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LINE活用で地域を活性化:自治体向けスタンプラリーLIFFアプリを開発
1. はじめに(概要・目的)
LINEを活用した地域活性化施策への関心が、地方自治体の間で高まっています。
当社でも「LINEでスタンプラリーを導入したい」という相談を複数の自治体から受けてきましたが、多くの案件で予算は100万円前後と小規模で、毎回ゼロからのフルスクラッチ開発は現実的ではありませんでした。
また、提案時に「実際に触れるプロトタイプがない」ことが、営業リードタイムの長期化を招く一因にもなっていました。
こうした背景から、今回は最も要望が多かったスタンプラリー機能に加え、観光誘導や購買促進に効果的なクーポン発行機能を備えた汎用LIFFアプリを先行開発。
複数の自治体への提案に共通で利用できるプロダクトとして公開することを目的としました。
2. プロジェクトの背景・課題
背景と営業上の課題
- 地方自治体からの要望は増加しているが、予算は100万円前後と限られている
- フルスクラッチ開発は工数的にも非現実的
- 実機デモがないと導入イメージが伝わりづらく、商談が失注しやすい
技術的要件と制約
- LINE公式アカウントと連携(各自治体のLINEアカウントと接続)
- モバイル完結&アプリインストール不要(LIFFアプリ)
- チェックポイントはQRコードで柔軟に追加・編集可能
- 管理者側からスタンプ・クーポン利用状況の確認・集計ができること
- スタンプ達成や条件達成時にLINE上でクーポン発行ができること
3.使用技術スタック
項目 | 技術 |
---|---|
フロントエンド | Next.js(React + TypeScript) |
バックエンド | Laravel |
データベース | Aurora Serverless(MySQL) |
デプロイ・ホスティング | AWS App Runner + Amazon ECR |
CI/CD | GitHub連携による自動デプロイ |
LINE連携 | LIFF SDK(LINEログイン、QRコードスキャン) |
地方自治体の限られた予算と運用リソースを考慮し、保守性とコストバランスを重視した構成を選択。AWSのサーバーレス・マネージドサービスを活用することで、インフラ運用の負荷を最小限に抑えつつ、複数自治体への横展開に対応できるスケーラビリティを確保しました。
4. 実装のポイント・工夫したこと
- スタンプ拠点は管理画面から簡単に追加・削除・編集が可能
また、名称、獲得可能期間、問い合わせ先などを入力するだけで、自動でQRコード(2次元コード)を生成・ダウンロード可能 - スタンプ状況はリアルタイムで可視化。取得済みスポットは色分け表示
- クーポンの内容(割引、ノベルティ等)は自治体側で柔軟に設定可能
5. 得られた成果・結果
- スマホ1つで簡単に参加可能。紙の台紙より導入ハードルが低い
- 「今どこまで回ったかが一目で分かる」などUXも好評
- 営業デモとしての説得力が増し、商談化・受注までのスピードが向上
- 管理者はCSVで利用状況を出力可能。スタンプ・クーポンの集計も簡単
- クーポン導入により、地域内消費や店舗回遊の促進にもつながった
6. 反省点・今後の課題
- LIFFのカメラ機能を最大限活用するためクライアントサイド中心の設計を採用したが、
今後はサーバサイドとクライアントサイドの適切な分離により、より保守性の高いアーキテクチャへの発展を検討 - 利用状況の可視化に関して、より直感的なダッシュボードUIの整備を検討中
7. おわりに
今回の取り組みでは、営業と開発の両面での課題を解決するため、LINEを活用した汎用スタンプラリーLIFFアプリを構築しました。
特に小規模自治体向けに、「安価」「早い」「触れるデモあり」という三拍子を実現できた点は大きな成果です。
今後は自治体ごとに異なるニーズに柔軟に対応できるLINEソリューションとして、さらなる発展を目指していきます。
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