カンリー全エンジニアに聞いた、AIコーディングツールのリアルな利用実態と本音
こんにちは、株式会社カンリーの波多野(@hatamasa1988)です。
今回のブログは、カンリーのエンジニア全員を対象にAIツール利活用に対するアンケートを実施しましたので、その結果を、みんなのリアルな感情やちょっとした不安まで、ナマの声を交えながら、ご紹介しようと思います。
と、その前にちょっとした宣伝ですが、、、
カンリーのAI利用状況がai-in-japanにマージされました🙌
カンリーではCursor,Copilot,Devin,ClaudeCode,ChatGPT,その他AIツール...を全社導入しています。
引き続き、好きなツールを好きなだけ活用して、個人とチームの開発生産性を最大化する取り組みを行っていきます💪
アンケート背景
以前からカンリーで取り組んでいる「AIとの協働」ですが、チーム横断でAI関連の情報共有をする会(通称AIナレッジ共有会)が発足するなど、ますます利活用が進んできている状況です。
利用が進むうちに、Cursor、GitHub Copilot、そして最近話題のDevinなど、「使ってみたら便利だった」「でもちょっと不安もある」みたいな声がちらほら耳に入ってくるようになってきました。
とはいえ、実際にどのくらいのメンバーがどんなツールを使っていて、どんな場面で役に立っていて、どんな不安や違和感を持っているのかって、まだあまり共有されていないのが現状でした。
そこで今回、エンジニア本部としてAIツールの推進方針を考えるために、定量面と定性面から解像度を上げるためにアンケートを実施することにしました。
どのようなアンケートか
「AIコーディングツールの活用状況調査」 のタイトルで、主に下記のような質問内容を取得しています。
- 普段使っているAIツール(Cursor / Copilot / Devin など)
- 実際に業務でどれくらい役立っているか
- よく使っているタスクやユースケース
- AIとの協働に対する気持ち(ワクワク?ちょっと不安?)
- 開発現場でのAI活用に感じている課題や壁
- 今後どれくらいAIと一緒に働いていきたいか
など
選択式と自由記述を組み合わせた形式で、全部で約30問ほどのライトな社内アンケートをGoogleFormで記入してもらいました。
回答は完全匿名で、全体で47名のエンジニアが回答してくれました。
カンリーでは、正社員業務委託比率は半々で、エンジニア歴10年以上の割とシニアなエンジニアも37.5%と割と多く所属しています。
一番人気は「Cursor」
まずは、使っているツールについて。
もっとも社内で最も使われているのはCursorでした。
カンリーのエンジニア組織で推奨していることもあり、Cursorについては80%以上のエンジニアが使用していると回答していました。
また、Cursorが多く使われている反面、別の設問での 「CursorやコーディングAIツールを使う中で感じた課題や不便さがあれば教えてください」 では、4人に1人(約26.1%)が「CursorかDevinかで使い分けに悩んでいる」と回答していました。
「どちらも魅力的だけど、場面によってどちらを使うか迷う」
「片方に寄せるべきか、併用すべきか判断が難しい」
など、エディタ統合型とリモート型の使い分けに課題がある人が多くいることがわかりました。
このアンケートを受けカンリーでは、「AIコーディングツール使い分け指南書」をNotionで作成し、それぞれのAIコーディングツールの特徴と使い分けTips、使い分け例、などを記載していっています。
アンケートはClaudeCodeの導入直後に取得したものになるので、回答に入っていませんが最近ではClaudeCodeも実際の開発で使う人も増えてきています。
AIコーディングツールをどんなことに使ってるの?
実際の用途としては、「コード補完」「コード生成」に加えて下記の用途が多くみられました。
特に50%以上の人が「テストコードの作成」と「リファクタリング」をAIコーディングで行っています。
- テストコードの作成
- リファクタリング
- ドキュメント整備
個人的には、AIコーディング時代には技術負債との向き合い方が大きく変わろうとしていると感じています。コードレベルの負債でしたら、AIでリファクタをすぐに行えるのは大きなメリットですね。
業務で役に立ってる?
「AIツールは業務に役立ってますか?」 という設問には、90%以上の人が「役立っている」 と感じている結果でした。
実際のコメントからも、
「爆速でコードを書ける」
「あらゆるタスクが効率化される」
「コーディングルールを教え込んだらレビュー観点まで代替できた」
といったポジティブな声が多数見られています。
AIツールを利用する上で感じるハードル
AIツールを利用する上でのハードルについてもアンケートをとっています。
多く挙げられていたのは、下記の3つになります。
- 「AIが提案したコードの正確性に不安がある」
- 「自分のスキルが陳腐化しないか心配」
- 「自分の考えがAIにちゃんと伝わってるか不安」
特に印象的だったコメントを紹介すると・・・
「結局手で書いた方が早かったな…時間を無駄にしたな…」となるケースがまだまだある。慣れだったりケースバイケースだったりなので、もっと触って慣れていきたい。
指示で精度をうまく向上できなかったケースかもしれませんし、もしくは適切なツールの使い分けの可能性もありますが、コードの正確性についてはアンケートでも57.4%の人が課題に感じているものでもあるので、正確性を向上させるコンテキスト、プロンプトのコツなど更なる情報共有を進める必要がありそうです。
何度かデプロイ時にマイグレーションリセットを仕込まれたことがありDBの情報が飛んだ。絶対に許さない。
SNSでしか聞いたことありませんでしたが、実際に遭遇した人がいました・・・🤔
一方で、「AIと協働することに対してどう感じてますか?」 という質問には、
- 「非常にワクワクする」:23名
- 「やや期待している」:21名
- 「どちらともいえない」:3名
という結果になりました。
「あなたがAIコーディングにスムーズに移行できるようになるために必要だと感じる支援・要素があれば教えてください。(自由記述)」 という設問には、
「情報収集・学習・実践」
「しばらくはAI利用方法を試行錯誤する期間が必要。」
「ナレッジ強化と、AIモデル側の思考性の改善が必要。また未来予想や可読性を考慮をした設計手法の提案が必要。」
「Cursorの場合はプロジェクトに合った設定やルールが必要なため、それらをチームで共有しブラッシュアップしていくのは有益だと思います。」
と、上記の回答から、利活用のTipsなど情報共有やAIへのコンテキスト/ナレッジの強化などが今後のポイントになりそうかと感じています。
ほかにも、
「AIの利用は前提になると思うから」
「どんどん触って慣れるしかないと思う」
といった、前向きな覚悟や熱量が感じられるコメントが多数寄せられました。
カンリーでのAI導入の雰囲気
カンリー社内の雰囲気についても触れていきたいと思います。
まずは 「カンリーで「AIを積極的に開発に取り入れること」に対する雰囲気はどう感じられていますか?」 に対しては、95%程度の人が「積極的」 と捉えてくれています。
「チーム内でCursorやコーディングAIツールの活用を共有する文化はありますか?」 という設問には
60%以上の人が「共有する文化がある」 と捉えてくれていました。
一方で30%の人が「どちらでもない」 と回答しており、ここは思っている以上に力を入れないといけないと気付かされました。
この後にチーム横断でAI関連の情報共有をする会(通称AIナレッジ共有会)の発足、CTOによるAI駆動開発のライブコーディングなどを実施し、すぐに様々な施策を実施してます。
「「AIで効率化された業務」は評価の対象になっていると感じますか?」 という設問は、50%程度の人が「なっている」 と感じている一方で、38.3%の人が「どちらでもない」 と回答しており、AI時代の新たな評価軸の設定も考えさせられる内容になりました。
AIツールとの今後の協働についての意見
「AIツールとの協働は今後さらに増やしたいと思いますか?」 という質問には、90%以上が前向きな回答を寄せていました。
「アウトプットを今までより楽に出したいから」
「AIとの協働は避けられないと思う」
「作業工数をもっと削減できそう」
といった声に混ざって、
「レビューが大変。人間がボトルネック。」
という鋭い指摘もありました。
合わせて鋭い意見を少し紹介します。
「MECEなドキュメントやエラー設計などは個人のコンテキストウィンドウを大幅に超えた範疇なので、より堅牢なシステムを作る上でもAIがコーディングや設計を作るのは非常に重要であると思う。」
機械の方が得意な部分はどんどん任せたいという発想は非常に重要な考えかと思っています。その観点でAIコーディングの精度が上がるアーキテクチャ、設計、技術選定など今後必要になっていくはずかと個人的にも考えています。
「機械的な実装の低減やレビュー工数の削減。言いづらい細かい指摘をaiが厳しめに言ってくれると嬉しい」
人間ならではの心理的的ハードルが伴う業務を代わりにAIがやってくれるのは非常に助かりますね。
「工数削減のために増やしたいものの、正しい使い方(依存せずサポートしてもらう立ち位置)を身につけてから増やしたい感じです。」
主体は我々エンジニアであるように、使い方を身につけないといけないですね。カンリーでのDevin導入の目的として「AIエージェントとの共存に向けた学習と文化形成」を掲げましたが、共存の仕方は常に模索する必要がありそうです。
最後に
今回のアンケートを通じて、カンリーのエンジニア組織ではAIコーディングツールを使いこなす意志を、一人ひとりが持っていることを改めて感じました。
同時に、導入フェーズは過ぎつつあり「いかに正しく、効率よく活用するか?」を模索する段階に差し掛かっていることも見えてきました。
一方で、心理的ハードルを感じている人や、ツールの選択や使い分けに迷っている人も一定数存在しています。
AIとどう付き合うかは、単なる技術的な話だけではなく、開発者としてのアイデンティティや価値観にも触れるテーマなのだと、実際の意見を見て強く実感しました。
AIを導入すれば、すぐに生産性が上がるわけではない。だからこそ、今回のようにリアルな悩みや葛藤を可視化して向き合うことが、これからのチームにとって大切な土台になるはずです。
「プロンプトの書き方の共有や、よりよい使い方などのナレッジがチーム内に溜まっていくといい」
今回のアンケートで情報共有を進めたいというコメントが多く寄せられました。
カンリーではAIとの共存スタイルを、チームとしてのどうデザインするかを今後も力を入れて取り組んでいきます!
AIとの協働に葛藤もありながら、ワクワクしつつ一緒に事業を一歩も二歩も前に進めたいエンジニアは一緒に取り組みましょう!
これからもリアルに、オープンに届けていければと思います!

株式会社カンリーは「店舗経営を支える世界的なインフラを創る」をミッションに、店舗アカウントの一括管理・分析SaaS「カンリー店舗集客」の開発・提供、他複数のサービスを提供しております。 技術系以外のnoteはこちらから note.com/canly
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