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スクラムにスターフィッシュを取り入れてチームの中長期的成長をコミットする

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スターフィッシュというふりかえりの手法をご存知ですか?

詳しい説明はよその記事に譲りますが、簡単に言うと上記のように5つのエリア
「START」「STOP」「KEEP」「MORE OF」「LESS OF」
に分割されたボード上でアクションを管理する手法です。

本記事では私たちのチームで実際にスターフィッシュを導入して課題を解決した事例を共有します!

当時の課題感

私が今のスクラムチームに配属したとき、チームには「中長期アクション」を管理する慣習がありました。レトロスペクティブの中で発見したアクションのうち「継続的に取り組んでいくべき」ものを集積していく取り組みで、レトロスペクティブで用いるボードの1エリアとして存在していました。

スクラムはチーム開発の有用なフレームワークですが、

  • 中長期的成長をコミットしない

点で、万能ではありません。スクラムは「インクリメンタルな成長を積み重ねる」思想であって、中長期的に積み重ねた結果が大きな成長になっているかは外の仕組みでカバーする必要があります。

その意味で「中長期アクションを管理する」自体は良い取り組みでしたが、次第に破綻していきました

といった状況でした。中長期アクションは「普遍的に正しそう」なリストになりがちで、1つ1つを捨てにくいんですよね。

そういうわけで棚卸しする仕組みが必要だなと思い、私たちはアクションの中長期的管理フレームワークとして以下のような運用でスターフィッシュを導入してみることにしました。

運用

前提

  • チーム人数は4、5人
  • 1スプリントは1週間

スターフィッシュの運用

  • レトロスペクティブでは、KPTライクなボードとスターフィッシュのボードの2つを用いる
    • KPTは1スプリント1ボードの使い捨て式
    • スターフィッシュのボードはスプリントを跨ぎ、1チーム1ボードの使い回し式
  • レトロスペクティブは1回1時間。最後の10分でスターフィッシュ上で「新規アクションの追加」「アクションのエリア移動」「不要になったアクションの削除」を行う

ボード設計


実際に使用しているボード

棚卸しの効果が強く期待できるように、ボードのトポロジーへの工夫を凝らしました。

1. ボードに対して付箋サイズは大きめに

ボードの1エリアあたりに貼れる付箋の数が多くできないようにする狙いです。すぐに付箋を貼るスペースが足りなくなるので、重要度の低い付箋を移動したり削除する力学が生まれます。

2. エリア名は中央に集める

ボードの全体像を俯瞰しやすくする狙いです。仮にエリア名が端に配置されているとどうでしょうか。

エリア名を端に移動してみた

付箋の移動にあたって視線を左へ右へ大きく動かさないといけなくなるのがイメージできたでしょうか。些細に感じるかもしれませんが、こうした小さな障壁こそが付箋移動の形骸化をもたらすと私は考えています。

導入した結果...

✅ 不要になったアクションは「LESS OF」や「STOP」に順次移動され、「STOP」にとどまり続けているアクションの削除が即座に合意できるようになった!
✅ 「START」エリアの付箋数はせいぜい3、4個程度で、新しく付箋を追加することを憚ることはなくなった!
✅ 中長期アクション全体で見ても、意識すべき「START」「KEEP」「MORE OF」の合計付箋数は3〜8個程度で、各メンバーが全てのアクションを把握できるようになった!

結論、中長期アクションが継続的に棚卸しされるようになり、元々の狙い通り「中長期アクション」が機能するようになった!!

まとめ

中長期アクション管理の恩恵として強く感じるのは

  • チームの価値観が揃っていく

ということです。価値観が一致することで各メンバーはどんどん攻めの行動が取れ、チームとしてのスループットが上がってくのを感じました。また

  • チームの価値観は流動的に変わっていく

ことにも気が付かされました。少し前は良いプラクティスだったものが、今は別のプラクティスに取って代わられる、といったこともしばしば。そういう動きへの摩擦は小さいほど良いですよね。

スターフィッシュは、

付箋を価値の重みづけによって流動的に管理しチームの価値観の進化を促進できる点が、とても優れたフレームワーク

だと思いました。

私たちの運用が読者さんの参考になれば幸いです⭐️

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