エンジニアの必須スキルを身につける!『具体と抽象』輪読会レポート
はじめに
BABY JOB株式会社の開発部の かっつん です!
エンジニアとして働く中で、「具体と抽象」の重要性を感じる場面は多いのではないでしょうか?今回は、チームでその思考力を磨くために開催した『具体と抽象』の輪読会レポートをお届けします。
なぜ、この本に興味を持ったのか
私自身、「常に楽しく仕事をしたい!」という思いが根底にありますが、仕事の中身を振り返ってみると具体化されすぎたタスクは、もはや「仕事」ではなく「作業」になりがちだと感じていました。
手順が決まりきった作業は、極論を言えば「誰でもできる」ことなので、自分自身の工夫の余地が少なくてやりがいを感じにくいです。
一方で、抽象度の高い仕事に関わっている時こそ、思考する余白があって新しい発見が多く、楽しいと感じることが多かったのです。
だからこそ、感覚だけでなく「具体と抽象」の概念を適切に理解した上で仕事をしていくことが、エンジニアとして楽しさを持続させる鍵になると考えました。
なぜ、輪読会を開いたのか
興味はあるものの、正直に言うと私は一人で本を読むのが苦手です。
一人だとどうしても読み進めるだけで満足してしまい、理解度が中途半端なまま終わってしまうことが多くて…
「他の人の意見を聞きながら、深いところまで理解したい!」
そう思っていたタイミングで、ちょうどチーム内で「具体と抽象の考え方」が流行っていて、みんなの関心が高かったのです。これを好機と捉え、輪読会を企画しました。
輪読会の設計(目的とゴール)
今回の輪読会では、知識のインプットにとどまらず実務へ直結させるために、明確な目的とゴールを設定して実施しました。
参加目的
読み合わせを行うことで、一人で読むよりも深い理解を得ること。
目指すゴール
- 「具体と抽象」について体系的に学習できていること
- 普段の業務プロセス(設計、レビューなど)に学習内容を取り込め、共通言語として機能していること
アジェンダ(所要時間:30分)
| 時間 | 内容 | 詳細 |
|---|---|---|
| 10 分 | 感想記入 | 各自が FigJam に付箋で感想や気付きを書き出す |
| 5 分 | グルーピング・投票 | 似た意見をまとめたり、共感した意見にスタンプを押す |
| 13 分 | 共有・議論 | 気になったトピックについて深掘りして議論する |
| 2 分 | 次回範囲共有 | 次回の担当者が範囲を発表 |
全 8 回に分け、無理のないペースで読み進めました。
輪読会のフォーマット
効率的かつ活発な議論を行うために、以下のフォーマットを採用しました。
- 開催頻度: 週 1 回(30 分)
- 使用ツール: FigJam(感想の共有・グルーピングに使用)
- 参加人数: 6 名
- 司会進行: 持ち回り制(負担を分散しつつ、全員の主体性を確保するため)

実際の FigJam
議論で挙がったトピック
エンジニアメンバー中心の会だったこともあり、開発業務に絡めた議論が多く交わされました。
エンジニアリングへの応用
書籍にある「共通点を見つける」「枝葉を切り捨てる」という抽象化の思考プロセスは、まさにエンジニアリングの核心部分だと再認識しました。
- クラス設計
複数の機能やオブジェクトから「本質的な役割」だけを抜き出し、インターフェースや基底クラスとして定義する作業は、まさに抽象化そのものです。個別の実装(具体)に依存しない設計を作る力が試されます。 - MECE な思考
「漏れなくダブりなく」整理するためには、個別の事象(枝葉)にとらわれすぎず、一段高い視座から全体を構造化する必要があります。これは要件定義やロジックツリー作成において不可欠なスキルです。
「良い設計=適切な抽象化」であり、ここがブレると手戻りの原因になる。
「あ〜、あの時の苦しみは具体と抽象の混同だったのか!」と、メンバー間で点と点が繋がる瞬間が多々ありました。
視点による基準の揺らぎ
「あの人の言っていることは具体的すぎる(あるいは抽象的すぎる)」と感じる時、それは自分自身の視点が固定されているからかもしれません。
自分自身の視座によって具体と抽象の境界線が変わるという話は、コードレビューや仕様検討の際のコミュニケーションギャップを埋めるヒントになりました。
まとめ・成果
FigJam を活用したことで、口頭だけでは流れてしまいがちな意見も可視化され、あとから振り返りやすい資産となりました。
何より最大の成果は、「今は具体の話をしているのか、抽象の話をしているのか」というメタ認知がチーム内で共有されたことです。議論が平行線をたどった際に、「あ、今レイヤーがズレてるね」と気づけるようになったのは大きな進歩だと感じています。
チームのコミュニケーションコストを下げたい、共通言語を作りたいと考えているチームには、この本を題材にした輪読会をおすすめします!
参考資料
具体と抽象 ― 世界が変わって見える知性のしくみ(細谷 功 著)
私たち BABY JOB は、子育てを取り巻く社会のあり方を変え、「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」の実現を目指すスタートアップ企業です。圧倒的なぬくもりと当事者意識をもって、子どもと向き合う時間、そして心のゆとりが生まれるサービスを創出します。baby-job.co.jp/
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