ふりかえりカンファレンスきっかけで、好きなふりかえり手法に出会えた
こんにちは〜!BABY JOB株式会社のたかしろです。
私は普段、"Scrum Master as a Project Manager" [1]という役割を自称し、手ぶら登園というサービスの開発に従事しています。
今回は、2024年4月に参加したふりかえりカンファレンスがきっかけで、好きなふりかえり手法に出会うことができたので、経緯を含め紹介したいと思います。
はじめに:結論
YWTええやん〜!です。
それに至った経緯を、主観MAXでつらつら書きます。
きっかけ①:ふりかえりカンファレンス2024のキーノート
2024年4月に開催された、ふりかえりカンファレンス2024に参加したのが最初のきっかけです。
LT登壇・ふりかえりに関するOSTなど、1日を通してたくさんの刺激をもらった素晴らしいイベントでした。その中で、キーノートで紹介された認知の4点セット(意見・経験・感情・価値観)は、今年出会った知識の中でもトップクラスに活用した概念です。
認知の4点セット
リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術
という書籍で紹介されている、「認知」の枠組みを整理するためのフレームワークであり、メタ認知を高めることが目的とされています。
例として、書籍でも紹介されている「犬を見たときの認知」を紹介します。
Aさんの認知の枠 | Bさんの認知の枠 | |
---|---|---|
意見 | 犬が好き | 犬が嫌い |
経験 意見の背景にある経験・知識 |
昔から自宅で犬を飼っている | 犬に噛まれて怪我をしたことがある |
感情 経験に紐づく感情 |
喜び・安心 | 怖い |
価値観 意見・経験・感情から分かる価値観 |
犬はかわいくて、癒やしをくれる | 犬は近づくと危ない |
AさんもBさんも、「犬を見た」という出来事は同じですが、意見・経験・感情・価値観は真逆です。
書籍では、このフレームワークを通して
自身のメンタルモデル[2]がどのように形成されたかを可視化できる
他者がどのように経験を意味づけているかを知ることで、自分とは違うものの味方から学ぶことができる
と説明されています。
きっかけ2:ふりかえり内で「不慣れ」を見つけた
チームのふりかえりを観察した結果、チームが抱える様々な「不慣れ」を見つけました。
参考まで、当時のチーム・ふりかえりの方法は以下です。
- チーム
- スプリント期間:1週間
- 人数:合計で3~5名
- 状況:タックマンモデルでいう形成期
- ふりかえり
- 参加者:エンジニア・スクラムマスター(わたし)
- ふりかえりの経験:相対的に少ないメンバーが多い
- ふりかえり手法:KPT
- 実施方法:オンラインホワイトボード上で、付箋を貼りながら実施。
Keepを出すことの不慣れさ
KPTのKeep部分に出てくる内容についてです。
良かったこと・継続していることをしっかり表明することに対して、あまり慣れていないメンバーが見られました。
ふりかえり自体の経験が少ないメンバーにとって、いきなり「良かったこと・続けたいことを書いてね!」と言われても難しいのは当然ですね。
また、Keepに書かれる内容は、「効果があった」「施策としてコスパが良かった」「〇〇が良くなった」など、経験の先にある意見です。そのため、意見の元になった事実をほかメンバーへ共有されていない状況では、いまいち共感しにくかったり、なぜそう思ったのかピンと来なかったりしてしている様子でした。
同じ出来事に対して異なる見解が出ることへの不慣れさ
ふりかえりの中で、同じ出来事に対する良し悪しの意見が異なるケースにおいて
- 自分の意見を引っ込める
- のちの1on1で「あの意見は違和感がある」「あの出来事をポジティブ/ネガティブに捉えられるのはよく分からん」と相談される
のようなことが何回かありました。
まだチームの形成期なので、メンバー同士の相互理解が進んでいないことから発生する自然な現象だと思いましたが、混乱期へ移行するためには意見の食い違いを自然にぶつけ合える状況を作る必要があると感じました。
認知の4点セットの活かしどころだと分かって、ワクワクしました。
事実と意見を分けて考えやすいふりかえり手法を探そう
ふたつのきっかけを経て、事実と意見を分けて考えやすいふりかえり手法を探しました。
アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブックやアジャイルチームによる目標づくりガイドブック、また世にあるたくさんの実践知を参考にしました。
YWTでええやん。YWTがええやん!
YWTは、Y:やったこと・W:分かったこと・T:次にやること の順に質問していくふりかえり手法[3]です。
シンプルな手法ながら、他者の事実(やったこと)に対する解釈(わかったこと)を可視化することが出来ます。手法の存在自体は知っていましたが、実際のふりかえりに採用したことがなかったのであまり印象に残っていませんでした。実施方法を改めて勉強すると、まさにチームを観察して感じた課題に対して明確な打ち手になると感じました。
YWTでええやん。
また、ふりかえりの中でやるべきことがシンプルなため、ふりかえりの中で何をすればよいか明瞭な点は好きなポイントです。ふりかえり自体に不慣れな人でも、当事者として参加しやすいと感じます。
YWTがええやん!めっちゃええやん!
他の手法でカスタマイズ
タイムライン[4]で時系列の概念を取り入れたり、Effort & Pain[5]で次スプリントで実行することの決定指標を取り入れたりと、チームの状況に合わせて拡張することも容易です。個人的には、手法自体のシンプルさが拡張のしやすさにつながっていると感じました。
自分でやってみた
自身のふりかえり・EMとのふりかえりでYWTを実践してみました。期待通り、いや期待以上に、ふりかえる内容に集中することが出来ました。また、自分自身が出来事に対して感じたモヤモヤを冷静に深堀りし、認知の4点セットに分解することが出来ました。
また、深堀りの様子を他者に見てもらう事によって、互いの価値観に至るまでの思考プロセスを観察することが出来ました。結果として、相互理解を深めることに繋がりました。
最後に
チームの課題に対して適切なふりかえり手法を選択するという武器を手に入れたので、現在は実践に移し始めたところです。YWTに至るまでいろんなことを試したので、それらを含めて実践結果を改めて報告できればと思います。
そして、きっかけとなったふりかえりカンファレンスには大感謝です!2025年も4月に開催されるようなので、成長した姿でイベントに望みたいと思います!
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参考:ふりかえりカタログ:YWT ↩︎
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