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製造業における3Dデータフォーマットの比較と活用
1. XVL (eXtensible Virtual world description Language)
概要
XVLは、ラティス・テクノロジー社が開発した3次元データフォーマットです。CADデータを元のサイズの1/100程度まで圧縮可能な軽量な3Dデータ形式として知られています。
主な特徴
- 大幅なデータ軽量化
- Web上での3D表示に適合
- 形状および製品構造情報の保持
- アニメーション表現が可能
- セキュリティ機能搭載
活用事例
建設機械業界(コマツの例)
- REMAN(リマン)部品再生事業での活用
- サービススタッフ向け整備解説書
- グローバルな部品供給ネットワークでの情報共有
自動車業界(トヨタ自動車の例)
- デジタル作業指示書での活用
- 生産ライン作業者向け3D作業手順
- 複雑な組付け作業の視覚化
- 品質チェックポイントの表示
- グローバル展開での活用
- 海外工場への作業標準展開
- 言語に依存しない作業指示
- 生産現場での作業品質均一化
2. 類似技術との比較
JT (Jupiter Tessellation)
- Siemens社開発
- CADデータの軽量化に特化
- ドイツ自動車産業での高い採用率
- 製品設計レビューや技術文書作成に活用
3DXML
- Dassault Systèmes社開発
- CATIAとの高い親和性
- XMLベースの軽量フォーマット
- ファイル構造の特徴:
- ZIPアーカイブ形式
- XMLテキスト(構造定義)
- バイナリデータ(.3dbrep)の複合構造
- テクスチャなどのリソースファイル
STEP/STL
- 国際標準規格
- システム非依存の互換性
- 広く普及した標準形式
- 3Dプリンティングでの活用
glTF (GL Transmission Format)
- Khronos Group開発
- WebGL/Web3D向け最適化
- 効率的なストリーミング
- モバイル環境での表示に適合
- 寸法測定機能は標準非搭載
3. 用途による使い分け
製造業での図面・製造用途
- XVL、JT:寸法測定や製造情報の管理が必要な場合
- STEP:他社とのCADデータ交換が必要な場合
Web表示・カタログ用途
- glTF:Webでの3D表示が主目的
- AR/VR、eコマースでの活用
4. まとめ
各フォーマットの特徴比較:
- XVL:日本の製造業での採用が多く、軽量化と製造情報の保持に強み
- JT:欧米での採用が多く、大規模アセンブリの処理に強み
- 3DXML:CATIAユーザーでの採用が多く、設計データ管理に強み
- STEP:業界標準としての互換性に強み
- glTF:Web環境での利用に強み
製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、目的に応じた適切な3Dフォーマットの選択が、効率的な情報共有と業務プロセスの改善につながります。
はい、その通りです!
.3dxmlファイルの拡張子を.zipに変更して解凍すると、以下のような構造が現れます:
解凍後のディレクトリ構造例:
├── 3DXML
│ ├── root.xml(メインのXMLファイル - テキストエディタで読める)
│ ├── rep.xml(表現に関する情報 - テキストエディタで読める)
├── rsc(リソースディレクトリ)
│ ├── xx.3dbrep(3D形状データ - バイナリ)
│ ├── xx.texture(テクスチャ - バイナリ)
│ └── その他のバイナリリソース
XMLファイルの中身は一般的なテキストエディタで開くことができ、例えばこのような内容になっています:
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<Model>
<Header>
<Product name="CATIA"/>
<Version>...</Version>
</Header>
<ProductStructure>
<Instance name="Assembly1">
<Component name="Part1">
...
</Component>
</Instance>
</ProductStructure>
</Model>
このように、3DXMLは:
- 人間が読めるXML形式の構造定義ファイル
- コンピュータ処理用のバイナリデータファイル
を組み合わせることで、可読性と処理効率の両立を実現しています。
なお、XMLファイルを編集することで製品構造などを変更できる可能性もありますが、バイナリデータとの整合性を保つ必要があるため、一般的には専用ソフトウェアでの編集が推奨されます。