケティング
、PR活動
などを通じて、
プロダクトの新たな価値を積極的にアピールします。
この段階でもし可能であれば、プロダクトのセールスポイントや市場でのポジショニングを見直しても良いかもしれません。
5.継続的な改善と顧客のフィードバックを確認する
減点要素の解消は継続的なプロセスです。
1 に戻りますが、市場の動向や顧客のフィードバックに耳を傾け、必要に応じてさらなる改善を行なっていきましょう。
顧客の満足度を高めて、プロダクトのライフサイクルを通じてその価値を維持、あるいは向上させることが大切です。
まとめ
減点要素の解消とプロダクト価値の再評価は、プロダクトの価値を高めるための近道です。
減点要素が無くなればプロダクトはポテンシャルを発揮して、顧客に対してバリューを届けやすくなることによって、
より選ばれるプロダクトになっていきます。
色々と書きましたが、品質の向上は一時的な取り組みではないということ、
継続的な努力と革新によって日々積み重ねていくものだということを忘れずに取り組んでいくことが大事です。
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