脱 KPT 法で楽しく有意義に振り返り! Sailboat Retrospective
この記事では私たちのスクラムチームでも導入した、スクラムのレトロスペクティブ (振り返り) 手法として海外で著名なフレームワークSailboat Retrospective (帆船の振り返り、帆船アジャイル手法) を紹介します。
サクッと読みたい方はこちらのスライドもどうぞ。
※ この記事に記載の内容は当時の情報です。最新の状況を反映していない可能性があるため、ご了承ください。
背景
皆さんのスクラムチームでは、振り返りでどのフレームワークを使用していますか?
以前私たちは、KPT法を使用していました。付箋を「Keep」「Problem」「Try」のカテゴリに分けて貼っていく手法です。
この手法では、ドキュメント化して報告しやすいという利点がありますが、次のデメリットがありました。
- 何を書けばいいのかわからない
- 短期的・長期的な事柄が混ざってしまう
- プロダクトゴール、スプリントゴール以外のことに話が発散してしまう
- 反省会になりがち
そこで、私たちのチームではSailboat Retrospectiveというフレームワークに切り替えました。
Sailboat Retrospective とは
ゴールに向かっていく、海に浮かんだヨットをイメージしたイラストに付箋を貼っていきます。
ホワイトボードに次の6つを絵で書き込みます。チームの特性に応じてカスタマイズできますが、チーム内で要素の意味に対して共通認識を持つようにしましょう。
要素 | 意味 |
---|---|
Sailboat (ヨット) | 進捗 (スプリント) |
Island (島) | チームが達成したいゴール (プロダクトゴール・スプリントゴール) |
Sun (太陽) | 嬉しかったこと (ゴールと関係なくても OK) |
Wind (追い風) | ヨットを進める追い風、チャンス |
Anchor (錨) | ヨットを遅らせるブロッカー |
Reef (暗礁) | ヨットを座礁させる将来的なリスク |
Sailboat Retro Created by Brody (CC BY 4.0)
ホワイトボートツールであれば、テンプレートが用意されているのでまずはそのまま使えばOKです。
オフラインであれば、みんなでワイワイお絵描きするのがおすすめです。チームのムードが絵に現れます。
Sailboat Retrospective の特徴
私たちのスクラムチームは、振り返りのフレームワークをKPT法からSailboat Retrospectiveにお試しで変更してみました。
2 Sprintsほど試したところ、 KPT法と比較して次のようなメリットがあることがわかり、チームの振り返り手法として採用することにしました。
- 短期的・長期的な事柄を区別できる
- ブロッカーとリスクで分けることで、Problemのコメントが出しやすくなる
- プロダクトゴール、スプリントゴールに関することに話を集中させることができる
- イラストを用いることで視覚的に優れ、より楽しい場にできる
次のスクリーンショットは、私たちのホワイトボードです。FigJamを使用しています。
最初はテンプレートを活用していましたが、メンバーで意見を出し合い、少しカスタマイズしています。
具体的には、島を2つに増やしスプリントゴール (短期的) とプロダクトゴール (長期的) に時間軸を広げました。
また、モヤモヤや気にかかることの共有を目的に Cloud
(雲) という要素を追加しました。
振り返りアジェンダの例
私たちは次のようなアジェンダで進行しています。進行はスクラムマスターが行っています。
- 前のSprintで設定したアクションを振り返る
- アクションを取れた場合、付箋を剥がす
- アクションを取れなかった場合は原因を議論して、キープするか別のアクションを取るか決定する
- 4分測り、各自で今のSprintでの出来事や感想などを付箋に書いて各要素に貼る
- トピックが多く、時間足りない場合は適宜伸ばす
- ホワイトボードツールでBGMを流して静まり返らないようにする
- 各メンバーから順番に、貼った付箋について発表する
- 他のメンバーは褒めたり、リアクションスタンプを押したりして盛り上げる
- 1分測り、各自で次のSprintでのアクションを決めたい付箋にドット投票する
- 投票数の制限は設けず、1人あたり何票投票してもよい
- 投票の色、種類などで投票者を明確にする
- 投票が多い順番で付箋をアクション欄に移し、次のSprintでのアクションを議論する
- スクラムマスターは議論の内容やアクションを別の付箋に書いて貼る
- 次回は気をつけるなどの暗黙なアクションにはしない。Working Agreement (チームのルール) 化やユーザーストーリーの追加、修正など、残る形でのアクションにする
まとめ
振り返りのフレームワークをKPT法からSailboat Retrospectiveに変更しました。殺伐とした反省会を一転させ、より楽しく、有意義な振り返りにできました。
海外では著名なフレームワークであることからテンプレートも多数存在しており、簡単に始められるのでぜひ試してみてください。
他にもオススメの振り返り手法があれば、ぜひコメントで教えてください!
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