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「分散」って簡単に言うけれど...

2022/02/11に公開

"web3"という言葉があるのと同時に、ほぼ同じようなwebの概念を指す言葉に"decentralized web"という言葉があります。この "decentralized" という言葉はよく「分散」という日本語に訳されるのですが、個人的にどこかしっくりこないところがあって、悶々としつつ整理してみました。

分散って何が分散されてるの?

"decentralized" を「分散」と言うのなら、"decentralized web"は「分散web」です。何がどう分散すれば「分散web」になるのでしょう。ノードが分散してたら "decentralized web" になるんでしょうか? でもそんな思想からはwebのバージョンが繰り上がるような新しいカルチャーは生まれません。なので「分散〇〇」という言葉はこれからはなるべく使わないようにしたいです。

もう一つの分散 "destributed"

単純に「分散」を意味したいのであれば "destributed" という単語を使えばいいはずなのです。私の悶々はここから始まっています。

decentralization の日本語訳..

wikipediaの"dedentralization"の日本語記事はなんと「地方分権」なのです。あら! ということは、"decentralized" という言葉には「中央集権」の対義語になる意味合いがあるということです。権力の分散化。・・・、"decentralized" という言葉において分散されるべくものは権力、パワーなのですね!ん、あれ? なんか意図せず政治的なニュアンスが出てしまっているぞ... たぶん「分散」という言葉が使われている背景には「ちょっとやんわりとした、ふわっとしたニュアンスにしておきたい」という狙いがあるのかもしれませんね。

Web3は"destributed" ではなく "decentralized" なのである!

「分散型◯◯」という言葉に囚われてしまうと言葉に隠れてしまった大事なことを見失ってしまいます。大切なのは "decentralized" であることなのです。組織のパワー、利益が一箇所に集中しているのではなく、トークンを保持することで自身もコミュニティ(組織)の一員となり、コミュニティの推進力になれるとともにコミュニティにおいて生じた利益(の一部)を自分もなんらかの形で享受できる。それこそが(現時点での)web3の面白いところではないでしょうか。

Web3版マーケットプレイスは存在していた

ここからは話が変わります。先日の勉強会の感想で「Amazonのような企業がDAO化したら面白いのでは」という感想をいただいたのですが、Blockchainについて非常に多くのことを学ばせていただいたブロックチェーン革命という本を読み直していたところ、すでに中央管理者が存在しない分散型市場のマーケットプレイスがあるとのことでした!ありゃりゃ!! この本はamazonで去年のはじめ頃に「ブロックチェーン」で検索したときに、これくらいしか出てこなかったのでたまたま買ったに過ぎなかったのですが、非常に多くのことを学ぶことができました。最初に出版されたのは2017年頃ですが、このときblockchainの可能性に気づいていた人たちは今につながる道筋が見えていたのです。

そのマーケットはOpenBazaarというもので、ここここに日本語の解説もあります。開発の開始が2014年、イニシャルリリースが2016年、安定版のリリースが2020年末。しかし、Twitterをみると "I'm not dead"とあるものの、サービスが生きているようには見えません。Web3全般に言えることですが、中央管理者がいないとか、プライバシーが守られるとか、それらを叶えようとすると今度は別の大きな問題が発生しますよね、やはり。こちらの記事ではその他多くのBlockchainベースのマーケットプレイスが紹介されていました。

なぜ "decentralized" という単語にそんなに引っかかっていたかと言うと、改めてDAOのことを色々調べていたからなのでした。

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