高品質のデータ基盤を構築するためにデータマネージャーが行ったこと
こんにちは!バンダイナムコネクサス データ戦略部の吉村です。
今回は、わたくしデータマネージャーが、高品質のデータ基盤を構築するための進めかたと意識しているポイントをご紹介します。
高品質のデータ基盤とは
プロジェクトの流れを説明する前に高品質のデータ基盤とはどのようなものを意図しているのかをご説明させていただきます。
データマネジメントの聖典であるDMBOKのデータ品質の章にはこのように書かれています。
高品質なデータとは何を意味するのかを定義できる人は少ない。あるいはそれを非常に曖昧な言葉、つまり「データは正しいものでなければならない」、「正確なデータが必要である」などと表現する。高品質なデータとはデータ利用者の目的に合致するデータである。
※DMBOK P506 13章データ品質 2.2.1 高品質なデータを定義するより。
上記の通り我々は、データ利用者が成果を出せるデータ基盤が高品質のデータ基盤と考えております。では、どのようにしたら成果の出せるデータ基盤を作れるのでしょうか。
一般的なプロダクト開発でも言える話ですが、利用者は真の要求を理解していないため、真の要求を引き出す必要があります。
我々データの専門家と、ビジネスの専門家が密に連携することによって真の要求を引き出すことが可能となり、真の要求を満たすデータ基盤が構築できます。
前置きが長くなりましたが、どのように連携を取って高品質のデータ基盤を構築していったのかをご紹介します。
グループのデータ戦略を作る
データマネージャーが最初に取り組むべきは、企業全体のデータ戦略の策定です。
これは、グループがデータをどのように活用してビジネス価値を生み出すかの大枠を定める作業であり、企業のビジョンからカスケードダウンされたものとなります。
戦略には、TOBEとなるデータ利活用の像と、それを実現するために必要なデータの収集から分析、活用に至るプロセスの標準化、データガバナンスの確立、必要な技術や人材の確保などが含まれます。
グループとしてのデータ戦略を作ることで、どのグループ会社とも目線をそろえる事ができて、全社的なデータ活用の土台が築かれます。
なお、バンダイナムコグループでは、「データユニバース構想」を掲げ、多種多様なエンターテインメント事業に関わるデータを収集・連携させることを戦略的に推進しています。
個別のデータ戦略を作る
全体戦略が定まったら、個別のデータ戦略を策定します。
個別のデータ戦略は、特定のビジネス課題を解決するためのものであり、ゴール像と進め方を定義します。
個別のデータ戦略はデータマネージャーが作るのではなく、ビジネス側が作りデータ側がサポートする形を取る事が望ましいです。
そうすることによって、目標とするビジネスKPIが明確になり、データ基盤が叶える成果の指標が明確になります。
目標に対するデータの貢献を明確にすることで、ビジネス担当者とのコミュニケーションがスムーズになり、データ基盤の価値を高めることができます。
データ基盤構築体制を構築する
個別のデータ戦略を作り、関係各所と合意することができたら体制を整えます。
この時のポイントは、データ基盤を作ることを目的とした体制にせず、ビジネスKPIを達成するための体制にすることがポイントです。
漫然とデータソースからデータを取り込み、基盤を構築しても利用しなければ成果は出ません。
ですので、データアナリストなどの活用の専門家もこのタイミングで集めてチームを編成します。
データマネージャーはプロジェクト管理の専門家としてビジネス、データエンジニア、データアナリストとの協業を促し、協力体制を整えます。
データ基盤構築を進める
体制が整ったら成果を出すために必要なデータを選定して、データ基盤の構築を進めます。
データマネージャーは、データエンジニアと協業して必要なデータを選別して格納します。
格納する前にデータ検品という行為を行い、入ってくるデータ自体の品質をチェックします。
また、このタイミングでは継続した提案を行うことがポイントです。
プロジェクト発足当初はデータ側もビジネス側もデータ活用による成果像のイメージが固まってなくて、成果が出せる施策が眠っています。
データマネージャーはデータアナリスト、データエンジニアと相談しながらビジネス側に刺さりそうな提案や情報共有を続けます。
この時の提案や情報共有がビジネス側にとって面白いと認識されると、プロジェクトが盛り上がってきます。
この盛り上がりを落とす前に小さくてもいいので成果を出すことが高品質のデータ基盤を構築する1歩目となります。
まとめ
高品質のデータ基盤を構築するためには、ビジネス側との連携が必要になってきます。
ビジネス側がデータ活用に知見があり、どのようなデータを使えば成果が出るのかがわかっていれば進めやすいですが、往々にしてそんなことはありません。
データ側とビジネス側が同じ目標に向かって進める体制を作ることで、高品質のデータ基盤を構築することができます。
成果を出せるデータ基盤の構築に勤しんでいきましょう!
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