[2025年10月10日] すべてがChatGPTになる? (週刊AI)
こんにちは、Kaiです。
OpenAIのDev Dayが開催されました。Agent Builderが一番の目玉で、次がapps in ChatGPTでしょうか。Agent Builderは早速使ってみましたが、これまでのツールとそこまで大きい差は感じないですね。逆に言えば、もうこれでいいのでは……?という感じもします。Difyやn8nが今後どういう方向性を取るのかも注目したいところです。
そしてapps in ChatGPT(Apps SDK)はいずれ来るだろうと思われていたものですが、やはり目にするとインパクトがありますね。のちほどご紹介する少し過激な記事(フロントエンドは消滅する)もなるほどと思ってしまうくらい、デモ動画は華麗なものでした。
そもそも、私たちは別に(その行為自体が好きな人を除いて)検索したりホテルを比較検討したり描画ツールをゴリゴリ使ったりしたいというわけではなく、「最適な結果」に辿り着くためにやむを得ずツールやサービスを使っているわけです。コンシェルジュサービスはその手間を省くものであって、好みや興味関心を十分に把握した上で、成果物だけお出しされればその方が嬉しいケースがほとんどでしょう。
私はフロントエンドが完全になくなってしまうとまでは思いませんが、Webサービスを立ち上げたとき、まずSEO対策が非常に重要となっていたのと同じくらい、今後はAI(GeminiもClaudeもいずれ追従するでしょうし)最適化が重要になっていくのだとは感じます。スタートアップが画期的かつ極めてAIフレンドリーなサービスを作り、ChatGPT経由であっという間に8億人に使われるサービスに、といったストーリーも今後出てくるのではないでしょうか。
一方、Googleもこういった動きにすぐ反応し、Opalの全世界公開やcomputer-useのGemini版を出してきました。Googleの場合、検索と競合するためApp組み込みはどこまでイノベーションジレンマを克服できるかにかかっていますが、現状のスタンスを見ると追従してくると思います。
それにしても動きが早すぎますので、Big Techは1年先くらいまで公開用のネタを既に開発完了しており、社会的受容や競合の動きを見ながら順次公開しているのでは、と感じます。CodexやGeminiの機能追加スピードを見ても、各社では既にフルリモートのエンジニア(とされる存在)がこっそりGPT-6やGemini3.5などに入れ替わっているのかもしれません。
では今回の冒頭ポエムはここまでにして、今週のトピックスです。
注意事項
- 直近収集したAIおよびWeb系の記事やポストが中心になります
- 私のアンテナに引っかかった順なので、多少古い日付のものを紹介する場合があります
- 業務状況次第でお休みしたり、掲載タイミングが変わったりします
AI新着モデル、サービス、アップデート
OpenAI: Dev Day
ぬこぬこさんのまとめがいつも通り早くて網羅性があるのでこちらでご確認ください。話題はやはりAgent BuilderとApps SDKでしょう。
(Agent Builder所感)Google: OpenAI対抗の自然言語ワークフロー「Opal」全世界公開
既に限定公開されていましたが、OpenAIの発表を受けて即座に対応。
Google: 「Gemini 2.5 Computer Use」のプレビュー版公開
こちらもOpenAI対抗と言って差し支えないでしょう。
Google: 「Gemini Enterprise」発表。データ解析やエージェント構築なども
Workspaceに統合されたものではなく、別のプロダクトです。かなり強力そうですが、それなりのお値段なので全社一括導入はハードルが高いですね……。
その他AI系話題
日本の法令に関する多肢選択式QAデータセット
これはすごい!日本政府がこんなこと出来るとは驚きです。個人的にはデジタル庁よくやってるなぁと思います。
LLMはどのテーブルフォーマットを最もよく理解できるのか?
Markdown-KV形式が最もよく、CSVはビリから2番目で自然言語よりも悪いという結果。しかしながら、トークン効率とのトレードオフがみられ、Markdown-KVはCSVの3倍近くトークンを消費するとのこと。要はメタデータが多い方が理解できるって話なんでしょうね。
MCPツール棚卸しによるClaude Codeのコンテキスト最適化
MCP便利ですが追加すればするほどコンテクストを圧迫。Claude Codeに最近MCPをdisabledにする機能が追加されましたので、活用していきましょう。
MCP のツールアノテーションでユーザーにヒントを提供する
アノテーションはあくまでヒントであり、保証しないためセキュリティ面で利用すべきではない、というのはMCPサーバを立てる際覚えておきたいところ。
AIはどこまでテストができるのか?AIテストエージェントの現在地と課題
素晴らしい内容でした。当社でもコーディングやレビューにエージェントをどんどん使っていますが、テストの自動生成、実施はまだまだという感じです。記事にある通り、Whyを提示できるようにタスクやPRのテンプレート全体を再設計する必要がありますね。
物体検出モデルの推論高速化入門
画像認識系の高度なチューニングの話なので、すぐに使う人は少ないと思いますが知識として。
老いるAI人格育成エンジンを自作する
ずっとAITuberの研究開発をされているさるどらさんの記事。「老い」をシミュレートすることでより人格を感じさせるというアプローチは面白いです。
95%以上をLLMが実装。『みらいまる見え政治資金』を45日で完成させた、AIネイティブな開発手法についてご紹介
「永田町エンジニアチーム」の時点で面白いんですが、出来たプロダクトも立派なものだと思います。全てがこうなることが正しいかという議論はありつつも、一石を投じたのではないでしょうか。
フロントエンドエンジニアが完全にオワコンになった件
冒頭でも触れた記事です。まぁ、増田ですから割り引いて考えないといけないですが、AIインタフェースの重要性が加速度的に増すのは事実でしょう。
KiroのSpec駆動でアプリを作ったので知見を共有します!
Kiro、DLして価格体系がよく分からんかったので少し触って放置してましたが、10月以降クレジットが付与されているようです。また試してみるかな。
プロンプトエンジニアリングを終わらせるDSPy
「プロンプト自体を機械学習的に生成する」という面白いアプローチ。まさに記事中にあるように「プロンプト頑張った方がよくない……?」と思いましたが、最後まで読んで納得。入出力をたくさん例示できる場合、指標とともに与えることでその入出力に最適化されたプロンプトを作れるってことなんですね。QAなんかのユースケースで良さそう。
WEB開発系話題
小手先に見えるテクニックでも、実はReact的に考えられる
ReactのTIPSを思想的に分解。
CloudFormation で閉域 VPC、TGW、Route 53 Resolver の検証環境を一気呵成に構築する
表題の通りなのですが、実例とコードが載っているのがいいですね。使いまわせる部分も多そう。
その他一般テック話題
PerplexityのComet使ってみた(無料)
一部で話題になっていたやつ。私はまだ使ってないですが、ChatGPTが「AIにブラウザを組み込む」方向に行ったのに対し、Perplexityは「ブラウザにAIを埋め込む」方向に行ったのは興味深い。
アサヒグループホールディングスへのサイバー攻撃についてまとめてみた
技術的背景というより起きたことのまとめ。ドワンゴへの攻撃もまだ記憶に新しいところです。それにしても攻撃者がQilin(キリン)というのはなんかこう……。
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私の所属するAI技術開発室では、AIを応用した医療系サービスを手掛けています。先日は以下の「CareNet Academia」をリリースしました。
積極採用中ですので、こういった医療xAIの領域に興味のある方は、是非以下からご応募ください!
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