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RDK X5 (1) ROS2コンピューター「RDK X5」のセットアップ

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はじめに

D-Robotics社の「RDK X5」は、ロボット開発向けのワンボードマイコンです。マイコンの性能やボードの形状などは Raspberry Pi 5と似ていますが、ROS2を扱うのに特化した製品となっています。またNPUを搭載しておりエッジAI処理もこなします。

RDK X5

このページでは「RDK X5」へのOSインストールについて説明します。

RDK Studio

D-Robotics社より「RDK X5」での初期化や開発をサポートする統合環境ソフトウェア「RDX Studio」が提供されています。Mac/Windows/Linux向けのものが 公式ページ からダウンロードできます。

本来であればこのソフトウェアから「RDK X5」へのOSインストールが出来るのですが、少なくとも以下の環境では出来ませんでした。

  • RDX Studio バージョン0.3.3 (2025年10月11日現在)
  • MacOS Sequoia バージョン15.7.1

出来なかった様子は後半にまとめておくとして、ここからは上手くインストールできた旧来の方法を説明します。

なお、OSインストール後も RDX Studio はバリバリ使いますのでインストールは済ませておきましょう。

RDK OSのインストール

公式サイトを参照しながらOSをインストールしていきます。
大まかな手順は次の通りです。

  • D-Robotics社のサイトからOSイメージをダウンロード
  • microSDカードを用意してイメージを書き込む
  • RDK X5にmicroSDカードを差し込んで電源を入れる

OSイメージのダウンロード

OSイメージ配布ページから最新のファイルをダウンロードします。

  • rdk-x5-ubuntu22-preinstalled-desktop-3.3.1-arm64.img
  • rdk-x5-ubuntu22-preinstalled-server-3.3.1-arm64.img

例えばこのようなファイル名が並んでいますが、「desktop」はubuntu GUIあり、「server」はGUIなしです。(今回はdesktopを選択しています)

なお、上記のリンクは現在の公式サイトで紹介されているものなのですが、ちょっとリンクの違う配布ページがあり、こちらの方が新しいバージョンを置いている場合があるようです。
私がダウンロードしたタイミングでは上記で例としてあげているバージョン3.3.1に対してバージョン3.3.3が配布されていました。

microSDカードへ書き込む

公式ページの案内ではOSイメージの書き込みに「Rufus」というソフトウェアを推奨していますがWindows専用なので、今回はMac版も提供されている「balenaEtcher」を利用しました。

なお、microSDカードの容量16GB以上のものを用意します。

balenaEtcher起動画面

balenaEtcherを起動するとこのように非常に分かりやすい画面が表示されます。左から「OSイメージファイルの指定」→「書き込み先のドライブ(microSDカード)の指定」→「書き込み開始」と順を追って指定していきます。

※指定したmicroSDカードは完全に消去されてからOSイメージが書き込まれますのでくれぐれも間違いのないように。

balenaEtcher起動画面

書き込み開始するときに上記のような警告が出る場合は、書き込み先に間違いがないかを再度確認して「Yes」とします。

システム起動

microSDカードへの書き込みが完了したらRDK X5に挿入し、Type-Cコネクタへ電源を差し込みます。推奨電源アダプタは5V/5Aです。手元のアダプタはPD出力が5V/3Aまでの対応でしたが、これでも起動および簡単な動作確認を行う範囲では問題ありませんでした。
購入する場合はRaspberry Pi 5が5V/5Aの定格なのでそれに対応するACアダプタが入手しやすいかと思います。

X5起動時LED

起動するとType-Cコネクタ横のLEDが点灯します。
電源投入で緑色LEDが点灯し、しばらく待ってOSの起動が完了するとオレンジ色LEDが点滅します。このタイミングでHDMIをディスプレイに接続していればUbuntuのデスクトップが表示されます。

X5起動時HDMI

RDX Studioによる設定

次にMacでRDX Studioを起動して設定を行います。
ここではWiFi経由でRDK X5へアクセスできるようにしていきます。

なお、この時点でRDK X5にマウスとキーボードを繋げばそのままUbuntu OSが利用できるのでそこからWiFiの設定を行うことも出来ます。

新規登録・ネットワーク設定

RDK X5にLANケーブルを挿し、Macと接続します。

RDK Studio起動画面

RDK Studioを起動します。
この時、私の環境では次のようなエラーが出てRDK Studioのアップデートが出来ていないようなのです。私の環境のせいなのか、皆さん出来ていないのか、何かご存じの方はコメントをいただけるとありがたいです。

RDK Studio起動時エラー

さて話が逸れましたが、ここで右上の「+ Hardware」を押します。

RDK Studio接続種別

まず接続種別を選択します。今回はWiFiなので図の通りです。

RDK Studio接続インターフェース

ここでMac側のLANケーブルを挿したインターフェースを選択するのですが、「en*」などのようにしか出てこずにどれを選べばいいのか分かりません。
そこでMacのターミナル画面を開いて次のコマンドを実行します。

ifconfig | awk '/^[a-z]/ {iface=$1} /status: active/ {print iface}'

Macインターフェース確認

まずLANケーブルを抜いてコマンドを実行します。すると現在アクティブなインターフェースが表示されます。
次にLANケーブルを挿してから同じコマンドを実行します。するとインターフェースがひとつ増えると思いますので、それが今RDK X5に接続しているインターフェースとなります。(ここでは「en9:」)

RDK Studioログインユーザー

次にログインユーザーを指定します。ここではrootユーザーとしておきます。

※なお、今後ターミナルなどからrootユーザーでログインするときのパスワードは「root」です。sunriseユーザーは「sunrise」です。

RDK Studio WiFi

ここで接続したいWiFiのSSIDとパスワードを指定します。

RDK Studio 名前と説明

最後にこの追加した設定の名前と説明を追加して完了です。
なお、この設定のことをカードというらしいです。

アプリケーション追加

追加したカードをクリックすると次のような表示となります。

RDK Studio アプリ追加アイコン

ただし最初に追加したときにはこんなにアイコンは並んでいません。右側の2つ「ターミナル」と「VS Code」くらいだったかと思います。
矢印で指している丸いアイコンをクリックすることでアプリの追加インストールをすることが出来ます。

RDK Studio アプリ

このような画面から必要なアプリをインストールすることが出来ます。
「VNC」「VS Codeオンライン」「FTP」あたりをインストールしておくと良いでしょう。

アプリケーション例 : VNC

アプリケーションの例としてVNCを起動します。

RDK Studio VNCパスワード

接続パスワードを求められますので「88888888」を入力します。

RDK Studio VNC

このようにRDK Studio内からUbuntuデスクトップへアクセスできます。
もちろん通常通りMacのブラウザからIPアドレス指定でVNCへアクセスする事も可能です。

おわりに

RDK X5のセットアップとRDK Studioの初歩的な使い方について説明しました。ここに書いた手順通り、というか公式サイトの通りに進めばさほど問題なくセットアップを完了できるかと思います。
公式サイトは翻訳さえ掛けてしまえばさほど迷うことなく解りやすい記述になってます。

ただし、ちょっと欲を出して(?)気になることを試しながら「やっぱりだめかー」を繰り返したので想像以上に時間を掛けてしまいました。😄

次はROS2のサンプルを動かしてみたいと思います。

おまけ

ここからは冒頭で上手くいかないといっていた「RDK StudioからのOSインストール」についての失敗ストーリーを綴りたいと思います。気になる人だけ見ていただければ。

RDK Studio OSインストール

公式ページにもあるように

  • RDK X5にmicroSDカードを入れて
  • USBでMacと繋ぎ
  • 電源を入れたらインストールモードになる

というこれが全く上手くいかず、というかどういう動作が正常かもよく解らずで時間ばかり掛かって玉砕しました。
さて、気を取り直してRDK X5へ直接ではなく「MacのmicroSDカードへRDK Studioからイメージを書き込む」を試すことにしました。

RDK Studio OSインストール

まずボードを選びます。もちろんここではRDK X5。

RDK Studio OSインストール

次にインストールするOSイメージを選びます。
ここでは本編で選んだものよりさらに古いバージョン3.1.1とバージョン3.1.0しか選べませんでした。この点もいまいちですね。

RDK Studio OSインストール

最後に書き込み先ドライブを選ぶのですが、/dev/配下の名称で選択しなくてはならずMacに挿したmicroSDカードがどれなのかとても解りづらいのです。間違えたらドライブの中身が吹っ飛ぶにもかかわらず。😱

RDK Studio OSインストール

そこでディスクユーティリティから該当するmicroSDカードを選び、右下の「disk*」と表示されている番号を確認します。これで安心。

RDK Studio OSインストール

するとOSイメージのダウンロードが始まります。
ただここでも何やら不安定で、ダウンロードに失敗したり異様に時間が掛かったりということが発生して何度か作業を繰り返す必要がありました。

RDK Studio OSインストール

ダウンロードが終わり、ようやく書き込みが始まったところでこのエラーが発生して…終了〜😫
何度か作業を繰り返しても結局このエラーは解消せず、書き込みを完了できることはありませんでした。

「RDK Studioはどうにも荒削りだなー」と感じながらも「GUIで作業が進められればユーザーの裾野が広がる」というのは理解できますので今後に期待ですね。

参考

Quick Start / D-Robotics
【祝発売!】RDK StudioによるRDK X5のセットアップ【RDK X5 / OriginBot Pro JP 発売記念記事 第三弾】 / スイッチサイエンス
D-Robotics RDK X5 入門 (1) - 事始め / npaka氏
D-Robotics RDK X3を試してみました / からあげ氏

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