「スクラムフェス 新潟 2024」の参加レポート
説明
2024/5/10,11に開催された「スクラムフェス 新潟 2024」に参加しましたので、成果をご報告します。
スクラムフェス 新潟 2024とは
公式サイトから引用します。
スクラムフェス新潟はアジャイルコミュニティの祭典です。アジャイルやテストのエキスパートと繋がりを持ちましょう。
この祭典は初心者からエキスパートまで様々な参加者が集い、学び、楽しむことができます。
また新潟の地場エンジニアコミュニティと、全国のエンジニアコミュニティを繋ぎ、活性化する「場」でもあります。
参加者同士でアジャイルやテストのプラクティスについての知識や情熱を共有し合いましょう。
出会ったエキスパートに困りごとを相談し、明日への活力にしましょう。
▲ 出典:スクラムフェス 新潟 2024 Program Schedule
スクラムフェス新潟 2024の詳細
イベントの詳細についてはこちらをご参照ください。
会場の様子
▲ 共有スペースではガラス越しにRoom Fのセッションを視聴することができます
▲ 株式会社ソルメディエージさんのブース
▲ 映像が床に投影されていて綺麗でした
▲ ウイングアーク1st株式会社さんのブース
▲ 株式会社カケハシさんのブース
▲ DevOpsのプロセスで興味がある箇所にシールを貼る企画をしていました
▲ 株式会社hacomonoさんのブース
▲ オリジナルデザインのポテトチップス
▲ グッズが可愛いです
セッションの一部をご紹介
1. Day1 Opening Talk & Sponsor's Session - 30 mins
「スクラムフェス 新潟 2024」のオープニングトークとスポンサー様によるセッションです。Scrum Fest Niigata 2024 Day1 Opening
▲ 出典:印象に残っていること
「ウイングアーク1st株式会社」さんによるライトニングトークが面白かったです。
中でも、専門用語に対する理解を容易にするための言い換えが印象に残っています。
専門用語 | 意 味 | 言い換え |
---|---|---|
心理的安全性 | 組織において、自身の意見を安心して発言できる状態のこと | バブみ |
テストは欠陥があることは示せるが、欠陥がないことは示せない | 「ソフトウェアテストの7原則」の原則として挙げられる言葉 以下、JSTQBのシラバス (Foundation_V4.0.J01)から引用 - テストにより、テスト対象に欠陥があることは示せるが、欠陥がないことは証明できない (Buxton 1970) - テストにより、テスト対象に残る未検出欠陥の数を減らせるが、欠陥が見つからないとしても、テスト対象の正しさを証明できない |
アニサキス |
殺虫剤のパラドックスにご用心 → テストの弱化 | 同じテストを繰り返すと、欠陥の発見が少なくなる現象を殺虫剤に例えた原則 同じ殺虫剤を使い続けていると、害虫が耐性を持ち始める様子を比喩している *現在、この原則の呼称は「殺虫剤のパラドックスにご用心」から「テストの弱化」に変わりました |
殺虫剤のパラドックスにご用心 |
2. bosatsu king - いかにしてオンラインで知り合いを増やすか
「ウイングアーク1st株式会社」に所属する「bosatsu king」さんによるセッションです。いかにしてオンラインで知り合いを増やすか
▲ 出典:印象に残っていること
コミュニケーションの場において「bosatsu king」さんが個人的に意識されていることを、比喩表現を交えながら紹介されていました。
中でも以下の心構えは、様々な場面で活用できると思いました。
なんの話をしているか分からない時の心構え
考え方 | 理 由 |
---|---|
最初に質問する人は偉い | 次の人が続きやすくなるから |
バカな質問をする奴は偉い | 質問の内容のハードルが下がるから |
関係ない質問をする人は偉い | 話が広がるから |
困っている誰かを助けよう
考え方 | 理 由 |
---|---|
困っている自分を共有しよう | 助けてくれる人を見つけることができるから |
あのとき助けてくれた人になろう | 誰かが見ており、結果的に財産になるから |
学んだこと
「困り事」を共有することで、悩むだけではなく、課題解決に向けた具体的な行動を取ることができます。
また、フォロワーシップを体現することで、チームで協力し合う姿勢が広がると思いました。
3. Daniel Maslyn - The Boundaries of Testing / テストの境界
「スクラムフェス 新潟 2024」のキーノートである「Daniel Maslyn」さんによるセッションです。
テストにおける障害や限界を「境界 (Boundaries)」と呼び、乗り越えるためのヒントやコツを紹介しています。
▲ 出典:Scrum Fest Niigata2024 Keynote Daniel Maslyn - The Boundaries of Testing / テストの境界
境 界 | 意 味 |
---|---|
Mental | 考え方 |
Resource / People | リソースと人材 |
Tools | ツール |
Process | プロセス |
Context | 背景 |
Technology | テクノロジー |
Knowledge | 知識 |
Time | 時間 |
Physical | 物理的 |
印象に残っていること
9つある「境界」の中でも「Process、Context、Time」の考えが印象に残っています。
学んだこと
「Process」について
プロセスを設定する際は以下の事柄に気を払いましょう。
- プロセスはできるだけシンプルにする
- 人や目標よりもプロセスを優先しないようにする
- 人を助けるプロセスを実装する
「Context」について
背景に適用したテストを行いましょう。
中でも「探索的テスト」では経験則に基づいた判断が必要になります。
状況に応じて、適切な思考のモードが異なることを理解しましょう。
思考のモードとは
人の思考には「速い思考」と「遅い思考」の2種類があります。
速い思考を「システム1」遅い思考を「システム2」と呼びます。
これは、経済学者ダニエル・カーネマンさんの著書である「ファスト&スロー」の中で提唱されている理論です。
「探索的テスト」を行う際は「システム1」の思考モードを使用します。
モード | 説 明 |
---|---|
システム1 | 直感的で素早い思考です 経験則に基づいた判断を行うときに使用されます 処理のスピードが早く、脳のエネルギーを必要としません 迅速な意思決定が必要になる場面や、文脈に沿った判断を行う場面に適しています |
システム2 | 論理的で遅い思考です 分析や計算など、複雑な知的活動を行うときに使用されます 注意力を要する場面に適しています 処理に時間がかかり、脳のエネルギーを必要とします 判断の最終的な決定権はシステム2が持ちます |
「Time」について
リソースは限られているため、適切な時間管理を行いましょう。
欠陥についての考え方は「パレートの法則」に当てはめることができます。
「パレートの法則」とは、物事の事象が「80:20」の傾向になることを示す法則です。
イギリスの経済学者ヴィルフレド・パレートさんによって提唱されました。
この法則をテスト活動に当てはめると「欠陥の80%は、20%の領域に存在する」ということになります。
あらゆる機能の中で、欠陥が一箇所に集中するのです。
そのため、リスクベースドテストを行うなどして、活動に優先順位をつける必要があります。
気づいたこと
用語を知ることの重要性
具体的な用語を知ることは、自己成長につながるのだと思いました。
なぜなら、概念には複数の用語が紐づいており、用語を知ることで思考の階層が深まるからです。
自身にとってセッションの内容が高度であり、理解が及ばない状況でも、用語を知ることは価値のあることです。
現時点で自身の活動に関連のない用語であっても、長期的に見ると点と点が繋がる場面に遭遇します。
セッション視聴時の姿勢
内容を記録し復習するためにも、メモを取ることは大切です。
ですが、メモを取ることに集中しすぎると、場の雰囲気や発表者の表情を体感しにくくなります。
情報の事実だけではなく、当事者の感情を理解することがイベント参加の醍醐味だと思います。
そのため、メモを取る際は必要な箇所のみにとどめ、発表の視聴に専念することも楽しみ方の一つだと思いました。
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