JAISTの東京社会人コースに入学します
はじめに
※こちらの記事は昔別のブログで公開した記事の再掲です。2020 年当時の情報なので、最新の入試の情報とは異なる可能性があります。
2020 年 10 月入学の JAIST 東京社会人コース博士前期課程の入試に合格し、10 月から入学することとなりました。
そこで本記事では、
- なぜ JAIST を受験するに至ったのか
- 受験にあたってどのような準備をしたのか
- 試験で聞かれたこと
等を書いていこうと思います。
社会人としての勤務を続けつつ情報系修士を取ることを検討している人や、JAIST 東京社会人コースの受験を考えている人の参考になれば幸いです。
そもそもなぜ情報系修士号を取るのか
以下に書いた以外にも考えていることはあるのですが、大まかに言うとこんな感じでした。
- エンジニアとして勤務する中で、情報科学の基盤的知識の不足を感じた。
- 非情報系の学部卒で数学もあやふや。大学レベルの微積や線形代数は独学したが怪しさを感じる。
- 論文を読んでいる中で、自分も研究をきちんとやってみたい気持ちが生まれた。
- 博士号を取りたいが、博士後期課程への出願には基本的には修士号が必要。
- 修士相当の研究実績があれば出願可能ではあるが、現在研究職ではないので厳しい。
なぜ JAIST を受験したか
非常に消極的な理由になってしまうのですが、東京近郊でフルタイム勤務をしている人間が情報系の修士号を取りたいと思った際、現実的に可能な選択肢が JAIST しか無かったというのが理由でした。詳しくはこちらの記事に書きました。
JAIST 受験にあたっての準備
研究計画書
JAIST 東京社会人コースの入試は、出願時に提出した研究計画書に関する発表+発表の内容に関する口頭試問という形で行われます。
出願時に提出した研究計画書に沿って発表や口頭試問が行われる以上、研究計画書作成時点である程度勝負が決まっているようなものと考えたので、研究計画書に関しては結構しっかりと準備をしました。(研究計画書以外にも志望動機を記載するエントリーシートや職歴調書を提出するのですが、こちらはあまり時間をかけずにありのままを書いて提出しました。)
研究テーマ策定
まず、そもそもの研究テーマ策定で非常に苦労しました。
学部時代にも卒論を書いていますが、その時は研究室の教授さんに研究テーマを与えてもらい、それに沿って研究をする形だったので、自分で 1 からテーマを考えるのは初めてでした。
また、周囲に情報系の研究テーマの決め方について知見を持っていてなおかつ気軽に聞きに行ける間柄の人もいなかったので、自分の今の知識・スキルレベルで現実的に研究が可能で、かつ新規性があるテーマをどうやって見つければいいのかと途方に暮れました。
(自分にとって興味のある内容はいくつか思いつくが、結局研究ができるほど深くその対象について知っているわけでも無いので、いざ研究計画を立てようとしても非常にふわっとした内容にしかならず、研究計画とは呼べないようなレベルのメモ書きを量産していました。。)
結局、自分が元々多少は知識を持っていた脳神経系の領域のデータに対し、最近盛り上がり始めた機械学習の手法を適用するような応用研究という建て付けで何とかそれっぽい(?)テーマを決めることが出来ました。
現実的に研究が可能かどうかという点は自分が既に持っている知識(脳神経系、機械学習)を使うテーマにすることで満たし、新規性があるかどうかという点については比較的新しい手法を使うことで新規性があるということにしてしまおうという、なんとも情けない着地点でした。
(2020/09/04 追記)
研究テーマ決めにあたっては、学振に採択された研究テーマ一覧も参考にしました。
google scholar で出てくる論文は世界のガチ研究者が研究しているものなので参考にするには些かレベルが高いような気がする一方、学振で採択されたテーマは同じ修士レベルの学生が取り組んでいるもの(なおかつ学振に採択されるくらいには洗練されているもの)なので、研究のスコープ決めの参考になるかと思います。
研究計画書作成
JAIST 出願時に提出する研究計画書はフリーフォーマットだったので、一般的に研究計画書に必要とされている項目を洗い出し、それに沿って書くという形にしました。
具体的には
- 研究テーマ
- 研究の背景と目的
- 手法とデータソース
- 期待される結果
- 今後の展望
- 参考文献
に分けて記載しました。
口頭試問対策
口頭試問対策としては、研究計画の発表資料作成と発表練習、想定問答集作成をしました。
発表資料
発表の持ち時間は 7 分なので、1 スライド 1~2 分で話す想定で 5 ページの資料を作り、表紙を付けました。実際に使用した資料は ↓ です。
Jaist 東京社会人コース_口頭試問資料 from Haruka Ichimura
想定問答集
口頭試問では発表した研究内容に関する質問と、JAIST への志望動機や入学後に取りたい授業等の意欲を見るような質問があるという情報をネットから得ていたので、それぞれに対策をしました。
研究内容に関する質問に対しては、自分の発表資料と発表原稿から突っ込まれそうな点を探し、それに対する回答を用意しました。例えば、研究計画書内で使用すると言っている深層学習モデルや解釈手法の詳細な説明や数学的背景が聞かれたりするのかな?と思ったので、できる限り答えられるように準備をしました。
意欲を見るタイプの質問に関しては、志望動機のおさらいや入学後に取りたい講義のリストアップを行いました。
実際に口頭試問で聞かれた内容
主に以下のようなことを聞かれました。
- (脳神経系の疾患を題材としているため)この疾患についてどの程度の背景知識を持っているのか?
- データソース、使用する手法共にオープンなものだが、既に誰かが似たようなテーマで論文化したりしていないのか?
- この研究はどのように産業界に貢献するのか?
- 入学後にどんな授業を取りたいか?
- (国立大学で学費が安い等の)条件面以外で JAIST を志望する理由は何か?
- 英語の習熟度はどの程度か?
他の方の受験記を見ていると、研究で使用する手法の数学的な詳細や現在の数学やプログラミングの習熟度について結構厳し目に突っ込まれる印象があり、数学に自信が無いため内心かなり焦っていました。
が、私に関してはそういった手法の数学的詳細に突っ込む質問は無く、研究の社会的意義や取りたい授業に関しては事前に準備をしていたこともあって割とすんなり答えることが出来ました。
結果発表
入試結果はちょうど入試から一週間後に速達で届き、合格を頂くことが出来ました。合格だと速達で届き、不合格だと普通郵便という噂をネットで見かけたため、入試結果発送日とその翌日はずっとそわそわしていました。笑
まとめ
せっかく入学を許して頂いたので、できるだけのものを吸収して卒業できればと思います。
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