OAuth/OIDCをまとめてみる(下書き段階です!)
注意
はじめに
こんにちは。calloc134 です。就活シーズン真っ最中。つらみ。
ここ最近、OAuth と OIDC について調べていました。
その際、なかなか躓くところが多く、学習に苦労したため、個人的に疑問に思ったことをベースに、OAuth と OIDC のフローについて解説していきたいと思います。
この記事を書くにあたり、ritou さん・Auth 屋さんの記事や書籍を参考にさせていただきました。
また、この記事を書くにあたり、ritou さん・Auth 屋さんに加え、Yuki Watanabe さん、pilcrow さんに疑問点を解決していただき、レビューをしていただきました。
この場を借りて感謝申し上げます。
進め方のおことわり
この記事では、OAuth と OIDC に関連する多くの概念を解説していきます。
また、自分が疑問に思ったことについて、その都度質問と解答の形式で解説していきます。しかし、疑問に思ったことの内容は最初に読むには少し難しいかもしれません。
初回の読み方としては、まずスキップマーク ⏭️ をつけた章を読み飛ばしながら一通り読んでみることをおすすめします。
その後、スキップした箇所もすべて通して読み直すことで、より理解が深まるかと思います。
解説の途中で、適時 RFC や仕様書を引用しながら解説していきます。また、参考にしたリンクを章の終わりに記載していますので、必要に応じて参照してみてください。
なお、以下のリンクより、OAuth/OIDC の関連仕様についてまとまったリンク集を参照することができます。
OAuth/OIDC には、非常に多くの仕様が存在します。
この記事で解説する内容も十分ではなく、今後学習を深めていくにつれ、仕様を一つ一つ読んでいくことが必要になるかと思います。
ざっくりとした OAuth と OIDC の違い
ざっくりとした違い
まずは、OAuth と OIDC について、以下のようにざっくりとした違いを理解しておきましょう。
- OAuth は、ユーザが、所有するリソースへのアクセスを第三者に許可するための仕組み
- OIDC は、ユーザが、第三者に対して自分がどのような人物であるかを示し、これを用いて認証を行うための仕組み
「OAuth は認可・OIDC は認証!」というフレーズについて、よく耳にする方もいらっしゃるのではないでしょうか。当フレーズについてはある程度正しいものの、このような簡潔な表現だと、本質を少し見失ってしまうかもしれません。
このフレーズに関しては、先程示したような表現が適切であると、個人的には考えています。
OAuth は、ユーザが持っているリソースを第三者に認可するための仕組みです。したがって、認可の仕組みとみなされます。
OIDC は、ユーザの識別情報(ユーザがどのような人物であるかを示す情報、つまりプロフィール)を第三者に信頼してもらい、その情報をもって認証とする仕組みです。したがって、認証の仕組みとみなされます。
つまり、OAuth と OIDC のユースケースは全く別物なのです。
OAuth 2.0 は, サードパーティーアプリケーションによる HTTP サービスへの限定的なアクセスを可能にする認可フレームワークである[1].
OpenID Connect 1.0 は, OAuth 2.0 [RFC6749] プロトコルの上にシンプルなアイデンティティレイヤーを付与したものである[2].
OAuth は、RFC6749 で定義されています[3]。また、OIDC についても仕様が定義されています[4]。
それぞれ、日本語訳が存在しているので、必要に応じて参照してみてください。
参考リンク
(P. 10)
なんで認証が実現できるの?⏩
OIDC は OAuth に機能を付け足したものなんじゃないの?では、OIDC の産まれる前の話から掘り下げていきましょう。
OAuth はリソースへのアクセスを第三者に許可するための仕組みです。
しかし、OAuth の仕組みを用いることで、認証用途にも転用できることが、OAuth ユーザによって発見されました。
まず、ユーザのプロフィールをリソースとして考えます。次に、第三者にプロフィールへのアクセスを許可すれば、そのプロフィールで身分証明ができます。そして、これを認証用途に使うことができるという形です。
OAuth を認証用途として利用できるというのは、いわば発明だったと言えるでしょう。
プロフィールをリソースとして提供する API はプロフィール API と呼ばれ、このような実装を OAuth + プロフィール API と呼びます。
OAuth + プロフィール API の実装について、実装者が独自実装を行うことが多かったため、このような認証の仕組みを規格として定義することが自然と求められました。そこで誕生したものが OIDC です。OIDC では、プロフィール API に当たるものを専用のトークンとして定義し、それを用いて認証を行う仕組みを提供しています。「OIDC は OAuth にアイデンティティレイヤーを載せたものである」と言われるのは、このような理由からです。
OpenID Connect 1.0 は, OAuth 2.0 プロトコルの上にシンプルなアイデンティティレイヤーを付与したものである[5].
参考リンク
(P. 86)OAuth の登場人物
前述の通り、OAuth はリソースへのアクセスを第三者に許可するための仕組みです。
リソースのアクセスを許可するという行為には、以下のような登場人物が関連してくると考えられるでしょう。
- リソースにアクセスしたい第三者のアプリケーション
- リソースを保管しているサーバ
- リソースへのアクセスを認可し
アクセス権の鍵(アクセストークン)を発行するサーバ - リソースの所有者(ユーザ)
では、それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。
ここで、画像を印刷するためのアプリケーションが、Google Photo にアクセスする場合を例に考えてみます。余談ですが、この例は RFC の記載とある程度一致させています[6]。
クライアント: リソースにアクセスしたい第三者のアプリケーション
OAuth におけるクライアントは、リソースにアクセスしたい第三者のアプリケーションを指します。
例として、画像を入力してその画像を印刷するアプリケーションが考えられます。
リソースサーバ: リソースを保管しているサーバ
OAuth におけるリソースサーバは、実際にユーザの所有するリソースを保管しているサーバを指します。
アクセストークンを受取り、それを検証し、成功すればリソースを返します。
例として、Google Photo で画像を保管しているサーバがリソースサーバに相当します。
認可サーバ: リソースへのアクセスを認可し、アクセス権を発行するサーバ
OAuth における認可サーバは、リソースへのアクセスを認可するサーバを指します。
このサーバはリソースを持っていませんが、リソースへアクセスすることを認め、アクセス権の鍵であるアクセストークンや、アクセストークンの引き換えることの出来る認可コードを発行する役割を担います。
例として、Google Photo にアクセスするための認可を行う Google OAuth サーバが認可サーバに相当します。
リソースオーナー: リソースの所有者(ユーザ)
OAuth におけるリソースオーナーは、リソースの所有者を指します。
サービスの利用者がリソースの所有者となります。
例として、Google Photo に画像をアップロードしているユーザがリソースオーナーに相当します。サービスのお客さんですね。
ここまでで、OAuth における登場人物について解説してきました。
例えば, あるユーザー (リソースオーナー) が, 印刷サービス (クライアント) に対して, 写真共有サービス上 (リソースサーバー) に保管されている彼女の保護された写真へのアクセス権を与えることを考える. OAuth では, その際彼女のユーザー名とパスワードを印刷サービスに与える必要はない. そのかわり, 彼女は写真共有サービスの信任を得たサービス (認可サーバー) に対して認証を行い, 印刷サービスへのアクセス権限委譲用クレデンシャル (アクセストークン) を発行させる[8].
ここからは、よくある疑問について解説していきます。
クライアントって、フロントエンドのこと?
この場合のフロントエンドというのは、ユーザのパソコンやスマホ上で動作する、Web ブラウザのアプリケーション(クライアントサイド JavaScript)やモバイルアプリのことになります。
OAuth では、クライアントという言葉が登場します。
しかし、クライアントというのは OAuth におけるクライアントのことで、サーバ・クライアントモデルにおけるクライアントのことではありません。
この 2 つは異なる概念であることに注意しましょう。
それとも何かの情報?⏩
アクセストークンってランダムな文字列?「アクセストークンって、JWT 形式になってて、アクセストークンを解読すれば色々な情報が見れるようになってるんだよね?」といった理解の方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、OAuth の RFC では、アクセストークンの形式を特に規定していません。
トークンは認可情報を取り出すための識別子を表したり, 検証可能な方法でそれ自身に認可情報を含んでもよい (データと署名を含むトークン文字列など). クライアントがトークンを使用するために, 本仕様で定めていない追加の認証クレデンシャルを要求することもできる[9].
つまり、JWT のようにアクセストークンに認可情報を含めることもできますし、ランダムな文字列であっても構いません。
OAuth2.0 に関連し、脅威モデルとセキュリティについて解説している RFC である RFC6819 には、アクセストークンの形式を以下のように分類しています[10]。
Handle: ランダム文字列からなるトークンであり、認可サーバ内部のデータを参照するキーとして使用されるもの
"handle" ("artifact" とも呼ばれる) とは, 認可サーバー内部のデータ構造に対するある種の参照である
Assertion: 解析可能なトークンであり、電子署名を持ち、内部に情報を含むもの
assertion とはパース可能なトークンである. assertion は典型的には有効期間, 発行対象 (audience) を持ち, 改竄防止および発行者認証のため電子署名が付けられる.
前者はランダムな文字列であり、後者はまさに JWT ですね。後者だと情報を持たせられる以上に有効期限や発行者認証ができるため、セキュリティ的にも有利です。しかし、情報が変更されたときに、その変更をリアルタイムに反映することが難しいというデメリットもあります。
OAuth 自体はアクセストークンの形式については特に規定していないため、どちらを使うかは実装者の自由ということを覚えておきましょう。
なお、以下の記事では、これらの形式についてより詳しく解説しています。
Handle を識別子型、Assertion を内包型という表現で分類していますが、内容としては同じです。
更に踏み込んだ特性
更に踏み込んで解説してみます。
それぞれのトークン形式の特性を考えると、以下の結論が導かれます。
-
Handle 型のトークンは、認可サーバ内部のデータを参照するポインタとして使用される
- トークンの情報が古くなることがない
- 認可サーバとリソースサーバが同一のサーバの場合はデータベースを共有できるためアクセスコストが低い
- 認可サーバとリソースサーバが分離している場合は
リソースサーバが認可サーバに問い合わせる必要があるため、通信コストがかかり、利点が薄れる[11]。
-
Assertion 型のトークンは情報をもたせることができ、発行者認証やデータの埋め込みが可能
- わざわざ認可サーバに問い合わせる必要がないため、扱いやすくて便利
- しかし、情報が変更されたときに、その変更をリアルタイムに反映することが難しい
- トークンの失効は非常に難しい[12]
Handle 型トークンを採用する場合は、リソースサーバがアクセストークンの詳細を知る目的で、認可サーバに問い合わせるための API が必要です。これはイントロスペクション API と呼ばれます。この API についても仕様で規定されており、RFC7662 で定義されています[13]。
Assertion 型トークンは扱いやすいですが、データが古くなりやすく、失効の実装が大変です。失効という実装自体を完全に諦め、利便性の保てる範囲内でアクセストークンの期限を出来るだけ短くすることで対処を行うというのが現実的な着地点であると言えるでしょう。
ここ以降は OAuth の枠を超え、JWT のセキュリティ問題についての話になってしまいます。そのため、ここでは詳細な解説は省略します。
参考リンク
クライアントには タイプがあるらしいけど、どう違うの?⏩
クライアントには、Confidential Client
と Public Client
という 2 つの種類が存在します。
この 2 つの違いの判断基準をわかりやすく伝えると、「クライアントが認可サーバにアクセストークン引き換えのリクエストを行う際、クライアントがユーザのフロントエンド側で動作するかどうか」であると考えていいと思われます。
OAuth の RFC である RFC6749 にクライアントタイプの解説があります。
RFC によると、以下のように定義されています[14]。
Confidential Client:
クレデンシャルの機密性を維持することができるクライアント
Public Client:
クライアントクレデンシャルの機密性を維持することができず,
かつ他の手段を使用したセキュアなクライアント認証もできないクライアント
しかし、クライアント認証とクライアントクレデンシャルについてはまだ学習していません。これらの概念を利用せずに、クライアントタイプを判断する方法を考えてみましょう。
クライアントクレデンシャルというのは、クライアント ID とクライアントシークレットのことを指します。こちらは後述の章で解説しますが、クライアントが認可サーバとやり取りするときに「自分はこのクライアントである」と証明するための情報です。つまり、クライアントのソースコードを解析して、内部に埋め込まれているクライアント証明のための機密情報を不正に取り出すことができるかどうかが、この 2 つの違いの判断基準となります。
このようなことが出来るかどうかはすなわち、クライアントがアクセストークン引換時にユーザのフロントエンド側で動作しているか、それともバックエンド側で動作しているかによって決まります。
したがって、クライアントが認可サーバにアクセストークン引き換えのリクエストを行う際、ユーザのフロントエンド側で動作するかどうかが、この 2 つの違いの判断基準となると解釈して良いと思われます。
参考リンク
フロント/バックエンドによってクライアントタイプは左右されるの?⏩
ここまでの解説を振り返り、クライアントアプリがどのようなアプリであるかによって、クライアントタイプがどのように異なってくるかを考えてみましょう。
以下の 3 つについて考察していきます。
- バックエンドで動作し、HTML まで含めて返却する Web アプリ
- いわゆる MPA。JavaScript が含まれないサイト。PHP や Ruby on Rails などのサーバーサイド言語で 書かれるもの。
- フロントエンドで動作する Web アプリやモバイルアプリ
- Web アプリの場合、JavaScript で動作する SPA。モバイルアプリの場合、iOS や Android のアプリ。バックエンドサーバは全く利用しておらず、フロントエンドですべての処理を行う。
- サーバサイドの API サーバと、それを利用するフロントエンドアプリ
- バックエンドの API は、クライアントからのリクエストに対して JSON を返却するだけの API サーバ。フロントエンドは、この API を利用して画面を構築する。
それぞれのクライアントアプリの特性によって、クライアントタイプがどのように異なってくるかを考えてみましょう。
バックエンドで動作し、HTML まで含めて返却する Web アプリ
こちらは、ほとんどのケースで Confidential Client
になります。
バックエンドサーバがクライアントとして動作することになり、認可サーバからアクセストークンを受け取る際に、ユーザのフロントエンド側で動作することはありません。
また、バックエンドで動作するため、クライアントクレデンシャルの機密性を維持することができるためです。
フロントエンドで動作する Web アプリやモバイルアプリ
こちらは、ほとんどのケースで Public Client
になります。
フロントエンドで動作するため、認可サーバからアクセストークンを受け取る際に、ユーザのフロントエンド側で動作することになります。この場合、ユーザが開発者ツールやデバッグ機能を用いることで、アクセストークンを閲覧できてしまいます。また、ソースコードの解析によって、クライアントクレデンシャルの情報を取得できてしまう可能性があるため、Public Client
になります。
サーバサイドの API サーバと、それを利用するフロントエンドアプリ
このケースが難しいです。
以下のブログにおいては、以下のように定義しています。
フロントエンドが認可サーバからアクセストークンを受け取り、それをバックエンドサーバに渡す場合は、フロントエンドの処理をクライアントとしてみなし、Public Client
になります[15]。
しかし、フロントエンドが認可コードをバックエンドサーバに渡し、バックエンドサーバが認可サーバからアクセストークンを受け取る場合は、バックエンドサーバをクライアントとしてみなし、Confidential Client
になります[16]。
重要なことは、アクセストークンを受け取る処理がフロントエンドかバックエンドサーバのどちらで動作するかによって、Public Client
か Confidential Client
かが決まるということです。
参考リンク(引用元)
どうすれば適切にクライアント認証を行えますか?⏩
クライアント認証とはなんですか?クライアント認証とは、クライアントが自身を正しいクライアントであることを認可サーバに証明することです。
まず、なぜクライアント認証が必要なのかについて解説します。
認可コードを持っているクライアントが、認可サーバに対してアクセストークンとの交換をリクエストする際に、クライアントが正しいクライアントであることを証明する必要があります。この証明がない場合、クライアントがなりすまされ、意図していないクライアントにアクセストークンを取得されてしまう可能性があるため、適切にクライアント認証を行うことが重要です。
クライアント認証を行うには、クライアントが自身を正しいクライアントであることを証明するための情報が必要です。そのため、クライアントしか知り得ない情報を用いることで、認証が行えると考えられます。
しかし、クライアントの認証を考える前に、前提として考えないといけないことがあります。それは、Public Client の場合は、クライアントしか知り得ない情報を安全に保存できないため、クライアント認証を原理上安全に行うことができないということです。
リバースエンジニアリングでクライアントを解析し、クライアントしか知り得ないはずの情報を解析してしまえば、なりすましが簡単に行えてしまいます。
そのため、Public Client の場合はそもそもクライアント認証の信用性がなく意味がないので、クライアント認証を行わないことが一般的です。
その代わり、後ほど説明する PKCE を用いることで、ある程度ではありますが、脅威への対処が可能です。
では話を戻します。Confidential Client の場合はどうでしょうか?
Confidential Client の場合は、クライアントが秘密情報を安全に保管できるため、クライアント認証を行うことが可能です。
クライアント認証についての仕様は、RFC7591 で定義されています[17]。
クライアント認証は、大きく以下の 2 つの方法が存在します。
- シークレットを用いた認証
- 署名を用いた認証
署名を用いた認証については、応用編で解説します。
シークレットを用いた認証
多くの OAuth 実装では、シークレットを用いた認証が採用されています。
シークレットとは、クライアントのみが知り得る情報のことです。クライアントシークレットと呼ばれ、クライアント登録時に認可サーバが生成し、クライアントに伝えます。
このクライアントシークレットを認可サーバに伝えることで、自分が正規のクライアントであることを証明しています。
クライアントは、シークレットが漏洩しないように注意する必要があります。もしクライアントシークレットが漏洩してしまうと、クライアントがなりすまされる可能性があります。
シークレットを用いた認証については、OAuth 大元の RFC である RFC6749 にも記載されています[18]。この記述を元に、RFC7591 でより詳しい仕様が定義されています。
有名なものに、以下の二つが存在します。
- client_secret_basic
- client_secret_post
では、それぞれの認証方法について説明します。
client_secret_basic
client_secret_basic は、クライアント認証のために、クライアントがリクエストヘッダにシークレットを含める方法です。
まずクライアントは、client_id
とclient_secret
をコロンで連結し、Base64 エンコードします。その後、リクエストのAuthorization
ヘッダにBasic {Base64エンコードしたclient_idとclient_secret}
を含めることで、認可サーバにクライアントのシークレットを伝え、クライアント認証を行います。
このようにすることで、クライアントが自身を正しいクライアントであることを認可サーバに証明することができます。しかし、この方法は、シークレットが漏洩すると、クライアントがなりすまされる可能性があるため、シークレットの管理には十分注意する必要があります。
基本的には、こちらの方法が推奨されています。また、認可サーバはこの方式をサポートしないといけないことが規定されています。
認可サーバーは, クライアントパスワードを発行されたクライアントの認証の為に HTTP Basic 認証スキームをサポートしなければならない (MUST). [19]
client_secret_post
client_secret_post は、クライアント認証のために、クライアントがリクエストにシークレットを含める方法です。
アクセストークンをリクエストする際に、リクエストパラメータにclient_id
とclient_secret
を含めることで、認可サーバにクライアントのシークレットを伝え、クライアント認証を行います。
こちらの方法は非推奨となっており、HTTP Basic 認証が利用できないクライアントである場合に限り使用することができると規定されています。
2 つのパラメーターを使ってクライアントクレデンシャルをリクエストボディーに含めることは推奨されていない (NOT RECOMMENDED). この方法は HTTP Basic 認証スキーム (もしくは他のパスワードベースの HTTP 認証スキーム) が直接利用できないクライアントに限定すべきある (SHOULD). これらのパラメーターはリクエストボディー経由でのみ送信可能であり, リクエスト URI 経由で送信してはならない (MUST NOT). [20]
参考リンク
どのようにクライアントの安全性を保証しているのでしょうか?⏩
Public Client の場合は先ほど言及した Public Client の場合は、どのようにクライアントの安全性を保証しているのでしょうか?
クライアント認証を行う目的としては、意図しないクライアントからのアクセストークン引き換えリクエストを防ぐことが挙げられます。
しかし Public Client の場合は原理上それができないことは先ほど述べました。
意図しないクライアントからのリクエストを防ぎたいが、クライアントの正しさは保証できない。この板挟みの状況をどう解決するかが問題です。
結論から述べると、Public Client では妥協案として、「フローを開始したクライアントのみに限り、そのフローのアクセストークン発行のリクエストを行う権利を持つ」という仕組みを採用しています。この仕組みは PKCE と呼ばれますが、後ほど解説をします。
参考リンク
OAuth のフロー
フローについていくつか種類があるけど、どう違うの?
OAuth には、フローの種類がいくつか存在します。この種類のことを、グラントタイプと呼びます。
最も有名なものとして、認可コードフローがあります。今回解説するフローは、すべて認可コードフローをベースにしています。
また、他のフローとしてインプリシットフローというものが存在します。こちらは認可コードフローを単純にしたものなのですが、原理的にセキュリティ上の問題があります。また、インプリシットで対応しているユースケースについて、認可コードフローが上位互換として対応できるようになりました。そのため、現在はインプリシットフローは非推奨とされています。ただし、以後の解説で登場する部分があるため、必要になった段階で解説します。
残りの 2 つのフローについては、ほぼ使われていないため、解説を省略します。
フロー開始前の下準備 ⏩
OAuth のフローを開始する前に、クライアントが認可サーバに登録されている必要があります。つまり、事前に認可サーバに対して、「私はこういうクライアントです」という情報を登録しておく必要があります。
クライアントタイプとリダイレクト URI(後述)を登録し、あとはおまけでアプリ名やアイコンなどを登録しておくと、ユーザにとって使いやすい認可画面が表示されます。
クライアントの登録が済むと、認可サーバはクライアントに対して、クライアント ID というものを発行します。クライアント ID はクライアントを識別するための情報であり、いわゆるクライアントのためのマイナンバーのようなものです。
クライアントを登録する場合, クライアント開発者は以下を満たすものとする (SHALL).
Section 2.1 で説明されているようなクライアントタイプを指定し,
Section 3.1.2 で説明されているようなリダイレクト URI を提供し,
認可サーバーが要求するその他の情報 (例えばアプリケーション名, Web サイト, 説明, ロゴイメージ, 利用規則など) を提供する.
認可サーバーは登録済みのクライアントにクライアント識別子 (クライアントが提供した登録情報を表すユニーク文字列) を発行する
参考リンク
では、下ごしらえも終わったところで、実際の OAuth フローについて解説していきます。
ざっくりとしたフロー
まずはざっくりとした解説です。
クライアントが Confidential か Public かについては、ひとまず考えずにざっくりと見てみます。
OAuth の認可コードフローは、以下のような流れで行われます[21]。
- リソースオーナーがクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアントがリソースオーナーに対し、「まずは認可コードを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナーをリダイレクトさせる
- リソースオーナーが認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストを送る
- 認可サーバがリソースオーナーに対して「認可しました」と言って認可コードをもたせ、リソースオーナーをクライアントにリダイレクトさせる
- リソースオーナーはクライアントに対して認可コードを渡す
- クライアントが認可コードを持って認可サーバにアクセスし、「認可コードを持っているので、アクセストークンをください」とリクエストを送る
- 認可サーバがクライアントに対してアクセストークンを渡す
- クライアントはアクセストークンが手に入ったので、リソースサーバにアクセスし、リソースサーバに対してアクセストークンを渡す
- リソースサーバはアクセストークンを受け取り、何らかの手段で検証し、成功すればリソースを返す
詳細しか書いていないので、いまいちピンとこないかもしれないですね。
例え話をしましょう。
登場人物を、以下のように例えてみましょう。
エルフの魔法使いであるフリーレンは、強い魔法使いです。
人間の魔法使いフェルンは、フリーレンの弟子であり、フリーレンに日々魔法を教わりながら、魔法使いとしての道を歩んでいます。
フリーレンは、魔法の使い方の書いてある本である魔導書を集めることが趣味です。自分のカバンに魔導書を入れています。しかし、セキュリティのため、自分以外の人間がカバンを開けるときは、特別な印をつけた鍵を使う必要があるようにしています。
この鍵はセキュリティ面でも万全で、なんと作られてから一時間ほどで泥になってしまう魔法がかけられています。
そしてフリーレンは更に、セキュリティの万全を期すため、カバンを開ける様子を見張る門番として、精霊を雇っています。この精霊が、特別な印をつけた鍵を作ってくれます。また、鍵を作る際に必要な引き換え書も精霊が作ってくれます。
ある時、フリーレンは「フェルンに、私の魔導書を読ませたい」と思います。しかし、フェルンは鍵を持っていないため、カバンを開けることができません。
まずフリーレンが、精霊に頼みます。「私の許可を元に、鍵の引き換え書を作ってくれ」と。
精霊は、フリーレンの許可を元に、鍵の引き換え書を作ってフリーレンに手渡します。
フリーレンは、引き換え書を持ってフェルンに渡します。
フェルンは、引き換え書を持って精霊に行き、鍵を受け取ります。
フェルンは、鍵を持ってフリーレンのカバンを開け、魔導書を取り出すことに成功しました。
フェルンはこの魔導書を読み、魔法の使い方を学びます。
このような流れで、OAuth の認可コードフローが行われます。
以上の登場人物は、それぞれ以下のように対応します。
- フリーレン: リソースオーナー
- フェルン: クライアント
- 魔導書: リソース
- カバン: リソースサーバ
- 特別な印をつけた鍵: アクセストークン
- 鍵を作る精霊: 認可サーバ
- 引き換え書: 認可コード
認可コードフローに沿って、できるだけ適切に例え話をしてみました。上手く理解していただけると幸いです。
参考リンク:
(p.10)
最初から認可サーバがアクセストークンを渡してくれればいいのでは?⏩
認可コードは必要?おっしゃるとおり、認可コードフローについては、少しステップが多いように感じるかもしれません。
実は、いきなりアクセストークンを渡してもらうフローを、インプリシットフローと呼びます。
認可コードフローよりも単純化されたフローですが、前述の通りセキュリティ上の問題があるため、現在は非推奨とされています。
OAuth のインプリシットフローの場合、以下のような流れで行われます。
- リソースオーナーがクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアントがリソースオーナーに対し、「まずはアクセストークンを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナーをリダイレクトさせる
- リソースオーナーが認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする
- 認可サーバがリソースオーナーに対して「認可しました」と言ってアクセストークンをもたせ、リソースオーナーをクライアントにリダイレクトさせる
- リソースオーナーはクライアントに対してアクセストークンを渡す
- クライアントはアクセストークンが手に入ったので、リソースサーバにアクセスし、リソースサーバに対してアクセストークンを渡す
- リソースサーバはアクセストークンを受け取り、何らかの手段で検証し、成功すればリソースを返す
先程の例え話でこれを例えてみましょう。
- フリーレンは、フェルンに「私の魔導書を読ませたい」と思います。しかし、フェルンは鍵を持っていないため、カバンを開けることができません。
- フリーレンが、精霊に頼みます。「私の許可を元に、鍵を作ってくれ」と。
- 精霊は、フリーレンの許可を元に、鍵を作ってフリーレンに手渡します。
- フリーレンは、鍵を持ってフェルンに渡します。
- フェルンは、鍵を持ってフリーレンのカバンを開け、魔導書を取り出すことに成功しました。
- フェルンはこの魔導書を読み、魔法の使い方を学びます。
このように、認可コードフローとインプリシットフローの違いがわかります。
なお、「なぜインプリシットフローは非推奨なのか?」という疑問に関しては、次の質問で解説していきます。
認可コードフローを使う理由は何ですか?
わざわざインプリシットフローではなくこれまでの知識を総動員して、考えてみましょう。
認可コードフローをあえて利用する理由は何でしょうか?ここでは攻撃者の存在を想定します。
最初に、Confidential Client を前提として考えてみましょう。
最初に考える前提としては、Confidential Client のほうが考えやすいためです。
Confidential Client というのは、クライアントがバックエンドサーバで動作し、認可サーバとやりとりしてアクセストークンを取得するタイプのクライアントでしたね。
OAuth のフローは、要するにクライアントがアクセストークンを取得すれば、リソースサーバにアクセスできるようになるというものです。
クライアントがアクセストークンを取得することをゴールとして、それぞれのフローを考えてみると、認可コードフローは以下のような特徴があります。
インプリシットフローは、簡略化すると以下の流れを取ります。
- リソースオーナーがアクセストークンを取得
- リソースオーナーがアクセストークンをクライアントに渡す
認可コードフローは、簡略化すると以下の流れを取ります。
- リソースオーナーが認可コードを取得
- リソースオーナーが認可コードをクライアントに渡す
- クライアントが認可コードを使ってアクセストークンを取得
また、攻撃者の存在を考えます。
攻撃者は、最終目的としてアクセストークンを取得することを目指します。
被害者のアクセストークンを取得すれば、被害者のリソースにアクセスできるようになるためです。
インプリシットフローの場合は、攻撃者がアクセストークンを奪取するための手順が 1 つだけです。
すなわち、以下の攻撃を行うことができます。
- リソースオーナーから、アクセストークンを盗む
攻撃者はリソースオーナーを攻撃し、何らかの手法でアクセストークンを盗むことができれば、そのアクセストークンを使ってリソースにアクセスすることができます。簡単です。
一方、認可コードフローの場合は、攻撃者がアクセストークンを奪取するための手順が 2 つあります。
- リソースオーナーから、認可コードを盗む(認可コードの取得)
- 盗んだ認可コードを使って、アクセストークンを取得する(認可コードの消費)
先程 Confidential Client を前提とすると言いましたが、Confidential Client の特徴は、リソースオーナーにアクセストークンが渡ることがないということです。
そのため、攻撃者はリソースオーナーをいくら攻撃しようと、アクセストークンを取得することができません。
攻撃者はリソースオーナーを必死に攻撃してようやく認可コードを手に入れても、それをアクセストークンに引き換える必要があるのです。
アクセストークンと引き換えるためには、認可コードだけでは不十分です。
すなわち前述の通り、クライアント認証を行なって、自分が正規のクライアントであることを証明する必要があります。
しかし、攻撃者は正規のクライアントであるという証明を行うことができないため、認可コードを手に入れてもアクセストークンを取得することができません。
使えない引換券はただの紙切れなのです。
認可コードフロー特有の「アクセストークンがフロントエンドに露呈しない」という特徴が、Confidential Client と見事にマッチし、攻撃者によるアクセストークンの盗難の難しさを生んでいるのです。
Confidential Client では認可コードフロー一択ですね!
では次に、Public Client を前提として考えてみましょう。
Public Client というのは、クライアントがフロントエンドで動作し、認可サーバとやりとりしてアクセストークンを取得するタイプのクライアントでしたね。
クライアントがフロントエンドで動作するため、どうしてもアクセストークンがフロントエンドに露呈してしまうという問題があります。
この場合でも認可コードフローを利用するメリットがあります。
ただし、この場合は、アクセストークンを攻撃者に触らせないようなセキュリティ機構は存在しないことに注意が必要です。
Public Client である以上、フロー終了後にアクセストークンをフロントエンドで保管するのは原理上やむを得ないため、アクセストークンが盗まれるリスクは常に存在します。
フロー後のアクセストークンの保管については OAuth のフロー自体からは外れます。
では、その場合でも認可コードフローを採用するメリットは何でしょうか?
それは、フローの最中に「認可コード」を取得されたケースについてです。
ここで、クライアント認証の部分で解説した内容を思い出しましょう。
Public Client ではクライアントシークレット(つまり、正規のクライアントしか知り得ない秘密情報)を持つことができないため、無対策の状態であれば、認可コードをアクセストークンに引き換えることができてしまいます。
これでは八方塞がりなのか・・・!?と思ってしまいます。Public Client はつくづく不利な立場に立たされているように感じます。
しかし、ここで PKCE という仕組みが登場します。
PKCE とは、リソースオーナーにフローを開始するよう指示したクライアントと、アクセストークンの引き換えリクエストを行うクライアントが同一であることを保証するための仕組みです。
つまり、リソースオーナーに認可コードを取得しろと指示したクライアントでない場合、アクセストークンの取得を拒否することができるのです。
この特性により、攻撃者が被害者から認可コードを盗み出しても、被害者のクライアントと攻撃者のクライアントが違う場合、アクセストークンの取得を拒否することができます。
これにより、認可コードを盗み出して消費する攻撃に、少しでも対抗することができるようになります。
認可コードフローであっても PKCE を導入することで、Public Client でも少し安全にアクセストークンを取得することができるようになります。
PKCE がどれほど攻撃の防御に有効であるかは、後ほどの質問で解説します。
一方インプリシットフローでは、アクセストークンをそのまま取得するため、攻撃者が認可コードを盗むという手順が存在せず、PKCE のような拡張を導入する余地がありません。
セキュリティ的には、認可コードフロー+PKCE の採用をしない理由はないと言えるでしょう。
Confidential Client と Public Client で、どちらにおいてもインプリシットフローを採用する必要がなくなったため、現在は非推奨となっているのです。
余談ですが、認可コードフローでは、認可コードの有効期限をできるだけ短く設定しましょう。
アクセストークンに引き換えられる有効期限を短くすることで、認可コードの盗難による被害を最小限に抑えることができます。
最後に、OAuth 2.0 Security Best Current Practice という仕様と、OAuth2.1 のドラフト(下書き段階)の 2 つを引用して解説したいと思います。
OAuth 2.0 Security Best Current Practice という RFC には、以下のように記載されています。
インプリシットグラントおよび、認可サーバに認可レスポンスにおいてアクセストークンを発行させるレスポンスタイプは、アクセストークンの漏洩とアクセストークンのリプレイ攻撃に対して脆弱です。
更に、アクセストークンが認可レスポンスで発行されるときに、アクセストークンを特定のクライアントにバインドする Sender-Constrained な方法は存在しません。
これはつまり、攻撃者が漏洩したアクセストークンをリソースエンドポイント(リソースサーバのエンドポイント)で利用できるということです。
これらの問題を回避するため、クライアントはインプリシットフローまたは認可サーバに認可レスポンスにおいてアクセストークンを発行させるレスポンスタイプを使用しないでください。…
引用元: https://datatracker.ietf.org/doc/html/draft-ietf-oauth-security-topics#name-implicit-grant
この RFC によると、インプリシットフローは、アクセストークンの漏洩やリプレイ攻撃に対して脆弱であり、アクセストークンを特定のクライアントにバインドする Sender-Constrained な方法が存在しないため、攻撃者が漏洩したアクセストークンをリソースエンドポイントで利用できるという問題があるとされています。
また、OAuth 2.1 のドラフト(下書き段階)において、インプリシットフローが削除されるということが方針として示されています。
インプリシットグラントを削除する意図は、認可のレスポンスにおいてアクセストークンを発行しないようにすることです。というのも、そのようなトークンは漏洩やインジェクションに脆弱であり、クライアントにとって sender-constrained になることができないので。
この動作(認可のレスポンスでアクセストークンを発行する動作)は、response_type=token
パラメータを用いて示されます。しかし、そのパラメータは、OAuth2.1 では定義されなくなりました。
引用元: https://datatracker.ietf.org/doc/draft-ietf-oauth-v2-1/
この RFC によると、インプリシットフローは、アクセストークンを認可のレスポンスに含めることができるため、漏洩やインジェクションに脆弱であり、クライアントにとって sender-constrained になることができないため、削除されるとされています。
内容としては先程の RFC と同じですが、OAuth2.1 では、response_type=token
パラメータが定義されなくなるため、インプリシットフローが削除されるということが示されています。
では、Sender-Constrained とは何でしょうか?
Sender-Constrained とは一般的に、送信者が制限されていることを指します。
ここでの Sender-Constrained とは、アクセストークンを特定のクライアントに制限することを指します。つまり、PKCE で説明した「リソースオーナーに認可コードを取得しろと指示したクライアントに限り、アクセストークンを取得できる」という制限が Sender-Constrained ということになります。
長くなりましたが、認可コードフローはアクセストークンの盗難を極力防ぐため、様々な工夫がされているフローであるために、インプリシットよりも推奨されていると言えるでしょう。
参考リンク
認可コードはどのように奪われるんでしょうか? ⏩
認可コードが奪われる攻撃について、いくつか想定されます。
以下に提示してみます。
- リダイレクト URI の悪用 (Web アプリケーションの場合)
- カスタム URI スキームの悪用 (Public Client かつネイティブアプリの場合)
認可コードが奪われると、アクセストークンが取得され、ユーザのリソースが不正にアクセスされる可能性があります。
なお、認可コードが奪われるだけでは、アクセストークンが取得されるわけではありません。認可コードをアクセストークンに引き換えるための攻撃については、次の質問にて解説します。
それでは、それぞれの攻撃について、具体的な攻撃手法を見ていきましょう。
リダイレクト URI の悪用 (Web アプリケーションの場合)
OAuth においてリソースオーナーが認可コードを取得したあと、リソースオーナーはクライアントにリダイレクトし、認可コードを渡します。
このときのリダイレクト先は、フロー開始時にクライアントが指示したリダイレクト URI です。
しかし、リダイレクト URI の値自体はクライアントと認可サーバは直接やり取りせず、リソースオーナーのブラウザを通じてパラメータが渡されます。
そのため、リダイレクト URI の値を変更することで、任意のサイトにリダイレクトを行い、結果的に認可コードを奪う攻撃が考えられます。
詳しく見ていきましょう。
- リソースオーナー(攻撃者)がクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアントがリソースオーナー(攻撃者)に対し、「まずは認可コードを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナーをリダイレクトさせる
ここまでは通常のフローと同じです。しかし、攻撃者ユーザはここで、リダイレクトをあえてストップし、リダイレクト URI を改竄したリンクを被害者ユーザに送ります。
- リソースオーナー(被害者)が認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする
- 認可サーバがリソースオーナー(被害者)に対して「認可しました」と言ってリダイレクト URI にリダイレクト
- リソースオーナー(被害者)はここで、正規のクライアントではなく、攻撃者の用意したクライアントに認可コードを渡してしまう
このようにして、攻撃者は被害者の認可コードを取得することができます。
認可コードが奪取されたあとは、攻撃者はなんらかの方法で認可コードをアクセストークンに引き換えますが、ここでは解説しません。
では、これに対策を施すためにはどうすればいいでしょうか?
リダイレクト URI の悪用を防ぐためには、リダイレクト先を信頼できる Web サイトに限定することが有効です。つまり、認可サーバがリダイレクト指示を行う前に、リソースオーナーから指定されたリダイレクト URI が、適切なリダイレクト先であるかどうかを確認することが重要です。
このためには、指定されたリダイレクト URI が、クライアント登録の際に登録されたリダイレクト URI と完全に一致しているかどうかを確認することが有効です。
ここで、前方一致などの部分一致ではなく、完全一致であることが重要です。
これにより、リダイレクト URI の悪用攻撃が防げるかを確認しましょう。
- リソースオーナー(攻撃者)がクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアントがリソースオーナー(攻撃者)に対し、「まずは認可コードを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナーをリダイレクトさせる
- 攻撃者はリダイレクト URI を改竄したリンクを被害者ユーザに送る
- リソースオーナー(被害者)が認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする
- 認可サーバはリダイレクト URI がクライアント登録時のものと不一致しているため、エラーを返す
- 攻撃者の用意したクライアントは、認可コードを取得できない
このように、リダイレクト URI の悪用攻撃を防ぐことができています。
参考リンク
カスタム URL スキームの悪用 (Public Client かつネイティブアプリの場合)
先程の攻撃手法では、Web アプリケーションのリダイレクト URI を悪用することで、リソースオーナーに踏ませ、認可コードを奪っていました。
対策としては、リダイレクト先を信頼できる Web サイトに限定することで対処していました。
しかし、ネイティブアプリがクライアントの場合、リダイレクト後に開かれるアプリが複数存在する可能性が考えられます。
詳しく見ていきましょう。
Android や iOS のアプリ開発者に提供されている機能として、カスタム URL スキームがあります。
みなさんも、ブラウザの特定の URL をクリックした際にアラートが表示され、許可をすると Web サイトではなくアプリが起動したという経験があるかもしれません。
これに利用されている機能がカスタム URL スキームです。
ネイティブアプリの存在するスマホ端末の環境では、カスタム URL スキームを開くことにより、そのカスタム URL スキームの起動に対応しているアプリが起動します。Android であれば、開くアプリを選択することが可能です。iOS であればデフォルトで対応付けられているアプリが起動します。
この仕組みは非常に便利なのですが、一方で同じ URL であっても開くアプリが一意に決まらないという特徴があります。
そのため、カスタム URL スキームをリダイレクト先の URL として設定していた場合、本来意図していないアプリをクライアントとして指定してしまう可能性があります。
更にこれを攻撃者が悪用した場合、以下のような攻撃が考えられます。
- 攻撃者が、被害者のスマホ端末にアプリをインストールさせる
- リソースオーナー(被害者)がクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアントがリソースオーナーに対し、「まずは認可コードを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナーをリダイレクトさせる
- リソースオーナーが認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする
- 認可サーバがリソースオーナーに対して「認可しました」と言ってリダイレクト URI にリダイレクト
- リソースオーナー(被害者)はここで、正規のクライアントではなく、攻撃者の用意したクライアントアプリを起動してしまう
- 攻撃者の用意したクライアントアプリが起動し、認可コードを取得する
このようにして、認可コードが奪われる可能性があります。
認可コードが奪取されたあとは、攻撃者はなんらかの方法で認可コードをアクセストークンに引き換えますが、ここでは解説しません。
では、対策はどうすればいいのでしょうか?
根本的な対策として、HTTP URL スキームを利用することが挙げられます。
HTTP URL スキームを用いることで、アプリと Web サイトの対応が一対一となり、リンクを開くアプリを一つに限定することができます。
しかし、この対策は OAuth の範囲外となります。なぜなら、この機能は OS の提供する機能であり、OAuth の仕様では対応しきれない部分であるためです。
そのため、参考リンクからより詳しい詳細を確認いただけると幸いです。
参考リンク
奪われた認可コードはどのように使われるんでしょうか?⏩
先程確認した攻撃手法で認可コードを奪取したあと、攻撃者がリソースにアクセスするためには、その認可コードをアクセストークンに引き換える必要があります。
奪った認可コードをアクセストークンと引き換える攻撃について、いくつか手法が想定されます。
- クライアントの偽装 (Public Client の場合)
- 正規クライアントに対する認可コードインジェクション攻撃 (Public/Cofidential Client の場合)
それでは、それぞれの攻撃について、具体的な攻撃手法を見ていきましょう。
クライアントの偽装 (Public Client の場合)
認可コードを奪取した攻撃者は、その認可コードをアクセストークンに引き換えるために、認可サーバに対してアクセストークンの取得リクエストを行います。Public Client の場合はクライアント認証が存在せず、認可コードとクライアント ID のみでアクセストークンを取得することができます。
正規のクライアントを詐称してアクセストークンを取得するだけの攻撃です。
詐称しているため、認可サーバからは正規のクライアントのように見えています。
正規クライアントに対する認可コードインジェクション攻撃 (Public/Cofidential Client の場合)
クライアントを模倣するのではなく、途中まで正規のクライアントでフローを進め、正規のクライアントでアクセストークンを取得する際に認可コードを奪取したコードに差し替える攻撃です。
正規のクライアントで途中まで進め、認可コードを渡す段階で差し替える(コードをインジェクションする)攻撃といえます。
対策: PKCE の導入
これらの攻撃の対策として、PKCE (Proof Key for Code Exchange) の導入が挙げられます。
PKCE とは前述の通り、フローを開始したクライアントが、アクセストークンを取得しようとするクライアントと同一であることを証明するための仕組みです。
PKCE を導入することで、攻撃者が認可コードを奪取しても、その認可コードをアクセストークンに引き換えることができないようになります。
具体的な内容について解説します。
フローを開始するクライアントが前もってランダム文字列を生成し、その値をハッシュ化した値をリソースオーナーに渡します。リソースオーナーはリダイレクトして認可コードを取得しますが、このときランダム文字列ハッシュを認可サーバに渡すことになります。
そして、クライアント自身がアクセストークン引き換えリクエストを行う際に、そのランダム文字列の元の値を認可サーバに渡します。
ここで、ランダム文字列の元の値のことを code_verifier、ハッシュ化した値のことを code_challenge と呼びます。
なおここで、クライアントは、code_verifier(ランダム文字列の元の値)をクライアントのセッションに保存しておく必要があります。
また認可サーバは、認可コード発行時に code_challenge(ランダム文字列ハッシュ)を認可コードに紐付け、データベースで保持しておく必要があります。
code_challenge のハッシュ化前である code_verifier を知っているのはクライアントだけなので、ハッシュの一致を検証することにより、アクセストークン引き換えリクエストを行なったクライアントがフローを開始したクライアントと一致するということを証明できるのです。
フローを振り返りつつ、PKCE がどのように組み込まれるかを見ていきましょう。
- リソースオーナーがクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアントがリソースオーナーに対し、「まずは認可コードを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナーをリダイレクトさせる。このとき、code_verifier を生成してセッションに保存。かつ、SHA-256 でハッシュ化して code_challenge とし、リソースオーナーに渡す
- リソースオーナーが認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする。このとき、先程の code_challenge も渡す
- 認可サーバがリソースオーナーに対して「認可しました」と言ってリダイレクト URI にリダイレクト。このとき、生成した認可コードに対し、code_challenge を紐付けて保存
- リソースオーナーがクライアントに対し、「認可コードどうぞ」とリクエストする
- クライアントが認可サーバに対してアクセストークンを取得するリクエストを行う。このときセッションから code_verifier を取得し、認可サーバに渡す
- 認可サーバは、code_verifier を同じように SHA-256 でハッシュ化し、認可コード生成時に保存した code_challenge と比較。一致すればアクセストークンを返す。一致しなければエラーを返す
- クライアントがリソースサーバに対してアクセストークンを使ってリソースを取得する
- リソースサーバがリソースを返す
このようにして、PKCE によりフロー開始時のクライアントとアクセストークン取得時のクライアントが同一であることを証明することができます。
PKCE によるクライアント偽装攻撃の対策
では、PKCE を利用することにより、クライアントの偽装やを防ぐことができるかを確認しましょう。
- リソースオーナー(被害者)がクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアントがリソースオーナー(被害者)に対し、「まずは認可コードを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナー(被害者)をリダイレクトさせる。このとき、code_verifier を生成してセッションに保存。かつ、SHA-256 でハッシュ化して code_challenge とし、リソースオーナー(被害者)に渡す
- リソースオーナー(被害者)が認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする。このとき、先程の code_challenge も渡す
- 認可サーバがリソースオーナー(被害者)に対して「認可しました」と言ってリダイレクト URI にリダイレクト。このとき、生成した認可コードに対し、code_challenge を紐付けて保存
- ここで、何らかの方法で、リソースオーナー(被害者)が認可コードを奪取される
- リソースオーナー(攻撃者)がクライアント(偽装)に対し、「認可コードどうぞ」とリクエストする。しかし、ここで適切な code_verifier が必要だが、攻撃者はハッシュ化前のランダム文字列を知らないので空っぽのまま
- クライアントが認可サーバに対してアクセストークンを取得するリクエストを行う。このときセッションから code_verifier を取得し、認可サーバに渡す
- 認可サーバは、code_verifier を同じように SHA-256 でハッシュ化し、認可コード生成時に保存した code_challenge と比較。一致しないため、エラーを返す
このように、クライアントの偽装を防ぐことができます。
PKCE による認可コードインジェクション攻撃の対策
では、認可コードインジェクション攻撃に対して PKCE がどのように機能するかを確認しましょう。
ここで、リソースオーナー(被害者)の認可コードを hoge、リソースオーナー(攻撃者)の認可コードを fuga とします。
- リソースオーナー(被害者)がクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアントがリソースオーナー(被害者)に対し、「まずは認可コードを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナー(被害者)をリダイレクトさせる。このとき、code_verifier を生成してセッションに保存。かつ、SHA-256 でハッシュ化して code_challenge とし、リソースオーナー(被害者)に渡す
- リソースオーナー(被害者)が認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする。このとき、先程の code_challenge も渡す
- 認可サーバがリソースオーナー(被害者)に対して「認可しました」と言って認可コード hoge を返し、リダイレクト URI にリダイレクト。このとき、生成した認可コードに対し、code_challenge を紐付けて保存
- ここで、何らかの方法で、リソースオーナー(被害者)が認可コードを奪取され、リソースオーナー(攻撃者)が認可コード hoge を取得
- リソースオーナー(攻撃者)がクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアントがリソースオーナー(攻撃者)に対し、「まずは認可コードを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナー(攻撃者)をリダイレクトさせる。このとき、code_verifier を生成してセッションに保存。かつ、SHA-256 でハッシュ化して code_challenge とし、リソースオーナー(攻撃者)に渡す
- リソースオーナー(攻撃者)が認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする。このとき、先程の code_challenge も渡す
- 認可サーバがリソースオーナー(攻撃者)に対して「認可しました」と言って認可コード fuga を返し、リダイレクト URI にリダイレクト。このとき、生成した認可コードに対し、code_challenge を紐付けて保存
- リソースオーナー(攻撃者)がクライアントに対し、認可コードを fuga から hoge に差し替えて渡す。
- クライアントが認可サーバに対してアクセストークンを取得するリクエストを行う。このときセッションから fuga に紐づく code_verifier を取得し、認可サーバに渡す
- 認可サーバは、code_verifier を同じように SHA-256 でハッシュ化し、認可コード生成時に保存した code_challenge と比較
最後の検証において、認可サーバは以下の 2 つの値の一致を検証します。
- 渡された code_verifier(認可コード fuga に紐づく)のハッシュ
- 保存されている code_challenge(認可コード hoge に紐づく)
ここで、異なる認可コードに紐づく code_challenge と code_verifier が渡され、ハッシュが一致しないため、エラーを返すことができます。
このように、PKCE を利用することで、クライアントの偽装や認可コードインジェクション攻撃を防ぐことができます。
OAuth における CSRF 攻撃はどのようなものですか?⏩
まず、OAuth/OIDC における CSRF は少し特殊ということに注意が必要です。
OAuth における CSRF は、一言で言うと「リソース押し付け攻撃」です。
攻撃者が被害者に対して、攻撃者のリソースにアクセスさせることが目的となります。
こうすると何が問題なのでしょうか?
被害者は騙されているため、攻撃者のリソースを自分のリソースだと思ってしまうかもしれません。そのため、気づかずに攻撃者のリソースに対して機密情報を送信(アップロード)してしまう可能性があります。
機密情報のアップロードとは、知られたくない写真(免許証の写真とか、特に嫌ですよね)であったり、クレジットカード情報であったり、個人情報であったり、様々なものが考えられます。
このように、OAuth における CSRF は、リソース押し付け攻撃として、攻撃者のリソースにアクセスさせることが目的となります。
攻撃の流れは以下のとおりです。
- 攻撃者は、既に攻撃者のリソースを持っているものとする。
攻撃者は OAuth で連携をはじめ、フローを開始 - リソースオーナー(攻撃者)がクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアントがリソースオーナー(攻撃者)に対し、「まずは認可コードを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナー(攻撃者)をリダイレクトさせる
- リソースオーナー(攻撃者)が認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする
- 認可サーバがリソースオーナー(攻撃者)に対して「認可しました」と言って認可コードをもたせ、リソースオーナー(攻撃者)をクライアントにリダイレクトさせようとする
ここまでは通常のフローと同じです。しかし、攻撃者ユーザはここで、リダイレクトをあえてストップし、リダイレクト URI を被害者ユーザに送ります。
ここで、被害者が URI を踏んでしまった場合、どのように処理が進むでしょうか?
- リソースオーナー(被害者)はクライアントに対して攻撃者の認可コードを渡す
- クライアントが認可コードを持って認可サーバにアクセスし、「認可コードを持っているので、アクセストークンをください」とリクエストを送る
- 認可サーバがクライアントに対してアクセストークンを渡す
- クライアントはアクセストークンが手に入ったので、リソースサーバにアクセスし、リソースサーバに対してアクセストークンを渡す
- リソースサーバはアクセストークンを受け取り、何らかの手段で検証し、成功すればリソースを返す
このように、被害者は攻撃者の認可コードでアクセストークンを取得してしまい、攻撃者のリソースにアクセスしてしまうことになります。
では、これに対策を施すためにはどうすればよいでしょうか?
フローについて振り返ると、この問題はクライアントで解決するべき問題であることがわかります。
- 条件: 認可をリクエストしたリソースオーナーと、認可コードを渡すリソースオーナーが異なる場合、それは CSRF 攻撃がされている
- 問題点: 認可コードを渡すリソースオーナーが、認可をリクエストしたリソースオーナーと異なる場合でも、正常にアクセストークンを取得できてしまう
- 対策: 認可コードを渡すリソースオーナーが、認可をリクエストしたリソースオーナーと同一であることを確認する
では、そのような仕組みをどのように実装すればよいでしょうか?
答えは、フロー開始時にランダムな文字列を生成し、クライアントのセッションに保存しておくことです。
このランダムな文字列を state と呼びます。
フローの開始時に state と生成し、リソースオーナーをリダイレクトさせる際に、state をリクエストパラメータとして付与します。
そしてリソースオーナーが一通り認可の処理を済ませ、クライアントに認可コードを渡す際に、state も一緒に渡してもらいます。
クライアントは、セッションから取り出した state と、リソースオーナーから渡された state が一致するかどうかを確認し、一致しない場合は処理を中断します。一致する場合は state をセッションから削除し、アクセストークンの取得処理を続行します。
これにより、CSRF 攻撃が防げるかを確認しましょう。
- 攻撃者は、既に攻撃者のリソースを持っているものとする。
攻撃者は OAuth で連携をはじめ、フローを開始 - リソースオーナー(攻撃者)がクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアントがリソースオーナー(攻撃者)に対し、「まずは認可コードを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナー(攻撃者)をリダイレクトさせる
このとき、クライアントは state を生成し、セッションに保存。かつ、リクエストパラメータに state を付与してリソースオーナーに state を渡す - リソースオーナー(攻撃者)が認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする
- 認可サーバがリソースオーナー(攻撃者)に対して「認可しました」と言って認可コードをもたせ、リソースオーナー(攻撃者)をクライアントにリダイレクトさせようとする
このとき、state もリクエストパラメータに付いてきている
ここで、攻撃者は、クライアントに認可コードを送信する通信をあえて遮断し、先程のように被害者にリダイレクト先 URI(URL) を踏ませようとします。
では、続きを見ていきましょう。
- リソースオーナー(被害者)はクライアントに対して認可コードを渡す
このとき、state も一緒に渡す - クライアントはアクセストークンの引き換えを行う前に、セッションから取り出した state と、リソースオーナーから渡された state が一致するかどうかを確認
一致しない場合は処理を中断
この場合は、被害者のセッションに state が存在せず、被害者のセッション内部の state と被害者から渡された state が一致しないことになる。そのため、CSRF 攻撃が行われていると判断し、処理を中断
このように、state を用いることで、CSRF 攻撃を防ぐことができています。
なお、state を検証する処理はクライアントが行うことである、ということに気をつけてください。
ここを忘れると、パラメータ(PKCE)の責務と混同しやすくなります。
参考リンク
(p.20)具体的な OAuth フロー
では、具体的に Condifential Client でどのようなパラメータを用いたフローが行われるのかを見ていきましょう。
- フレームワーク: OAuth2.0
- グラントタイプ: 認可コードフロー
- クライアントタイプ: Confidential
- セキュリティ機構: PKCE, state
上記のフロー解説で述べた順序に従って、具体的なパラメータを見ていきます。
- リソースオーナーがクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
ここについては、クライアントアプリケーションの仕様によります。
基本的には、リソース連携を行うボタンをクリックすることで、リソースオーナーがクライアントに対してリクエストを行い、次のステップに進みます。
- クライアントがリソースオーナーに対し、「まずは認可コードを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナーをリダイレクトさせる
以下は、クライアントがリソースオーナーをリダイレクトさせる際のレスポンス例です。
302 Found
Location: (認可サーバの認可エンドポイント)?code_challenge=(PKCE 用のランダムな文字列のハッシュ)&code_challenge_method=S256&client_id=(クライアント識別子)&redirect_uri=(リダイレクト先 URI)&response_type=code&scope=(リソースへのアクセス範囲)&state=(CSRF 対策のためのランダムな文字列)
認可サーバの認可エンドポイントとしては、(認可サーバのホスト)/oauth2/authorize
などが考えられます。
付随するパラメータは以下の通りです。
- response_type: code (認可コードを取得するためのリクエスト)
- client_id: (クライアント識別子)
- redirect_uri: (リダイレクト先 URI。認可コードはこの URI に渡されることになる)
- scope: (リソースへのアクセス範囲)
- state: (CSRF 対策のためのランダムな文字列)
- code_challenge: (PKCE 用のランダムな文字列のハッシュ)
- code_challenge_method: S256 (PKCE 用のランダムな文字列のハッシュ化方法)
これに沿って、次のステップでリソースオーナーは認可サーバにアクセスします。
なお、リダイレクトの仕組みは 302 Found で行わず、JavaScript で行う実装の場合もあります。
- リソースオーナーが認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする
先程のリダイレクト指示で、リソースオーナーは認可サーバにアクセスします。
GET (認可エンドポイント)?response_type=...
(パラメータは先程と同じ)
その後、アクセス権を認めるかどうかを選択する画面が表示されます。
ここについては、認可サーバの仕様によります。
アクセスを許可すると、次のステップに進みます。
参考リンク
- 認可サーバがリソースオーナーに対して「認可しました」と言って認可コードをもたせ、リソースオーナーをクライアントにリダイレクトさせる
302 Found
GET (リダイレクト先 URI)?code=(認可コード)&state=(CSRF 対策のためのランダムな文字列)
リダイレクト先 URI は、クライアントがリソースオーナーに指定した URI です。認可サーバのトークンエンドポイントとなります。
付随するパラメータは以下の通りです。
- code: (認可コード)
- state: (CSRF 対策のためのランダムな文字列)
ここでは、PKCE に関するパラメータは入ってこないことに注意してください。
state については含まれます。
参考リンク
- リソースオーナーはクライアントに対して認可コードを渡す
4 のリダイレクトにより、自動的にクライアントに認可コードが渡されます。
- クライアントが認可コードを持って認可サーバにアクセスし、「認可コードを持っているので、アクセストークンをください」とリクエストを送る
以下は、クライアントが認可コードを持ってアクセストークンを取得する際のリクエスト例です。
POST (認可サーバのトークンエンドポイント)
認可サーバのトークンエンドポイントとしては、(認可サーバのホスト)/oauth2/token
などが考えられます。
付随するパラメータは以下の通りです。
- grant_type: authorization_code (認可コードフローを使うことを示す)
- code: (認可コード)
- redirect_uri: (リダイレクト先 URI。認可コード取得時のパラメータの値と同じ)
- code_verifier: (PKCE 用のランダムな文字列)
- client_id: (クライアント識別子)
また Confidential Client の場合、クライアント認証が必要です。
クライアント認証として client_secret_basic 方式を利用しているため、Authorization ヘッダにクライアント ID とクライアントシークレットを Base64 エンコードした値を設定します。
Authorization: Basic (Base64エンコードされたクライアントIDとクライアントシークレット)
参考リンク
- 認可サーバがクライアントに対してアクセストークンを渡す
以下は、認可サーバがクライアントに対してアクセストークンを渡す際のレスポンス例です。
200 OK
Content-Type: application/json
{
"access_token": (アクセストークン),
"token_type": "Bearer",
"expires_in": (アクセストークンの有効期限),
"refresh_token": (リフレッシュトークン),
"scope": (リソースへのアクセス範囲)
}
このようにして、クライアントはアクセストークンを取得できました。
お疲れ様でした!
リフレッシュトークンやスコープについては、応用編で解説します。
参考リンク
章の参考リンク
(p.12)余談: 「なぜ我々は鍵を落としてはいけないのか」
ここまで、アクセストークンの漏洩の危険性について、何度も触れてきました。
その解像度を更に上げるため、鍵という概念について考えてみましょう。
鍵という概念を皆さんは知っていますか?鍵の仕組みではなく、鍵という抽象化された概念についてです。
例えば、自分の家の鍵を持っているとします。この鍵は、自分の家のドアを開けるために使うものです。この鍵があれば、自分の家に入ることができます。
では、この鍵を落としてしまった場合、なぜあなたは「不味いことになった」と感じるのでしょうか?それは、他人があなたに代わって、あなたの家に入ることができるからです。
このように鍵は、それを手に入れた時点で持ち主に関係なく、リソースにアクセスできる権限を利用者に与えてしまうものです。使っている人間がどのような人間かということを、リソース側は何も気にしません。
アクセストークンも同様です。アクセストークンは、リソースに対する鍵です。
アクセストークンを持っている人間がどのような人間かということを、リソース側は何も気にしません。
そのため、アクセストークンを落としてしまった場合、他人があなたに代わって、リソースにアクセスできる可能性があるのです。
応用の話
実は、RFC6819 では、利用主が認められた者でないと利用できないアクセストークンについても言及されています。
ここでは、利用主を判断するかどうかという軸で、アクセストークンを 2 つに分類しています。
bearer token
bearer token とは, それを受け取ったいかなるクライアントにも利用可能なトークンである ([RFC6750]).
トークンを所有していることのみがその利用条件であるため, エンドポイント間での通信がセキュアに保たれ, 許可されたエンドポイントのみがそのトークンにアクセスできる状態を担保することが重要である
proof token
proof token は特定のクライアントにのみ利用可能なトークンである.
クライアントは, トークン利用に際して毎回自身がトークン利用可能な主体であることを証明するために何らかの処理を行う必要がある.
クライアントにリクエスト内容に対して特定のトークンと紐づいた秘密鍵を用いて電子署名を要求する, MAC タイプのアクセストークン ([OAuth‑HTTP‑MAC]) などがその例である.
あれ、これってクライアント認証の話と似ていませんか?と思った方、正解です。
proof token に関しては、応用編で解説していきます。
とりあえずアクセストークンに関しては、Bearer Token を主体として解説を進めていきます。
なお、以下の記事では proof token について、「Sender Constrained Tokens」という名称で解説されています。
余談: OAuth で認証を実装した場合
OIDC が登場する以前は、OAuth にプロフィール API をリソースとして認可させ、認証の仕組みが実装されていました。では、OAuth とプロフィール API を用いて、どのように認証が実装できるのでしょうか?
実際の流れは以下の通りです。ここでは、認可コードフローを用いた例を示します。
- リソースオーナーがクライアントに対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアントがリソースオーナーに対し、「まずは認可コードを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナーをリダイレクトさせる
- リソースオーナーが認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする
- 認可サーバがリソースオーナーに対して「認可しました」と言って認可コードをもたせ、リソースオーナーをクライアントにリダイレクトさせる
- リソースオーナーはクライアントに対して認可コードを渡す
- クライアントが認可コードを持って認可サーバにアクセスし、「認可コードを持っているので、アクセストークンをください」とリクエストを送る
- 認可サーバがクライアントに対してアクセストークンを渡す
- クライアントはアクセストークンが手に入ったので、リソースサーバにアクセスし、リソースサーバに対してアクセストークンを渡してユーザのプロフィール情報をリクエストする
- リソースサーバはアクセストークンを受け取り、何らかの手段で検証し、成功すればプロフィール情報を返す
どのような問題があるの?
この実装には、以下の問題点があります。
- 攻撃者のリソースオーナーが盗んだアクセストークンをクライアントに渡して
なりすましログインが可能になる - プロフィール API を実装する方法が標準化されておらず、独自実装になってしまう
二つ目については明らかなので簡単に説明します。OAuth は基本的にリソース認可の仕組みであり、プロフィール API を認証に利用することは本来の目的から外れています。
認証用途として利用する場合、規定されていない独自実装が増えてしまいます。
これに対処するために、認証の仕組みとして標準化されている OIDC を利用することが推奨されています。
一つ目については、今までの事前知識も含め、確認していきましょう。この問題は、「単なる OAuth 2.0 を認証に使うと、車が通れるほどのどでかい穴があく」というワードでよく知られているものです。
まずこの問題は、以下の条件を満たす場合に発生します。
- フロントエンドからアクセストークンをクライアントに渡すことができる
- つまり以下の場合が該当
- ユーザがフロントエンドから
アクセストークンを渡すことができる(インプリシットフロー) - クライアントが Public Client であり
フロントエンドでアクセストークンを保管している
- ユーザがフロントエンドから
- つまり以下の場合が該当
- リソースオーナーから渡されたアクセストークンを検証しない
- 渡されたアクセストークンが自身向けに発行されたものであるかどうかを
クライアントが検証していない
- 渡されたアクセストークンが自身向けに発行されたものであるかどうかを
ここで、Public Client であればアクセストークンをフロントエンドで保管しているケースについてはフロー終了後の話であるため、OAuth の管轄外として今回は無視します。
この攻撃の危険性が一番わかり易い状況設定として、Confidential Client でインプリシットフローを使った場合を考えてみましょう。
この攻撃は、いわゆるトークンインジェクション攻撃とも呼ばれます。先程の認可コードインジェクション攻撃と似ていますが、こちらはアクセストークンを利用することで他人のユーザになりすます攻撃です。
まず攻撃者は、攻撃者のクライアントを作成します。この攻撃者クライアントはアクセストークンを盗むことが役目です。
- リソースオーナー(被害者)がクライアント(攻撃者)に対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアント(攻撃者)がリソースオーナー(被害者)に対し、「まずはアクセストークンを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナー(被害者)をリダイレクトさせる
- リソースオーナー(被害者)が認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする
- 認可サーバがリソースオーナー(被害者)に対して「認可しました」と言ってアクセストークンをもたせ、リソースオーナー(被害者)をクライアント(攻撃者)にリダイレクトさせる
- リソースオーナー(被害者)はクライアント(攻撃者)に対してアクセストークンを渡す
ここで、攻撃者は被害者から渡されたアクセストークンを得ることができます。
このアクセストークンの詳細は以下のとおりです。
- 発行元: 認可サーバ
- 発行対象: 攻撃者クライアント
- 何ができるか: 認可サーバが許可したプロフィール API へのアクセス
攻撃者はこのアクセストークンを利用し、他のクライアントであってもリソースオーナー(被害者)としてログインすることができます。
- リソースオーナー(攻撃者)がクライアント(正規)に対し、「リソースにアクセスしてほしい」とリクエストする
- クライアント(正規)がリソースオーナー(攻撃者)に対し、「まずはアクセストークンを取ってきてくれ」と言ってリソースオーナー(攻撃者)をリダイレクトさせる
- リソースオーナー(攻撃者)が認可サーバにアクセスし、認可サーバに対して「認可してください」とリクエストする
- 認可サーバがリソースオーナー(攻撃者)に対して「認可しました」と言ってアクセストークンをもたせ、リソースオーナー(攻撃者)をクライアント(正規)にリダイレクトさせる
- ここで攻撃者はアクセストークンを先程奪取した被害者のトークンに差し替え、リソースオーナー(攻撃者)はクライアント(正規)に対してアクセストークンを渡す
- クライアント(正規)はアクセストークンが手に入ったので、リソースサーバにアクセスし、リソースサーバに対してアクセストークンを渡してユーザのプロフィール情報をリクエストする 12.リソースサーバはアクセストークンを受け取り、何らかの手段で検証し、成功すればプロフィール情報を返す
- クライアントはそのプロフィール情報を信用し、認証とする
この問題は、以下のような 3 つの問題がつながることで発生する問題です。複数の問題がチェーン状につながった時、コンボが発生し、それが脆弱性となります。
- クライアントが、リソースオーナーからアクセストークンを受け取る仕組みとなっている
- クライアントが、リソースオーナーから受け取ったアクセストークンを検証しない
- クライアントが、プロフィールの中身を信用して認証を行ってしまう
信用できない情報をクライアントから受け取り、それを信用してしまうことが、この問題の根本的な原因です。
上の 2 つの問題だけの場合、「他ユーザのアクセストークンを盗んだ攻撃者が、正規のクライアントで他ユーザのリソースにアクセスできる」という問題となります。これ自体でも問題ですが、アクセストークンが盗まれればどのクライアントでもリソースにアクセスできるという性質上、正規クライアントにわざわざアクセストークンを渡す攻撃は意味がないでしょう。
ところが第三の問題で「クライアントがプロフィールの中身を信用して認証を行なってしまう」という問題が加わることで、「正規のクライアントに奪取したアクセストークンを読み込ませ、リソースのプロフィール情報を信用させて認証ができる。この際、アクセストークンは正規のクライアントから盗んだものじゃなくても通用する」という攻撃を行うことが可能になります。
この攻撃手法があれば、以下のように攻撃が可能です。
- 攻撃者が怪しいアプリ(クライアント)を作る
- 被害者が怪しいアプリにユーザ連携(認証)を行なってしまう
- 攻撃者が被害者のアクセストークンを盗む
- 攻撃者が正規のアプリに被害者のアクセストークンを読み込ませる
- 攻撃者が正規のアプリで、被害者の情報としてユーザ連携(認証)を行い、ログインする
この問題を防ぐためには、攻撃のチェーンを断ち切る必要があります。以下のような対策で、この問題を解決することができます。
- インプリシットフローの使用を避ける
- 渡されたトークンを、クライアントが検証する
しかし、アクセストークンを検証することは、OAuth 2.0 では規定されていません。そのため、アクセストークンを検証するための仕組みを自前で実装する必要があります。
以後解説する OIDC を利用せず、現在でも OAuth とプロフィール API を利用して認証を実装しているサービスは、このようなアクセストークンを検証する仕組みを持っています(Facebook など)。
OIDC では、この問題に対してアクセストークンを認証に利用せず、身分証明のために用いられるまた別のトークンである ID トークンを導入し、この問題を解決しています。
具体的には、トークン内部に「そのトークンがどのクライアントに対して発行されたものか」という情報を持たせ、クライアントがアクセストークンを受け取った際にその情報を検証するようにすることで、この問題を解決しています。
では準備もできたところで、OIDC について見ていきましょう。
OIDC の登場人物
前述の通り、OIDC は OAuth を拡張して、アイデンティティレイヤーを載せたものであると言われています。
そのため、OIDC における登場人物は、OAuth の登場人物と名称こそ違うものの、同じような役割を担っているものとなります。
OIDC は、第三者に対して自分がどのような人物であるかを示し、これを用いて認証を行うための仕組みです。
以下のような登場人物が関連してくると考えられるでしょう。
- プロフィールを確認したい第三者のアプリケーション
- プロフィール情報の詳細を提供するサーバ
- ユーザのクレデンシャルから認証を行い
身分証明(ID トークン)とアクセストークンを発行するサーバ - 認証をするユーザ
では、それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。
ここで、Google のアカウントを持っているユーザが、A アプリに Google アカウントでログインする場合を例に考えてみます。
リライングパーティ: プロフィールを確認したい第三者のアプリケーション
OIDC におけるリライングパーティは、プロフィールを確認したい第三者のアプリケーションを指します。
OAuth におけるクライアントに相当します。
例として、A アプリが Google アカウントでログインするためのアプリケーションがリライングパーティに相当します。
UserInfo エンドポイント: プロフィール情報の詳細を提供するサーバ
OIDC における UserInfo エンドポイントは、プロフィール情報の詳細を提供するサーバを指します。
OAuth におけるリソースサーバに相当しますが、OIDC においてはあまり活躍することがない存在です。
アクセストークンを受取り、それを検証し、成功すればプロフィール情報を返します。
大抵は、次に説明する ID プロバイダの一機能として提供されることが多いです。
ID プロバイダ: ユーザのクレデンシャルから認証を行い、身分証明を発行するサーバ
OIDC における ID プロバイダは、ユーザのクレデンシャルから認証を行い、身分証明である ID トークンとアクセストークンを発行するサーバを指します。
なお、アクセストークンについては、OAuth における認可サーバに相当します。前述の Userinfo エンドポイントにアクセスする際には、アクセストークンが必要になります。
OAuth における認可サーバに相当します。
例として、Google アカウントでログインするための Google ID プロバイダが ID プロバイダに相当します。
パスワード認証の場合、ユーザからユーザ名とパスワードを受取り、ユーザ名とパスワードが正しいかどうかを確認し、正しい場合は プロフィール情報の証明書のようなものを発行します。
エンドユーザー: 認証をするユーザ
OIDC におけるエンドユーザーは、認証をするユーザを指します。
OAuth におけるリソースオーナーに相当します。
例として、Google のアカウントを持っているユーザがエンドユーザーに相当します。
ID トークンの仕様
OIDC のフロー
フローについていくつか種類があるけど、どう違うの?
ここについては、OAuth と同様の説明となるため、省略します。
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