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【knowledge】プロジェクトの成功率を高める事前検死(pre-mortem)

2022/02/12に公開約1,900字

プロジェクトの成功率を高める検証手法として、心理学者であるゲイリー・クラインが提唱した事前検死(pre-mortem)についてまとめる。

※本記事は自身が執筆したnoteを転記したものです。

事前検死(pre-mortem)とは

事前検死(pre-mortem)とは、プロジェクトの開始前に「プロジェクトは失敗した」という想定で、チーム内でその原因を検証することをいう。

「pre-mortem」は、医療の改善などのために遺体の検死や解剖を行うことを意味する「post-mortem」に由来しており、絶対に失敗が許されない場面において絶大な威力を発揮するとされている。

事前検死を行う4ステップ

当然だが、前提として事前検死の目的はプロジェクトを中断ではなく、強化することにある。
ここでいう強化とは、主に目的/目標達成の達成確率を高めることを指す。

0. 失敗を許容する文化形成

これは事前検死を行うためのステップというよりは、検証を適切に行うために必要不可欠な準備に近い。

人間のバイアスを可能な限り取り除いた状態、失敗に対してオープンかつ正直な組織でない限り、核心的な失敗に事前にたどり着くことは難しいだろう。

そもそも失敗することは当然であり、失敗から学ぶことは最も「費用対効果」が高いことであるという共通認識を持つことが重要である。

1. 具体的な失敗イメージを描き、言語化する

事前検死の実践例

  • チームのリーダーは(プロジェクトの責任者とは別の人物)は、メンバー全員に「プロジェクトが大失敗しました」と告げる
  • メンバーは次の数分間で、失敗の理由をできるだけ書き出さなければならない
  • その後、プロジェクトの責任者から順に、理由をひとつずつ発表していく。それを理由がなくまるまで行う

本ステップにおいて重要な点が2つ。

  1. プロジェクトの目的を整理し、それを達成できないことによる損失(失敗)の優先順位を設定し、優先順位の高いものから上記に取り組む
  2. 目標・計画を達成するまでのプロセスを時系列に従って鮮明にイメージ(言語化)すること。その中でマイルストーンを設定していくと、途中経過の振り返りも行いやすくなる

2. 失敗の原因を抽出する

1.にて上げた失敗に対してあらゆる角度から原因分析を行う。

ここでも重要になるのが、時系列を通じて考えること。失敗する場合、マイルストーン前までに失敗の要因が少しずつ蓄積しているはず。

設定したマイルストーンにおいて、どのように準備に失敗しているかを考えていく。そうすることで、さらにリアルに失敗までの道のりが見え、失敗し得る原因が把握しやすくなる。

3. 原因に対する解決策を立てる

失敗の原因が整理できてきたら、次はその対策を講じる。

  1. 2.で設定した各マイルストーンにおける達成率を定量/定性の両面から言語化する

  2. 予期せぬ問題を考慮した上で、各マイルストーンでの目標を達成できるよう打ち手を複数立案する

4. 検証を通した計画を実行する

失敗を防ぎ成功を導くための新しい計画を遂行していく。

モチベーション理論の一つによると、人間はうれしい感情よりも苦痛に対してより強く反応するため、ただ単に成功を思い浮かべるよりも事前検死によって失敗を想像したほうが成功率はぐっと高くなるらしい。

これはたぶん無意識的に事前検死を行うようになるからではないだろうかと思う、、、

大抵の計画は計画通りに実行できないから、定期的にプロセスを振り返る機会を設け、計画を練り直すことが必要である。

まとめ

当然だが、事前検死をどれだけ丁寧に取り組んだとしても失敗はあらゆるところで起こりうる。

あくまでも重要なのは、失敗を許容する文化形成定期的に振り返り改善し続ける習慣をもつチーム作りだと思う。

大々的に時間や人数を集めて事前検死を行う必要はなく、上記のような組織の中で定常的にそれに近い思考や議論がなされている状態を目指していきたい。

参考書籍

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