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「銀行とデザイン」を読んで

2023/03/31に公開

はじめに

業務の中で、フロント周りを担当しています。
UI・UX、デザインシステムなどの勉強の一環で、「銀行とデザイン」(金澤洋/金子直樹/堀祐子 著)を読みましたので、興味深い/ハッとしたトピックをあげて感想を書こうと思います!
ちなみに私は三井住友銀行(SMBC)ユーザーで、アプリをよく使っているので、すごく親近感がありました!

銀行とデザイン (金澤洋/金子直樹/堀祐子 著)

https://amzn.asia/d/i7wJmbH
概要はアマゾンの説明をご参照ください!

DXの加速とデジタルチャネルでの顧客体験の重要性

銀行の体験が、窓口へ行くことから、デジタルチャネルでの操作に変わっていく中で、インハウスデザイナー3名の方が担う役割は本当に大きいなと感じました。
デジタルチャンネルでの体験=銀行の体験に直結するなら、デジタルサービスのサイト/コーポレートサイトは銀行の顔にもなりえますもんね。 
2016年にUI・UXデザインの重要さをいち早く理解し、3名のインハウスデザイナーを招き入れることでサービスをより良いものにしようとしたSMBCさんの決断は本当に素晴らしいなと感じます。

「UXデザインの重要性」と社内の理解

中途入社で銀行と縁もゆかりもないインハウスデザイナーさんと他部署との関わり方がとても参考になりました。

「とにかく顔をだす、できることはなんでもやる」
↓
「ちょっとずつ相談が増える」
↓
「領域が増え、横串で提案もできる」

デザイナーはまだまだ「見てくれをよくする人」と捉えられがちなので、依頼が来るのは、全ての仕様が決まった後というのは、残念ながら私も数多く体験してきたことです。
ただその限られたデザイン提案の中でも、UIの再提案をすることで、少しずつ相談が増えていくことも、最近わかってきました。他職種や他部署の方から存在を認めてもらうためには、どんな環境・職場でも、地道で誠意ある行動が必要だなと、この本を読んで再認識できました。(ウルトラC的な方法はないってことですね)

デザイナーは個からチームへ

外部の有識者(経験豊富なデザイナー)から、チームの課題を挙げられた場面があったのですが、その内容にハッとさせられました。

- 他のデザイナーの業務を把握できていない
- 各々が自分の業務で手一杯
- 将来の見通しが立たず、このままで良いか不安なまま業務をしている
- どんなに頑張っても何も変えられないと言う思いがどこかにある

解決方法として

- デザインチームの連帯感を強化
- チームを一体化させるための Mission の策定

などが挙げられていました。

こちらの本以外でも、UI・UXのカンファレンスに参加した時、デザインは個からチームへと言う言葉をよく耳にします。サービスのデザインを個で責任を持つのは難しいですし、存在が大きすぎるかもしれません。
チームで助け合い、場合によっては外部の有識者の力を借りて、より良いサービスデザインを作っていく。
その環境をデザイナー自身が作っていく。
そんな姿にひどく感銘しました。

UXやサービスを理解するワークショップ

UXデザインを理解してもらう一環として、社内で課題発見ワークショップをする場面がありました。

- ウォークスルー(ペルソナになりきってサービスを使い、ユーザーとしてサービスを疑似体験する)
- サービスブループリントの作成 (銀行サービスにおけるユーザープロセス全体を可視化し、俯瞰的に見て改善点を洗い出す)

これはすぐにでも実行できそうなワークショップだなと思いました!
特にサービスブループリントは、機能追加が繰り返し行われて複雑化してきているサービスにとって、現状を把握する上でもやってみたいワークショップですね!

インハウスデザイナーがするべきこと

色々と挙げられていたのですが

- 軸を作って振り返る

は、「なぜ〜になるのか?」の答えの軸になる部分をきちんと作っておくことなんだろうなと思います。
デザイナーに成り立ての時、先輩から「なぜこの色なのか」「なぜこのフォントなのか」の問いに答えられず沈黙したことがありました。「なんとなく、かっこいいかなーと思ってw」とは流石にプロの現場では言えませんでした。。
そこに「デザインのガイドラインに沿った」「コンセプトに立ち返った」などの軸があれば、デザインにも自信と確信が生まれてくるかもしれません。

SMBCのデザイナーとして意識されていること

色々挙げられていたのですが、

- あきらめない姿勢

は、リソースやスケジュールで叶わないデザインや機能を、必要であるなら諦めずにタイミングを見て実行に移せるようチャレンジし次に繋げるというデザイナーさんの固く尊い姿勢だと思いました。

最後に

こちらの本は、実際にアプリやサイトをリニューアルした時のリアルな状況や問題点を赤裸々に書かれている良書だと思います。私が取り組んでいるデザインシステムについても詳細な解説がありました。
ただやはり今の私に響いたのは、デザイナーとしての姿勢や取り組み、それこそ諦めずに現状や問題を打破する強い信念だったと思います。
いつもどこかで
「こういう提案をしたけど、結局意見を引っ込めてしまった。だけど本当にそれが正しかったんだろうか?」
と自問自答している私には、とても心に響く内容でした!

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