Nuxt3の新しい機能
現在 Nuxt.js は バージョン3がパブリックベータ版として提供されています。 Nuxt.js が 2 → 3 に移行するにあたってたくさんの新機能が追加されました。
- パフォーマンスの向上
- Nitro engine
- Composition API
- Vite
- Vue 3
- Webpack 5
- Nuxt CLI
- TypeScript のネイティブサポート
- ESM サポート
- Nuxt devtool(まだ)
- and more...
上記以外にも新たに追加された機能はどれも興味深いものばかりで今すぐにも使いたいものが揃っています。Nuxt3 で追加された新機能を体験してみましょう!
インストール
Nuxt3 からは create-nuxt-app
の代わりに新しく Nuxt CLI
を使用してプロジェクトを作成します。
npx nuxi init nuxt3-app
生成されたフォルダを確認すると初めから TypeScript になっていることがわかります✨
フォルダの構成は Nuxt2 の頃のようにすべて予め用意されているわけではなく随分控えめになっています。
.
├── .gitignore
├── README.md
├── app.vue
├── nuxt.config.ts
├── package-lock.json
├── package.json
└── tsconfig.json
npm
か yarn
でパッケージをインストールします。
cd nuxt3-app
npm install
インストールが完了したら以下コマンドで起動して http://localhost:3000 にアクセスしてみましょう。起動はめちゃくちゃ早いです。
npm run dev
Volar
Vue3 からは VSCode の拡張子として Vetur
の代わりに Volar
を使うことが推奨されています。下記をインストールしておきましょう。(Vetur
がすでにインストールされているのなら無効化する必要があります)(Vue2 のプロジェクトと Vue3 のプロジェクトを移動するのがめんどくさいね!)
TypeScript の Strict type checks を有効にする
初めから TypeScript を用意してくれているのは嬉しいのですが、なぜだか Strict type checks
(厳格モード)が有効になっていないです。例えば、以下のようなコードは Strict type checks
が有効になっていれば noImplicitAny
によりエラーを検出してくれるはずなのですが、現状の設定ではそうはなってくれません。
<script setup lang="ts">
const fn = (args) => {
console.log(args);
};
</script>
通常の TypeScript プロジェクトでは tsconfig.json
で TypeScript の設定を変更するのですが自動生成された tsconfig.json
を見てみると以下のようになっています。
{
// https://v3.nuxtjs.org/concepts/typescript
"extends": "./.nuxt/tsconfig.json"
}
ただ単純に .nuxt/tsconfig.json
の設定内容を引き継いでいるだけのファイルとなっています。どうやら .nuxt/tsconfig.json
は TypeScript のおすすめの設定を記載してくれているようです。
この設定を変更するには nuxt.config.ts
ファイルを修正する必要があります。
import { defineNuxtConfig } from 'nuxt3'
// https://v3.nuxtjs.org/docs/directory-structure/nuxt.config
export default defineNuxtConfig({
typescript: {
strict: true
}
})
nuxt.config.ts
を編集してので開発サーバーを再起動する必要があります。
npm run dev
これでエディタ上では noImplicitAny
のエラーが表示されている・・・のですが、残念ながら開発サーバーを起動したときには型チェックを行ってくれません。
型チェックは npx nuxi typecheck
コマンドで手動で実行する必要があります。
npx nuxi typecheck
Nuxt CLI v3.0.0-27319101.3e82f0f 15:52:09
npx: 93個のパッケージを29.52秒でインストールしました。
pages/index.vue:2:13 - error TS7006: Parameter 'args' implicitly has an 'any' type.
2 const fn = (args) => {
~~~~
Found 1 error.
ERROR Command failed with exit code 2: npx -p vue-tsc -p typescript vue-tsc --noEmit 15:53:05
at makeError (node_modules/nuxi/dist/chunks/index3.mjs:1096:11)
at handlePromise (node_modules/nuxi/dist/chunks/index3.mjs:1660:26)
at processTicksAndRejections (internal/process/task_queues.js:95:5)
at async Object.invoke (node_modules/nuxi/dist/chunks/typecheck.mjs:42:7)
at async _main (node_modules/nuxi/dist/chunks/index.mjs:382:7)
app.vue
自動生成されたフォルダには存在しないことから分かる通り pages
ディレクトリは必須ではなくなりました。
pages
ディレクトリを使用しない場合には Nuxt はビルド時に vue-router
を依存関係に含めなくなるためバンドルファイルを削減することができます。
pages
ディレクトリを使用しない場合にはトップページの表示には app.vue
ファイルが使われます。
app.vue
と pages
ディレクトリを同時に使用する場合 app.vue
で <NuxtPages>
コンポーネントを配置することによってそこに現在のページを表示することができます。
- app.vue
<template>
<div>
<NuxtPage />
</div>
</template>
app.vue
ファイルを削除すれば今まで通り pages
ディレクトリのみで使用できます。
Meta タグ
Meta components
Nuxt2 までは各ページの <title>
タグや <meta>
タグを設定するために head メソッドを利用してました。
<template>
<h1>{{ title }}</h1>
</template>
<script>
export default {
data() {
return {
title: 'Hello World!'
}
},
head() {
return {
title: this.title,
meta: [
{
hid: 'description',
name: 'description',
content: 'My custom description'
}
]
}
}
}
</script>
Nuxt3 では Next.js の pages/_document.js
のように以下のコンポーネントを提供しているため宣言的な方法で <title>
タグを設定することができます。
<Title>
<Base>
<Script>
<Style>
<Meta>
<Link>
<Body>
<HTml>
<Head>
上記のコンポーネントは通常の html タグと区別するため全て大文字で開始する必要があることに注意してください。これらはコンポーネントは以下のように使用できます。
<script setup lang="ts">
const title = "Hello Nuxt3!!";
</script>
<template>
<Html lang="ja">
<Head>
<Title>{{ title }}</Title>
<Meta name="description" :content="`This is ${title} page`" />
</Head>
</Html>
<h1>{{ title }}</h1>
</template>
期待通りに <head>
タグが設定されていることがわかります。
useMeta
Meta components の他に setup
関数の中では useMeta
関数を使うこともできます。
<script setup lang="ts">
const title = "Hello Nuxt3!!";
useMeta({
meta: [{ name: "description", content: `This is ${title} page` }],
});
</script>
<template>
<h1>{{ title }}</h1>
</template>
Server directory
API Routes
Nuxt2 においては serverMiddleware を利用して外部サーバーを利用せずにちょっとした API サーバーを作成することができました。
Nuxt3 の API Routes を使用すれば Next.js の API Routes のような API サーバーを作成することができます。
API Route は ~/server/api
配下に作成する必要があります。
~/server/api
配下に配置した各ファイルは req
,res
を受け取る関数をデフォルトエクスポートする必要があります。
以下のように最も簡単な echo サーバーを作成してみましょう。
- server/api/hello.ts
export default (req, res) => 'Hello Nuxt3 from server!'
~server/api
ディレクトリ配下のファイルは pages
ディレクトリと同じようにファイルシステムベースのルーティングとなっています。 http://localhost:3000/api/hello にアクセスしてみてください。
もう少し楽しい例も見てみましょう。JSON Placeholder というテスト用の API からデータを取得しそれを返却する API サーバーを作成します。
まずは server/api/users.ts
ファイルを作成して req
,res
に適切な型をつけてあげます。
import type { IncomingMessage, ServerResponse } from 'http'
export default (req: IncomingMessage, res: ServerResponse) => {
}
Nuxt 上ではどこでも $fetch
メソッドを使用できます。これは ohmyfetch を使用しておりサーバー上かブラウザ上を区別せずに fetch
メソッドを利用することができます。
import type { IncomingMessage, ServerResponse } from 'http'
export interface User {
id: number;
name: string;
username: string;
email: string;
address: Address;
phone: string;
website: string;
company: Company;
}
export interface Address {
street: string;
suite: string;
city: string;
zipcode: string;
geo: Geo;
}
export interface Geo {
lat: string;
lng: string;
}
export interface Company {
name: string;
catchPhrase: string;
bs: string;
}
export default async (req: IncomingMessage, res: ServerResponse) => {
const result: User[] = await $fetch('https://jsonplaceholder.typicode.com/users')
return result
}
http://localhost:3000/api/users にアクセスするとデータが問題なく取得できていることがわかります。
Server middleware
~/server/middleware
配下に作成したファイルはサーバーミドルウェアとして扱うことができます。サーバーミドルウェアは全てのリクエストに対して実行されます。例えば、ミドルウェア上で認証処理を実行したりログを採取する目的で使用できます。
API ルートと同様に req
,res
を受け取る関数をデフォルトエクスポートします。
- server/middleware/logging.ts
import type { IncomingMessage, ServerResponse } from 'http'
export default async (req: IncomingMessage, res: ServerResponse) => {
console.log(req.headers)
}
useFetch/useAsyncData
Nuxt3 ではサーバーからデータを取得する処理として useFetch
,useLazyFetch
,useAsyncData
,useLazyAsyncData
が使えます。
Lazy
という名前がついている関数の違いはデータ取得ときに画面描画をブロックするかどうかです。useFetch
,useAsyncData
はデータの取得が完了するまでページ遷移を完了させないですが、useLazyFetch
,useLazyAsyncData
はデータの取得状況と関係なくページ遷移を完了させます。
useFetch
は $fetch
の利用に特化した useAsyncData
のラッパー関数です。
つまりは、以下の2つは行は同等の処理を実行します。
const { data } = await useAsyncData('count', () => $fetch('/api/users'))
const { data } = await useFetch('/api/users'))
useFetch
の返り値の data
は ref()
に包まれたデータとして返却されるのでリアクティブな値として使用できます。
useFetch
を使えば以下のように簡単にデータ取得処理を記述することができます。API Routes
で作成したユーザー一覧を取得します。
<script setup lang="ts">
const { data: users } = await useFetch("/api/users/1");
</script>
<template>
<h1>ユーザー覧</h1>
<ul>
<li v-for="user in users" :key="user.id">
{{ user.username }}
</li>
</ul>
</template>
ちなみに server/api
で作成した API からデータを取得する場合には useFetch
の返り値に自動的に型がつきます。なにこれすごい。
Pick
useFetch
,useAsyncData
はオプションを指定することでもっとすごいこともできます。
まずは pick
オプションです。レスポンスがオブジェクトの場合に限り、配列でプロパティ名を指定し GraphQL のように取得するデータを絞り込むことができます。(配列でデータを取得するときにも指定できたら嬉しかった、、、)
<script setup lang="ts">
const { data: user } = await useFetch("/api/users", {
pick: ["id", "name", "email", "phone"],
});
</script>
<template>
<h1>{{ user.name }}</h1>
<ul>
<li>Email: {{ user.email }}</li>
<li>Phone: {{ user.phone }}</li>
</ul>
</template>
transform
取得したデータを変換関数を受け取ります。以下の例では全てのユーザーの username
を大文字に変換する処理を実行します。
<script setup lang="ts">
const { data: users } = await useFetch("/api/users", {
transform: (res) => {
return res.map((user) => ({
...user,
username: user.username.toUpperCase(),
}));
},
});
</script>
<template>
<h1>ユーザー覧</h1>
<ul>
<li v-for="user in users" :key="user.id">
{{ user.username }}
</li>
</ul>
</template>
useState
どこかで聞いたことがあるような関数名ですが useState
は SSR に適した状態管理を行います。
Vue3 での Composition API ではコンポーネント外にリアクティブなデータを定義して状態を管理できることが特徴の一つでした。これにより vuex
などの状態管理ライブラリに頼らずとも簡単な状態管理を記述することができました。
以下の例では useCounter
を呼び出すことで count
の状態をコンポーネント間で共有することができます。
- composables/useCounter.ts
const count = ref(0)
const useCounter = () => {
const increment = () => count.value++
const decrement = () => count.value--
return {
count: readonly(count),
increment,
decrement
}
}
export default useCounter
これはコンポーネント内では次のように呼び出して使用します。
<script setup lang="ts">
import useCounter from "~~/composables/useCounter";
const { count, increment, decrement } = useCounter();
</script>
<template>
<h1>{{ count }}</h1>
<button @click="increment">+</button>
<button @click="decrement">-</button>
</template>
このコードは通常の Vue3 アプリケーションで使用する分には問題ありませんが Nuxt などの SSR を提供するフレームワークで使用すると問題になります。
コンポーネント外 ref()
でリアクティブなデータ定義した場合その状態はアプリケーションに訪れる全てのユーザー間で共有されてしまうため、メモリリークにつながる恐れがあります。
Nuxt では setup
関数外では ref()
を使用してはいけません。
上記のように Nuxt では ref()
を使用して状態管理をすることができないのでその代わりに使用するのが useState
ということです。
useState
は引数として一意となるキーと初期値を返す関数を受け取ります。useState
の返す値は Ref
で包まれているので ref()
で定義したときと同じ用意使えます。
const useCounter = () => {
const count = useState('count', () => 0)
const increment = () => count.value++
const decrement = () => count.value--
return {
count: readonly(count),
increment,
decrement
}
}
export default useCounter
ref()
を使用するときには状態を共有するために useCounter
関数の外で定義していましたが useState
では uesCounter
関数内で定義してもその状態を共有することができます。
Composables directory
Vue3 Composition API ではカスタムフックを慣例的に composables
ディレクトリ配下に配置しますが Nuxt3 では composables
ディレクトリは特別な意味を持っています。
composables
ディレクトリ配下で名前付エクスポートまたはデフォルトエクスポートした関数は コンポーネント内で import
せずに使うことができます。
- composables/useFoo.ts
export const useHoge = () => {
return 'hogehoge'
}
export default () => {
return 'foobar'
}
- pages/index.vue
<script setup lang="ts">
const hoge = useHoge();
const foo = useFoo();
</script>
<template>
<h1>{{ hoge }}{{ foo }}</h1>
</template>
Plugins directory
plugins
ディレクトリに配置したファイルは nuxt.config.ts
に登録する必要がなく使うことができるようになりました。
また ファイル名に .client
を付与するとブラウザのみ、 .server
を付与すると サーバーのみで実行されます。
- plugins/hello.server.ts
import { defineNuxtPlugin } from '#app'
export default defineNuxtPlugin(nuxtApp => {
console.log('hello')
})
- plugins/world.client.ts
import { defineNuxtPlugin } from '#app'
export default defineNuxtPlugin(nuxtApp => {
console.log('world')
})
Plugins directory
は全てのリクエストの前に実行されるので Nuxt2 の Middleware
の代わりとして使うことができます。(Middleware
は廃止されました)
また nuxtApp.hook()
はコールバックに渡した関数を以下の指定した Nuxt ライフサイクルで実行することができます。
- app:beforeMount
- app:created
- app:mounted
- app:rendered
- meta:register
- page:start
- page:finish
import { defineNuxtPlugin } from '#app'
export default defineNuxtPlugin(nuxtApp => {
nuxtApp.hook('app:mounted', () => console.log('App mounted!'))
})
provide
プラグイン内部では provide
というプロパティを持つオブジェクトを return
することで Nuxt アプリケーション全体に provide
したヘルパーを提供することができます。
- plugins/http.ts
import { defineNuxtPlugin } from '#app'
import axios from 'axios'
const instance = axios.create({
baseURL: 'https://api.github.com',
headers: {
'Content-Type': 'application/json'
},
timeout: 5000
})
export default defineNuxtPlugin(nuxtApp => {
return {
provide: {
http: instance
}
}
})
provide
したヘルパーは useNuxtApp
の返り値として使うことができます。
<script setup lang="ts">
const { $http } = useNuxtApp()
const { data } = await $http.get('/users')
</script>
さらにすごいことに provide
したヘルパーは自動的に型がつけられています。
感想
1年前に Nuxt で作成したアプリケーションが古代遺物になってしまった...
TypeScript 入れるのに複雑な設定しなくていいし useFetch
で型が付くのとか結構すごくて TypeScript と相性が悪いのはもはや過去の話となりましたね。
Next.js にあった機能もいろいろ入ってきてる感じですね。
一つ思ったのは auto-import だったり Nuxt のコア機能は明示的に import
しないで使える関数が多いと感じましたね。こういう暗黙的な挙動はあまり好きではないのですが、やっぱみんな楽できるのがよいのでしょうか。
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