『マスタリングTCP/IP 入門編 第6版』の感想

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はじめに

私はこの本を手に取った時点でエンジニア歴2年ほどです。
これまで主にアプリケーション開発(フロント・バックエンド)に携わってきましたが、学習という面では主にコードを書くことに重きを置いて学習してきており、「なぜWebアプリが動くのか」「通信の裏で何が起きているのか」については深く理解できていませんでした。

この記事ではそんな自分がなぜ『マスタリングTCP/IP 入門編』を手に取ったのかと、その内容についてまとめています。
マスタリングTCP/IP 入門編 第6版(オーム社)

なぜこの本を手に取ったのか

Webアプリを“仕組みから理解したい”と思った

HTTPやHTTPSといったプロトコルの名前は知っていても、その下でどんな通信が行われているかは、これまで意識したことがありませんでした。
「リクエストを送ればレスポンスが返る」──
その“当たり前”の裏側で、TCPやIPがどんな役割を果たしているのかを理解したいと思ったのがきっかけです。

特に本書では、OSI参照モデルとTCP/IPモデルの関係が丁寧に整理されており、
「アプリケーションが動く」という現象を、階層構造で説明できるようになる点に惹かれました。

今後の成長に不可欠な基礎だと感じた

AWS,Dockerといった技術を学ぶ中で、 サブネットやVPC、ルーティングといったネットワーク知識が前提になっていることを実感しました。
TCP/IPはどんな技術スタックでも避けられない“共通言語”であり、 ここを理解しておくことで、インフラやクラウド領域にもスムーズに踏み込めると感じました。

自分の知識の“穴”を埋めるために

エンジニアとして2年目、ある程度コードは書けるようになったものの、 ネットワーク層の理解はずっと後回しになっていました。
だからこそ、今のタイミングで「基礎から体系的に学ぶ」ことに価値があると思いました。

『マスタリングTCP/IP 入門編』は、
単に通信の仕組みを説明するだけでなく、“なぜそうなっているのか”を理解できる構成で、初学者にも非常に親切に感じました。

“動かす”から“説明できる”エンジニアへ

最終的な目標は、
「アプリが動く理由」「通信が止まる原因」を構造的に説明できるエンジニアになること。
TCP/IPを理解することは、単なるネットワークの勉強ではなく、技術を再現性を持って語れる力を身につけるための第一歩だと思っています。

内容について

以降では、初学者の自分でも特に理解が深まったと感じたポイントをまとめます

1. OSI参照モデルを「ガイドライン」として捉える

最初に印象的だったのは、
「**OSI参照モデルはプロトコルの設計や勉強のための“モデル”**である」という視点でした。
物理層、データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層の7階層の機能を理解することで個々のプロトコルの位置づけや役割を理解することができるとのことでした。
この本では“通信を階層に分ける理由”を図や表も散りばめながら具体的な例で説明しており、理解が整理されました。

2. IPアドレス=ネットワーク層の住所

「IPアドレスは人の住所のようなもの」とよく言われますが、
本書ではそのたとえを一歩深掘りし、“ネットワーク的にどの経路で届くか”を示すものと説明していました。
特に経路制御のために当初のクラス制からサブネットマスク/CIDRが導入された理由やその内容がとても良く理解できました。

3. DNS・DHCPなど“アプリケーション層の裏側”も丁寧

単にIPやTCPの話だけでなく、
**名前解決(DNS)やIP自動割り当て(DHCP)**など、
アプリ層で起きていることを“通信の流れ”で理解できたのが良かったです。
業務でWebアプリを扱う際、どこで何が起きているかを把握しやすくなりました。

4. IPv6への理解がスムーズに

最後の章のIPv6解説は非常にコンパクトながら要点がまとまっていて、
「アドレス枯渇問題」「NATとの違い」など、なぜIPv6が必要かを理解できました。
単に“次世代のIP”ではなく、インターネットの拡張性を支える仕組みであると感じました。

こんな人におすすめ

  • ネットワークを体系的に学びたいエンジニア
  • アプリ側からインフラ理解を深めたい人
  • AWSやDockerを触る中で「通信の仕組み」をちゃんと理解したい人

おわりに

『マスタリングTCP/IP』は初学者にとっては少し硬い部分もありますが、
一度通読するとクラウドやセキュリティの理解にも直結してくるのではと思います。
まだまだ理解しきれていない部分も多いので、都度再読しつつ自分の理解を実践で確かめていくつもりです。

💬 同書を読んだ方の「ここが難しかった」「ここが良かった」や私の理解が間違っている部分があればぜひコメントで教えてください!

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