EMConf JP 2025のアンカンファレンスで登壇してみた
はじめに
2025年2月27日に開催された「Engineering Manager Conference Japan 2025」(EMConf JP)に参加してきました。今回は思い切ってアンカンファレンスで登壇してみた経験を中心に、カンファレンスの体験をお伝えします。
アンカンファレンスとは?
EMConf JPでは、メインセッションとは別に「アンカンファレンス」という枠が用意されていました。これは当日参加者が自由にトピックを持ち寄り、空いている枠に飛び込みで発表できるという機会です。午前中にトピックを募集し、午後の枠を埋めていくという流れでした。こうした試みによって、より多様な知見の共有や参加者同士の交流が促進されていました。
登壇を決めたきっかけ
午前中は基調講演やメインセッションを聞いていましたが、アンカンファレンスにはじめて参加したのは13:10開始の「オススメのアイスブレイクを教えて!!」というセッションでした。リラックスした雰囲気のなかで私も質問したり意見を共有したりする体験がとても良かったです。メインセッションとは違った形で交流できる場の価値を感じました。
その後、いくつか発表を聞いた後に、アンカンファレンスのスケジュール表を見ていると15:30から30分ほど枠が空いていることに気づきました。スタッフの方と「空いてるんですねー」と会話していたところ、「やっちゃいますか?」という流れになり、即決で登壇することになりました。15:30過ぎに気づいたので、15:40の枠をゲット。タイトルは「マネジメントで役立ちそうな最近読んだ本/ボブ」としました。
これは、プロポーザルを出したけど落ちたこともあり、発表してみるかーと気持ちが動いたのも大きかったかもしれません。というのも、この日を迎えるまでにプロポーザルに出した内容を少なくともまとめるぞと日々noteに備忘録を残して、経験と本を照らしながら思考を深めていたからです。
あと、はじめに体験したアイスブレイクセッションの会場の空気が、参加姿勢を高めたのだと思います。知識を受け取るだけでなく、何か自分も共有したいという気持ちが芽生えた結果なのかなとふりかえって思います。
マネジメントといえば「気づき」に役立つ本のご紹介
発表テーマは日々の業務で気づきを与えてくれた本を中心に紹介しました。
普段から読んだ本の内容をnoteにまとめる習慣があったため、スライドがなくても10分間の登壇として話すことができました。この日頃からの言語化の習慣が急な登壇機会でも役立ったと実感しています。
紹介した書籍6選
THE EMな本の紹介とは違い、マネジメントの観点から気づきを与えてくれた本を中心に紹介しました。10分という短い時間でしたが、日頃のアウトプットを投影しながらお話したので、その場の思いつきで6冊の本を紹介できました。
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仕事のアンラーニング 働き方を学びほぐす
- 過去の成功体験が新環境では通用しないケースもあり、柔軟に自身の考え方を見直す気づきを紹介しました。
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最強の経験学習
- コルブの経験学習サイクル(経験→内省→概念化→実践)は有名ですよね。今回は、9つの学習スタイルについて書かれた本です。自分の経験がどこに偏っているかの気づきに最適です。
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成人発達理論による能力の成長 ダイナミックスキル理論の実践的活用法
- マネジメント関連のスライドで目にすることが多いと思います。視座をレベル分けで言語化するのに役立つ一冊で、学術視点から学べます。
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「わかりあえない」を越える――目の前のつながりから、共に未来をつくるコミュニケーション・NVC
- これもマネジメント関連のスライドで目にすることが多く紹介しました。相手のニーズを理解することの大切さと、ゼロイチ的な思考から抜け出す重要性の気づきを得ました。
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論理が伝わる 世界標準の「議論の技術」 Win-Winへと導く5つの技法
- 組織の意思決定の場面では議論が必要です。そのために必要な議論の基本的な構造と進め方が学べて、これも気づきのひとつとして紹介しました。
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アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方 カオスな環境に強い「頭のよさ」とは
- 最後は漫画をベースにしたビジネス書です。サッカーの言葉を借りつつ、視点・視野・視座のお話や思考力についての言語化が気づきを与えてくれる本です。
参加者からの反応
突然の開催にもかかわらず、5人ほどの方が聞きに来てくださり、とてもうれしかったです。質疑応答では「アオアシいいよね」と共感しあえたり、「どんな内容ですか?」など質問をいただき、やりとりが楽しかったです。スタッフの方も温かく見守ってくださり、安心して発表できました。何かの本を手に取るきっかけになったのであればうれしいなと思いました。
アンカンファレンス登壇から学んだこと
アンカンファレンスで登壇してみて学んだことは以下の通りです。
- 言語化の重要性: 日頃から自分の考えや学びを言語化しておくことで、急な発表機会にも対応できる
- 気軽な姿勢:「ちゃんと発表しなければ」というプレッシャーよりも、知見を共有する気持ちで臨むことが大事
- 準備がすべて: 日々の学びの言語化や思考の整理が、結果的に最高の準備となり、スライドがなくても自分の言葉で伝えられる
- 知見共有の意義: 本の紹介でも、マネジメントという軸で自分の経験と結びつけて共有することで、互いに学び合える場になる
このまとめが、アンカンファレンスに登壇しようと思うきっかけになればうれしいです。
他のまとめ
EMConfには印象に残るセッションがたくさんあり、参加して本当に良かったと思います。聞けなかったセッションも資料を公開してくださる方が多く、今も読みながら学びを深めています。会場では各社のブース設計について技術広報の視点から意見交換できたのが楽しく、エンジニア採用や組織文化についても新たな視点を得られました。運よく景品も当たり、充実した一日になりました。
カンファレンス後の懇親会では、さまざまな立場のEMな方々と交流でき、めちゃくちゃ勇気づけられました。同じ悩みを持つ仲間がいるという安心感と、それぞれが自身の力で解決策を模索している姿に触れられたことは大きな収穫です。
今後に活かしたいこと
EMConfへの参加を通じて、とくに以下の点を今後の実践に活かしていきたいと考えています。
- プロジェクトマネジメント力の強化:4つのP(Project, Product, People, Platform Management)の視点から、とくにタスク管理ではなく、リスク管理の重要性を再認識。
- 個人からチームへの視点転換:自分自身がボトルネックになりがちだと、自分だけにフォーカスを当てずにゴールを意識して、チームの課題を捉えることが重要。
まとめ
EMConf JP 2025への参加をゴールに設定して、日々の経験を言語化し、考えを整理してきたプロセス自体が大きな成長につながりました。そのおかげで、カンファレンスでのセッションの多くが自分の状況に深く刺さり、より多くの学びを得ることができました。当日に知ったアンカンファレンスという場で思いがけず登壇できたのも、この準備があったからかもしれません。結果的に、EMとしての振る舞いや意思決定のファシリテーターとしての役割をより強く意識できるようになり、知見共有の喜びも実感できました。
ここで得た知見を日々の実践に活かし、引き続き実践と学びを重ねていきます。そのためにも、来年もEMConfが開催されることを願いつつ、日々のマネジメントをふりかえりながら、より良い組織貢献を目指していきたいと思います。最後に、円滑な運営とサポートをしてくださったEMConfのスタッフの皆さまに感謝申し上げます。
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