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NTT法と改正の影響について

2025/01/13に公開

なぜ作成したのか

一企業に対する法律というものに興味があったので調べてみる

参考


NTT法とは

NTT法(日本電信電話株式会社等に関する法律)は、1985年に日本電信電話公社が民営化され、NTTが設立された際に制定された法律で、NTTグループの事業内容や運営に関する基本的な枠組みを定めています。

主な内容として以下が含まれます:

  • 株式保有規制
    • 政府がNTT持株会社の株式の3分の1以上を保有すること。
  • 事業範囲の制限
    • NTT持株会社およびグループ企業の事業活動範囲の制限。
  • 競争的公平性の確保
    • 他の通信事業者との競争条件の整備。

制定の背景

  • 1985年、国営の日本電信電話公社が民営化され、NTTが設立されました。
  • この際、全国的な通信インフラの適切な運営と国民への安定したサービス提供を確保するため、NTT法が制定されました。
  • 当初は「日本電信電話株式会社法」という名称でしたが、1999年の改正で現在の名称に変更されました。

制定、改正の歴史

  • 1985年: 日本電信電話公社の民営化に伴い、NTT法が制定されました。

  • 1999年: 法改正により、名称が「日本電信電話株式会社法」から「日本電信電話株式会社等に関する法律」に変更されました。

  • 2024年4月: 大幅な法改正が行われ、以下の点が変更されました。

    • 研究の推進責務および研究成果の普及責務の廃止

    • 外国人役員に関する規制の緩和

    • 役員選任と剰余金処分の認可制の廃止

    • 会社名(商号)の変更が可能に


現在の法における課題

  • 国家としての課題:

    • NTTの市場支配力が強く、競争の公平性を確保するためのさらなる規制が必要とされています。

    • デジタルインフラの高度化に対応するため、NTT法の柔軟性や時代適応性が問われています。

  • 企業としての課題:

    • 法律によりNTTグループの事業範囲が制限され、新たな事業展開が難しい状況です。

    • グループ内の縦割り構造が効率性や迅速な意思決定を妨げています。


直近の改正と、NTTの対応方針のタイムライン

  • 2024年4月: NTT法の改正が施行され、研究責務の廃止や外国人役員規制の緩和、商号変更の自由化などが実現しました。

  • 2024年5月: NTT社長が決算会見で、社名変更について「2025年ぐらいをめどにしっかり考えていきたい」と発言しました。

  • 2025年春: 新社名を決定する予定です。

  • 2025年6月: 定時株主総会で社名変更を決議する方針です。


法改正によるメリット

  • 研究開発の自律性が高まり、技術革新の促進が期待されます。

  • 外国人役員の登用が可能となり、グローバルな経営体制の構築が進められます。

  • 商号変更が可能となり、事業内容に即したブランド戦略が展開できます。


法改正によるデメリット

  • 規制緩和により、NTTの市場支配力がさらに強化され、他事業者の競争が抑制される可能性があります。

  • 公共性の確保が難しくなり、地方や過疎地でのサービス提供が疎かになるリスクがあります。


諸外国の類似法令との比較

  • アメリカ(AT&Tの規制)
    • AT&Tもかつては独占的事業者であったが、1980年代に独占規制が強化され、分割が行われた。市場競争が進んだ一方で、地方サービスの提供が課題となった。
  • 欧州(通信市場指令)
    • EUでは、通信市場の自由化を進めつつ、公共性を確保するための規制を設けている。特に、ローミング料金規制など消費者保護に力を入れている。
  • 韓国(KTの事例)
    • KTは国の政策支援を受けつつも、競争促進のための規制が存在。ICT分野での迅速な技術革新が進む。

関係団体の反応

NTT法の改正に対する業界の見解や意見は、各企業の政治的・ビジネス的背景と密接に関連しています。以下に主要な通信事業者の立場とその背景を解説します。

NTT(日本電信電話株式会社)

  • 見解・意見:

    • NTTは、研究開発の成果開示義務や外国人役員に関する規制の緩和など、事業運営上の制約を取り除くため、NTT法の改正を支持しています。
  • 政治的背景:

    • NTTは元国営企業であり、政府との関係が深いです。政府が保有するNTT株の売却による財源確保の議論が進む中、NTT法の見直しが検討されました。
  • ビジネス的背景:

    • グローバルな競争環境や技術革新の加速に対応するため、NTTは自社の柔軟性を高め、競争力を強化する必要があります。特に、研究開発の自律性や多様な人材の登用が求められています。

KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル

  • 見解・意見:

    • これらの競合他社は、NTT法の廃止や大幅な改正に反対し、慎重な議論を求めています。特に、NTTの市場支配力が強化されることや、公正な競争環境が損なわれることを懸念しています。
  • 政治的背景:

    • これらの企業は、通信市場の競争促進を目的とした政策の恩恵を受けて成長してきました。NTT法の改正が進むことで、政府の競争政策が変化する可能性を警戒しています。
  • ビジネス的背景:

    • NTTが保有する膨大なインフラ資産(特別な資産)や市場シェアに対抗するため、競合他社は公正な競争条件の維持を強く求めています。NTT法の廃止や改正により、これらの競争条件が不利になることを懸念しています。

地方自治体やケーブルテレビ事業者

  • 見解・意見:

    • 一部の地方自治体やケーブルテレビ事業者も、NTT法の見直しに対して意見を表明しています。特に、地域の通信サービスの維持や公共性の確保に関する懸念を持っています。
  • 政治的背景:

    • 地方自治体は、地域住民への安定した通信サービス提供を重視しており、NTT法の改正が地域の通信インフラに与える影響を注視しています。
  • ビジネス的背景:

    • ケーブルテレビ事業者などの地域通信事業者は、NTTの動向が自社の事業運営に直接影響を与えるため、競争環境の変化に敏感です。

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