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BitkeyにおけるQA組織の変遷

2024/07/09に公開

はじめに

株式会社BitkeyでQAをしているやきょ(@yakyo_824)と申します。
今回はBitkeyのQAがどういう変遷をたどったのかについて話していきたいと思います。

品質保証とテストの領域は事業拡大に伴いその重要性をさらに増していき、また製品の信頼性と顧客満足度を左右する重要な要素です。では、その過程はどうなっているのでしょうか?この記事を通じて、IoT分野で急成長するスタートアップにおける変遷の事例を発信し、同時に、似たような課題に直面する企業や開発組織の方にとって、有益な情報となればと考えています。

対象読者

-他社のQAに関する情報発信に興味がある方
-他社のQA組織状況とその変遷に興味がある方

前提

Bitkeyはソフトウェア領域のほかに、ファームウェアとハードウェア領域も存在します。私が所属するSoftware QAチームをはじめとするQA組織は、ここではソフトウェア領域に限定しています。

また、私がQA一人目としてBitkeyに入社したのは2022年10月です。それ以前はQA業務をアウトソーシングという形で外部に委託していましたが、その時期の詳細については十分な情報がないため、本記事ではある程度割愛させていただきます。

体制で見るSoftware QAチームの変遷

下記の図はBitkeyにおけるQA組織の変遷図です。

上記を踏まえると、Software QAチームの立ち上げはほかと比べると比較的最近の出来事であることがわかります。そして、それよりも前はアウトソーシングを活用していました。これに関して、個人的には賛成できる点が多いと感じています。

  1. ソフトウェア開発においてQA業務をアウトソーシングすることには、専門性の高い第三者検証会社などを迅速に活用できるため、社内でQAチームを一から構築するよりも短期間で高品質なテスト体制を整えることができます。これは特にスタートアップや急成長中の企業にとって重要な利点であると考えています。
  2. アウトソーシングを利用することで、コストの最適化も図れます。正社員を雇用する場合と比べ、プロジェクトの規模や期間に応じて柔軟にリソースを調整できるため、効率的な予算管理が可能となります。実際に、スポット案件や小型の追加プロジェクトにおいて、第三者検証会社を利用するメリットもここに通ずると思います。
  3. 第三者検証会社は最新のテスト手法やツールに精通していることが多く、その知見を活用することで、自社の製品品質を迅速に向上させることができます。自社QAが存在しない会社で、QAに関する専門知識が高い人材がいることは稀であり、そういった面でアウトソーシングを活用するメリットにつながりました。

ほかにもメリットがある一方で、アウトソーシングにはコミュニケーションの複雑化や、社内にアセットやナレッジの蓄積が難しいなどのデメリットも存在します。

そういったメリットとデメリットを踏まえたうえで、Bitkeyは初期段階において即戦力となるアウトソーシングを活用しつつ、自社内でもQAを立ち上げて内製化へと移行する戦略を取りました。この戦略を取った企業は一定数いると考えていますし、事業速度を優先する企業ほど該当します傾向にあると思います。

入社時期で見るSoftware QAチームの変遷

下記の図はBitkeyに入社してきてくれたメンバーの月次推移です。

Software QAチーム立ち上げ直後から怒涛の入社ラッシュです。2022年10月時点で入社は2名ですが、立ち上げ当初の体制はマネージャー1名とメンバー2名の計3名体制でした。私含め新入社員の2名はメンバーです。

そこから平均すると毎月1名は入社してくるペースで、これは一見すると異例のスピードに思えるかもしれませんが、Software QAチームの設立目的が「内製化」であり、リプレイスも視野に一定規模の採用を行うことが初期の構想に含まれていました。

そして、このスピード感での採用を支えたのが、私の入社直後のミッションでもある「評価基準」と「採用基準」の策定でした。内製化を行うにあたり重要なポイントは何か。当時のBitkeyにして足りないものはなんだったのか。私はスキル評価であると考え行動しました。

なお、QAエンジニアに対してのノウハウがない多くの企業が同様の課題に直面する話であり、会社側と一人目QAの間の信頼関係構築は、そのまま内製化の成否に直結すると考えています。「会社側と一人目QAの「対立」ではなく「信頼」の構築を考えて行動していきましょう!」を意識してほしいです。

どういった基準で定量的に評価し、それが妥当である根拠は何かについて定めることは、当時幾度も上長と議論を重ねました。そうして出来上がった仕組みに則って採用活動にも関わり、直接QAに関するスキルチェックを行いました。

それが2022年11月ごろの話で、12月入社のメンバーは全く関わっていなかったのですが、それ以外の全てのメンバーとは選考の段階から関わっているのが実情です。なお話は逸れますが、私を除く2022年10月入社と11月入社の2名はどちらも私のリファラルでした。何もないゼロベースから一緒にBitkeyへ飛び込んでくれた仲間に感謝します。

入退社が発生していく中で、2024年7月時点でSoftware QAチームは正社員のみで計14名体制となり、その内訳がマネージャー2名とメンバー12名となりました。

ありがたいことに、入社してくれたメンバーの多くが今もBitkeyに在籍してくれていて、かつモチベーション高くテスト活動を行って頂けていますし、さらにいうと定常業務で忙しい中でも今回のリレー記事に参加してくれたのはとても恵まれていると感じています。

組織規模で見るSoftware QAチームの変遷

下記の図はアウトソーシングを含むQA組織全体の規模に関する推移です。

2023年はBitkeyのQAにとって転換点となる年でした。
まず、先述したように2022年10月から正社員数は増加していますが、QA組織規模で見ると総数は減っているという結果になっています。そこには、2023年1月から6月にかけて、大規模な組織体制変更を実施したことに起因します。

この大規模な組織体制変更を経て、QA組織はスリム化を実現することができました。この過程で多くの課題に直面しました(*詳細は別記事で公開予定)が、関係者全員が一丸となって尽力したおかげで、困難を乗り越えることができました。この場をお借りして関係者全員に深く感謝します。

そしてこの結果、2023年下半期には、前述したアウトソーシングのデメリットである「コミュニケーションの煩雑化」と「社内でのアセットやナレッジの蓄積の難しさ」という二つの課題をある程度解消することができました。

これは、アウトソーシングから内製化への移行過程で直面していた典型的な課題を乗り越えたこと、そしてQAの内製化がはじめて成果を出したことを意味します。これにより、BitkeyのQAは以前にも増してパフォーマンスが向上し、よりフレキシブルな組織として、製品品質の向上とビジネス目標の達成により全力を尽くせるようになりました。

最後に

今回の記事ではQA全体の変遷と、その中においてSoftware QAチームがどのように変遷してきたのかについてざっくりと説明しました。また機会があればさらに深ぼっていきます。

また今回はこの記事を作成するにあたり、過去を色々と振り返ってエビデンスなどを集めていたので、当時の状況について改めて知ることができました。

この過去を振り返る行為にも意味があると考え、以下にメリットを並べてみました。
-過去の出来事やステークホルダーとの関わりを思い返すことで、感謝の気持ちが生まれます。
-過去の失敗や成功から教訓を得て、将来の意思決定に活かすことができます。
-過去の目標や計画を再確認し、将来の計画に活かすことができます。
もちろん、過去に囚われすぎることなく、それを今後のための学びの機会として捉えることも重要です。過去を適切に振り返ることで得られる洞察を活かしたうえで、個人や組織をより充実させることにこそ、意味があると考えています。

最後までご覧頂き、誠にありがとうございました!

Bitkey Developers

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