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ドメイン理解こそが価値創造のカギ!社内エンジニア向けに保育施設についての講座を実施しました

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はじめに

こんにちは! BABY JOB株式会社 開発部 です。

私たちは、本質的な価値を生むプロダクト開発にはドメイン知識が不可欠だと考えており、すべてのプロダクトで設計手法として ドメイン駆動設計( Domain-Driven Design, DDD ) を採用しています。

今回そのドメイン知識を深めるため、BABY JOB株式会社のカスタマーサポートであり、保育士としての勤務経験もある社員に講師を担当してもらい、社内のエンジニア向けに保育施設や保育士の業務について学ぶ講座を開催しました。
この記事では、講座から得られた学びを共有します。

実務経験豊富なドメインエキスパートの心強さ

そもそもこのような講座を開催できるのは、当社に保育施設での実務経験が豊富なドメインエキスパートがいるからこそであり、そのことに心強さを感じました。

開発メンバーは実際にエンドユーザーとの接点を持つビジネスメンバーを介して、多くの場合間接的にしかエンドユーザーと関わることができません。

この2段階の越境が障壁になって多くの場合リリースされた成果物が思うように世の中に受け入れられないといった事象が起こります。

保育の課題解決のためにプロダクトを開発する身として、エンドユーザーの姿を具体的にイメージできるということは、この障壁を薄く低くする効果があると考えています。
今回の取り組みはそうした役立つドメイン知識を多く得られる契機となりました。

ユーザー理解が深めればシステムの堅牢性も高まる

講座を通して、保育施設には保育士さんの他、園長先生や事務員さんなど、様々なペルソナの職員が携わっていることを知りました。

当たり前ですが保育士の方は1日中保育のプロとして仕事をされているわけで、
私たちのプロダクトがどのようであるとかどうやって使うといいとか考える時間は捻出し難いという事実を、理解する(≠知る)ことができました。


▲保育士のスケジュールの例

保育の現場は往々にしてアナログな環境で、「お気に入り」や「ブラウザ」といった私たちにとっては当たり前の用語も通じない場合がある、というエピソードが印象的でした。

また園長先生や事務員さんの仕事は素人視点では全くイメージできなかった部分で、予算管理や会計、人事の仕事であったり、園の形態によっては自治体や行政とのやり取りなどもあることを知りました。
聞いてみると納得感はあるものの、実際の話を聞かない限りなかなか想像できません。

エンドユーザー理解の観点で期待以上のインプットになったと感じました。

保育施設にフォーカスしてみてもまた別の視点が見えてきます。


▲保育施設の多様な形態

保育施設の形態が異なると、多くの前提が変わります。

  • そこで働く保育士さんや園長先生のキャリア
  • 保育施設の空間的な規模
  • サービス導入の意思決定プロセス
    などなど。

開発者の普段見えている領域はこういった前提のインプットが欠乏している場合が多く、知らず知らずのうちに変更不可能な仕様を埋め込んでしまう原因になり得ます。適切な抽象度の命名になっていなかったために、少しの機能拡張をしただけで実態から外れた名称になってしまったフィールドなど、開発者であれば少なからず経験あるかと思います。

システムの仕様変更に対する堅牢性を高める観点においても有効な取り組みだった、というのは講座受講後のふりかえりを経て得られた気づきでした。

現場の業務実態に即した UX 設計の重要性

UX(ユーザー体験)の観点から考えると、利用者である保育士の方々が日々直面する状況を踏まえ、本当に役立つ体験を提供できるかどうかを軸に考えることが重要だと思いました。
具体的には以下の3点を意識する必要があると感じました。

  • 業務負担の軽減

    保育士の方々が日々非常に多忙であることを踏まえ、サービスはその負担を少しでも軽くする方向で改善していく必要がある。
  • 学習コストの低減

    保育士は保育の専門家であり、複雑でリッチな機能を学習する時間は限られている。本当に必要な機能かどうかを見極め、シンプルで扱いやすい設計にすることが重要。
  • 直感的な操作性

    公立園では職員の定期的な異動によりサービス利用経験が途切れることがある。そのため、初めて操作する人でも迷わず理解できる直感的な画面設計が求められる。

保育士の方々が安心して保育に専念できるようにするためには、現場の業務実態に即した UX 設計が欠かせません。機能を盛り込むことよりも、「誰が使っても迷わず役立つ体験」を提供することが最も重要だと改めて実感しました。

おわりに

今回の講座は、私たちが日々向き合うサービスの「その先」にいるユーザー(保育士や保護者)の解像度を大きく高める貴重な機会となりました。保育現場の多忙さや、公立・私立、認可・認可外といった施設の多様性、さらには慣らし保育期間の特有の課題など、資料やデータだけでは見えにくかった「人」の動きや感情を学ぶことができました。

DDD を実践する上で、ドメインエキスパート(今回は元・保育士の社員)から得られる生の情報は、私たちの共通言語を豊かにし、より精度の高いドメインモデルを構築する上で不可欠です。ユーザーの真の課題に寄り添ったプロダクトを創出するため、今後もこうしたドメイン理解の取り組みを続けていき、ユーザーへの価値提供につなげていきたいと思います。

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