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リアクティブプログラミングとは
リアクティブプログラミングは、データストリームとその変化への自動的反応を基盤とするプログラミングパラダイムです。時間とともに変化するデータの流れ(例:ユーザー入力、センサーデータ、API応答)を「ストリーム」として扱い、宣言的に処理を定義します。
核心概念
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データストリーム
ユーザーのマウス操作やサーバーからのデータ更新など、時間軸に沿ったイベントの連続を抽象化。例:キー入力ストリーム、GPS位置情報の更新ストリーム。 -
宣言的記述
手続き型の「どう処理するか」ではなく、「何を処理するか」を定義。Excelのセル計算のように、依存関係を宣言するだけで自動更新を実現。 -
非同期処理の効率化
イベント発生時に自動で関連処理を実行。例:buttonClickStream .throttle(1000) // 1秒間隔でイベントを間引く .map(event => "クリック検知") .subscribe(text => console.log(text));
従来手法との違い
特徴 | 手続き型プログラミング | リアクティブプログラミング |
---|---|---|
処理フロー | 明示的な制御 | データフロー中心 |
状態管理 | 変数への直接代入 | ストリーム経由の間接管理 |
非同期処理 | コールバック地獄 | チェーン可能なオペレータ |
主要ライブラリ例
- RxJS(JavaScript):イベントストリームをObservableで管理
- Reactor(Java):Spring WebFluxで非同期HTTP処理
- UniRx(Unity):ゲーム内イベントをストリーム化
実践的メリット
- UI応答性向上:ユーザー操作と表示更新の自動同期(例:リアルタイム検索)
- 複雑な状態管理の簡素化:ReduxやVuexよりも直感的なデータフロー
- エラー耐性:ストリームの再購読で自動復旧可能(例:ネットワーク接続断後の再接続)
適用例
- ダッシュボード:株価/在庫データのリアルタイム可視化
- ゲーム開発:プレイヤー操作とAI挙動の連動
- IoTシステム:センサーデータの異常検知と自動制御
課題
- 学習曲線:オペレータ(map/filter/merge)の適切な組み合わせが必要
- メモリ管理:購読解除忘れによるメモリリークリスク
- デバッグ難易度:非同期処理のスタックトレースが複雑化
技術的進化として、NetflixやLINEがマイクロサービス間通信に採用するなど、大規模分散システムでの耐障害性向上にも寄与しています。Unityゲーム開発ではUniRxを用いたイベント駆動設計が、複雑なゲームロジックをシンプルに記述する手段として活用されています。
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