📖

エンジニアの必須スキルを身につける!『具体と抽象』輪読会レポート

に公開

はじめに

BABY JOB株式会社の開発部の かっつん です!

エンジニアとして働く中で、「具体と抽象」の重要性を感じる場面は多いのではないでしょうか?今回は、チームでその思考力を磨くために開催した『具体と抽象』の輪読会レポートをお届けします。

なぜ、この本に興味を持ったのか

私自身、「常に楽しく仕事をしたい!」という思いが根底にありますが、仕事の中身を振り返ってみると具体化されすぎたタスクは、もはや「仕事」ではなく「作業」になりがちだと感じていました。

手順が決まりきった作業は、極論を言えば「誰でもできる」ことなので、自分自身の工夫の余地が少なくてやりがいを感じにくいです。

一方で、抽象度の高い仕事に関わっている時こそ、思考する余白があって新しい発見が多く、楽しいと感じることが多かったのです。

だからこそ、感覚だけでなく「具体と抽象」の概念を適切に理解した上で仕事をしていくことが、エンジニアとして楽しさを持続させる鍵になると考えました。

なぜ、輪読会を開いたのか

興味はあるものの、正直に言うと私は一人で本を読むのが苦手です。
一人だとどうしても読み進めるだけで満足してしまい、理解度が中途半端なまま終わってしまうことが多くて…

「他の人の意見を聞きながら、深いところまで理解したい!」

そう思っていたタイミングで、ちょうどチーム内で「具体と抽象の考え方」が流行っていて、みんなの関心が高かったのです。これを好機と捉え、輪読会を企画しました。

輪読会の設計(目的とゴール)

今回の輪読会では、知識のインプットにとどまらず実務へ直結させるために、明確な目的とゴールを設定して実施しました。

参加目的

読み合わせを行うことで、一人で読むよりも深い理解を得ること。

目指すゴール

  1. 「具体と抽象」について体系的に学習できていること
  2. 普段の業務プロセス(設計、レビューなど)に学習内容を取り込め、共通言語として機能していること

アジェンダ(所要時間:30分)

時間 内容 詳細
10 分 感想記入 各自が FigJam に付箋で感想や気付きを書き出す
5 分 グルーピング・投票 似た意見をまとめたり、共感した意見にスタンプを押す
13 分 共有・議論 気になったトピックについて深掘りして議論する
2 分 次回範囲共有 次回の担当者が範囲を発表

全 8 回に分け、無理のないペースで読み進めました。

輪読会のフォーマット

効率的かつ活発な議論を行うために、以下のフォーマットを採用しました。

  • 開催頻度: 週 1 回(30 分)
  • 使用ツール: FigJam(感想の共有・グルーピングに使用)
  • 参加人数: 6 名
  • 司会進行: 持ち回り制(負担を分散しつつ、全員の主体性を確保するため)


実際の FigJam

議論で挙がったトピック

エンジニアメンバー中心の会だったこともあり、開発業務に絡めた議論が多く交わされました。

エンジニアリングへの応用

書籍にある「共通点を見つける」「枝葉を切り捨てる」という抽象化の思考プロセスは、まさにエンジニアリングの核心部分だと再認識しました。

  • クラス設計
    複数の機能やオブジェクトから「本質的な役割」だけを抜き出し、インターフェースや基底クラスとして定義する作業は、まさに抽象化そのものです。個別の実装(具体)に依存しない設計を作る力が試されます。
  • MECE な思考
    「漏れなくダブりなく」整理するためには、個別の事象(枝葉)にとらわれすぎず、一段高い視座から全体を構造化する必要があります。これは要件定義やロジックツリー作成において不可欠なスキルです。

「良い設計=適切な抽象化」であり、ここがブレると手戻りの原因になる。
「あ〜、あの時の苦しみは具体と抽象の混同だったのか!」と、メンバー間で点と点が繋がる瞬間が多々ありました。

視点による基準の揺らぎ

「あの人の言っていることは具体的すぎる(あるいは抽象的すぎる)」と感じる時、それは自分自身の視点が固定されているからかもしれません。
自分自身の視座によって具体と抽象の境界線が変わるという話は、コードレビューや仕様検討の際のコミュニケーションギャップを埋めるヒントになりました。

まとめ・成果

FigJam を活用したことで、口頭だけでは流れてしまいがちな意見も可視化され、あとから振り返りやすい資産となりました。

何より最大の成果は、「今は具体の話をしているのか、抽象の話をしているのか」というメタ認知がチーム内で共有されたことです。議論が平行線をたどった際に、「あ、今レイヤーがズレてるね」と気づけるようになったのは大きな進歩だと感じています。

チームのコミュニケーションコストを下げたい、共通言語を作りたいと考えているチームには、この本を題材にした輪読会をおすすめします!

参考資料

具体と抽象 ― 世界が変わって見える知性のしくみ(細谷 功 著)
https://shop.dze.ro/books/52

BABY JOB  テックブログ

Discussion