Laravel Cloud - リリース直前情報まとめ
はじめに
2025 02/03 ~ 02/04 オランダ アムステルダムで行われているLaracon EU 2025にて、
Laravelの父 Taylor Otwell氏による講演が行われ、以下が発表されました。
- ブランドサイトlaravel.comのリニューアル
- Laravel Breeze, Jetstreamに変わる新しいスターターキット
- Laravel Cloud 最終版
- Laravel 12
※全て2025年2月24(月)にリリース予定
発表された情報の中でも特にインパクトが大きいと感じたLaravel Cloudについて情報をまとめます。
Laravel Cloudとは
Laravelアプリケーションをワンクリックでデプロイできるフルマネージド型デプロイサービス。
GitHubなどのソースコードプロバイダーを連携するだけでWebサービスとして公開できます。
端的にいうとLaravel版Vercelです。
Dashboard
デプロイしているアプリケーションのデプロイ履歴をOrganization(組織)単位、Project単位で確認できます。
コマンドパレット機能があり、プロジェクト間の移動も用意です。
Organization単位
Project単位
コマンドパレット機能
Applicationの作成(デプロイ)
作成画面
デプロイしたいアプリケーションがホスティングされているリポジトリを選択します。
リージョン(地域)を選択できます。現状は以下の4つです(今後追加予定とのこと)
リージョンによる料金差異はなさそうなので、日本からのデプロイの場合はAsia Pacificリージョン(シンガポール)が良いと思われます。
- US East (Ohio)
- EC Central (Frankfurt)
- EU West (London)
- Asia Pacific(Singapore)
アプリケーション詳細画面
視覚的にアプリケーションの構成を確認・変更可能です。
右上のデプロイボタンを押すとデプロイが開始され、完了するとlaravel.cloudドメインが付与されます。
Larvelアプリケーションがインターネットに公開されました🎉
Databaseの追加
Laravel CloudでDBを使用できるようにするにはDatabaseの追加を行う必要があります。
Database追加画面
アプリケーション詳細画面からDatabase追加画面を開けます。
Databaseの種類や名前を設定します
Serverless Postgresが選択されていますが、MySQLも対応予定とのことです。
※ Postgresのバージョンも最新の17にバージョンアップ予定とのこと
Database詳細設定画面
リージョンやHybernation(休止状態)に入るまでの秒数、オートスケール範囲を設定可能です。
※休止状態中は料金がかからないので、個人開発や検証環境では設定推奨かと思います。
休止状態からの復帰(リクエストに応じて自動復帰)も数百ミリ秒とのことです。
Cacheインスタンスの追加
Redis互換のCacheインスタンスも使用可能です。
※ Laravel標準設定のDatabaseでCacheする場合はおそらく不要?
DB GUIクライアントとの統合
DatabaseインスタンスやCacheインスタンスの編集画面のDeeplink機能でTablePlusなどのDBクライアントから自動的に接続可能です。(手動でホスト名とかの設定をしなくてもいい🔥)
Storageの追加
バケット作成画面
S3 互換のオブジェクトストレージ(Cloudflare R2)を追加できます
ディスク名設定画面
Laravel アプリケーションで使用するdisk名を設定できます(Storage::disk()で設定する名前)
Laravelに最適化されている🔥
Settings
PHPバージョンやNodeバージョン、環境変数の追加などが設定可能です。
※ DB_CONNECTION
や CACHE_DRIVER
などの追加したサービスを使うための環境変数はLaravel Cloudが自動で設定してくれます。
Commands
コマンドの手動実行も可能です。
これは現在作成しているアプリケーションのレプリカが生成されて実行されるようです。
コマンド実行画面
コマンド実行結果画面
Log
Application logとAccess logを確認できます。
アプリケーションの設定
インスタンスサイズ・オートスケール設定(範囲を指定可能)・Hybernation(休止状態)の設定・スケジューラーの有効化・Octaneの設定が可能です。
Queue Worker
アプリケーションサーバー内で起動する場合
アプリケーション設定画面からNew background processボタンを押下して設定可能です。
Queue Workerの設定画面
php artisan queue:workコマンドに指定可能なオプションを設定可能です。
専用のワーカーサーバーを起動する場合
アプリケーションサーバーとは別にワーカークラスターを構築することも可能です。
アプリケーション詳細画面からAdd worker clusterボタンを押下して追加をできます。
ワーカークラスター設定画面
アプリケーションサーバーと同様に設定可能です。
Metrics
HTTPレスポンスの状況, CPU, メモリ使用率などを確認できます
アプリケーション詳細画面 - コンパクトビュー/詳細ビューの切り替え
アプリケーションの全体像を掴みやすいコンパクトビューにも変更可能です。
詳細ビューでは各インスタンスの詳細な情報を閲覧可能です。
複数環境(ブランチ)でのデプロイ
アプリケーションに対して複数環境を作成可能です。
環境作成画面
ブランチと環境名を設定して環境を作成します。
データベース選択画面
環境に応じて個別にアプリケーションの設定をしますが、別環境で使用しているDB,Cache,Storageを使うことも可能です。
デプロイ完了時画面
デプロイ完了すると新しいドメイン名が付与され、別URLでアクセス可能になります。
同じアプリケーションの本番環境・クライアント確認環境・開発チーム検証環境などを迅速に構築することができます。
カスタムドメインの設定
アプリケーション詳細画面のAdd Domainを押下してカスタムドメインを設定可能です。
カスタムドメイン追加画面
カスタムドメイン名を入力します。
カスタムドメイン詳細設定画面
サブドメインやリダイレクト設定を行えます。
カスタムドメイン設定情報画面
カスタムドメインを追加すると、設定すべきAレコードが表示されるので、DNSサーバーに設定を行うと、Laravel Cloudを使いつつカスタムドメインでアプリケーションを公開できます。
費用
3つのプランが用意されています。
- Sandbox
- Production
- Bussiness and Enterprise
Sandboxプラン
1アカウント3ユーザーまで
月額料金
無料
使用したリソースにのみ料金が発生する。
従量課金
以下日本円換算(1$あたり155円で計算)
リソース | 使用時間あたり料金 | 使用容量あたり料金 |
---|---|---|
APサーバー | 1.04円 / 1時間 | - |
DB | 6.21円 / 1時間 | 232.85円 / 1GB |
Cache | 1.47円 / 1時間 | - |
Storage | - | 3.10円 / 1GB |
※ Hybernation(休止状態)中は料金が発生しません
Production プラン
月額料金 20ドル + 従量課金(使用量に応じた割引あり)
以下の機能が利用可能
- カスタムドメイン
- オートスケーリング
- 大規模なレプリカサイズ
- ログ保持期間の拡張
- 追加の組織ユーザー
Business and Enterpriseプラン
価格については営業担当に要問い合わせ
以下の機能が利用可能
- 無制限のオートスケーリング
- 専用コンピュート
- 高度なネットワーク機能
- 複数製品間の割引
- SOC 2(セキュリティ基準への準拠)
- サポートSLA(サービス品質保証)
リリース予定日
2025年2月24(月)
所感
Laracon US 2024 での発表から半年、とうとうリリースされますね。
今までは個人開発Webアプリをデプロイする際、仮想マシンのNginxの設定ファイルをゴニョゴニョして、証明書発行して設定して、GitHub Actionsにデプロイ用のワークフローを書いて、、などいろいろやっていたのですが、Laravel Cloudを使えば1分で済みそうです🔥
また、コスト面でもHybernation(休止状態)機能を使えばかなり抑えられそうです。
リリースされ次第、試してみようと思います!
参考
Taylor Otwell氏の講演
Laravel Cloud 公式サイト
Discussion