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スプリントのふりかえりでスコープを絞ってみた

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当時の課題感

私たちのチームは、これまでスプリントのふりかえりに YWT(やったこと・わかったこと・次にやること)[1] をフォーマットとして利用してきました。

以前まで使ってたフォーマット例
しかし、徐々に「チームの現状にフィットしなくなってきている」という感覚を持つようになり、ふりかえりを続けていく中で次のような課題が顕在化してきました。

フォーマットがチームに合わなくなってきた

  1. Try を「無理にひねり出す」ことによる疲労と質の低下:スプリントごとに必ず Try を設定しようとしていたため、実態として「とりあえず何かを Try とする」という状態が発生していました。その結果、改善の質が下がるだけでなくチームメンバーの疲労感にもつながっていました。

  2. チーム成熟度とのミスマッチ:チームが成熟するにつれて、解決すべき「大きな問題」が減りふりかえりが形骸化になり、学びや改善に結び付きづらくなっていました。

  3. ファシリテーターの負荷増大:話題が散らばりやすく、議論の深掘りや時間配分に細かく気を配る必要があり、ファシリテーションコストが高い状態が続いていました。

フォーマットの見直し

「ふりかえり、やめてみない?」

ふりかえりの形骸化が進むにつれて、チームメンバーから「ふりかえり自体をやめてみない?」という意見があがりました。

  • 日々のコミュニケーションで事足りている: 普段の会話で多くのふりかえりができているのではないか?
  • コストとメリットの不均衡: 現状のふりかえりに費やす精神的なコストに対して、得られる改善のメリットが薄く感じられる。

この意見をきっかけにチーム内で改めて「そもそもなぜふりかえりをしているのか?」について議論をした結果、私たちのチームではふりかえりに下記を求めていることがわかりました。

  • 成果を讃えあう場
  • 思考や判断の背景の共有
  • 良かったことがあれば共有しナレッジにする
  • 最終的にプロダクトの改善につなげる

ふりかえりそのものは必要だがフォーマットは変えるという結論に至りました。

新しいフォーマット

新しいフォーマットは目標にフォーカスするような形で作成しました。

  1. ふりかえる内容を「四半期目標」に絞る: チームでは四半期ごとに目標を設定しているため、ふりかえりの観点もその四半期目標に紐づく内容のみに絞るようにしました。スコープを限定することで、議論の方向性を明確にしました。
  2. 拡大解釈は許容する: ふりかえり観点に関連している内容であれば、多少の拡大解釈は許容することにしました。
  3. Try を無理に作らない: Try を設定することを目的としない方針に切り替え、会話の中で自然に生まれるようにしました。


新しいふりかえりフォーマット例

フォーマット変更によって得られた効果

変更後、以下のような改善が確認できました。

効果 詳細
チームのフォーカスが明確化 四半期目標を軸に議論することで、目標に対する解釈・理解・学びの場所となり、チームの目線合わせが容易になりました。
質の高いTryが自然発生 明確なTryを強制しなかったものの、議論の中で「自分たちがした方が良いこと」が自然と提案され、実質的なTryが生じていました
疲労感の軽減と効率化 スコープが限定的になり、目的が明確になったことで、精神的な負荷が大幅に減り、ふりかえりにかかるエネルギーが効率的に使えるようになりました。

まとめ

ふりかえりのフォーマットは、一度決めたら変えてはいけないものではなく、常にチームの状況に最適化させるべきだなと思いました。
チームの成熟度や直面している課題によって最適な形式は変わるため、定期的に見直しをすることは重要だと改めて実感しました。

脚注
  1. https://www.jmac.co.jp/glossary/n-z/ywt.html ↩︎

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