面接は「選ばれる場」ではない? BoostDraftのテクニカルインタビューの内容と意図
はじめに
こんにちは。BoostDraftのエンジニアリングマネージャの吉田です。
今回は採用担当なかじまの記事
「ちょっと話してみたい」からOK!BoostDraftのカジュアル面談・面接の流れと準備|株式会社BoostDraft
の連動企画として、BoostDraftの選考プロセスの中ではエンジニアリングポジションのみに存在する「テクニカルインタビュー(面接)」について書かせていただきます。
就職先・転職先としてBoostDraftを検討されている方はもちろん、ソフトウェアエンジニアとして採用面接に臨もうとしているすべての方々のご参考になれば幸いです。
テクニカルインタビュー全体の構成
BoostDraftのテクニカルインタビューは基本的に
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いわゆるインタビュー
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ライブコーディングテスト
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Q&Aコーナー
の3部で構成され、この順序でそれぞれおよそ15~20分、30~40分、5分程度の時間配分により全体で約1時間のミーティングとなります。
現在BoostDraftにはテクニカルインタビューを実施するエンジニアが複数人います。
以前はそれぞれの担当者が割と自由に面接を進行していましたが、担当者を問わずより一貫した基準で判断ができるようにするため、現在はすべての面接官が上記の構成で面接を行い、質問内容も面接官によって大幅に異なることがないようにしています。
それでは次に上記の3部それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。
インタビューパート
いわゆる「面接」と聞いて多くの人が思い浮かべるであろう、応募者の方と面接官がお話をするパートです。アイスブレーキングも兼ねて最初に面接官と応募者の方の自己紹介をお互いに行います。
この自己紹介の中で応募者の方に是非お話しいただきたいのは「経歴以外のこと」です。
当然ですが面接官は事前にいただいたresumeを読んでおり、そこに書かれている経歴、つまり「何をやってきたか」、に関してはすでに把握しています。
その上で伺いたいのはその先、つまり、
「それをやった結果何を学んだのか」
「その後の仕事の仕方がどう変わったのか」
「その経験からどういう信念を持つように至ったのか」
といった部分で、これはresumeだけではなかなか表現する機会のないものだと思います。
逆を返すと、自己紹介を求められたときに単にresumeの内容を反復するだけだと「その先」が無いという印象を与えてしまいかねないので注意が必要です。
応募者の方の自己紹介(単なる経歴よりも深い)を伺うと、大抵の場合その中に面接官が個人的に共感したり興味を持ったりするエピソードが見つかります。
その場合、面接官が自分自身の体験談なども交えつつそのエピソードを深掘りしてより詳しくお話を伺います。
あるいはもっと直接的に「今までで一番の失敗談は何ですか?」や「今までの仕事の中で一番自慢したいエピソードは何ですか?」といった聞き方をすることもありますが、これもすべて、応募者の方の中にあるresumeには表現されていない学びや経験をお話しいただくのが狙いです。
「自分がこの会社に入ったら会社にとってどう嬉しいのか」と、逆に「自分は会社から何を期待するか」もこのパートで伺います。
ご自身の経歴やそれに伴う経験・学びからくる強みをどのように認識し、どう活用しようとしているのか、ぜひお考えをお聞かせください。
また、会社との関係はギブ・アンド・テイクですから、何を得るためにこの会社に入りたいのかも率直に教えていただければと思います。
面接の場は決して面接官が一方的に応募者の優劣を判断する場ではありません。
そこは応募者と会社の相性を相互に確認する場であり、応募者の方には
「自分が会社から選ばれる」
のではなく
「両者の共同作業として、自分がこの会社に入るのが正しい選択なのかを見極めている」
という視点を持って面接に臨まれることをお勧めします。
ライブコーディングパート
約1時間のミーティングの中で割合的に一番時間を割くのがこのパートです。その場で課題を出し、コーディングをしていただきます。
共同編集が可能なオンラインのコードエディタを使うので、ブラウザが開ける環境さえあれば、特に候補者の方に事前に準備していただくことはありません。
使用するプログラミング言語は、面接官がコードの意図を理解できる限り何でも構いません。
また、実際にコンパイラを通して実行するところまでは求めないので、細かな文法エラーは問題視しませんし、意図さえわかれば細かいところの実装は省略可とする場合もあります。
課題の詳細は伏せますが、コーディングテストは「時間内に解けたら合格、解けなかったら不合格」ではありません。
完全に解くまでの時間はもちろん個人差や選択するプログラミング言語によって幅がありますが、そもそも全員が解ききれることを期待した時間設定にはなっていません。
もちろん同じ解法なら遅いよりは早いに越したことはないので、その意味で早さは一つの指標ではありますが、それよりも優先したい項目は他にたくさんあります。
まず、解いている過程では課題に対してどのようなアプローチをとるか、どういう考え方をするかは早さよりもはるかに重要です。
また、一旦コーディングが終わった段階で(あるいは面接官が時間をみて区切りの良いところで中断する場合もあります)それまでに書かれたコードについて振り返りや面接官からのフィードバックの時間を取りますが、そこでどのようなやり取りが発生するかも重要なポイントになります。
前向きで建設的な議論ができるか、あるいはそういう議論ができる関係が築けそうか、というところを「解けたか、解けなかったか」よりも重視したいと考えています。
ちなみに、最近では課題を伝えた際に「AIにプログラムを書いてもらってもよいか?」というご質問をよくいただきますが、上記の趣旨に照らしてAIは使用しないようにお願いしています。
Q&A
ミーティングの最後には応募者の方から自由に質問をしていただけるQ&Aタイムを取ります。
質問しないから不合格、ということはもちろんありません。
ですが、面接がご自身と会社の相性を見極める双方向の作業であることを踏まえ、入社後に同僚となるエンジニアに直接質問できる機会を有効に活用していただければと思います。
おわりに
以上、ほんのさわりではありますが、BoostDraftにおけるテクニカルインタビューの構成や内容、その意図についてお話ししました。
本文中でも触れましたが、長年にわたり新卒・転職を問わず多くの候補者の方と面接でお会いしてきた者として候補者の方にぜひお勧めしたいのは
「選考プロセスは会社が一方的に候補者の優劣を決める場所ではなく、候補者と会社が相互に相手を理解し、上手くフィットするかを見極めるプロセスである」
という考え方で就職・転職活動に臨むことです。
これは反対のケースを考えていただくとわかりやすいと思います。
つまり、
「実はお互いの相性が悪く、入社してみたものの自分の良さが発揮できない」
とか、
「自分が会社に期待していたものが得られない」
などというケースです。これは応募した会社に入社できない事よりもはるかに不幸です。
ですから、面接の場では、会社のことを担当面接官を通してできるだけ知ることはもちろんですが、面接官にありのままの自分を飾らずに理解してもらうことが重要です。
それにより、候補者の方と会社がうまくマッチしない場合にはそれを正しく見極めて、お互いのためにその会社では採用しないという建設的な判断ができ、結果的にご自身によりマッチする会社に入社できる確率が高まります。
就職・転職活動は大変な労力のかかるプロセスです。この記事が少しでも皆様の幸せな就職・転職のヒントになることを願っています。
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